2016/07/01 - 2016/07/01
226位(同エリア362件中)
たれたびさん
向こう30年以内に70%の確率で起こる首都直下型地震。
発災時は基本的には交通機関が再開するまで職場待機することになりますが、どうしても帰宅せざるをえない場合に備えて、勤務先の池袋から、自宅のある川崎市麻生区まで徒歩帰宅の予行演習をしてみることにしました。とはいえ、25km以上を1回で歩くのはシンドイので(本番はそうなるのですが)、帰宅経路を以下の3つに分割して歩くことにします。
1:JR池袋駅からJR中野駅まで
(その1 http://4travel.jp/travelogue/11137652)
2:JR中野駅から小田急成城学園前駅まで
(その2 http://4travel.jp/travelogue/11139409)
3:小田急成城学園前駅から小田急新百合ヶ丘駅まで
今回はパート3(完結編)として、成城学園前駅から新百合ケ丘駅までの10キロ強を歩きます。
自分の覚えとしての掲載ですが、何か役立つことがあればと思い公開します。
あと、完結編としてまとめ的な内容も入れる予定です。
あいかわらずのたれぱんだ付きですが、ご容赦くださいませ。
それではおうちにむかって、しゅぱーつ。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 徒歩
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-
さて今回のルート説明。
前回と同じヘタな図で説明します。今回はその3の行程、左下の部分。
ルートは単純で、小田急線に沿って成城学園前から新百合ヶ丘までのおよそ10キロを歩きます。道に迷う心配は少ないものの多摩川越えとその後の多摩丘陵登りが難関です。 -
旅立つ前に、参考として徒歩帰宅に備えて会社に置いてあるものをご紹介。大まかに左回りで紹介します。
バックパック(いちばん上)…両手を空けるために絶対必要。GUで1500円くらい。
アウトドア用ベスト…ポケットが沢山あり長距離歩行時に便利。amazonで1000円ちょっと。
マルチツール(十徳ナイフ)…ビクトリノックスの安価なもの(Amazonで1000円強)。あると便利かと思って買ったら、小さくても刃のあるものの常時携帯は軽犯罪法(銃刀法ではない)に触れる恐れがあるとのこと。留置場の旅行記はまだ書きたくないので、残念ながら携帯は断念します(新宿などでもときどき取り締まりをやっているらしい)。
タオル…家にあった使い古し。
絆創膏等…ケガ用というより靴ズレ対策に役立ちそうです。
LEDネックライト…昔Amazonのバーゲンで購入。ヘッドライトが理想だが家にあったので代用。Panasonicので結構明るい。
小型ラジオ…ヨドバシ.comで1000円くらい。スマホでネットラジオも考えたものの、バッテリーの消耗が激しいので別途持つことにします。
軍手…ケガ防止(少し多めに持っておく)
エアーサロンパス…少しでも足の故障を遅らせるため(気休めかな)。
三角タップ…避難/休憩先で電源を分け合う用に。
徒歩帰宅マップ…昭文社のと小田急のものを両方もちます(後述)。
折り畳み簡易座布団…駅などでの長時間待機用。Amazonで400円くらいですがあるとかなり楽です。
サバイバルブランケット…主に寒い時期にくるまって暖まるアルミ製のブランケット。SOL社のものでAmazonで600円くらい。某比較誌によると200円くらいのものとは格段に暖かいらしい。
このほかに会社の机に
はき古しのウォーキングシューズ、カロリーメイトや防災ようかん、ドロップなど行動食、ペットボトル4本、モバイルバッテリー、携帯充電器、折りたたみ傘、カイロ、マスクなどを置いてあります。あと救助用ホイッスルとミニLEDライトをキーホルダーにつけています。
だいたい思いつくものは揃えたつもりです(あとはレインスーツあたりでしょうか)。 -
それでは、前回の終了地点となった成城学園前よりしゅぱーつ。
19時半を過ぎていても蒸し暑ーい夜です。
少しオシャレな名前の駅は帰宅する人や金曜の夜で美味しいご飯を食べに行く人で賑やかでした。まさかココに新百合ヶ丘まで歩こうとしてる阿呆ががおるとは思うまい。しかもぬいぐるみつきだ(笑)。成城学園前駅 駅
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成城学園前北口を出て左に進みます。さすがハイソな駅だけあって、通りもお洒落だなー。
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駅から少し離れるとお屋敷街(住宅街とはちょっとちがう)に入ります。
大きなお屋敷と高級外車のショールームみたいな通りに、なんだか場違いなところに迷い混んでしまった感があります(笑)。下手に写真など撮っているとお巡りさんにお持ち帰りされそうな(汗)。
こんだけ敷地がひろければ震災が来ても被害は軽そうだなー。 -
500メートルほど進むとお屋敷街は終わり、多摩川に向かって坂を下ります。
川があるのと、小田急の喜多見車庫へ入る引き込み線があるため、今回の行程で唯一道の入り組んだエリアです。 -
坂を下りきって500メートルほどで喜多見駅に到着。もうふつうの住宅街(すこしあんしん。笑)。
駅前にはサミット(スーパー)がありました。喜多見駅 駅
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小田急の高架側道を進みます。よく整備されて歩きやすいみちです。小田急線が高架化されたのは2000年前後と比較的新しく、震災対策もしっかりとられていると思われます。
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狛江駅 駅
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スイスイ進んでいくとすぐに狛江駅。各駅停車しか止まらない駅にしては、駅ナカが充実しています。今度おりてみようかと思案中。。
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狛江駅からも同じような高架側道を進んで、和泉多摩川の駅手前で都道3号世田谷町田線と交差します。ここからはこの道を進みます。
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都道3号世田谷町田線は三軒茶屋のあたりから町田までを結ぶ道路。世田谷町田線とか津久井道とか、せたまち、とか様々な名前で親しまれている道です。ただ古い道なので、ほとんど片側1車線でいつも渋滞のイメージがあるため、町田方面に行くなら国道246号線を使うのが一般的ですが、今回は歩きなので距離の短いこの道で進みます。
小田急との交点から少し進むと橋が見えてきました。 -
見えてきた橋は、都県境にあたる多摩水道橋。この橋を渡れば目的地のある神奈川県。
足かけ3日で神奈川県にたどりつき、気持ちも高まります。 -
多摩川の夜景が案外きれいでしばし休憩します。向こうに見えるのが小田急線の鉄橋で(水平に走る線状の光は電車です)、右側の一際明るいところが登戸駅です。
周りに橋もなく、遮るものが少ないので本当に眺めのいい橋でした。
えっ?、、、「周りに橋もなく」ですって!? つまり発災時に橋が壊れて渡れなくなると大変なことになりそうだし、そもそも壊れなくても交通が集中して大変なことになるかも。 -
多摩水道橋を渡ると都道3号は神奈川県道3号に変わります(この先町田市にはいると都道に戻ります)。ここからは川崎市多摩区。目的地の麻生区の隣になります。
多摩水道橋は広い歩道も完備した大きい道でしたが、取り付け道路が歩道のない片側一車線で、クルマがビュンビュン通ってすこし危ない道でした。橋を渡りきったところの交差点で土手道を左手に折れ、登戸方面にすこし向かって大回りした方が安全かもしれません。 -
橋を渡って少しのところに川崎市多摩区役所があります。夜間休日診療所など併設した大きな建物で、災害時の拠点になりそうです。
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このあたり、多摩区の中心部でもあり(登戸駅と向ヶ丘遊園駅にまたがるエリア)比較的大きな駐車場を持ったコンビニが点在し、かつ多摩区の中心、なおかつ世田谷町田線と府中街道の交点もある交通の要所ので、災害時の救援拠点になりそうです。
私もコンビニのイートインスペースで一息つきました。 -
少し進んで多摩警察署(正面の建物)のそばを通ると多摩区中心街が終わり、いよいよ多摩丘陵を登り始めます。
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しばらくの間、この小さい川(五反田川)に沿って道は進みます。
歩道もそこそこ整備されていて、特に危険はなさそうです。 -
道はこのさき百合ヶ丘駅付近まで緩やかな登りが続きます。そんなに辛くはないですが、
5キロほど続くので、ジワジワと体にきます。 -
ところで、今回のシミュレーションの前に買った帰宅支援マップ。よく見ずに買ったら、小田急沿線住民にはあまり使えない内容でした。東海道とか甲州街道、川越街道とか主要道路しか載ってなかった。世田谷町田線は残念ながら非掲載。お持ちの方は念のため帰宅経路が載っているか、これから購入される方は事前に掲載を確認されることをお勧めします(新ゆりの駅ナカ書店にあったので載ってるもんだと思い込んでました)。
そのせいか、小田急は自前で帰宅支援マップを作ってました、こちらは世田谷町田線もバッチリの出来具合です。今配られているかは分かりませんが、問い合わせてみるのもよいかもしれません。
ちなみにこのシリーズの帰宅経路ですが、帰宅支援マップに記載されるような主要道ではありません。その2で通った荒玉水道道路はまさにそんな道。距離優先と新宿など繁華街回避が意図ですが、半面、発災時に主要道にありそうな帰宅支援サービスはあまり期待できません。どの道を選ぶかは起きてみないと分かりませんが、選択肢を多く持っておくのは心の余裕につながりそうです。 -
生田駅前を通過。この先は駅毎にスーパー数軒と小規模な商店街のある典型的な郊外エリアに入ります。
クルマや人通りは駅周辺で多くなり、駅間は少なめです。もっとも東日本大震災のときは深夜1時を過ぎてもクルマでびっちりでしたが。生田駅 駅
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相変わらずのゆるやかな登りをさらに進みます。
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道沿いにポツンと牛丼屋さんがありました。
そういえば、東日本大震災のとき、どこかの牛丼チェーンの社長さんが、「(買い占めのあるスーパーなどと比べて)人ひとりが食い溜めできる量なんてたかが知れている、問題ない」と、営業継続を指示したという話を聞いたことがあります。真偽は定かではありませんが、震災の最中に営業しているお店があるのなら、心強い話ではあります。 -
読売ランド前駅。道路に沿ってホームがぴったり並ぶ珍しい駅です。ここまでくればあとすこし。
読売ランド前駅 駅
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読売ランド前駅から5分ほどで、いよいよ川崎市麻生区に入りました。
登戸から延々と続く坂道で、少し疲れましたがあとすこし。いよいよラストスパートです。
ところで、
少し早いですが、今回3回に分けて池袋から新百合ヶ丘の27キロを歩いた結論を。
震災時の徒歩帰宅はムリ!
徒歩帰宅シミュレーションとか言ってそれが結論かい!、と突っ込まれそうですが、実際歩いた感覚として、27キロはムリ!でした。
まあ、何がなんでもムリじゃなくて、気象条件とか体調によってはアリでしょう。例えばこの7月の蒸し暑い季節なんかはキツい。下手に進むと熱中症か脱水症状になるのがオチです。5年前の東日本大震災のときも大量の帰宅難民&徒歩帰宅者が発生しましたが、まだ肌寒い3月だっただけに徒歩帰宅する条件としてはマシな方だったのでは。これが夏だったらバタバタ倒れる人続出で、大変なことになっていた気がします。
私個人としては20キロまでは何とかなるけど、残り7キロが試練になりそうな気がします。登り坂だし、最後は精神力頼みでしょうか。
とはいえ、子供のことなど考えると帰らざるを得ないケースもあるので、無事に帰るにはいくらかの準備が必要かと思います。(次ページに続く) -
とか何とか言ってるうちに、最後の通過駅となる百合ヶ丘駅です。
さすがに登り坂にも飽きました。
(前ページより続く)
さて、無事に帰るための準備ですが、3つくらい考えていて、
1.少しでも体力消費を押さえ、楽に帰るための装備をする(2枚目の写真で扱った内容)
2.帰宅経路の複数化
これは、帰宅ルートを複数想定するということ。首都圏直下型地震が起きた場合、被害エリアは比較的狭いと考えられます。学生時代に同じ直下型の阪神大震災を西宮市て被災したのですが、被災範囲は神戸から西宮までの電車で言えば30分かからず通過できる程度の距離でした(範囲は狭くても被災地の被害は甚大ですが)。震災翌日に大阪から京都を通って帰省避難する際、西宮から武庫川一本渡っただけの尼崎は西宮と比べて明らかに軽い被災状況だったし、その先の大阪梅田に出るとデパート開いてるし、京都まで行ったらフツーに観光客いるし、と短い距離でのあまりの違いに驚いた記憶があります。
今回想定される首都圏直下でも、震源周辺とそれ以外で被災状況や交通機関の復旧スピードも変わると思われます。そのときに回復した交通機関を活用してどうやって帰るかを想定しておくと良さそうです(自宅から10km圏内にある異なる路線の駅を調べておくとか)。
個人的には多摩モノレールと新幹線に注目しています。多摩モノレールは東日本大震災当日は、発災から2時間も経たない16時前に復活する早業を見せてくれたので期待度大。京王線、中央線、西武線(拝島線または狭山線西武球場前から徒歩)など多数の線から乗り換えられ、終点多摩センターから10キロで新百合ヶ丘。また、東海道新幹線も他線から独立しており踏切もないので復旧が早いはずで検討材料になります。新横浜で降りれば新百合ヶ丘まで17キロなので歩ける距離。
このように事前に複数経路を想定しておくとあまり混乱せず帰れるのでは、と思います。
3.ある程度歩き慣れしておくこと
今回の帰宅シミュレーション最大の収穫はスーツ姿で10キロ歩く肌感覚を得たことでしょうか。これを繰り返して歩き慣れしておけば、いざ本番でも不安は少なさそうです。健康のためにも週イチくらいは歩いておこうかな。
と、これがシミュレーションから得られた結論でした。 -
百合ヶ丘駅を過ぎるとようやく登り坂が終わり、新百合ヶ丘へ向かう下りになります。
翼よ、いや此処までいざなってくれた両足よ、あれが新ゆりの灯だ!
足取りも少しだけ軽やかに。 -
22時ちょうど新百合ケ丘駅到着。
成城学園前から、そしてはるばる池袋からの旅が終わりました。
成城学園前から2時間30分、10キロメートル、15,000歩の旅を完歩。
池袋からの述べ所要時間は7時間弱と、おおむね予想通りでした。
(本番だと、このあと子供を保育園に迎えに行ったり、家の片付けをしたりと、ここからが正念場なのですが)新百合ケ丘駅 駅
-
家に帰って風呂に飛び込み、こざっぱりしてから飲むビールのうまいこと。今日ばかりはおつまみのポテチも食べ放題。
実は、今日池袋駅を発つときに埼京線のホームで珍しく菊水堂のポテチ(知る人ぞ知る幻のポテチです)を見つけて衝動買いしてしまったのです(そのビニール袋をずっと提げて歩いてきました笑)。
ひとまずこれで震災時の徒歩帰宅シミュレーションはおしまいです。
防災意識はわりと高い方かなとは思っていましたが、実際に歩くことで気づいたことも多く(たとえばスマホのバッテリーも想像以上に早く消耗します)、やって良かったなとおもいます。
震災は必ず起こるものであり、どこで遭遇するかも分からない(必ずしも池袋とはかぎらない)ので、折をみて違うところ(例えば新宿や横浜)からの徒歩シミュレーションもやってみようかと思っています。
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旅行記グループ
震災時の徒歩帰宅シミュレーション(池袋から川崎まで)
この旅行記へのコメント (1)
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- Juniper Breezeさん 2019/02/09 16:36:13
- 徒歩帰宅シミュレーション、素晴らしいですね!
- たれたびさん、こんにちは、お久しぶりです。 北海道の弾丸日帰り旅の旅行記を拝見した後、こちらにも立ち寄りました。 歩いた場所こそ違いますが、徒歩帰宅シミュレーション、私も昔やったことある(2012年に旅行記も書いてます)ので懐かしな…と思い、コメントさせていただきました。
私も3年半前まで練馬区在住で、九段下勤務だったので、池袋経由で歩いて帰った事あります。 でもやっぱり、仕事の後に一気に自宅まで歩くのはムリなので、何度かに分けて…。 結局、東日本大震災当日は、地下鉄などは夜23時くらいまで運休で、どこもかしこも人がいっぱいで歩ける雰囲気ですらなかったのでその日の夜は会社に泊まったんですけど。 一応、何かあっても歩いて帰る道だけは徒歩帰宅シミュレーションのおかげで分かっていたのでそこまで焦りはありませんでした。
ただ現在、私は滋賀県在住…。 毎日国道1号線を走って片道33kmの道のりを車通勤です。 国道1号線なんて普段もあんなに渋滞するのに、震災とかが発生したら全く車が動かなくなるだろうな…と予想出来ているので、徒歩での帰宅…?! 田舎なので途中コンビニとかも東京と比べるとそこら中にナイし、どうなるんだろうな…って感じです。 でも、いつ何が起こるか分からないからこそ、日頃からの準備が必要ですよね! 久しぶりにこのような旅行記を拝見して、色々と学ばせていただきました。
これからもどうぞよろしくお願いします。
Juniper Breeze
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旅行記グループ 震災時の徒歩帰宅シミュレーション(池袋から川崎まで)
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