2015/11/02 - 2015/11/13
423位(同エリア6047件中)
tadさん
一昨年は3月、それに昨年は3月と復活祭の前後とクリスマスの前後、3回もウィーンに滞在したので、ウィーン国立歌劇場にも何度も足を運んだ。見た演出の繰り返しも多少出てくるので、今年は来る時期をいつにするか、ウィーンの音楽会のプログラムと睨めっこでいい日程を探した。秋を優先したのは、10月か11月にはウィーンに来たことがなかったからだ。黄葉を見たかったので、今回のように11月上旬となった。それに音楽会プログラムも悪くなかったからだ。
ウィーン国立歌劇場には今回は3回行ったが、オペラはプッチーニの「ボエーム」と、マスネーの「ウェルテル」だけで、もう一つはバレーだ。
「ボエーム」は、私がヨーロッパで最初に見たオペラなので忘れようがない。1974年12月21日パリ・オペラ座でのこと。内容もクリスマスの時期で、舞台にはクリスマスのセットがあった。このオペラは、貧しいミミが結核で死ぬ。私も17,18歳のころ、重い結核で入院していたから、こういう筋には最初から過敏になっている。。よほどの酷い演奏でない限りは、泣いてしまう。この最初の時は、舞台の豪華さ、迫力に圧倒された記憶がある。ギオーというソプラノが主演だった。次はロンドンで、1996年にヴァドウーヴァの主演で見た。CDにもなっている歌手だから、声だけ聞くといいのだが。。。でも、感動した。3回目はやはりロンドンで2年前に新演出で見ているが、歌手の記録も残していない。水準以上のできだったようで、4点としている。で、今回のウィーンでの演奏は、歌手の粒が揃っていた。それにオーケストラや音響が美しいという印象が今回は目立つ。オペラ・ハウスの音響はデッドなところが多いように思うが、パリ、ロンドンと比較すると、ウィーン国立歌劇場の音響効果はやはり秀でている!広すぎない利点が大きい。それにやはりオーケストラが美音を出しているのがよくわかる。ウィーン・フィルの母体なのだ。
さらに、今回の上演で特筆すべきは、演出があのゼフィレッリ版が継承されていることであろう。近年の新演出なるものの多くは、顰蹙を買うためにつくっているのではないだろうか?と、いいたくなるほど、このゼフィレッリ演出は好ましい。ウィーンのカルメンの演出もゼフィレッリ版で見たが、あの演出は最高だった。というわけで、総合点は、今までのボエーム体験の中ではベストだったと言える。それでも、私の記録帳では、4点なのだが。。。ヴィデオで見たクライバーの演奏を知っているだけに、5点には届かないのだ。言っておくが、それでも、泣けた。ミミもムゼッタもチャーミングだった。
マスネーの「ウェルテル」は、youtubeで同じ演出でElina Galaca版を見ていたので、これもある意味楽しめた。ガランチャが飛び切り素敵な歌手であることは当然知っているが、その彼女をこの演出は適切に使いこなしていない!本当にオペラの演出家というのは、どうして、こんな変な演出を思いつくのか、理解不可能だ。彼女の歌手としての特徴やその雰囲気を知っていたら、こんな演出や衣装にはならないだろうにとつくづく思う。オペラはだから、あまり、真剣に舞台を見ると、腹が立つことが多いので、適度にやり過ごさないと仕方ない。
そうそうNHK大河ドラマや凡作の映画を本気で見たら、そのバカさ加減にしばしば腹が立ってくるのと似ている。あの素敵なガランチャをここまで、活かさないで、良さを押し殺すような演出で見た経験も貴重であった。オペラは多くの人がかかわるから、どうしても、雑な部分が見えてくるのは仕方ないのだろう。特定の歌手がアリアで迫力あったからというだけで、ブラボーを連発するような仲間にも入る気はまったくないので、そのあたりが、オペラという様式の限界だろう。オペラを楽しむには、いいところだけを見るようにし、欠点には目を瞑るという方法が必須なのだろう。マスネーの音楽自体はワグナーに影響を受けたというが、なるほど、響きは似ているところがある。ただ、ゲーテの原作とどこまで、深く対応したのかを考えると、今一、、。
その点、ベートーヴェンやブラームスやブルックナー等の純粋な音楽作品を聞いているのとは、鑑賞マナーが異なるとつくづく思う。彼らはオペラをほとんど無視していたのではなかったろうか。
バレーについては、特に書きたいこともない。Jerome Robinsは、ウェスト・サイド物語のバレー演出で名前を知っているから彼の作品にはある種の期待をしていたのだが、ヴェルディの舞踊音楽に結構、古典的なバレーの振り付けをしたものが中心であった。オーケストラ演奏が飛び切り巧いのが、耳には心地良かった。そうそう、最初のバレーにはPhilip Glassの曲が使用されたが、この作曲家は前にも聞いたことがあるが、相当な才能の持ち主だと思う。
というわけで、歌劇場の演出については、どうも我慢ならないことが多いが、それでも、鳴り響いている音楽に重きを置けば、やはり、楽しい時間となってしまうところが、私の音楽好きを証明しているのだろう。だから、また、文句をいいながらも、ウィーンには行くことだろう。
- 旅行の満足度
- 5.0
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カーテンは時々変更されるが、今回のは、なんだか、、。
来月12月のプログラムも昨年、来た時と比べて、なんだか、レパートリが妙だ。トップの方針が少し変になっているのだろうか?メストは辞任するし。。。今のトップがフランス人というのが問題なのではと思ったりする。。 -
ウィーン国立歌劇場 劇場・ホール・ショー
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ボエームのカーテン・コール。
ミミはソルバーグ,ムゼッタはガリフリナ、ロドルフォはプレッティ、指揮はアルミリアートと文句はない。旬の人たちばかりだ。 -
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バレー公演のポスター上半分。下半分は次。
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こういう優雅なオペラハウスに相応しい演出を増やして欲しいものだ!
ウィーン国立歌劇場 劇場・ホール・ショー
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気品のあるオペラ・ハウスだとつくづく思う。
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次は、春、それも5月ころに来て見たい。3,4月は行ったので、もう少し花が咲き乱れる5月を目指したい。
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