2015/05/13 - 2015/05/13
146位(同エリア755件中)
玄白さん
最近、温泉に御執心の連れ合いが、女性に特に人気がある温泉、由布院温泉と黒川温泉に行きたいとずっと言っていた。普段は近場で安上がりの宿ばかり利用していたが、今回はちょっと贅沢に女性好みの温泉宿に泊まり、あくせくした観光はせず、ゆったりと温泉を楽しむ4泊5日の九州温泉三昧旅行へ。
由布院温泉で2連泊したあとは、九重”夢”大吊橋に立ち寄り、長者原、タデ原湿原散策などしながら阿蘇外輪山北側と九重連山に挟まれた高原地帯を爽快なドライブ。午後には黒川温泉に入り、3日目も温泉三昧の半日。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- レンタカー ジェットスター
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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イチオシ
3日目も朝風呂を楽しみ、のんびりゆっくり9時過ぎに由布院温泉「庄屋の館」をチェックアウト。今日の宿は、由布院同様特に女性に人気の黒川温泉。移動するだけなら一時間ちょっとしかかからないが、さわやかな高原を貫くやまなみハイウェイをドライブしながら、ところどころ立ち寄って移動予定。
最初はやまなみハイウェイをちょっと外れて、九重"夢”大吊橋へ。
9年前に観光目的で作られた長さ390m、谷底の川面からの高さ173mの巨大な歩行者専用の吊橋である。入場料は¥500
歩行者専用の橋としては、世界一ではないかということで、ギネスに申請したらしいが、これは却下された。
そりゃ〜そうでしょう! 実は玄白の実家の近くにある大井川に架かる蓬莱橋(長さ897.4m)が長さ世界一の歩行者専用の橋として登録されているのであ〜る!! しかも、蓬莱橋は単なる観光用の橋ではなく、明治期に大井川流域の開拓のために地元の人達が作ったという歴史遺産なのだ。
(参考 「年末年始帰省旅行(2) 世界一長い木造歩道橋「蓬莱橋」と富士山静岡空港見学」 http://4travel.jp/travelogue/10968414 ) -
観光用の歩行者専用吊橋は各地にあるが、この橋ができるまでは日本一の長さを誇っていた歩行者専用吊橋が茨木県常陸太田市にある。竜神大吊橋である。そちらは、33億円を注ぎ込んで建設したものの、目算どおりの観光客を集められず大赤字で、無駄なハコモノ行政の象徴として批判の対象にされている。
参考 2012年紅葉絶景スポット巡り(9)花貫渓谷・竜神峡編
http://4travel.jp/travelogue/10727039
九重"夢”大吊橋も、どうせ同じようなものだろうと思い、採算面はどうなっているか、調べてみた。建設費用は20億円だが、オープンして一ヶ月も経たないうちに年間来訪者目標30万人を超えてしまった。たった2年間で借入金を完済し、その後も来場者は順調のようだ。今ではこの橋の入場料は九重町の重要な収入源の一つになっていて、これが中学生までの子供の医療費助成金という住民の福祉に使われている。すばらしい!! 竜神大吊橋との差はどこから来るんだろう?!
九重町は、平成の大合併に加わらず、"自立した地方自治体”として、温泉、酪農、林業などを生かして頑張っている町なのである。こういう事実を知ると、ふるさと納税でもやって応援したくなるような気にさせられる。 -
橋からの眺望はすばらしい。
日本の滝100選にも入っている「震動の滝(雌滝)」。雄滝もあって、2つ合わせて震動の滝と呼ばれている。落差83mで、水量が多いときは周囲を震動させるほどの迫力だというのが、名前の由来らしい。 -
滝の反対側の九酔渓の景色。鳴子川の渓谷に沿って広がる原生林は、秋には見事な紅葉の絶景になるという。
自然の景観としては竜神大吊橋も決して引けを取らないと思うのだが、集客力の違いは、どこにあるのか、あらためて考えさせられる。 -
イチオシ
吊橋を後にして、やまなみハイウェイを一路南下。
長者原の景観。ここは九重連山への登山口だが、今回は山歩きはなし。
晴れてはいるが、雲が多く、山並みはちょっと霞んでしまっている。 -
残雪が残っているように見える奥の山は硫黄山。白っぽいのは雪ではなく、岩肌のようだ。1995年に休火山とされていた九重連山で333年ぶりに噴火した山である。今でも噴煙を上げている。
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長者原を過ぎて5分ほどで、タデ原湿原がある。今回はハイキングは予定していないが、木道が整備された湿原の散策ならOKなので、ここで1時間ほど滞在。
まずは、ビジターセンターで情報収集。 -
ビジターセンターから白水川という小さな川を渡ってタデ原湿原に向かう。
橋柱を支えるロープに山藤が絡みついている。ちょうど花が見頃になっている。 -
イチオシ
藤と山藤は、花の形はよく似ているが、藤は花序が長く垂れ下がるのに、山藤は花序が短くモコモコと球状になる。それ以外に、つるの巻き方は藤は左巻き、山藤は右巻きという違いがあるのだそうだ。
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タデ原湿原。標高1000mに位置する38haの湿原。中層湿原としては日本最大級。2005年にラムサール条約に登録された。
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散策路は、所要時間によって3つのコースがあり、我々は中間のBコース+Cコースの一部を歩く。
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湿原を囲む湿地林も若葉が萌え出している。
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山藤が絡まっている林もある。
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タデ原湿原から三俣山の中腹を越えて竹田市側に歩くと坊ガツルというもう一つの湿原がある。ラムサール条約には、2つの湿原を一体で登録されている。
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湿原には、春の花が咲いている。
これはミツバツチグリの群落。 -
サクラソウ
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リュウキンカ
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サワオグルマ
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ハルリンドウ
以上のような花々が見られた。 -
タデ原湿原を後にして、牧ノ戸峠を越え、黒川温泉へ。
まだ、午後一時前なので宿のチェックインはできない。
時間つぶしに清流の森という自然公園内にある「すずめ地獄」へ。 -
イチオシ
このあたりは、ブナやクヌギの森だが、根元はシダのような植物で覆われている。
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駐車場から10分ほど歩くと、すずめ地獄に到着。ここは、亜硫酸ガスを含んだ冷水が湧き出ているところ。硫化水素や亜硫酸ガスのような火山性ガスは温泉と一緒に噴出することが多いが、冷泉に亜硫酸ガスが含まれているというのが珍しい。
熱くないので、すずめのような小鳥や小動物が警戒せずに近づいて、ガスを吸って死んでしまうことが、ときどきあるらしい。そのため、すずめ地獄とよばれるようになったようだ。
心臓や呼吸器疾患を患っている人は長居はしないようにという警告の看板がたっている。 -
清水が湧き出ているが、一緒に亜硫酸ガスが、ぶくぶく出ているのがよくわかる。
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2時前でチェックインはできないが、今宵の宿「山みず木」へ。
宿は黒川温泉中心部からはなれた山あいにある静かな宿。黒川温泉中心部に出掛ける宿泊客のために、30分毎に宿と黒川温泉中心部を行き来する無料シャトルサービスをやっている。
黒川温泉市街は、道路が狭く駐車場確保も面倒なので、宿に車を停め、シャトルサービスを使わせてもらうことにした。 -
10分ほどで、黒川温泉中心部へ。
黒川温泉が、豊かな自然と落ち着いた雰囲気の温泉として人気がある理由の一つは、街の景観に統一感があること。けばけばしい目立つことだけを考えた看板はなく、木製で黒字に白という看板のデザインに統一されている。 -
宿に帰る便は、この平野屋という漬物屋の前でシャトルバンに乗り込む。
黒川温泉では、露天風呂入湯手形(¥1,300)を購入して3軒の露天風呂巡りをするつもりだったが、「山みず木」の仲居さんから姉妹旅館の「新明館」に洞窟風呂という変わった温泉があり、「山みず木」の宿泊客はタダで入れるという貴重な情報をゲット。
入湯手形購入は取りやめ。 -
いご坂を下り切ると、小さな地蔵堂がある。
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地蔵堂の前に、黒川温泉と地蔵堂の伝説を説明してある看板があった。
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塩売りの男の身代わりに首を切られたお地蔵さんが祀られている。
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天井の板には、色々な絵が描かれている。洋服を着た肖像画のようなものもあり、そんなに古いものではなさそうだが、どういういわれがあるのか不明。
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狭い境内だが、使用済みの入湯手形が奉納(?)されて、ぶら下がっている。
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地蔵堂の向かいに、この首無し地蔵伝説で湧き出たという黒川温泉の元湯で共同浴場の「地蔵湯」がある。
地蔵湯の前に、めずらしい「顔湯」がある。この枡から温泉の蒸気が湧き出ているのである。足湯は珍しくもなんともないが、顔湯とはめずらしい。 -
さっそく試してみる連れ合い。
天然の美顔器といったところかな。 -
通りは狭いが、落ち着いた温泉街である。平日だが、大勢の温泉客ににぎわっている。一瞬、人通りが途絶えたところで一枚パチリ。
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看板だけでなく、建物は黒い板塀が基本になっていて、これも落ち着いた町並みの統一感を出している。
撮影し忘れたが、コカコーラの自動販売機も、けばけばしい赤い塗装ではなく、黒い外装が施されていた。那須高原では、セブンイレブンの看板や店のトレードマークから赤が除かれているのと同じだ。
町の景観を維持するために条例や地域住民の協定で一定の制約を設けることはヨーロッパでは当たり前のことだが、日本でもこれからはもっと考慮していくべきだろう。それによって、その地の魅力がアップし活性化につながるのではなかろうか。 -
「山みず木」の姉妹旅館、「新明館」。温泉街を一回り散策したあと、ここの洞窟風呂に入ることにする。
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田の原川沿いに建つ木造の旅館は、どこか銀山温泉にも似た風情だ。
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対岸から眺めた新明館の洞窟風呂の入口。
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イチオシ
やはり、田の原川沿いに建つ「ふじ屋」旅館。これもまた、黒川温泉らしさが出ている宿。
黒川温泉の宿は、どこも木々に囲まれ豊かな自然の中にたたずんでいる雰囲気がある。だが、これは、そういう雰囲気をかもし出すために、あえて植林し、演出された情景なのだ。これは、後述する新明館の後藤哲也氏の指導によるものなのである。 -
地蔵湯と並ぶもう一つの地元の人達のための共同浴場「穴湯」
観光客も利用できて、入口の料金箱に¥100入れて利用する。 -
誰もいなかったので、撮影させてもらった。混浴である。茶色に濁った温泉は薬効がありそう。
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「いこい旅館」
13の湯がある宿で、当初入湯手形を買って、最初に入ろうと思っていた宿である。 -
敷地内には、温泉だけでなく湧き水も出ている。ミネラルを豊富に含んだ天然のミネラルウォーターというのが売り文句。
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電話ボックスさえ、木造藁葺きの小屋になっている。街全体の田舎情緒を演出する統一感への徹底的なこだわりが感じられる。
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こんな道端の石仏も温泉街の鄙びた田舎の雰囲気作りに一役買っている。
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イチオシ
一通り、温泉街の散策をしたので、新明館の洞窟風呂へ。
まず旅館のフロントへ。「山みず木」から我々が行くと事前に連絡を入れてもらってあったので、すんなりタダで洞窟風呂へ。
洞窟風呂は2つあって、手前は女性専用、奥が混浴。
混浴洞窟の入口に脱衣篭がおかれているが、川の反対側の旅館の2階からは丸見えである。女性は入りにくいだろう。 -
この洞窟風呂は新明館会長の後藤哲也さんという方が、20代のころ、一人で3年の歳月をかけて掘ったもの。この洞窟風呂という変わった露天風呂だけでなく、何の変哲もない雑木を旅館の周囲に植え、自然の中の落ち着いた雰囲気の旅館作りで、新明館は繁盛しつづけたという。
黒川温泉全体としては、もともと辺鄙な山の中の湯治場のような温泉だったが、やまなみハイウェイ開通後、しばらくはバブル景気もあってにぎわった時期もあったが、長くは続かず、辺鄙な山の中の特徴のない温泉で閑古鳥が鳴いていた。そんななかで、後藤さんは、自分の温泉旅館経営ノウハウを惜しげもなく他の温泉宿にも与え、氏のリーダーシップで黒川温泉を全国的にも好感度トップクラスの温泉に変貌させたのである。
具体的には、派手な看板を撤去したり、黒を基調とした街並みづくり、露天風呂を充実させ、宿泊客は、どこの宿に泊まっていようと入湯手形を買えば、好きな旅館の温泉に入れるというアイデアだったりする。また、温泉街に付き物の歓楽的施設は一切禁止されている。大手の大規模温泉ホテルの進出も許していない。 -
それらの具体策の根っこにある基本の理念がとても示唆に富んでいるのである。
後藤さん主導で温泉組合が打ち出したキャッチフレーズは「黒川温泉一旅館」。一つの旅館だけが繁盛しても温泉街全体が落ちぶれては元も子もない、黒川温泉全体が一つの旅館であり、街の通りは旅館の廊下、各旅館は黒川温泉宿のそれぞれの部屋や風呂であり、宿泊客は旅館の中という感覚で浴衣を着て自由にあちこちの露天風呂を巡り歩くというコンセプト。各旅館は協定により、勝手な料金設定や協定に沿わない宣伝活動は制約される。この取り決めは、温泉宿関係者だけでなく、それ以外の住民にも理解され地域一体となった温泉街作りがされている。
個々の旅館に魅力ある露天風呂や統一感ある木造建屋への改築を組合が援助し、各旅館は温泉街全体のために協力する。”個は全体のために、全体は個のために”という理念の実践により、黒川温泉ブランド作りが成功しているのである。
経済・社会の潮流として、規制を緩和し個々が自由に競争することで成長するという市場原理主義が幅を利かせているが、結果として格差拡大などの歪も生まれている。「黒川温泉一旅館」という理念は、単に魅力ある温泉街作りの考え方に留まらず、広く社会に蔓延している市場原理主義へのアンチテーゼなのだ!・・・
なんてことに、思いを巡らせながら、自然のミストサウナのような洞窟風呂で汗を流した。 -
洞窟風呂の奥には藁葺き屋根の半露天風呂もある。こちらも混浴だ。
洞窟風呂もそうだが、石鹸、シャンプーの使用は禁止。源泉掛け流しで、溢れた湯は直接田の原川に放流されるので、川を汚染しない自然環境保護のためである。 -
洞窟風呂でたっぷり汗を流したあとは、水分補給とクールダウンのために「甘味茶屋白玉っ子」に入り・・・
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巨大なカキ氷「雪山」で、温泉でほてった体をクールダウン。
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黒川温泉街の散策と洞窟風呂を楽しんだ後、無料シャトルバンで戻り、今宵の宿「山みず木」にチェックイン。
温泉街から離れた、緑ゆたかな森の中の静かな宿である。人気がある黒川温泉の中でも、口コミなどで一際好評価の宿である。ここも連れ合いの好みで選択した宿である。 -
部屋の入口近くの廊下にはセンスがよい鉢植えの花が置かれている。
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部屋は純和風の作り。
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窓際には籐製のいすが置かれ、宿の広い敷地に植えられた新緑を眺めながらゆったりとした時間を過ごせる。
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そばには、本格的なコーヒーマシンが置かれ、好きなときに好きなだけ飲める。
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温泉は、露天風呂2つ(男女)、内湯2つ、貸切風呂1つがある。
風呂の撮影は禁止されているので、宿のパンフレットから拝借。
これは、男性用露天風呂「幽谷の湯」。岩を組んだ野趣あふれる露天風呂で、湯船の脇を流れる渓流の水音と風にそよぐ新緑の林のざわめきを聞きながらの至福のひと時を味わえる。
また、山みず木と隣り合って「深山山荘」という温泉宿があり、そちらの風呂も無料で自由に入ることができる。 -
夕食は、ヤマメや稚アユといった川魚や新鮮な春野菜を食材にした料理の数々。どれも板前の料理の腕の良さが伺える味と盛り付けの美しさだった。
特に向付は、野菜たっぷりのカルパッチョ風で、野菜を食べていくと下からヒラメの薄造りが顔を出すという盛り付けの演出。(右上)
メインの肉料理は阿蘇牛のステーキか(下段左)か大和煮:和風ビーフシチュー(下段中央)のチョイス。
これまでの3軒の旅館の中では、一番かな。 -
朝食。席に通されると、大きなテーブルの脇に夕食の鍋物で使った卓上コンロが置かれていて、味噌汁が温まっている。煮物も大鉢で温かいままで供される。
人気旅館だけあって、温泉、料理、スタッフのべったりではないが気遣い十分の接客態度、どれも文句のつけようがないものだった。温泉街の統一された自然と情緒溢れる雰囲気と、個々の旅館の風呂や料理の質の良さがあいまって、人気度抜群の黒川温泉ブランドを保っていることが実感される一泊滞在であった。
今日は、チェックアウト後、鍋ケ滝と世界一の規模の阿蘇のカルデラに散在する見所を巡りながら、南阿蘇地獄温泉へ。
以下、九州の名湯を巡る旅(4)に続く。
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