年末年始帰省旅行（２）　世界一長い木造歩道橋「蓬莱橋」と富士山静岡空港見学

2014/12/31 - 2014/12/31

大晦日、実家の者たちは何かと忙しそう。一日中、甥の子供たちの遊び相手をしているのも疲れるので、昼間はちょっと出かけることにしました。行き先は、大井川に架かる世界一長い歩行者専用の木造の橋の見物と、牧之原台地の茶畑の中に作られた富士山静岡空港の見学です。空港の見学と言っても小さな地方空港のこと、そんなに見て回るような施設はないので、離発着する飛行機を富士山と絡めて撮影することが本当の目的です。

エリア 牧之原(静岡)

• 旅行の満足度: 4.0

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: 自家用車

まずは、蓬莱橋へ。
明治12年に、牧之原台地の開墾のために地元開拓民の出資によって大井川に架けられた全長897.4mの木造の橋。この橋は最初から地元開墾農家以外の人からは通行料を取っていたそうだ。ちなみに、この開拓民というのは、１５代将軍徳川慶喜を護衛していた幕臣たちで、明治になって身分制度が廃止されたため、入植して茶の栽培をはじめた。

場所は東名高速と新東名高速の大井川に架かる橋の中間付近、県道34号の島田大橋の直ぐ上流にある。

この橋、1997年に木造の世界最長の歩行者専用の橋としてギネスブックに登録されている。今では、島田市の有力な観光スポットになっている。
長さ897.4mなので、「厄無しの橋」とか、長い木の橋＝長生きの橋といった語呂合わせも観光に一役買っている。

まず、橋の袂の川原に降りてみる。
結構高さもある。

度重なる大井川の増水で、頻繁に流失、破損の被害にあっているが、そのたびに再建されてきた。平成になってからも9回、橋脚の流失被害が発生している。最近では2011年の台風12号で3本の橋脚が流され、通行止めになっている。
当初は、橋脚も木造だったが、現在の橋は橋脚だけはコンクリートパイルである。

橋の入り口の、この小屋に番人がいて、ここで通行料100円を払って渡る。歩行者専用だが、自転車は通行できる。小学生以下は10円。
面白いことに定期券まである。\800／月だ。

橋を渡ってみる。
風が強く、寒い。幅2.4mしかなく欄干が低いので、自転車に乗っているとき突風にあおられると転落する恐れがあるのではないかと心配になる。
高所恐怖症の連れ合いは、寒さを理由に渡るのを拒否、袂で待っているという。

橋の中間点付近で、後ろを振り返る

大井川上流方向

大井川下流方向
正面に富士山が見えるのだが、今日は冬の快晴にもかかわらず、春のような霞がかかって、くっきりとは見えない。残念！

対岸に渡り切ったところ。

下に下りてみる。

橋脚の間にうっすらと富士山が見えている。
このアングルで、くっきりとした富士山と蓬莱橋の写真にしたかったのだが・・・
富士山を撮影し始めてからつくづく思うことだが、くっきり見えるチャンスはとても少ない。

蓬莱吉祥天女が祭ってある。わりと新しそうだ。由来はよくわからない。

次に静岡空港に向かう。蓬莱橋から車で３０分ほどのところだ。空港の駐車場は何日停めていても無料である。

空港ターミナルビルと管制塔。
この空港は、2009年にオープンし、地方空港としては茨城空港に次いで新しい空港である。統計によれば、2013年の乗降客数実績は国内便28.7万人、国際便17.3万人、計46万人で、日本の84の空港中、40位となっている。オープンしてからほとんど利用者は増えていない。当初の計画では、オープン5年後には142万人になるという目算だった。オープン当初はソウル（大韓航空）、小松（FDA）、熊本（FDA）便が飛んでいたが、採算が悪く運休したままである。
行政の事業計画は、甘い見通しに基づいたプランで実施し、結果的にうまくいかないことが多いが、静岡空港もその例外ではない。空港建設には周辺の道路新設も含めて1900億円も注ぎ込んでいる。

フライトは、国内は毎日、札幌1便(ANA）、福岡3便（FDA）、鹿児島1便（FDA）、那覇1便（ANA)、海外はソウル週3便（ｱｼｱﾅ）、上海週4便（中国東方）、台北週4便（チャイナエア）しかない。それ以外にときどきチャーター便も飛ぶこともある。この日は宮古行き、ホノルル行き、天津行きがあるようだ。
地方空港のご他聞にもれず、稼働率は悪い。毎年、ほぼ5億円強の赤字を出しているが、空港設備経費をふくめて、民間企業に準じた会計では赤字は17億円に膨らむという。ただし、空港の運営は完全民営化されていて、県は出資していないという。しかし、累積赤字が膨らみ資金繰りが悪化すれば、公益性の名の下に県から公的資金が注入される可能性も十分ある。

１階はＦＤＡ（フジドリームエアライン）、ＡＮＡ、アシアナ航空のチェックインカウンターが並んでいるが、フライトが少ないので閑散としていることが多い。バゲッッジクレームも一階にある。
２階は出発ロビー、売店が入っている。

３階は展望デッキ、レストラン、イベントブースになっている。
写真は展望デッキの様子。

デッキは金網で囲まれているが、ところどころ、撮影のためにレンズを差し込める穴が空けられている。ここから、富士山や飛行機の写真を撮影せよということらしい。
しかし、滑走路が斜め前方にずれているので、離発着する飛行機を撮影するには、あまりよろしくない。

ＦＤＡ（フジドリームエアライン）は、静岡空港を拠点にしている地域航空会社で、エンブラエル１７０、１７５型の航空機８機でフライトを運航している。現在はＪＡＬとのコードシェア便になっている。

３階のイベントブースでは、フライトシミュレータの体験やソフトの販売などをやっていた。

今日は西風なので、離発着する飛行機は滑走路の東端から離陸、進入する。
滑走路の東端にも藪を切り開いただけの簡素な展望台があるので、そちらに移動。
ターミナルビルから車で５分ほどかかる。
場所は、吉田方面に行く道路をしばらく走り、空港の下を通るトンネルに通じる道路との交差点を左折、直ぐに細い道に入り、坂口神社という小さな社の駐車場に車を止め、急坂と１５０段ほどの階段を登ったところにある。
普通の見物客はまず訪れるようなところではないが、地元の航空マニア、カメラマン達の撮影ポイントになっている。この日も２人ほど撮影にきていた。
周りは、写真のような茶畑と雑木林が広がっている。

ここから、滑走路の方に目をやると、富士山が見える。あいかわらず、靄がかかって、すっきり見えない富士山である。

11:25、定刻どおりに福岡からのFDA142便が到着した。

富士山と着陸直前のFDA機。
一緒に撮影していた航空機マニアらしき人によれば、富士山と一緒に飛行機を撮影するときは、飛行機の前方に富士山があるような構図にしなければいけないとか、飛行機と富士山が重なってはいけないとか、こういう霞んだ富士山では価値がないとか、いろいろうるさいことをおっしゃる。
ハァ、そうですかと頷いているしかない。

FDA142便は、たった35分で、給油、機内清掃、点検を終えて12:00に鹿児島行きFDA133便として出発する。
誘導路をタキシーイングしてくるFDA機

目の前で誘導路から滑走路に入るために向きを変える。望遠で撮影するとかなりアップで撮れる。パイロットが、こちらを向いて手を振ってくれているのがわかる。
一緒に撮影している人によると、FDAのパイロットは全員手を振ってくれるが、ANAは人による、海外のエアラインは、手を振ってくれることはないのだそうだ。

離陸する飛行機は、滑走路を走り始めると富士山から離れてしまうので、ここは離陸機の撮影には不向きのようだ。

羽田や成田のように頻繁にフライトがある空港ではないので、次のフライトまで時間を持て余してしまう。春だったら、野の花の撮影でもして時間つぶしができるが、今はそんな被写体はない。
すると、近くにメジロが飛んできたので、レンズを向けてみた。

12時35分到着予定のANA1262便。しかし、到着予定時刻になっても、なかなかこない。すると、一緒にいたもう一人の人が、なにやら無線機のようなものを取り出して、何か聴いている。何ですかとたずねると、航空無線機、これで航空機と管制塔の無線を傍受するのだという。静岡空港では周波数118.0MHzのAMだという。傍受すること自体は合法で、無線機も秋葉原やネット通販で簡単に手に入るらしい。良い写真を撮るためには、ここまでするのか！　マニアとはすさまじいものだ。
傍受した結果、ANA1262便は12:40、定刻より15分遅れだそうだ。
たしかに15分遅れで到着した。

今度は、富士山が飛行機の前に位置する構図になった。
ただし、富士山は、ますます霞んできた。

離陸した飛行機を富士山と一緒に撮影するには、今日は具合がよくないことことがわかったので、一旦、ターミナルビルに戻り昼食を摂ることにしよう。
静岡空港にはレストランは一軒しかない。魚がし鮨という静岡県内に店舗展開しているすし屋である。

まあ、我々夫婦は、鮨は好物なので問題なし。
もっとも、空港でただ一軒の食事処なので、この店では鮨が本職だが、まぐろラーメン、天丼なんていうメニューもある。

ターミナルビルを出て４００ｍほど東側に歩いていくと、石雲院展望台という立派な展望台がある。石雲院というのは、近くにある曹洞宗の寺の名前らしい。

かなり大きな展望台で、滑走路にも近いので、富士山と離発着する飛行機を間近で見ることができる。
飛行機を待つ間には、寒さをしのげるガラス張りの休憩スペースまでしつらえてある。

土日祝日の10:30〜14:30に限られるが、牧之原産の緑茶とコーヒーの無料サービスまである。

展望台には、空港コンシェルジェと称するおじさんがいて、見学者の質問に答えたりするサービスをしている。
壁には、飛行機の時刻表や、FDAの機体の種類、色などの情報が掲示されている。

札幌から12:40到着のANA1262便は、那覇行きのANA1263便となって離陸していった。
定刻だと、昼食中なので撮影はあきらめていたが、到着が遅れたので出発も遅れているので、ひょっとすると間にあうかもしれないと考え直し、小走りで、この展望台に来たのである。かろうじて離陸するところを撮影できた。

ボーイング777-300の機体には「心を一つにがんばろう、ニッポン」の東日本大震災の復興メッセージロゴが塗装されている。ＡＮＡでは、このメッセージロゴが塗装された機体は一つだけで、静岡空港に飛来することはめったにないという。これも、東側展望台にいたマニアの人に教えてもらった。

便数が少ない地方空港で、エプロンに2機並んでいるのは珍しい。定期便の機体はピンクと黄色なので緑がチャーター便のようだ。

13:55発福岡行きのFDA145便がエプロンから離れ、タキシーイングを始めた。

すぐ目の前をタキシーイングして滑走路に向かっていく。ここでもパイロットは手を振っていた。

管制塔から滑走路進入許可をもらうために一旦停止するFDA機

滑走開始

テイクオフ！

行ってらっしゃい

続いてチャーター便の宮古行きFDA5173便の出発

14:45着の中国東方航空MU2019便が定刻どおり飛来。

タッチダウン

パイロットはこちらを見ているが、確かに手は振ってくれない。

駐車場に戻る途中、もう一度ターミナルビル３階の展望台に立ち寄り、駐機中のMU2019便を一枚。

飛行機を眺めていると、旅行に出かけるわけでもないのに、どこかウキウキした気分になれて良いものだ。連れ合いも文句を言わず長いこと付き合ってくれた。同じような気分になっていたのかもしれない。

このあと、藤枝市内の人気ケーキ屋に立ち寄り、子供たちにケーキの土産を買い込み、さらに焼津さかなセンターに行き、今年お世話になった連れ合いの友人たちに焼津の特産物を発送して実家に戻る。
あとは、にぎやかに宴会で、2014年が暮れていく。