1935年4月11日～14日　英仏伊vs独～ストレーザ戦線（砂布巾のＬＷ　第２章10）

2018/11/25 - 2024/04/10

1935年４月11日～14日 英仏伊vs独～ストレーザ戦線（イタリア）
　ヒトラーはヴェルサイユ条約の中でも、ドイツに有利な取り決めは守った。1935年１月、ザール地方の帰属を問う住民投票が行われたが、90％はフランスへの帰属ではなく、ドイツへの復帰に賛成した。これ以後、ことごとく条約に挑戦していく。

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エリア ストレーザ(イタリア)

　両者の関係を整理しておきたい。ヒトラーは1922年の「ローマ進軍」で権力を獲得したムッソリーニをお手本に、十一年後に合法的に権力を獲得した。権力獲得後も、しばらく関係は冷淡だった。２人が最初に会談した1934年６月のヴェネツィア会談は、ムッソリーニの娘婿で外相のチアーノの記録によると、「２匹のブルドックが吠えあっているようなもの」だったという。７月25日にオーストリア・ナチスが首相ドルフスを暗殺すると、ムッソリーニは直ちにオーストリアとの国境ブレンナー峠に軍隊を派遣し、全世界へ向けて「オーストリアに手をふれるな」と宣言した。ヒトラーはオーストリア・ナチスとの関係を否定し退却した。オーストリア情勢を協議するためドルフス夫妻を別荘に招待し、先に着いていた夫人に悲報を伝えるハメになったムッソリーニの怒りは一層募った。

＊1990年訪問時に記憶に残っていた風景
　イギリスが会議直後の６月18日にはドイツと海軍協定を結ぶ。ドイツの海軍力をイギリスの35％に抑えるという内容だった。イギリスは表面的には仏伊と協調してドイツを非難しながら、裏ではドイツと取り引きしていた。この宥和的な姿勢（宥和政策）は、三国の反独協力体制を崩壊させると同時に、ヒトラーに対英提携の期待を抱かせた。

　独伊間に接近の機運も生まれてくる。半年後の10月にイタリアは、19世紀末のアフリカ分割の際にもリベリアとともに独立を守っていたエチオピアへの全面的な侵略を開始した。国際連盟は経済制裁を決定する。これは連盟が発動した唯一の経済制裁だった。制裁への参加は任意だったし、石油の禁輸も行わなかったので、不十分なものに終わった。ヒトラーは接近の意図を持って、ムッソリーニに援助を行った。後述するスペイン内乱で関係は一層緊密になる。

　ストレーザはミラノから列車で１時間少々の湖畔のリゾート地。

当然、会議の痕跡はうかがえない。湖畔にはパルティザンを讃える碑（写真）があった。
　本項目は、「世界の歴史」（社会思想社）12を参考にした。（2000年８月２日訪問）