2014/03/21 - 2014/03/21
38位(同エリア1721件中)
エンリケさん
酷暑のバンコク2日目後半。
午前中のチャイナタウン散策を終え、午後からはいよいよ世界遺産のアユタヤ遺跡ツアー。
バンコク中心部からワゴン車に乗って北を目指し、まずは花と緑に包まれたバーン・パイン離宮を見学。
美味しい空気を吸って生き返った後はさらに北上し、かつてのアユタヤ朝(1351-1767年)の都の跡が残るアユタヤ歴史地区へ。
レンガとしっくいを中心に造られた寺院群は、1767年のビルマ軍侵攻により焼け落ち、廃墟の姿のまま歴史公園に。
250年後の現代に残された遺跡は、今も少しずつ荒廃が進行しており、滅んでもなお朽ちゆく姿をさらし続けるかつての王都の悲哀を感じさせました。
<旅程表>
2014年
3月20日(木) 成田→バンコク
○3月21日(金) バンコク→バーン・パイン→アユタヤ→バンコク
3月22日(土) バンコク
3月23日(日) バンコク→ダムヌン・サドゥアク→バンコク
3月24日(月) バンコク→成田
- 旅行の満足度
- 3.5
- 観光
- 3.5
- ホテル
- 3.0
- グルメ
- 3.0
- 交通
- 3.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 観光バス 徒歩
- 航空会社
- タイ国際航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
3月21日(金)
朝から30℃を超える酷暑の中のチャイナタウン散策を終え、12時、大型デパートが集まるバンコク随一のショッピングエリア、サイアム地区へ。
このあたりの景色は東京と変わらないくらいで、馬鹿暑いことを除けば治安もいいし、なんだか海外旅行をしている気分ではなくなってきます。
しかし、チャイナタウンから帰りも30分近く歩き通しで、着ている服はもう汗でびしょびしょです・・・。 -
高架になっているBTS(スカイトレイン)がまた、東京の山手線や首都高を連想させ、あまり異国情緒を感じないところ・・・。
-
BTSのサイアム駅からさらに東に向かって歩き、高級ホテルのインターコンチネンタル・バンコクに到着。
ここがこの日午後からのアユタヤ遺跡ツアーの集合場所で、事前に連絡のあった集合時間の12時30分ぴったりに、現地の旅行会社の方が迎えに来てくれました。
・・・この日利用したのは、タイやベトナムなど東南アジアを専門に日本語での現地ツアーを手がけている旅行会社、“ウェンディーツアー”のアユタヤ世界遺産ツアー。
一人参加で1,900バーツ(約6,100円)と、タイの物価にしては少々高めでしたが、今回は特典航空券による旅行でそれほどお金がかかっていないのと、バンコクで行われているデモのことなど、現地の方のいろいろなお話を聞いてみたいということもあって、出発前にネットで予約していたものでした。 -
ツアーにはわたしのほか、ビジネスで訪タイしたという男性2人組と、会社の休暇で訪れたという一人旅の男性1人の計4名が参加。
全員男性のせいか、現地のタイ人のガイド氏(男性)も心なしかテンションが低い様子(笑)。
早速ワゴン車に乗り込み、バンコクから北へ約80km離れたアユタヤを目指してハイウェイを北上していきます。
・・・バンコクのハイウェイはこんなふうにきれいで、高層ビルが林立しているところも東京の首都高と大して変わらないですねえ。 -
車内では全員男ということもあってか、ガイド氏を含め皆無言のまま時が過ぎていきます・・・。
ツアーメンバーはバンコクの暑さにやられているということもあるのでしょうが、ガイド氏も必要なこと以外はしゃべらないという感じの方で、現地の方との会話を楽しみにしていたわたしにとっては、ちょっと残念なツアーになってしまいました・・・。
(バンコクのデモの様子を聞いても、日本のニュースでも聞いて知っている程度のことしか返ってこないし。)
さて、ツアーの方はアユタヤ遺跡の前に、そこから約20km手前(南)にあるタイ王室の避暑のための宮殿、バーン・パイン離宮(Bang Pa-In Palace)に立ち寄ります。
・・・バンコク中心部を出発して1時間ほど経った13時30分、景色はこんな田舎道に変わってワゴン車はバーン・パイン離宮への道を進んでいきます。 -
13時45分、バーン・パイン離宮に到着。
あの山田長政を政治的対立から暗殺したという説もあるアユタヤ朝第27代の王、プラサート・トーン(在位1629-56年)によって1637年にチャオプラヤー川の中州に築かれたという夏の宮殿は、400年近く経った現代でも、静かにたたえられた水と豊かな緑に包まれた、心安らぐ空間となっています。 -
案内版によると、バーン・パイン離宮の敷地はこんな感じ。
日本の地方都市の公園ほどの大きさで、もとは大きかったのかもしれませんが、ヴェルサイユ宮殿や北京の頤和園などと比べるとかなり小さく、パンチ力不足は否めません。
このバーン・パイン離宮、アユタヤ朝時代には歴代の国王が避暑のため夏を過ごす別荘として利用されていましたが、1767年のビルマ軍侵攻によるアユタヤ朝の滅亡後はしばらく放置されたままになってしまいます。
その後、現王朝でもあるチャクリ朝(1782年〜)のラーマ4世(在位:1851-68年)と5世(チュラーロンコーン大王、在位:1868-1910年)によって、現在見られる姿の離宮として再興されました。
この離宮は現在も王室の所有で、国王の住居やレセプション会場などとして使用されているそうですが、普段はこのように一般公開され、外国人も多数訪れるバンコク近郊の有数の観光スポットとなっています。 -
敷地内は建物がでーんとそびえているというよりはこのように緑が多く、離宮というよりは公園という感じ。
暑さのため歩くのが大変な観光客のために電動カーも用意されています。
しかしここは午前中排ガスにまみれながら歩きまわっていたバンコクに比べ、なんと空気が美味しいことか!
緑が多いことに加えてコンクリートの照り返しも少なく、気温も涼しくなったように感じます。
身も心も生き返った気分で、訪れる前はそれほど期待をしていませんでしたが、今から思えばバーン・パイン離宮がこの日の観光のベストスポットでしたね。 -
緑に包まれた園路を歩いて行ったところに現れたのは、“グラジョム・タエ”(Gra-Jom Tae)と呼ばれる“スペイン風”(ガイド氏いわく)の四阿(あずまや)。
その先のチャオプラヤー川から引き込んで造った池の中にそびえている金色のタイ風建築は、“プラ・ティナン・アイサワン・ティッパアート”(Phra Thinang Aisawan Thiphya-art)といい、先に述べたタイの近代化に尽力した王、ラーマ5世によって1876年に建てられたもの。
いろんな様式の建築物が静かに調和している、なんだか奇妙な風景でもあります。
・・・と感心していたのも束の間、池の中をゆらゆらと泳ぐ生き物がいると思ったら、なんとワニ!
うーむ、水辺に立ち入らないようにとか特別の注意は受けませんでしたが、観光客には襲いかからないのでしょうか・・・。 -
さて、ワニのことは気にしないで(笑)、池に架けられた橋を渡って奥へと進んでいきます。
この橋の周辺はお花がきれいで、ヨーロッパの公園のようでもあります。 -
池の周辺はこんな風に静かな雰囲気。
空気が汚れていて騒がしかったバンコクと比べると、本当に天国のようなところです。
ワニ(王宮の番ワニ?)がいるので水遊びはできないですが(笑)。 -
橋を渡ったところにあるのが、ヨーロッパ風の建築物の“テワラー・カンライ”(Tevaraj-Kanlai)。
赤い花の似合う白い建物です。 -
テワラー・カンライの側の庭には、こんなヨーロッパ風の彫刻もあります。
-
その先の庭園には、象の家族のシルエットをかたどった、お茶目な植え込みが(笑)。
-
美味しい空気を吸いながら園路を進んでいき、そのいちばん奥と思われるところに姿を現したのは、“プラ・ティナン・ウェーハート・チャムルーン”(Phra Thinang Wehart Chamrun)と呼ばれる2階建ての中国風の建物。
こちらも“大王”ラーマ5世が建てさせたもので、1889年の建築。
廷臣の住居として使われていたそうですが、中に入ってみると・・・。 -
“明天殿”という漢字の額が掲げられた正面入り口は、赤と金の色遣いといい、龍の彫刻といい、王の玉座が置かれていた謁見の間という雰囲気。
この建物は、ガイドブックには上記のように“廷臣の住居として使用された”と説明がなされているのですが、このような内部の構造や雰囲気から、王自身もきっと様々な行事で使っていたんだなということが推測されます。 -
玉座(?)が見つめる先には、こんな漢字で書かれた詞のようなものも掲示されていました。
最近修復されたのか、建物や掲示物からは新しさを感じます。
しかし、エアコンではなく扇風機がくるくると回っているのはいかにも南国のタイらしい・・・。 -
中国風のプラ・ティナン・ウェーハート・チャムルーンの隣、橋を渡った折り返し地点にあるのは“ホー・ウィトン・タサナー”(Ho Withun Thasana)と呼ばれる奇妙な形の塔。
こちらも建造を命じたのはラーマ5世。
1881年に周囲の見晴台として建てられたものです。 -
ホー・ウィトン・タサナーは内部に入ることができ、靴を脱いで螺旋階段を昇っていくと、プラ・ティナン・ウェーハート・チャムルーンを見下ろすこんな景色が眺められます。
それほどの感慨は湧き起こってきませんでしたが(笑)。
さて、45分ほどでバーン・パイン離宮の見学を終え、14時30分、アユタヤに向かって再びワゴン車で北上していきます。 -
15時、ワゴン車はアユタヤ市街に突入。
世界遺産の都市遺跡が残るところだけあって、もっと鄙びた感じを思い描いていたのですが、街並みはきれいだし道路は広いしで、想像以上の発展ぶりです。
ホンダの自動車工場も近くにあるようで、2011年10月の大洪水により一時操業停止になるなどの被害に見舞われたこともありましたが、現在は生産能力はすっかり回復し、タイにおける自動車の製造拠点として、今後もさらなる投資が予定されているそうです。 -
15時5分、まずはワット・マハータートなどが集うアユタヤ遺跡の中心部から外れたところ、アユタヤ駅の東側にある、“ワット・ヤイ・チャイモンコン”(Wat Yai Chaimongkhon)から遺跡の見学をスタート。
レンガの切れ目から仏陀の涅槃像がお出迎えです。 -
涅槃仏の顔や腕にはいくつもの金箔が貼られ、ここが単なる歴史上の遺跡ではなく、現在でも生きた信仰の地であることをうかがわせます。
-
涅槃仏の先には、高さ72mを誇るワット・ヤイ・チャイモンコンのシンボルともなっている仏塔が。
このワット・ヤイ・チャイモンコンは、アユタヤ朝初代の王ウー・トーン(ラーマーティボーディー1世、在位:1351-69年)により、セイロンから帰国した留学僧の瞑想のため1357年に建てられたと伝えられる寺院。
この高さ72mの仏塔は、1592年にタイ三大王の一人でアユタヤ朝第21代の王、ナレースエン(サンペット2世、在位:1590-1605年)が象上での一騎打ちでビルマ王子を敗り、ビルマ軍との戦いに勝利したことを記念して建てられたものです。 -
このワット・ヤイ・チャイモンコンの仏塔、1767年のビルマ軍の侵攻により、アユタヤの他の仏塔同様に被害を受けますが、街の中心部から外れたところに位置していたこともあって、破壊は少なくて済んだそうです。
そのため、アユタヤ遺跡の中でも比較的保存状態が良い状態で残っており、一般の観光客も、レンガとしっくいで造られた貴重な遺産である塔に登ることができます。
このように下から見上げて写真を撮る人が多いので、短いスカート姿の女性は要注意(笑)。 -
しかし、この塔を登る観光客のあまりの多さのためか、こんなふうにレンガはすり減っていて、注意深く歩かないと滑って大変なことになってしまいます。
・・・最近は“日本のマチュピチュ”兵庫県朝来市の竹田城でも、観光客の増加に伴い石垣が緩むなどの被害が報告されていると聞きますが、観光客の安全の確保のためにも、遺跡のメンテナンスは大きな課題ですよね。 -
さて、せっかく危険な階段を登ったものの、仏塔の内部はがらんどうで、見るべきものは特になく・・・。
400年以上昔の巨大なレンガとしっくいの建造物を自分の手と足で体験できることがいちばんのポイントなのかもしれません。
ちなみに階段の向こう側に見えるタイ人のカップル、女性の方がずっとスマホの画面を見たり電話をかけたりしたままで、男性の方は何かと女性の気をひこうとしますが、女性は一向にスマホを手に持つのをやめない模様・・・。
こんな風景も、せっかくの世界遺産なのに興ざめしてしまいますよね。
タイの若者はスマホに夢中なようで、この後バンコクの屋台でも、せっかく5、6人連れ立って来ているのに、それぞれスマホをいじくっていてお互い会話をしないグループに何度も出くわしました。
・・・スマホ依存症はタイでも深刻なようです。 -
そんな気になるカップルから目を離し、塔の反対側を見下ろしてみると、緑の中にレンガ造りの茶色の仏塔や赤い屋根の寺院がそびえるこんな風景。
確かに近景は“おおっ”とうなるような風景ですが、遠くには現代の新しい建物も見え、感動も今ひとつ。
アユタヤよりも先にミャンマーのバガンに行ってしまったら、感動も小さくなってしまいますね・・・。
逆に言えば、アユタヤを見て初めて、多くの旅行者が言っているバガンの素晴らしさ(“住んでいる人の”ではなく“旅行者にとっての”)を理解しました。
【ミャンマー紀行(2) サバンナの中のバガンの仏塔と寺院群】
http://4travel.jp/travelogue/10623305 -
仏塔を降り、塔の周りを散策。
世界遺産の写真集でもよく見かけた、オレンジ色の袈裟を着た仏陀の座像がずらりと並んでいました。
アユタヤ中心部の仏像は1767年にビルマ軍に破壊されて首のないものが多いのですが、このワット・ヤイ・チャイモンコンの座仏群は先に述べた理由でビルマ軍の破壊をまぬがれ、当時の優しい表情を現代に伝えてくれています。 -
仏塔の正面に位置する建物には金ピカの仏像が。
観光客だけでなく地元のタイ人らしき人々もお参りしており、信仰に篤い現代のタイの人々の様子をうかがい知ることができました。 -
さて、時計を見ると15時40分。
ワット・ヤイ・チャイモンコンの見学を始めてからもう30分以上が経過したので、そろそろ次の観光スポットへ。
帰り際、振り返ってもう一度巨大な仏塔群を眺めると、向かって右側の仏塔がどこか微妙に傾いている感じ・・・。 -
仏塔のひとつに近づいてよく見ると、レンガで造られた台座がひしゃげているのがはっきり分かります。
400年以上も巨大な仏塔を支えているため、その重みでだんだんと台座がつぶれていっているのか、それとも、2011年の洪水により地盤が緩んだ影響が大きいのか、いずれにしても、中央の仏塔のすり減った階段と同様、これからは観光客をただ受け入れるだけではなく、遺跡のメンテナンスが重要になってきますね。 -
ワゴン車に乗り、15時50分、アユタヤ中心部の歴史公園内にある“ワット・ローカヤスッター”(Wat Lokayasutha)へ。
ここは全長28mの巨大な涅槃仏で有名な観光スポット。
往年の格闘ゲーム好きにとっては、“ストリートファイター?”のムエタイの使い手、サガットのステージとしても有名ですね(笑)。 -
このワット・ローカヤースッターの涅槃仏、もとはアユタヤ朝中期のもので、現在のは1956年に復元されたものだそうですが、やはりメンテナンスが悪いのか、肝心のお顔が汚れて黒くなってしまっています・・・。
さらに強引にお供え用の花を売りつけようとする子どもたちもいて、ちょっとがっかりな観光スポットでした。 -
早々にワット・ローカヤースッターを後にして、16時、次に向かったのは、アユタヤツアーの観光客がほぼ必ず連れて行かされる、アユタヤ歴史公園内のエレファントキャンプ。
男性のみのツアーだったため、はしゃぐ人はなく(笑)、象に乗ってみようという人は現れませんでしたが、物は試しと、子象のエサやりに挑戦してみることにしました。 -
象のエサはバスケットに入ったトウモロコシなどで、募金箱のようなものにお金(50バーツ=約160円)を入れて購入。
早速エサを子象の前にちらつかせると、鼻を使って上手にエサを絡め取っていく仕草がなんともかわいらしいの一言。
調子に乗ってくると、スキをついてバスケットから勝手にエサを取ろうとしてきます(笑)。 -
何個もエサをあげると、お礼のつもりか(もしかしたらバカにされてたりして・・・)、お腹を見せておどけた顔でこんなパフォーマンスをしてくれます。
しかし象の乳首って、人間と同じように左右の胸にひとつずつついているのね・・・。 -
こんなふうに座った象に抱えてもらって一緒に写真を撮る観光客も。
うーん、なかなか頭のいい象たちです。
アユタヤのエレファントキャンプでは象に乗らなくても、こんな子象の仕草を見ているだけで癒される感じです。 -
奥の方に目を向けると、ライディング用の巨大な大人の象たちが。
どくろマークで“No Entry”と書いてあるところをみると、なんだか象たちが悪の集団の乗り物に見えてしまいますね(笑)。 -
こちらの象は立派な牙が生えていて強そうな感じ。
近づくとクネクネと鼻をくねらせながら、バスケットに入ったエサを奪い取っていきました。
子象に比べたら、やっぱり仕草がちょっとコワいですね(笑)。 -
16時20分、エレファントキャンプのすぐ近くにある“ワット・プラ・シー・サンペット”(Wat Phra Sri Sanphet)へ。
アユタヤ王宮跡の南に位置する、バンコクで言えばワット・プラケーオ(エメラルド寺院)に相当する王室守護寺院で、アユタヤ朝第9代のボーロマトライローカナート王(在位:1448-88年)時代の1448年に建立され、以後はここが宮中儀式の場となったのだそうです。 -
ワット・プラ・シー・サンペットのシンボルは、この東西に並ぶ3基の巨大な仏塔。
それぞれに建立者であるボーロマトライローカナート王とその王子らの遺骨が納められていたと伝えられています。
後に仏塔の東側に本堂が建立され、高さ16m、重さ171kgの純金に覆われた仏像が置かれていましたが(この仏像が寺院名の由来ともなる“プラ・シーサンペット”と呼ばれていた。)、1767年のビルマ軍の侵攻で跡形もなく破壊されてしまったそうです。
【ワット・プラ・シーサンペット タイ国政府観光庁のHPより】
http://www.thailandtravel.or.jp/detail/sightseeing/?no=46 -
そんなワット・プラ・シー・サンペットは、今もビルマ軍による破壊の傷跡を残したまま放置されており、先ほど見た、街外れに位置していたワット・ヤイ・チャイモンコンとは違う一面廃墟の雰囲気。
なんだかこの1年前に訪れたイタリア・ナポリ近郊の火山灰に埋もれた廃墟の街、ポンペイを思い出します。
【ナポリの休日(6) 古代都市ポンペイのバジリカ】
http://4travel.jp/photo?trvlgphoto=29878641 -
こんな朽ち果てた円柱を見ると、アジアの遺跡というより、古代ギリシャやローマの遺跡を思い起こしてしまいますね。
・・・と考えるのは、単にわたしがヨーロッパかぶれなだけか(笑)。 -
このワット・プラ・シー・サンペットの遺跡はさすがアユタヤ遺跡の中心部だけあって、ワット・ヤイ・チャイモンコンよりも奥行きがあり、廃墟然としたところがいい感じ。
-
遺跡の中央の3基の巨大な仏塔が並ぶ姿は壮観です。
-
仏塔の前には首のないレンガ造りの座仏像が。
アユタヤの街を破壊した、当時のビルマも同じ仏教国なのに・・・第二次世界大戦でも、ドイツのケルン大聖堂やドレスデンのフラウエン教会は同じキリスト教国である英米の激しい空爆を受けましたが、戦争になったらもはや宗教は関係なくなってしまうのでしょうね。 -
3基の巨大な仏塔の周りをぐるっと一周してパチリ。
しかし、世界遺産でもあるバンコク近郊の有名な観光地だというのに、このとき出会った観光客は、団体が4つか5つ程度で、思っていたよりも少ない感じ・・・。
前年の11月から続いているバンコクでの反政府デモが影響しているのか、それとも単に酷暑という時期の問題なのか・・・ちょっと寂しいですね。 -
ワット・プラ・シー・サンペットの観光の最後に、中央の巨大な仏塔を正面からパチリ。
こちらの方はアユタヤ遺跡の中心部だけあってメンテナンスがうまくなされているのか、仏塔は(遠目には)傾いている様子もなく、きれいなシルエットを保っていました。 -
16時30分、続いて、ワット・プラ・シー・サンペットのすぐ南隣にある“ウィハーン・プラ・モンコン・ボピット”(Wiharn Phra Mongkhon Bophit)と呼ばれるタイ風寺院へ。
先に見たワット・ヤイ・チャイモンコンの巨大な仏塔を建立したアユタヤ朝第21代のナレースエン大王治世下の1603年に、別の場所からここに移されたと伝えられる寺院です。
1767年のビルマ軍侵攻で破壊された後、現チャクリ朝のチュラーロンコーン大王ことラーマ5世が再建し、1956年にはビルマからの寄附も受けて礼拝堂(ウィハーン)が復元されたそうです。 -
ウィハーン・プラ・モンコン・ボピットの本堂には仏教国らしい金ピカの大仏が。
この寺院の名前の由来にもなった本尊、高さ17mの“プラ・モンコン・ボピット仏”です。 -
プラ・モンコン・ボピット仏の足元では座って祈りを捧げるタイ人の参拝者が。
ミャンマーの仏教寺院で見たのと同じ様な光景ですね。
ミャンマーの方が祈りの仕草が大袈裟で儀式ばっていましたが。
【ミャンマー紀行(9) サガインのカウンムードー・パヤーでの礼拝風景】
http://4travel.jp/photo?trvlgphoto=24454275 -
16時50分、再びワゴン車に乗って、1kmほど東に離れたところにある同じ歴史公園内の“ワット・マハータート”(Wat Maha That)へ。
外壁に沿って植えられている樹木のすき間から顔をのぞかせている廃墟然とした感じのこの寺院は、おそらく日本で最もよく知られているであろうアユタヤの寺院・・・。 -
そう、熱帯の巨大な木の根の中に、頭だけ残して体はあたかも取り込まれてしまったかのような、なんとも神秘的なお姿の仏像が印象的なあの寺院です。
このワット・マハータート、“マハータート”(大いなる物質、すなわち仏舎利=仏陀の遺骨)という名前をつけられているとおり、アユタヤではワット・プラ・シー・サンペットと並び重要とされている寺院で、14世紀後半のアユタヤ朝第2代王のラーメスアンあるいは第3代王のボロムラーチャー1世の建立と伝えられています。
【ワット・マハタート タイ国政府観光庁のHPより】
http://www.thailandtravel.or.jp/detail/sightseeing/?no=570 -
イチオシ
この木の根に取り込まれたような仏陀の頭部は単なる遺跡ではなく、現在でもタイの人々の信仰の対象となっており、一緒に写真を撮る際は、必ずかがんで仏陀の頭の高さより自分の頭が高くならないようにしなければいけません。
しかしこの自然の中の遺跡という廃墟感がいかにも日本人の好みに合っているようで、いろんな角度から写真を撮りまくってしまいます。
この角度から撮ると、不謹慎ながら後ろの首のない仏像の胴体とマッチして、なんだかシャガールの絵のようなシュールさ。 -
このワット・マハータート、くず折れた建物や首のない破壊された仏像があちこちにあり、これまでに見たアユタヤの遺跡の中でいちばん廃墟感がありますね。
17時をまわって陽も傾いてきて、いい雰囲気です。 -
ワット・プラ・シー・サンペットと同様、遺跡には奥行きがあって、面としての遺跡巡りも楽しむことができます。
-
首のない仏像が壁にそってズラリ。
まさに諸行無常というところでしょうか。
こんな姿になってまでもこのように観光名所としてさらされ続ける仏像にはいささか感じ入るところはありますが。 -
この仏像の後ろにそびえるレンガ造りの建物は、メキシコのティオティワカンのピラミッドのようです。
本当はこの台座の上に塔がそびえていたのでしょうが。
これにてアユタヤの遺跡巡りは終わり・・・。 -
17時30分、ワット・マハータート近くの観光客向けレストランで早めの夕食(食事代はツアー料金に込み、シンハビール(大瓶)は別途175バーツ=約560円)。
日本人のツアー客御用達のお店だったようで、出された料理はあまりタイっぽくない感じで味は薄め。
なんとなく予想はしていましたが、ツアーの料理なんてこんなものでしょうかね・・・。 -
店内の様子もまさにツアー客向け、という感じですね。
時間帯のせいかほとんど客がなく、ちょっと寂しい雰囲気・・・。 -
道路の向こうのワット・マハータートを眺めながら、冷房の効いた店内でしばし休憩。
・・・ツアー参加のため、自由なスケジュールでアユタヤ観光を楽しむことはできませんでしたが、この酷暑の季節、自力で遺跡を巡るのは、体力的にかなり厳しかったことだろうと思います。
あまり苦労しないで遺跡巡りをした分、印象は薄くなりましたが、結果的には、たくさんの遺跡を効率的に見て回ることができたのかなと。 -
このツアー、まだまだ終わりではありません。
18時30分、食後の休憩を終え、レストランの外に用意されていたサムロー(三輪自転車のタクシー)にて、今度は夜の遺跡巡り。
早速ツアーメンバーと2人1組になって乗車。 -
サムローはこんなふうに道路の真ん中を堂々と進んでいきます。
それだけにけっこうなスピードが出て、生温かい夜風が顔にあたって気持ちいいかも。 -
最初に停車したのはワット・マハータートのライトアップポイント。
とは言っても、遠くに申し訳程度に見えるくらいで、なんだかな〜という感じ・・・。 -
道端で待っているサムローも、変な感じにライトアップを始めました(笑)。
-
18時50分、再びサムローに乗ってワット・プラ・シー・サンペットへ。
サムローのおじさんたちとはここでお別れ。おつかれさまでした!
ワット・プラ・シー・サンペットでは3基の巨大な仏塔がライトアップされている様子を眺められるはず・・・だったのですが、実際にライトアップされているのは手前の1基の仏塔だけで、しかも壁の外側から遠めに眺められる程度。
うーむ、珍しい遺跡の夜景を見るためもあって夜にまたがるツアーを選んだのに、これでは大した感動もありません。
この場に来ていた他の団体ツアーの観光客たちもなんだかイマイチの表情・・・。 -
ワゴン車に乗り換え、19時、アユタヤ歴史公園から川を挟んで西側にある“ワット・チャイワッタナーラーム”(Wat Chaiwatthanaram)へ。
バーン・パイン離宮を築いたアユタヤ朝第27代の王プラサート・トーンが、1630年、母親のために建立したと伝えられる寺院で、このアユタヤツアー最後の観光スポットです。
このワット・チャイワッタナーラームのライトアップは、さすがに最後にもってくるだけあって、これまでのライトアップと違ってほぼ正面から見ることができましたが、やはり寺院の中へは入れないので、少し離れた場所から写真を撮る程度の楽しみ方しかできません。
ライトアップの仕方も動きがなくもう一工夫欲しいところで、満足度としてはいまひとつでしたね・・・。
実際、このワット・チャイワッタナーラームのライトアップを見に来ているのは我々しかいませんでしたし。
周りは明かりも少なく寂しい場所で、ツアー以外で来るには少し危ない場所なのかもしれません。 -
皆なんとも言えぬ表情でワット・チャイワッタナーラームを後にし、ツアー客を乗せたワゴン車は一路バンコクへ。
帰りの車内でもガイド氏はツアー客を盛り上げるでもなく、なんとも締まらない感じでツアーが終わってしまいました。
・・・これまで中国やインド、ベトナム、カンボジア、ブルガリアなどいくつもの国で現地ツアーに参加してきましたが、ここまで盛り上がりのなかったツアーは初めて。
(それだけにこの旅行記を作るのも気が進まず、かなりの時間がかかってしまいました・・・。)
暑いので皆疲れていたせいなのか、それともガイドの能力によるものか・・・。 -
20時30分、ハイウェイを飛ばして帰りは1時間半でバンコクに到着。
当初は指定ホテルまで送り届け、ということでしたが、渋滞がひどいという理由で、突然、東急近くのナショナル・スタジアム駅入口で降ろされます。
男性のみのツアーだったので、その場で不平不満を言う人はいませんでしたが、なんだか最後も残念な感じで終わってしまいました・・・。
(こういったツアーにはつきものの顧客満足度アンケートもありませんでした。)
暑くてもツアーに頼らず、電車かバスで個人で見て回った方がよかったかな?
電車かバスだと日帰りでは夜の遺跡のライトアップを見るのが難しいですが、見るべきほどのものでもなかったし・・・。
さて、この日はこのままホテルまで汗だくになりながら20分ほど歩いてたどり着き、日程を終了。
こうしてホテルでクーラーにあたっている時間が一日でいちばん至福の時だったりして(笑)。
(酷暑のバンコク3日目に続く。)
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この旅行記へのコメント (2)
-
- 川岸 町子さん 2014/06/08 20:26:15
- お疲れさまでした!
- エンリケさん、おばんでした☆
私はバーンパインへ行ったことがないのです。
水と緑あふれる公園のような離宮ですね。
一部は写真で見たことありますが、奥までの様子は初めて知りました。
可愛い像の形の木々、ブーゲンビリアと白い建物の調和の美しさ、中国風な建物、様々なものが集められていることも、知りませんでした。
やっぱりツアーでなければ、行きづらい所なのでしょうか?
アユタヤも、さすがエンリケさんの視点からの文章が素晴らしかったです。
メンテナンスの必要性、これは普通の観光客には気づかないことですよね!
実際にお写真を拝見し、おっしゃる通りだと感じました。
行かれた日には、観光客が少なかったとのことですが、驚きです(@_@)
バンコクから近い世界遺産なので、通常ならば、沢山の観光客が訪れるはずですよね。
タイの政情不安は、観光業に大きな影響を及ぼしているのですね・・・。
ワット・マハータートの横向きの一枚、なんて素晴らしいでしょうヽ(^o^)丿ヽ(^o^)丿ヽ(^o^)丿
正面からのショットは見るけど、この角度からのは見かけません。
バックの朽ちた遺跡とマッチして、本当に趣のある一枚です。
是非「イチオシ」になさって下さいね〜(笑)!!
さて、ご不満もあったようですが、やはりツアーで良かったかもしれませんね。
おっしゃる通り、ライトアップはツアーの方が安心ですし。
私は、往復列車でアユタヤへ行き、駅前でトゥクトゥクと値段交渉でした。
訪れたい所と時間を決めましたが、ずーーーっと暑かったですよー(笑)。
もう15年も前ですが、子ども達の飲み物を何度も買った覚えがあります(笑)。
町子
- エンリケさん からの返信 2014/06/08 22:21:43
- いつもご訪問ありがとうございます!
- 川岸 町子さん
こんばんは。いつもご訪問ありがとうございます!
バンコクを排ガスにまみれて歩きまわった直後だったせいか、バーンパインは空気が美味しくて、もう少しのんびり過ごしてもいい場所だったなあと記憶しています。
地球の歩き方によると、バーンパインへはアユタヤ駅の手前のバーンパイン駅からも歩いて行けるようです。
でもやっぱり、タイの気候を考えると歩くには暑すぎるでしょうから、ツアーに参加するのがいちばん効率的かもしれませんね。
しかし、わたしが今回参加したツアーについて、過去の参加者の感想を読んでみると、“詳しく説明してくれない”とか“帰りは途中で降ろされた”とかわたしと同じような経験をされた方のコメントが目立ったのが気になるところです。
需要の多そうな日本語ガイドによる日本人向けのツアーなのだから、アンケートを取るなどしてしっかりやってほしいものですね。
> メンテナンスの必要性、これは普通の観光客には気づかないことですよね!
本当にアユタヤの遺跡群は、傾いている仏塔やら、すり減っているレンガの階段やらで、危ない状態にあるなと思いました。
大事故が起こる前に、きちんとしたメンテナンスを実施してもらいたいものです。
> ワット・マハータートの横向きの一枚、なんて素晴らしいでしょうヽ(^o^)丿ヽ(^o^)丿ヽ(^o^)丿
> 正面からのショットは見るけど、この角度からのは見かけません。
> バックの朽ちた遺跡とマッチして、本当に趣のある一枚です。
> 是非「イチオシ」になさって下さいね〜(笑)!!
お褒めいただきありがとうございます!
撮っている最中は暑さで朦朧としていたので気付きませんでしたが(笑)、帰ってきてから意外によく撮れているなということに気付きました。
写真の“イチオシ”機能、これまで使って来なかったのですが、町子さんのアドバイスに従って使ってみようと思います(笑)。
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