2013/06/08 - 2013/06/09
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鯨の味噌汁さん
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上野の美術館で、ルネッサンス展を同時に2個所でやっていた。
かたっぽは読売新聞、かたっぽは朝日新聞の主催だ。
なんとも芸のない話である。キグレサーカスと木下サーカスが同じ町でやってるようなもんだ。
朝日も読売も、ちったあ考えろよと言いたい。(⇒えらそう)
ラファエロ展が国立西洋美術館。でもってダビンチ展が東京都美術館。
イタリアは経済危機のさなかであるから、ラファエロもダビンチも遠い日本まで出稼ぎに来ているのだ。しかもエコノミークラスでというウワサである。(うそ)
でもって、日本人は「ルネッサンス」とゆうと、ナニゴトかコーフンするらしく、両方とも押すな押すなの大盛況らしい。
が、ワシはダメである。あそこらへんはサッパリわからんちん。
まぁ基本的に「受胎告知」も「最後の晩餐」も「復活」も構図はみんな一緒だもんね。受胎告知がベッドシーンだったら話は別ですが。(不謹慎すぎると反省)
が、わが配偶者は違うのであった。
彼女はルネッサンス大好き、メディチ家大好き、フィレンツェ大好き、なおかつローマ遺跡も大好き、というオナゴである。
ちなみに3年前、彼女は「イタリア4泊6日、4つの都市をびゅんびゅん巡るド安めツアー」というのに参加しているのだが。
何しろ「びゅんびゅん」で「ド安め」であるから、「ホイ見ましたね」「ハイハイ次ね」と駆け足・全力疾走・オレオレ詐欺みたいな感じだったという。
「じっくり見たかった。美術館にもいっぱい行きたかった」
「ふむでは」とワシ。「もう一度行けばいいではないか」
と、ゆうわけで。
2013年度の「夫婦で年1回は長めの旅をしたいよネ友の会」(会員2名)は、堂々、イタリアに決定した。(⇒例によってあっさり決まる)
「トスカーナ+その他大勢・できたら南北縦断ツアー」
みたいな感じですねきっと。
が、ワシはサッパリ絵がわからんので、今回は用心棒としてついていくことにする。
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
- 航空会社
- 中国国際航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
エアはド安め中華国際航空、北京乗換。
午前9時発、土曜日とあって満席。
トーゼンながらまわりは中国語になる。
ちなみに、配偶者は、前夜飲み会で9時過ぎに帰宅して、そのまま一睡もしてない。だが機内食をモリモリ食いつつガイドブックを読み、
「フイレンツェのドオーモで、てっぺんに登るのよーーー」
なーんてはしゃいでる。彼女にとってフィレンツェといえばドオーモなのだ。
前回のツアーで時間がなくて登れなかったのが悔しいんだと。
「何段あるんだよその階段」
「500段。あなた若いころのぼったでしょ」
「そんなん忘れてるわい。30年も昔の話だもん」
…と横を向くと、もう寝ていた。
つまりこやつはほぼネコに近く、かつ遠足前の小学生みたいだが、ホントは51のおばさんです、みなさん騙されてはいけない。
なおかつ「いつでも・どこでも・誰とでも」寝てしまうとゆうのが特技なのだった。
「地球最後の日」になっても、人類の生き残り1ダースに入っていそうな生命力といわねばならない。 -
なんとか北京で乗り継ぎ、午後6時、ダビンチ空港に着陸。
まだ夕焼けは始まっていない。風はなくて、気温は20度くらいだ。
この日は電車を乗り継ぎ、フィレンツェへその日のうちに入るのがミッションである。
よって空港、駅を駆け足で突破し、午後10時半、日の落ちたフィレンツェ駅にたどり着く。
そのまま地図をにらみながら、サンマルコ広場近くのホテルまで、ヨタヨタ歩く。
土曜日の夜で、観光客が街に散らばっている。
街灯が暗くなったあたりに、初日の宿を見つけた。 -
部屋は古ぼけた洋館の四階。
四階の一番端っこの部屋は、八畳ほどの広さだった。カーテンも窓も、いかめしく古い。
「窓をあけてみなよ」
配偶者にゆう。
カーテンを開けると、ドォーモが正面に現れた。
あ、っと彼女は声をあげる。
「この部屋、窓からドォーモがみえるんだよ」
「ホントだ」
フィレンツェにきたんなぁ、と、チョッとカンドーする鯨の味噌汁及び古女房なのであった。 -
翌日、午前8時半から始動。
本日は配偶者が企画する「美術館見倒し」の日である。
ワシはついていくだけだからラクチンなのだ。
今日だけ「クラブツーリズム」に参加してるオヤジの気分である。朝からビール飲んじゃうぞ。
まず手近なとこから、とゆうわけで、ホテルの隣にあるサンマルコ美術館なるものにトツゲキする。
徒歩30秒。近いがな。
ここは修道院だった建物なので、修道士の部屋がわんさかあって、部屋ごとにキリストの磔刑図がマメに描かれている。つまり部屋の数だけキリストさんがおる。
ワシとしてはただ漫然と眺めてるのも芸がないので、
「このキリストさんは血の吹き出し方がゴーカイだな」
「このキリストさんはちとデブだ」
「このキリストさんは脚が短いがな」
などと判定しつつ歩く。
磔刑評論家、なんてのがあったらデビュー出来るであろう。天罰が下りそうだ。 -
修道院であるからお約束の回廊もある。
この回廊には、修道士の方々の墓碑銘が刻されているのが恒例である。
その墓碑銘を眺めると、その方が生前、どんな人生を送っていたかが想像されるのである。
で、順番にながめていると、天使がふたり、ラインダンスを踊ってる彫刻を発見する。
なんとまた享楽的な表情であろうか。この修道士はカラオケをアカペラで歌い、かつ踊っていたに違いない。
「キミたちはここにいるべきじゃない。ラブホ! ラブホの彫刻だよ!」 -
朝イチであるから、お客さんは少ない。ほぼ貸し切り。
が、アメリカから来たらしい女の子(推定年齢18歳)のグループと、見学の流れが一緒になってるらしく、行く先々の展示室でいっしょになる。
みんな夏仕様で露出度もよろしく、むちむちぷりんのお肌ぴちぴち、箸が転んでも笑う年頃であるからして元気もいい。
向こうも行く先々で怪しい東洋人といっしょになるので、チョッと気にいている風情である。ときどきワシと視線があう。
うむうむ。ワシがあと30歳若かったら、その中で一番かわいくてチチのでかいアメリカ娘をホテルにお持ち帰りしているであろう。
いやいや、一番でなくて二番でも良い。何だったら複数でも良い。
…などと妄想しつつも、やはり複数の展示がある「最後の晩餐」において
「さっきのはハゲが二人だが、今回のは三人。歴史はどちらを真実とするか」
(やることないのでNHK教育テレビみたいな)観察を続けていると。
回廊のどこかから、女性の賛美歌が聴こえてきた。 -
最初それは小さな声で、低く始まった。だから空耳かと思った。
やがて複数の斉唱になり、回廊にもはっきりと歌声が響いた。
「合唱団の練習かなあ」
ワシが首をひねると、
「…でもここは美術館よね」
配偶者も不思議そうだ。
ある部屋にたどり着いて、歌声の正体が知れた。
あのアメリカ娘たちが、受胎告知の絵の前で賛美歌を歌っているのだった。みんな真剣な顔。先ほどまでのきゃあきゃあがウソのようだ。
ワシも配偶者もその部屋の前で立ち尽くした。
午前の明るい日差しの中で、そこだけが一層輝いて見えた。
なんだか奇跡でも目撃している気分だった。
係員が階段を駆け上がってきた。すると女の子たちは気配を察し、ピタリと歌をやめ、もとのにぎやかなアメリカ娘に戻ったのである。
駆け上がってきた係員の女性は、怖い顔で女の子たちに何かを言ったのだが、彼女たちは三々五々、違う部屋に散っていた。
あの娘っこたちは何者だったんだろう。もしかしたらフラッシュモブ、というヤツかしらん。
「天使たちがイタズラしに、降りてきたのかもしれないねぇ」
ワシがゆうと、配偶者も不思議そうにうなずくのだった。
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この旅行記へのコメント (6)
-
- pedaruさん 2013/09/02 13:46:48
- ご投票有難うございました。
- 鯨の味噌汁さん 初めまして
トルコの旅行記にたくさんご投票有難うございました。
天使を目撃されたとか?この表題に惹かれて訪問しましたが、なんと、旅行記ではなく、漫談でした。4トラコミュニティ「漫談倶楽部」というのを開設するとかしないとか、・・・鯨の味噌汁さん以上の人はいないと思いますので、会は成り立たないと、警告します。
勝手に推奨、勝手に警告、自分勝手なpedaruでした。・・
pedaru
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2013/09/04 14:34:32
- RE: ご投票有難うございました。
- pedaruさん、こちらこそ初めまして!
トルコ全体に散らばった遺跡を、ツアーでなく見て回るには、みなさんどうしてるのかなぁ、と思いつつ、pedaruさんの日記にたどりつきました。とてもとても参考になりました。
>なんと、旅行記ではなく、漫談でした。
漫談ですか、なるほどなるほど、なるほどーーー。
確かに読んでも役に立たない感・しょーもない感・脱力感が満載です!
自分でゆうのもナンですが、読み返してあまりのくだらなさに呆然とすることもあります!
(いばってゆうことではないと反省)
ちょくちょくお邪魔しますが、これからもよろしくです。
-
- tabinakanotaekoさん 2013/06/21 23:32:15
- 読み応え満点!傑作!!
- 鯨の味噌汁さん、
タイトルの意味が最後の数枚で解き明かされる組み立て、
小説を読んでいるようでしたわ。賛美歌の合唱なら、美術館側が
企画しても良さそうなものなのに、係りの人が飛んで来て
咎めたとのこと。がっかりでしたね。拍手をしてあげればよかったですね。
フィレンツェの旅行記の続きを楽しみにしています。
文章が傑作なので、写真をついつい素通りしてしまい、いつも二度読み
しています。
ところで、鯨の味噌汁という食べ物は実際にあるのですか?
Taeko
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2013/06/22 13:23:18
- RE: 読み応え満点!傑作!!
- Taekoさん、
コメントありがとうございます。
> 企画しても良さそうなものなのに、係りの人が飛んで来て
> 咎めたとのこと。がっかりでしたね。拍手をしてあげればよかったですね。
フラッシュモブというヤツなのではないかと思います。
イタズラとしてはすごくよくできていました。
写真撮れなくて残念。
> フィレンツェの旅行記の続きを楽しみにしています。
> 文章が傑作なので、写真をついつい素通りしてしまい、いつも二度読み
> しています。
写真はですねー、いつもオマケ程度ですの。
そもそもカメラ持って行ってません。スマホだけで済ましてるいい加減さ。
> ところで、鯨の味噌汁という食べ物は実際にあるのですか?
はい。山深いエチゴの定番です。
ナス・ミョウガ・油揚げなどといっしょにいただきます。
-
- keiさん 2013/06/21 10:43:25
- 天使の宴
- こんにちは、鯨さんお久しぶりです。
もうフィレンツェに行って来られたのですね!
夏休みに行くと思っていました。この時期は
気候もよくて街歩きには最適ですよね。
「夫婦で年1回は長めの旅をしたいよネ友の会」
うちも入れてください♪(無料?)
サンマルコ修道院では3回、天使達を目撃したと
思う。
ラインダンスの2人、廊下で景色を眺めてうっとり
する奥方(一瞬天使に見えた)、
そして、天使に触発されて、賛美歌を歌わずにはいられなかった
アメリカンガールズ。
私も彼女たちの気持ちがよくわかります。
サンマルコ修道院の受胎告知は息が詰まるくらい
感動しました。あんなに大きいと思っていなかったのです。
きっと私もその場にいたら、賛美歌に参加していたかも?
係員の人、大目に見てくれたらいいのにね、だって
一番嬉しかったのは久々に天使の歌声を聴いた「受胎告知」
だったんだから。
鯨さんたちもその恩恵を受けられて良かったですね!!
ま、鯨さんは天使よりもビーナスのほうが好みなんでしょうけどね(笑)
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2013/06/22 13:30:07
- RE: 天使の宴
- keiさん
> もうフィレンツェに行って来られたのですね!
> 夏休みに行くと思っていました。この時期は
> 気候もよくて街歩きには最適ですよね。
計画したらサッサと行ってしまいます。
安いチケット優先、休みはゴーインにくっつけます。
> 「夫婦で年1回は長めの旅をしたいよネ友の会」
> うちも入れてください♪(無料?)
どうぞどうぞ、いつでもどうぞ。
もろん無料ですぞ。会員特典ナシ。
> ま、鯨さんは天使よりもビーナスのほうが好みなんでしょうけどね(笑)
それはもう。
かの時代の女性のチチはみんな上品でよろしい。
でかいのがトリエ、なんてのはアメリカのカボチャ大会で十分です。
かたちですよかたち。(力説)
チチでかきがゆえにたっとからず、でございます。
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