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いったんフィレンツェまで戻り、ユーロスターで一気に南下。<br />ローマも通り過ぎ、ナポリに一泊。翌日はポンペイをめざすことにする。<br /><br />最終日にはローマに戻るんだから、効率の悪い移動だが、ユーロスターを使うと案外早い。<br />500キロを3時間、というところだから、ちょうど「東京-新大阪を新幹線」の感覚ですね。<br /><br />運賃は時間帯によって異なる。午後イチの便だと59ユーロで、8000円ほど。<br />早期予約だと29ユーロ、なんて料金もある。<br />それって東京から大阪まで、新幹線に乗って4000円ということか。日本の3分の1やんか。<br /><br />イタリアが安いというよりは、日本の新幹線が高すぎるんだ。<br />責任者出てこいコラっ。(⇒突然発火)<br />

イタリアに響く「すっぽぉぉぉぉぉーーーーーーーん」の記憶について

29いいね!

2013/06/12 - 2013/06/13

69位(同エリア518件中)

鯨の味噌汁

鯨の味噌汁さん

いったんフィレンツェまで戻り、ユーロスターで一気に南下。
ローマも通り過ぎ、ナポリに一泊。翌日はポンペイをめざすことにする。

最終日にはローマに戻るんだから、効率の悪い移動だが、ユーロスターを使うと案外早い。
500キロを3時間、というところだから、ちょうど「東京-新大阪を新幹線」の感覚ですね。

運賃は時間帯によって異なる。午後イチの便だと59ユーロで、8000円ほど。
早期予約だと29ユーロ、なんて料金もある。
それって東京から大阪まで、新幹線に乗って4000円ということか。日本の3分の1やんか。

イタリアが安いというよりは、日本の新幹線が高すぎるんだ。
責任者出てこいコラっ。(⇒突然発火)

旅行の満足度
4.5
同行者
カップル・夫婦(シニア)
交通手段
鉄道 徒歩

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  • 席は車両中央、向かい合わせのシートだ。wi-fiも使える。快適快適。<br />社内はすいていて、ワシの後ろの席には、若いイタリア人カップルが座っていた。<br /><br />定刻、フィレンツェの駅を出て、しばらくすると。<br />ワシの背後で、<br /><br />「すっぽぉぉぉぉぉーーーーーーーん、すっぽぉぉぉぉぉーーーーーーーん」<br /><br />と、不思議な連続音が響き渡った。<br />

    席は車両中央、向かい合わせのシートだ。wi-fiも使える。快適快適。
    社内はすいていて、ワシの後ろの席には、若いイタリア人カップルが座っていた。

    定刻、フィレンツェの駅を出て、しばらくすると。
    ワシの背後で、

    「すっぽぉぉぉぉぉーーーーーーーん、すっぽぉぉぉぉぉーーーーーーーん」

    と、不思議な連続音が響き渡った。

  • おお。この音はひょっとして、いつか聞いたあの音では。<br /><br />鯨は遠い記憶を呼び覚ます。<br />30年前。<br />学生だった鯨は、リュックひとつでヨーロッパを旅していた。<br />ユーレイルパスを頼りに、電車を乗り継ぎ、ドイツ・オーストリア・イタリア・フランス・スペインを歩き回ったのである。<br /><br />で、イタリアにおけるもっとも衝撃的な光景が、「すっぽぉぉぉぉぉーーーーーーーん」であった。<br /><br />最初に目撃したのは、確か、ウィーンからヴェネツィアへの夜行列車の中だったと思う。<br />お隣の席のカップルが、ものすごい音を立てて、キスをしていたのである。<br /><br />若かった鯨は、当時の旅日記に以下のごとく記述している。(⇒本当)<br /><br />「この国の住民は、ところかまわず、音を立ててキスをする。そのたびにビールの栓を抜く音がする」<br /><br />フランスでもスペインでも、そんなキスはなかった。<br />ワシの中で、キスとゆうのはあくまで「チュッ」であって。<br /><br />かような<br /><br />「うぐうぐうぐうぐ。むおむおむお」<br /><br />と呼吸困難を伴うがごとき、あるいは便所づまり解消棒のごときキスは、見たことも聞いたこともなかった。<br /><br />が、30年たっても、イタリア人は、相変わらずビールの栓を抜く音みたいなキスをしているのであった。<br /><br />経済危機も失業率も乗り越えて、イタリア人は音を立ててキスし続けるであろう。<br />このろくでもない、素晴らしい世界。

    おお。この音はひょっとして、いつか聞いたあの音では。

    鯨は遠い記憶を呼び覚ます。
    30年前。
    学生だった鯨は、リュックひとつでヨーロッパを旅していた。
    ユーレイルパスを頼りに、電車を乗り継ぎ、ドイツ・オーストリア・イタリア・フランス・スペインを歩き回ったのである。

    で、イタリアにおけるもっとも衝撃的な光景が、「すっぽぉぉぉぉぉーーーーーーーん」であった。

    最初に目撃したのは、確か、ウィーンからヴェネツィアへの夜行列車の中だったと思う。
    お隣の席のカップルが、ものすごい音を立てて、キスをしていたのである。

    若かった鯨は、当時の旅日記に以下のごとく記述している。(⇒本当)

    「この国の住民は、ところかまわず、音を立ててキスをする。そのたびにビールの栓を抜く音がする」

    フランスでもスペインでも、そんなキスはなかった。
    ワシの中で、キスとゆうのはあくまで「チュッ」であって。

    かような

    「うぐうぐうぐうぐ。むおむおむお」

    と呼吸困難を伴うがごとき、あるいは便所づまり解消棒のごときキスは、見たことも聞いたこともなかった。

    が、30年たっても、イタリア人は、相変わらずビールの栓を抜く音みたいなキスをしているのであった。

    経済危機も失業率も乗り越えて、イタリア人は音を立ててキスし続けるであろう。
    このろくでもない、素晴らしい世界。

  • 午後7時、ナポリ・セントラル駅に到着。タクシーで卵城の近くの海岸線まで行き、宿泊。<br /><br />翌日、カンカン照りの朝日の中を、ポンペイを目指して出発する。<br /><br />ポンペイへの列車は、国鉄ではなく、SFSMというローカル線を使った。<br />日本では「ベスビオス周遊鉄道」という名前で紹介されているらしい。<br />その名の通り、秀峰ベスビオ山の山麓を海沿いにぐるっとまわる鉄道だ。<br /><br />ナポリ中央駅で車両とご対面すると、落書きてんこ盛り、ボロボロの車両がわれわれを出迎える。<br />が、案外乗車率はよくて、午前9時のナポリ発ソレント行はほぼ満席だ。<br />ポンペイへの観光客が主力と思いきや、けっこう地元の足としてがんばてっるらしい。<br />

    午後7時、ナポリ・セントラル駅に到着。タクシーで卵城の近くの海岸線まで行き、宿泊。

    翌日、カンカン照りの朝日の中を、ポンペイを目指して出発する。

    ポンペイへの列車は、国鉄ではなく、SFSMというローカル線を使った。
    日本では「ベスビオス周遊鉄道」という名前で紹介されているらしい。
    その名の通り、秀峰ベスビオ山の山麓を海沿いにぐるっとまわる鉄道だ。

    ナポリ中央駅で車両とご対面すると、落書きてんこ盛り、ボロボロの車両がわれわれを出迎える。
    が、案外乗車率はよくて、午前9時のナポリ発ソレント行はほぼ満席だ。
    ポンペイへの観光客が主力と思いきや、けっこう地元の足としてがんばてっるらしい。

  • ふたつ目の駅で、地元の中学生らしい集団が乗り込んできた。男が4人、女が2人。<br />ワシらを取り囲むようにボックスに座り込み、ギャーギャーピーピー、全員がツバメみたいに騒ぐ。<br />コラコラ、お前らものすげ〜うるさいぞ。<br />話すとゆうよりは「怒鳴り、かつ歌う」感じであって、出来の悪いオペラでも聞かされてる気分だ。<br /><br />でもってこのガキどもは、ワシと配偶者のこともオカズにしているらしい。(⇒そのときだけ視線がワシらに集まるから、なんとなく判る)<br /><br />眼の前の「ケツ150センチ女」が、ワシのアタマをチラ見して、隣の「ピアスだらけ男」に何かゆう。<br />すると、男はチラとワシのアタマをやはり見て何かゆう。<br /><br />きっとこんなコトをしゃべってるに違いない。<br /><br />「こういうのマダラハゲってゆうのよ」<br /><br />「ちげーよ、ザビエルハゲだって」<br /><br />で、二人でゲラゲラ笑う。<br />失礼だ失礼だ失礼だ、と思うものの、言葉が分からんのでツッコミようがない。<br />

    ふたつ目の駅で、地元の中学生らしい集団が乗り込んできた。男が4人、女が2人。
    ワシらを取り囲むようにボックスに座り込み、ギャーギャーピーピー、全員がツバメみたいに騒ぐ。
    コラコラ、お前らものすげ〜うるさいぞ。
    話すとゆうよりは「怒鳴り、かつ歌う」感じであって、出来の悪いオペラでも聞かされてる気分だ。

    でもってこのガキどもは、ワシと配偶者のこともオカズにしているらしい。(⇒そのときだけ視線がワシらに集まるから、なんとなく判る)

    眼の前の「ケツ150センチ女」が、ワシのアタマをチラ見して、隣の「ピアスだらけ男」に何かゆう。
    すると、男はチラとワシのアタマをやはり見て何かゆう。

    きっとこんなコトをしゃべってるに違いない。

    「こういうのマダラハゲってゆうのよ」

    「ちげーよ、ザビエルハゲだって」

    で、二人でゲラゲラ笑う。
    失礼だ失礼だ失礼だ、と思うものの、言葉が分からんのでツッコミようがない。

  • 30分ばかりベスビオス火山のふもとを走り、ポンペイまであと二駅、とゆうところで、開けっ放しの窓から珍客が飛び込んできた。<br />大きめのバッタである。ワシの目の前の窓にしがみついた。<br /><br />すると、この男女の集団、なぜかとつぜん、パニックを起こした。<br />どうやらイタリアにおいては、バッタは嫌われる生き物らしい。<br />なんとなくてあるが、日本におけるゴキブリの待遇と似ている雰囲気である。<br /><br />奇声、悲鳴とともに、ドドドっとワシらの周りの席が空く。<br />窓にバッタが止まっているだけなのに。<br /><br />「あんたが取りなさいよ!」<br /><br />ケツ150センチ女がピアス男に迫る。言われた男は、ティッシュを手に、恐る恐るバッタに近づく。<br />が、バッタがひと睨みすると、男はヘタレで、さっさと退散してしまう。<br />でもって周囲はコレデモカとゆうくらい大騒ぎだ。<br /><br />なんだこいつら。<br /><br />鯨はメンドー臭くなってしまい。<br />素手で目の前のバッタをむんずとつかみ。<br />そのまま、窓の外に放り投げた。<br /><br />「おおおおおーーーーーーーー」<br /><br />ガキどもは狂喜乱舞、拍手喝采。<br /><br />そのままむしゃむしゃ食ってやったら、もっとウケたに違いない。(やらんけど)<br />

    30分ばかりベスビオス火山のふもとを走り、ポンペイまであと二駅、とゆうところで、開けっ放しの窓から珍客が飛び込んできた。
    大きめのバッタである。ワシの目の前の窓にしがみついた。

    すると、この男女の集団、なぜかとつぜん、パニックを起こした。
    どうやらイタリアにおいては、バッタは嫌われる生き物らしい。
    なんとなくてあるが、日本におけるゴキブリの待遇と似ている雰囲気である。

    奇声、悲鳴とともに、ドドドっとワシらの周りの席が空く。
    窓にバッタが止まっているだけなのに。

    「あんたが取りなさいよ!」

    ケツ150センチ女がピアス男に迫る。言われた男は、ティッシュを手に、恐る恐るバッタに近づく。
    が、バッタがひと睨みすると、男はヘタレで、さっさと退散してしまう。
    でもって周囲はコレデモカとゆうくらい大騒ぎだ。

    なんだこいつら。

    鯨はメンドー臭くなってしまい。
    素手で目の前のバッタをむんずとつかみ。
    そのまま、窓の外に放り投げた。

    「おおおおおーーーーーーーー」

    ガキどもは狂喜乱舞、拍手喝采。

    そのままむしゃむしゃ食ってやったら、もっとウケたに違いない。(やらんけど)

  • ポンペイ遺跡の入り口で、キャッシュディスペンサーを見つける。<br />われわれは国際キャッシュカードで旅をしているので、現金を下ろすことにする。<br /><br />が、前に並んだ一組の東洋人夫婦が、なかなか終わらない。何度も繰り返しているので、声をかけてみる。<br /><br />「日本人のかたですか」<br /><br />ナポリから日帰りでやってきたという。ご主人が無念そうに言う。<br /><br />「ナポリ駅でスリにあって、現金を盗られたんです」<br /><br />なるほど、それでクレジットカードでキャッシングしているわけか。<br /><br />「初めて使うので、どうしていいのか」<br /><br />後ろにほかの観光客も並んでいるので「じゃー、貸してください」と、さっさとカードを取り上げる(VISAのゴールドだった)。<br />ピンコードは入力してもらい、VISAのキャッシングを選択し、金額を指定。ツルツルと現金が出てくる。<br /><br />「これはキャッシングですから、手数料の他にも金利が掛かりますよー」<br /><br />と念を押し、カードと現金を返した。<br />が、夫婦はあくまで不安そうに、ワシの手元をじっと見ているのであった。<br /><br />ははあ。<br />ワシが何か、不正をやってるんではないかと思われたらしい。<br />しょーがないよね、スリにあった直後じゃあね。<br />それにワシは、全世界的な悪人顔である。<br /><br />ムリもないムリもない、とおもいつつも。<br /><br />ヒトは見かけで判断しちゃーいけないよ、とココロにつぶやく鯨の味噌汁であった。

    ポンペイ遺跡の入り口で、キャッシュディスペンサーを見つける。
    われわれは国際キャッシュカードで旅をしているので、現金を下ろすことにする。

    が、前に並んだ一組の東洋人夫婦が、なかなか終わらない。何度も繰り返しているので、声をかけてみる。

    「日本人のかたですか」

    ナポリから日帰りでやってきたという。ご主人が無念そうに言う。

    「ナポリ駅でスリにあって、現金を盗られたんです」

    なるほど、それでクレジットカードでキャッシングしているわけか。

    「初めて使うので、どうしていいのか」

    後ろにほかの観光客も並んでいるので「じゃー、貸してください」と、さっさとカードを取り上げる(VISAのゴールドだった)。
    ピンコードは入力してもらい、VISAのキャッシングを選択し、金額を指定。ツルツルと現金が出てくる。

    「これはキャッシングですから、手数料の他にも金利が掛かりますよー」

    と念を押し、カードと現金を返した。
    が、夫婦はあくまで不安そうに、ワシの手元をじっと見ているのであった。

    ははあ。
    ワシが何か、不正をやってるんではないかと思われたらしい。
    しょーがないよね、スリにあった直後じゃあね。
    それにワシは、全世界的な悪人顔である。

    ムリもないムリもない、とおもいつつも。

    ヒトは見かけで判断しちゃーいけないよ、とココロにつぶやく鯨の味噌汁であった。

  • ちなみに、ポンペイ遺跡は、ガイド付きのツアーをオススメしたい。<br />なぜかと言えば、シロートが歩き回っても、延々と続く古代の町の中で、迷子になること必至だからである。<br /><br />炎天下、行けども行けどもブチ壊れた「××跡」が続くので、遺跡で遭難、なんてことになりかねない。<br /><br />万が一、時空に穴が開いていた場合、ウッカリ2000年前の町に迷い出てしまい、配偶者は娼婦、ワシはドレイになる恐れなしとしない。<br />

    ちなみに、ポンペイ遺跡は、ガイド付きのツアーをオススメしたい。
    なぜかと言えば、シロートが歩き回っても、延々と続く古代の町の中で、迷子になること必至だからである。

    炎天下、行けども行けどもブチ壊れた「××跡」が続くので、遺跡で遭難、なんてことになりかねない。

    万が一、時空に穴が開いていた場合、ウッカリ2000年前の町に迷い出てしまい、配偶者は娼婦、ワシはドレイになる恐れなしとしない。

  • ポンペイを見学し終えると、午後2時。<br />日差しは真上にある。暑い日だ。<br />ソレントまで列車で移動する。<br /><br />ソレントに泊まるのを決めたのは旅に出てからなので、予備知識はほとんどない。<br />ガイドブックを覗くと、海辺のリゾートであるらしい。<br /><br />30分で終点、ソレントに到着。<br />駅を出て、前日予約したホテルを目指す。<br />トントンと階段を下りると駅前広場。左に曲がると駅前商店街だ。<br />

    ポンペイを見学し終えると、午後2時。
    日差しは真上にある。暑い日だ。
    ソレントまで列車で移動する。

    ソレントに泊まるのを決めたのは旅に出てからなので、予備知識はほとんどない。
    ガイドブックを覗くと、海辺のリゾートであるらしい。

    30分で終点、ソレントに到着。
    駅を出て、前日予約したホテルを目指す。
    トントンと階段を下りると駅前広場。左に曲がると駅前商店街だ。

  • 町は白っぽく、静かで、リタイア組のお年寄りカップルが多い。<br />手をつないで、仲良くお散歩している。<br />ヨーロッパのサラリーマンが、退職したら移り住む町なんだろう。<br /><br />そんな大きい町ではないが、駅前通りだけで2軒の不動産屋さんがあった。<br />どれどれ、と価格をのぞく。<br />中古のコンドミニアムが200,000なんて出ていた。20万ユーロ、2600万円か。<br /><br />「今の家を売れば、買えんことないなー」<br /><br />なんてことを配偶者にゆってみる。ゆってみただけだけど。

    町は白っぽく、静かで、リタイア組のお年寄りカップルが多い。
    手をつないで、仲良くお散歩している。
    ヨーロッパのサラリーマンが、退職したら移り住む町なんだろう。

    そんな大きい町ではないが、駅前通りだけで2軒の不動産屋さんがあった。
    どれどれ、と価格をのぞく。
    中古のコンドミニアムが200,000なんて出ていた。20万ユーロ、2600万円か。

    「今の家を売れば、買えんことないなー」

    なんてことを配偶者にゆってみる。ゆってみただけだけど。

  • たどりついたホテルは、星四つ、リゾートのツクリであった。<br />前日ネットに「直前・バーゲン価格」で出ていた。108ユーロ。<br /><br />部屋に通されると、バルコニー付きのオーシャンビューだ。<br />ドアに貼ってある価格表はハイシーズン270、ローシーズン180とあるから、われわれはオキテ破りのド安め客らしい。<br />

    たどりついたホテルは、星四つ、リゾートのツクリであった。
    前日ネットに「直前・バーゲン価格」で出ていた。108ユーロ。

    部屋に通されると、バルコニー付きのオーシャンビューだ。
    ドアに貼ってある価格表はハイシーズン270、ローシーズン180とあるから、われわれはオキテ破りのド安め客らしい。

  • さっそく、町に出かける。<br />町はガケの上の高台にあり、ホテルの前の道を歩くと、すぐに広場に出る。どうやらここが町の中心らしい。<br />その広場から急な階段が海辺へ続いている。観光客がゾロゾロとその階段を下りていくので、われわれも従う。<br />

    さっそく、町に出かける。
    町はガケの上の高台にあり、ホテルの前の道を歩くと、すぐに広場に出る。どうやらここが町の中心らしい。
    その広場から急な階段が海辺へ続いている。観光客がゾロゾロとその階段を下りていくので、われわれも従う。

  • 船着き場があった。どうやらカプリ島へ渡る観光船の拠点になっているらしい。<br />クルーズの看板が出ている。<br />なるほどなー。ガイドブックでは、青の洞窟ってゆってたなー。<br /><br />「行ってみる? 青の洞窟」<br /><br />配偶者に問うと、彼女は90〜120ユーロ、なんていう価格表をチラっ見て<br /><br />「歩きましょう」<br /><br />とひとこと。<br />うんうん、とワシも頷き、海岸線を歩く。<br /><br />すると、海辺を囲った、「イタリア版浜茶屋」みたいな一群があらわれる。<br />これも看板が出ている。<br /><br />ビーチパラソル:8ユーロ<br />チェア:5ユーロ<br /><br />なるほどなるほど。浜茶屋の「席料」ですな。<br />海岸線は塀に囲まれ、老若男女、みなさん水着でリラックスしておられる。<br />

    船着き場があった。どうやらカプリ島へ渡る観光船の拠点になっているらしい。
    クルーズの看板が出ている。
    なるほどなー。ガイドブックでは、青の洞窟ってゆってたなー。

    「行ってみる? 青の洞窟」

    配偶者に問うと、彼女は90〜120ユーロ、なんていう価格表をチラっ見て

    「歩きましょう」

    とひとこと。
    うんうん、とワシも頷き、海岸線を歩く。

    すると、海辺を囲った、「イタリア版浜茶屋」みたいな一群があらわれる。
    これも看板が出ている。

    ビーチパラソル:8ユーロ
    チェア:5ユーロ

    なるほどなるほど。浜茶屋の「席料」ですな。
    海岸線は塀に囲まれ、老若男女、みなさん水着でリラックスしておられる。

  • ちなみに、リゾートのビーチ、といえば、トップレスである。<br />なにはなくとも江戸むらさき、じゃなくてトップレスである。<br />ヨーロッパのお約束である。(うそ)<br /><br />というわけで、チチを出している女性を探してみたが、どうやら庶民的ツクリであって、そうゆう一帯ではないらしく。<br />若いムスメも樽みたいなオバーチャンも、みなさまちゃんとチチバンドを着用しておられるのであった。無念である。<br /><br />「幾山川 越えさりゆけど トップレス 見果てぬ国ぞ きょうも旅ゆく」牧水鯨の味噌汁<br />

    ちなみに、リゾートのビーチ、といえば、トップレスである。
    なにはなくとも江戸むらさき、じゃなくてトップレスである。
    ヨーロッパのお約束である。(うそ)

    というわけで、チチを出している女性を探してみたが、どうやら庶民的ツクリであって、そうゆう一帯ではないらしく。
    若いムスメも樽みたいなオバーチャンも、みなさまちゃんとチチバンドを着用しておられるのであった。無念である。

    「幾山川 越えさりゆけど トップレス 見果てぬ国ぞ きょうも旅ゆく」牧水鯨の味噌汁

  • 半分洞窟のような階段を上がっていくと、市民広場に出た。<br />それから路地を歩く。小さな海鮮レストラン、バル、お土産物屋さん。<br />町を一回りして、ホテルへ戻り、例によってお昼寝してしまう。<br />何しに来てるのかねまったく。<br />

    半分洞窟のような階段を上がっていくと、市民広場に出た。
    それから路地を歩く。小さな海鮮レストラン、バル、お土産物屋さん。
    町を一回りして、ホテルへ戻り、例によってお昼寝してしまう。
    何しに来てるのかねまったく。

  • 午後9時、日没とともに起き出し、ふたたび町へ。<br /><br />夜を待って通りに出てきた人たちで、通りはにぎわっている。<br />広場に面したカフェでは、ミニライブが開かれていた。<br />立ち上がって踊り出す人もいる。<br /><br />いいなぁ。<br />イタリアは経済危機の最中だけど。若者の失業率40%、なんてかなしい数字もあるけれど。<br />金曜日の週末は、みんな町に出て、歩いて、おしゃべりして、楽しむんだな。<br /><br />第二次大戦、ドイツ軍とイタリア軍がアフリカで軍事行動をとった時。<br />ドイツ軍は兵士一人の水の補給量を厳格に守り。<br />イタリア軍は、パスタを茹でてあっさり水を使ってしまったという。<br />ネタ話だろうけど、ラテンの国のケセラセラ精神、悪くない。ぜんぜん悪くない。<br /><br />…そんな話を配偶者としつつ、ゆっくりと町を歩いた。<br /><br />配偶者は今回の旅で、イタリアの印象が変わったという。<br /><br />「いい加減なイメージがあったけど、実際は違うね」<br /><br />確かに、電車・バスの時間は正確だったし、窓口で待たされることもなかった。<br /><br />「観光が産業だから、一生懸命なのよ。おもてなしして、また来てほしいから」<br /><br />「また来たい?」<br /><br />「うん、また来たい」<br /><br />旅の終わりがづいてきた。そして彼女はこの国が気に入ったようであった。<br /><br />

    午後9時、日没とともに起き出し、ふたたび町へ。

    夜を待って通りに出てきた人たちで、通りはにぎわっている。
    広場に面したカフェでは、ミニライブが開かれていた。
    立ち上がって踊り出す人もいる。

    いいなぁ。
    イタリアは経済危機の最中だけど。若者の失業率40%、なんてかなしい数字もあるけれど。
    金曜日の週末は、みんな町に出て、歩いて、おしゃべりして、楽しむんだな。

    第二次大戦、ドイツ軍とイタリア軍がアフリカで軍事行動をとった時。
    ドイツ軍は兵士一人の水の補給量を厳格に守り。
    イタリア軍は、パスタを茹でてあっさり水を使ってしまったという。
    ネタ話だろうけど、ラテンの国のケセラセラ精神、悪くない。ぜんぜん悪くない。

    …そんな話を配偶者としつつ、ゆっくりと町を歩いた。

    配偶者は今回の旅で、イタリアの印象が変わったという。

    「いい加減なイメージがあったけど、実際は違うね」

    確かに、電車・バスの時間は正確だったし、窓口で待たされることもなかった。

    「観光が産業だから、一生懸命なのよ。おもてなしして、また来てほしいから」

    「また来たい?」

    「うん、また来たい」

    旅の終わりがづいてきた。そして彼女はこの国が気に入ったようであった。

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この旅行記へのコメント (6)

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  • 56さん 2014/12/06 08:51:00
    「すっぽぉぉぉぉぉーーーーーーーん」の正体が気になって
    鯨の味噌汁さま

    はじめまして。

    前回お邪魔したときにローマ編と
    「すっぽぉぉぉぉぉーーーーーーーん」編
    との間でどちらを読もうか悩み、ローマ編。

    やっぱりどうしても、
    「すっぽぉぉぉぉぉーーーーーーーん」
    の正体が気になって、戻ってまいりました。

    愉快な旅行記につい引き込まれました。


    今度イタリアに行く際に耳をすませて
    みます♪


    56



    鯨の味噌汁

    鯨の味噌汁さん からの返信 2014/12/18 10:57:15
    RE: 「すっぽぉぉぉぉぉーーーーーーーん」の正体が気になって
    56さま、

    どーもどーも、鯨の味噌汁でございます。お立ち寄りありがとうございます。
    (年に1回の長旅から帰りたてでご返事遅れました。すみません。)

    あの音は、ビールの栓を抜く音かと最初は思いました。

    かれらの口は、みんなタコみたいになってるに違いありません。






    > 鯨の味噌汁さま
    >
    > はじめまして。
    >
    > 前回お邪魔したときにローマ編と
    > 「すっぽぉぉぉぉぉーーーーーーーん」編
    > との間でどちらを読もうか悩み、ローマ編。
    >
    > やっぱりどうしても、
    > 「すっぽぉぉぉぉぉーーーーーーーん」
    > の正体が気になって、戻ってまいりました。
    >
    > 愉快な旅行記につい引き込まれました。
    >
    >
    > 今度イタリアに行く際に耳をすませて
    > みます♪
    >
    >
    > 56
    >
    >
    >
    >
  • tabinakanotaekoさん 2013/07/04 06:54:31
    タイトルで気を惹くの、お上手です!
    鯨の味噌汁さん、

     すっぽーーーんって何の音だろうと、先を急いで読ませていただきました。本でも映画でもタイトルが大事だよね と常々思っているので
    してやられた 感じです。

     鯨さん達もお昼寝されるんですね。同じです。
    朝っぱらから一日中では電池の切れたお猿がシンバルをならす
    玩具のようになっちゃいます。
    うっかり長い昼寝をしてしまって、夕ご飯を食べに
    街へ出るだけの一日になってしまうこともありますわ。

                   tabinakanotaeko

    鯨の味噌汁

    鯨の味噌汁さん からの返信 2013/07/04 09:16:08
    ホントにそんなふうに聞こえますもんね。
    taekoさん、

    最初に聞いたときはビックリします。
    なんとゆうか、迫力が違う。

    ベタベタとゆうより、「ほとんどホンバン」じゃないかと。
    若かりし頃の鯨は驚いたものでございます。

    30年ぶりに行って、ちーともかわっとらんなと思いましたの。


    >  鯨さん達もお昼寝されるんですね。同じです。
    > 朝っぱらから一日中では電池の切れたお猿がシンバルをならす
    > 玩具のようになっちゃいます。

    夏の旅は体力消耗しますよね〜。
    ツアーだとバスの中で休めるけど、ガチの個人だと、休む場所がないし。

    だから移動のない日は、ホテルでお昼寝がお約束です。
    そもそもポンペイとかで歩き回った後で、続いて観光なんてできないですものねぇ。
  • さすらいの食いしんぼうさん 2013/06/26 12:47:57
    いつもながらに楽しく鋭い人間観察ぶりです。
    鯨の味噌汁さん、こんにちは、
    やりましたね!ひっさびさのヨーロッパ!それもちょっと手強いイタリア!
    あいかわらず楽しい鯨の味噌汁さんの人間観察ぶりでした。でも今回は鯨の味噌汁さんご夫婦も逆観察されていたようです。(笑)そして「虫に弱い白人」これは大いにうなずくところがありますね。

    さすらい

    鯨の味噌汁

    鯨の味噌汁さん からの返信 2013/06/27 10:40:24
    RE: いつもながらに楽しく鋭い人間観察ぶりです。
    さすらいの食いしんぼうさん、

    ご無沙汰してます〜。
    といっても年に一度の旅行ですから「ご無沙汰」もトーゼンなんですが・・・

    > やりましたね!ひっさびさのヨーロッパ!それもちょっと手強いイタリア!

    去年はトルコでしたものねー。
    でもあそこも、ちょっとヨーロッパですよきっと。パツキンのおねいさんも多数生息しておられましたし。

    >今回は鯨の味噌汁さんご夫婦も逆観察されていたようです。

    ぷぷぷ。そーなんです、どうやら怪しい旅行者として見られていたらしい。
    ローカル列車で旅をすると、ジモピーの兄ちゃんなんかがじっとこっちを見てることがありますよねー。

    昔、スペインの田舎の駅で、日本へのおてがみを書いていたら、そこいらへんのガキどもが、

    「おー、こいつ、おもろし字ぃ書いてるがなー」

    とワラワラ集まってきたこともありましたっけ。

鯨の味噌汁さんのトラベラーページ

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