西安の歴史を味わい尽くす４日間　【２】あこがれの兵馬俑坑へ（2008/1/4）

2008/01/03 - 2008/01/06

急に思い立って、２００８年の新春早々、かねてから行きたかった西安に行ってきました。
ここはかつて秦、漢、唐などの中国王朝の都であった長安です。
一番のお目当ては秦の始皇帝の墓を守る兵馬俑坑。１９８３年、大学生のときに、大阪築城400年まつりの一環として開催された「中国秦・兵馬俑展」で目にして圧倒され、それ依頼ぜひ現地で見てみたいと思っていたのがようやく実現しました。
西安には他にも歴史を偲ぶ建造物が数多く残っていて、中国の歴史の厚みを堪能するとともに、現代中国の変貌を実感する旅となりました。

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【2】あこがれの兵馬俑坑へ(2008/1/4)
西安駅前からバスで今回の旅の目的地、兵馬俑坑を訪れます。予想を裏切らない、というよりむしろ予想以上の迫力です。その後、兵馬俑が守っている始皇帝陵の頂上から辺りを眺めながら、始皇帝が生きた２，２００年前はいったいどんな世界だったのだろう、と思いを巡らします。
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１ 阿倍仲麻呂の心情を思う(2008/1/3)
＞ ２ あこがれの兵馬俑坑へ(2008/1/4)
３ 唐の時代の遺跡巡り～乾陵と小雁塔(2008/1/5)
４ 三蔵法師とシルクロードの面影(2008/1/6)

エリア 西安(中国)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 5.0
• ホテル: 4.0
• グルメ: 4.5
• 交通: 3.5

• 交通手段: 高速・路線バス
• 航空会社: JAL
• 旅行の手配内容: ツアー（添乗員同行なし）
• 利用旅行会社: 近畿日本ツーリスト

９：５０、ちょっとゆっくり目にホテルを出発です。

グランド ノーブル ホテル 西安 (西安皇城豪門酒店) ホテル

今回の旅の目的、憧れの兵馬俑を見に行きます。
兵馬俑坑に行くバスは西安駅前から出ます。
西安駅は北の城壁のところにあってちょっと遠いけれど、バスがわからないので歩きます。東大街を東に７００ｍほど行つて解放路を北上し、２ｋｍほどで駅です。
広い駅前広場を大勢の人が行き交っています。大きな荷物を持っている人は少なく、通勤中という感じの人が多いようです。

西安駅 駅

駅は城壁のすぐ北側にあります。駅の前は城壁の下の部分後なくて橋になっています。

西安駅 駅

駅前にはたくさんのバスが並んでいます。
地球の歩き方によると兵馬俑博物館行きは遊５というバスです。
探してみたら「兵馬俑」と大きく掲げられているのですぐに判りました。「３０６」という路線番号もついています。

西安駅 駅

１０：４０頃バスが出発しました。

西安駅 駅

女性車掌が社内を回って料金を徴収します。中国というとぶっきらぼうできついのかかと思いましたが、意外とあたりの柔らかい車掌さんでした。

西安駅 駅

これが切符です。５０年くらい前の日本のような感じがします。

提灯を売る店があります。何に使うんでしょうか？

郊外に建設中のニュータウンのようなところを通り抜けていきます。広大な敷地にマンションがたくさん建ち並んでいます。

馬と人のモニュメント。歴史の一場面のようです。

１時間ほどで兵馬俑博物館に到着しました。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

兵馬俑博物館の入口は自動改札が並びます。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

カードのチケット。今の日本と変わりません。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

チケットの裏面の広告は日本のブラザーでした。中国では「兄弟」。音じゃなくて意味なんですね。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

この体育館のようなものが兵馬俑の発掘現場を覆う建物です。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

足を踏み入れると巨大な空間に兵馬俑が隊列をなして立っているのが目に飛び込んできます。
思わず「おーっ！」と声が漏れました。
広大な空間を兵馬俑が埋め尽くしている光景は圧巻です。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

１９８５年に大阪で間近に見たのは数体でしたが、表情や姿が写実的でとても迫力がありました。それがこれだけの数並んでいるのですから、スケールの大きさに圧倒されてしまいます。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

この体勢は明らかに馭者ですが馬車があるはずの前の空間が空いています。他にも何ヶ所か空間があるのですが、ちょうどイギリスで展覧会が開催されているそうなので、そのために持ち出されているようです。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

これが２千２百年前に作られたのですから驚きです。
当時の中国が世界の最先端の一つだったことは間違いありません。
西ではローマがポエニ戦争を戦っている頃ですね。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

兵馬俑は１９７４年に井戸を掘ろうとした住民が偶然見つけました。
始皇帝陵のことは史書に書かれていますが、兵馬俑のことは何も書かれておらず、それまで存在は全く知られていなかったのです。
またこのような写実的な等身大像は前後の時代にも類似のものがありません。
兵馬俑には謎が非常に多いのです。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

こんな感じで埋まっているものを発掘するのですね。大変な作業だ。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

後ろの方に復元作業のエリアがあります。
発掘後に破片をパズルのようにつなぎ合わせて修復して、ようやく元の姿に蘇るのです。これだけの数を復元するのは気の遠くなるような作業です。
もとは鮮やかな色が塗られていたそうです。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

こちらは３号坑。
軍司令部ではないかと言われているとのこと。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

１号坑のような隊列を組んだ軍団とは配置が違います。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

本営を守っているような配置です。
首がないのが多いのはなぜでしょうか。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

壁面には浮き彫りが描かれています。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

見学を終えて１号坑の正面に戻ってきました。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

出口までは土産物屋や屋台が並んでいるところを通らなければ行けないようになっています。
小さい凧やらコマやらを売りつけてくるのがいて面倒くさいです。タコは最初５０元と言っていたのが、最後には５個５元になりました。それでも買いませんけどね。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

その中に羊肉泡漠（ヤンロウパオモー）という西安の伝統料理の店があったので食べてみます。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

白くて四角いのは乾燥したパンみたいなもの。パンは好きではないのでこれはちょっと苦手。食べきれず残してしまいました。店のおばちゃんはとても親切にしてくれたのに申し訳ないことをしました。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

馬のモニュメント。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

ザクロを売っていて結構売れています。名物なんでしょうか。
試しに一袋買って食べてみましたが、みずみずしくておいしかった。多すぎて食べきれませんでしたが。

秦始皇帝陵博物院 (兵馬俑) 史跡・遺跡

兵馬俑坑から西に１．８ｋｍほどのところに始皇帝陵があります。西安行きのバスですぐです。

秦の始皇陵 史跡・遺跡

こちらは入場券。

秦の始皇陵 史跡・遺跡

石段がついていて頂上まで登れます。

秦の始皇陵 史跡・遺跡

頂上から見渡すと、あたり一帯畑が広がっていて、ところどころ建物が見えます。要するに特に特徴のない田舎という感じですね。
秦の時代もこんな感じだったのでしょうか。

秦の始皇陵 史跡・遺跡

頂上からは兵馬俑坑を覆う体育館のような建物も見えます。

秦の始皇陵 史跡・遺跡

始皇帝陵のことは史書にも書かれていて、地下に水銀が流れる川と海があったといいます。実際に始皇帝陵の土は水銀濃度が高く、本当だった可能性が高いそうです。
しかし残念ながら発掘はされていません。発掘は破壊ですから、将来完全な形で発掘できる技術ができるまで発掘しないのだそう。
ところでさっき買ったザクロ、水銀濃度は大丈夫だったんだろうか？

秦の始皇陵 史跡・遺跡

狛犬みたいです。
始皇帝陵は全長３５０ｍ、高さ７６ｍで、ピラミッドより一回り大きく高さは半分です。
木に覆われた小山のようですが、元はどんな姿だったのでしょうか。

秦の始皇陵 史跡・遺跡

始皇帝陵と兵馬俑は世界遺産です。

秦の始皇陵 史跡・遺跡

１７：３０に西安駅に戻ってきました。
帰りに乗ったのは９１５番というバスです。

西安駅 駅

隣にはやはり兵馬俑に行くらしいすこし豪華な感じのバスが９１４という路線番号をつけて停まっています。
地球の歩き方には３０６番（遊５）という一つのバス路線しか載っていませんでしたが、中国も私企業が認められるようになり別の路線もできていたのです。

西安駅 駅

上が機器のバスの切符で、西安市公共交通とあります。
下が帰りのものでこちらは民営のようです。

西安駅 駅

明日乾陵に行こうと思っていたのでバスの案内板を見ていたら、怖そうなおじさんが大声で何か言ってきました。怒られたのかと思ってたじろいでいたら、どうもどこに行きたいか訊いているようです。ガイドブックの「乾陵」の文字を見せたら一緒に探してくれました。そしてわからないとなるとそこらへんに歩いている人を何人か捕まえてきて、みんなで一緒になって一生懸命教えてくれます。
中国の人にこんなに親切にしてもらえるなんて正直思っていませんでした。一気に親近感が湧いてイメージが激変した瞬間でした。

西安駅 駅

小さな店で焼き芋を売っていたので買ってみました。
この店のおばちゃんも明るくてとっても親切。

歩きながら焼き芋を食べました。

ホテルで一休みした後、夕食にでかけます。
今日は鐘楼の北西にある回民街に行ってみます。

回民街 散歩・街歩き

日本語でもイスラム教を回教といいますが、イスラム教の人たちの街という意味です。西安大清真寺という、８世紀、唐の玄宗皇帝の時代に作られたモスクがあり、その周辺に西域から来た人たちが集まっているのがここです。
活気があって色々美味しそうなものがあります。

回民街 散歩・街歩き

これはだんごのようなもの。

回民街 散歩・街歩き

外で売っているのを食べようと思って入ったら奥のテーブル席に通されてしまいました。

回民街 散歩・街歩き

ちょっと高めでうまいこと誘い込まれてしまったような感じもありますが、成り行きで火鍋を食べてみることにしました。肉たっぷりで美味しくお腹いっぱいになったのでよしとします。

回民街 散歩・街歩き

鐘楼と鼓楼のある一角はもう１０時半近いのですが煌々と明るく人が大勢行き交っています。

２４時間営業のマクドナルド。古都西安にこんなものがあるとは想像もしていませんでした。他にケンタッキー・フライドチキンやスターバックスコーヒーまであります。
マクドナルドは「麦当労」です。ケンタッキーは「肯徳基」、コカ・コーラは「可口可楽」。でもスターバックス・コーヒーはアルファベットのままでした。「Coca Cola」も見かけたし、最近は漢字を当てなくなってきたのでしょうか？

鐘楼 建造物

シルクロードの出発点、鐘楼を背景にマクドナルドの看板が光ります。
こんなことになっていたとは。

鐘楼 建造物

鐘楼を囲むロータリーの南東の角には、一階にスターバックスコーヒーが入る巨大ショッピングセンターがあり、店先には巨大なサンタクロース。一体ここはどこだ？
砂埃が舞う街をロバが曳く荷車が行き交う、というのが西安のイメージだっのですが、それはもう遠い過去の姿でした。

鐘楼 建造物