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 横浜市神奈川区高島台にある本覚寺は臨済宗のお寺で青木山本覚寺という。嘉禄 2年(1226年)臨済宗としての開山は臨済宗の祖である千光祖師明庵栄西禅師と言われているが、栄西禅師は開山の11年前の建保3年(1215年)に入滅しており、その遺徳を慕って開山としているものと思われる。<br /> 永正 7年(1510年)に起こった「上田蔵人入道の乱」では入道がすぐ近くの権現山城に立て篭もり、戦場となった本覺寺は兵禍を被り、すっかり荒廃してしまった。再興を図るにあたり、小机にある曹洞宗雲松院第三世の陽広元吉禅師(ようこうげんきつぜんじ)を住職に迎え、天文元年(1532年)、本覺寺は曹洞宗に改宗した。陽広元吉禅師は、曹洞宗としての本覺寺を開かれたという意味で、伝法開山と呼ばれている。<br /> 江戸時代に入ると、この一帯は東海道五十三次・神奈川宿場町として大いに賑わった。神奈川宿の前には神奈川湊があり、幕末には「神奈川条約」が結ばれ、神奈川湊が開港されるものと思われていたが、実際には幕臣で外交官の岩瀬肥後守忠震(ただなり)が主張した横浜港が開港した。このために山門前には「横浜開港之首唱者 岩瀬肥後守忠震顕彰碑」(昭和57年(1982年)銘)が建てられている。しかし、横浜は寒村であったために、横浜が開港されると、神奈川宿の寺院の多くが各国の領事館に接収されて行った。本覺寺はアメリカに接収され3年もの間、アメリカ領事館となっていた。萱葺き屋根の本堂や地蔵堂、観音堂、客殿、衆寮、庫裡、鐘楼、総門、中門、裏門などの伽藍が建っていた。<br /> 明治に入ると、本覺寺の境内は、新橋−横浜間の鉄道用地や道路拡張などで収用され、敷地を狭められていき、更に火災や関東大震災で罹災し、その上、横浜大空襲で殆どが焼け落ち、山門と鐘楼だけが焼け残ったという。ただし、鐘楼の梵鐘は供出され、昭和57年(1982年)に再鋳されたものである。<br /> 昭和46年(1971年)に、鉄筋コンクリート造の本堂、客殿、庫裡が再建された。また、平成17年(2005年)には、斎場、客殿、庫裏も新たになった。<br /> 山門には唐獅子の飾り瓦が上がり、地蔵堂と本堂には浪の飾り瓦が上がっている。本堂の浪の飾り瓦は栄西禅師が開山となった鎌倉壽福寺のそれと似ていると思った。<br />(表紙写真は本覚寺本堂)

本覚寺(神奈川宿)

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2013/06/01 - 2013/06/29

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ドクターキムル

ドクターキムルさん

 横浜市神奈川区高島台にある本覚寺は臨済宗のお寺で青木山本覚寺という。嘉禄 2年(1226年)臨済宗としての開山は臨済宗の祖である千光祖師明庵栄西禅師と言われているが、栄西禅師は開山の11年前の建保3年(1215年)に入滅しており、その遺徳を慕って開山としているものと思われる。
 永正 7年(1510年)に起こった「上田蔵人入道の乱」では入道がすぐ近くの権現山城に立て篭もり、戦場となった本覺寺は兵禍を被り、すっかり荒廃してしまった。再興を図るにあたり、小机にある曹洞宗雲松院第三世の陽広元吉禅師(ようこうげんきつぜんじ)を住職に迎え、天文元年(1532年)、本覺寺は曹洞宗に改宗した。陽広元吉禅師は、曹洞宗としての本覺寺を開かれたという意味で、伝法開山と呼ばれている。
 江戸時代に入ると、この一帯は東海道五十三次・神奈川宿場町として大いに賑わった。神奈川宿の前には神奈川湊があり、幕末には「神奈川条約」が結ばれ、神奈川湊が開港されるものと思われていたが、実際には幕臣で外交官の岩瀬肥後守忠震(ただなり)が主張した横浜港が開港した。このために山門前には「横浜開港之首唱者 岩瀬肥後守忠震顕彰碑」(昭和57年(1982年)銘)が建てられている。しかし、横浜は寒村であったために、横浜が開港されると、神奈川宿の寺院の多くが各国の領事館に接収されて行った。本覺寺はアメリカに接収され3年もの間、アメリカ領事館となっていた。萱葺き屋根の本堂や地蔵堂、観音堂、客殿、衆寮、庫裡、鐘楼、総門、中門、裏門などの伽藍が建っていた。
 明治に入ると、本覺寺の境内は、新橋−横浜間の鉄道用地や道路拡張などで収用され、敷地を狭められていき、更に火災や関東大震災で罹災し、その上、横浜大空襲で殆どが焼け落ち、山門と鐘楼だけが焼け残ったという。ただし、鐘楼の梵鐘は供出され、昭和57年(1982年)に再鋳されたものである。
 昭和46年(1971年)に、鉄筋コンクリート造の本堂、客殿、庫裡が再建された。また、平成17年(2005年)には、斎場、客殿、庫裏も新たになった。
 山門には唐獅子の飾り瓦が上がり、地蔵堂と本堂には浪の飾り瓦が上がっている。本堂の浪の飾り瓦は栄西禅師が開山となった鎌倉壽福寺のそれと似ていると思った。
(表紙写真は本覚寺本堂)

  • 鉄道線路を挟んで幸ヶ谷公園側。切通にして鉄道を敷く前は尾根続きだった。

    鉄道線路を挟んで幸ヶ谷公園側。切通にして鉄道を敷く前は尾根続きだった。

  • 鉄道線路を挟んで本覚寺側。

    鉄道線路を挟んで本覚寺側。

  • 本覚寺山門前の石段。切通には鉄道線路と道路が通る。

    本覚寺山門前の石段。切通には鉄道線路と道路が通る。

  • 本覚寺会館。

    本覚寺会館。

  • 本覚寺会館に掛かる「曹洞宗神奈川県第一宗務所」の看板の横に、「曹洞宗神奈川県第二宗務所」のドア。

    本覚寺会館に掛かる「曹洞宗神奈川県第一宗務所」の看板の横に、「曹洞宗神奈川県第二宗務所」のドア。

  • 切通の崖上の山門あたりの木立。

    切通の崖上の山門あたりの木立。

  • 崖上の山門と木立。

    崖上の山門と木立。

  • 「曹洞宗 青木山 本覚寺」寺号標石。

    「曹洞宗 青木山 本覚寺」寺号標石。

  • 神奈川宿歴史の道「本覚寺」プレート。<br /><br />「本覚寺<br /> 本覚寺は、臨済宗の開祖栄西によって、鎌倉時代に創建されたと伝えられる。もとは臨済宗に属していたが、戦国期の権現山の合戦で荒廃し、天文元年(一五三二)に陽廣和尚が再興し、曹洞宗に改めた。<br /> 開港当時、ハリスは自ら見分け、渡船場に近く、丘陵上にあり、横浜を眼下に望み、さらには湾内を見通すことができる本覚寺をアメリカ領事館に決めたという。<br /> 領事館時代に白ペンキを塗られた山門は、この地域に残る唯一の江戸時代に遡る建築である。」

    神奈川宿歴史の道「本覚寺」プレート。

    「本覚寺
     本覚寺は、臨済宗の開祖栄西によって、鎌倉時代に創建されたと伝えられる。もとは臨済宗に属していたが、戦国期の権現山の合戦で荒廃し、天文元年(一五三二)に陽廣和尚が再興し、曹洞宗に改めた。
     開港当時、ハリスは自ら見分け、渡船場に近く、丘陵上にあり、横浜を眼下に望み、さらには湾内を見通すことができる本覚寺をアメリカ領事館に決めたという。
     領事館時代に白ペンキを塗られた山門は、この地域に残る唯一の江戸時代に遡る建築である。」

  • 本覚寺山門前の石段。幕末には中門があった山門と石段が直線ではないのは明治になって境内が狭くなったためか?

    本覚寺山門前の石段。幕末には中門があった山門と石段が直線ではないのは明治になって境内が狭くなったためか?

  • 本覚寺駐車場脇の枝垂れ桜。

    本覚寺駐車場脇の枝垂れ桜。

  • 「史跡 アメリカ領事館跡」碑。

    「史跡 アメリカ領事館跡」碑。

  • スタジイの古木。

    スタジイの古木。

  • 「横浜市 名木古木指定 スタジイ」。

    「横浜市 名木古木指定 スタジイ」。

  • 「横浜開港之首唱者 岩瀬肥後守忠震顕彰碑」。忠震(ただなり)。

    「横浜開港之首唱者 岩瀬肥後守忠震顕彰碑」。忠震(ただなり)。

  • 「観世音」碑。塀がレンガ積だ。

    「観世音」碑。塀がレンガ積だ。

  • 「小机三十三所七番目」碑。<br />享保17年(1732年)子の歳に小机領三十三所観音霊場が開創された。<br />塀がレンガ積だ。

    「小机三十三所七番目」碑。
    享保17年(1732年)子の歳に小机領三十三所観音霊場が開創された。
    塀がレンガ積だ。

  • 「不許葷酒入山門」。

    「不許葷酒入山門」。

  • 「敷石々坂石垣新調記念碑」。

    「敷石々坂石垣新調記念碑」。

  • 本覚寺山門。

    本覚寺山門。

  • 本覚寺山門の木鼻。象と唐獅子だ。

    本覚寺山門の木鼻。象と唐獅子だ。

  • 本覚寺山門の木鼻。

    本覚寺山門の木鼻。

  • 本覚寺山門の鳥の彫刻。

    本覚寺山門の鳥の彫刻。

  • 本覚寺山門に掛かる「青木山」の扁額。

    本覚寺山門に掛かる「青木山」の扁額。

  • 本覚寺山門屋根に上がる唐獅子の飾り瓦。

    本覚寺山門屋根に上がる唐獅子の飾り瓦。

  • 本覚寺山門屋根に上がる唐獅子の飾り瓦。

    本覚寺山門屋根に上がる唐獅子の飾り瓦。

  • 本覚寺山門屋根に上がる唐獅子の飾り瓦。

    本覚寺山門屋根に上がる唐獅子の飾り瓦。

  • 本覚寺山門の彫刻。

    本覚寺山門の彫刻。

  • 本覚寺山門の蟇股(かえるまた)彫刻。

    本覚寺山門の蟇股(かえるまた)彫刻。

  • 本覚寺山門の獅子に牡丹の彫刻。

    本覚寺山門の獅子に牡丹の彫刻。

  • 本覚寺山門に掛かる「本覚寺」の表札。

    本覚寺山門に掛かる「本覚寺」の表札。

  • 本覚寺山門から見る横浜駅方面。

    本覚寺山門から見る横浜駅方面。

  • 本覚寺山門脇の植木。

    本覚寺山門脇の植木。

  • 本覚寺山門脇のもみじの植木。

    本覚寺山門脇のもみじの植木。

  • 銀杏の木。

    銀杏の木。

  • 本覚寺境内。

    本覚寺境内。

  • 「全国塗装業者合同慰霊碑」。

    「全国塗装業者合同慰霊碑」。

  • 本覚寺の掲示板。

    本覚寺の掲示板。

  • 「法華三十部供養塔」。

    「法華三十部供養塔」。

  • 「西向寺 霊無僧之碑」。

    「西向寺 霊無僧之碑」。

  • 「慰霊塔」など。

    「慰霊塔」など。

  • 石仏に支えられる地蔵堂の手水鉢。

    石仏に支えられる地蔵堂の手水鉢。

  • 地蔵堂。

    地蔵堂。

  • 地蔵堂の屋根に上がる浪の飾り瓦。

    地蔵堂の屋根に上がる浪の飾り瓦。

  • 地蔵堂の屋根に上がる浪の飾り瓦。

    地蔵堂の屋根に上がる浪の飾り瓦。

  • 地蔵堂の屋根に上がる浪の飾り瓦。

    地蔵堂の屋根に上がる浪の飾り瓦。

  • 子育て地蔵。

    子育て地蔵。

  • 「俗に子育て地蔵と言われ、子供の成長祈願、病気平癒、安産、供養の信仰があります。」

    「俗に子育て地蔵と言われ、子供の成長祈願、病気平癒、安産、供養の信仰があります。」

  • 地蔵堂に掛かる「地蔵堂」の扁額。

    地蔵堂に掛かる「地蔵堂」の扁額。

  • 子育て地蔵の左腕に入った亀裂。

    子育て地蔵の左腕に入った亀裂。

  • 地蔵堂の本尊の地蔵願王菩薩。

    地蔵堂の本尊の地蔵願王菩薩。

  • 御衣黄。

    御衣黄。

  • 御衣黄。

    御衣黄。

  • 御衣黄。

    御衣黄。

  • 鐘楼。

    鐘楼。

  • 鐘楼に架かる梵鐘。

    鐘楼に架かる梵鐘。

  • 梵鐘(昭和57年(1982年)銘)。戦時中に供出したのだという。

    梵鐘(昭和57年(1982年)銘)。戦時中に供出したのだという。

  • 手屋。

    手屋。

  • 手屋。

    手屋。

  • 井戸。

    井戸。

  • 水屋に安置されている子育て観音。

    水屋に安置されている子育て観音。

  • 庫裡。

    庫裡。

  • 庫裡。

    庫裡。

  • 寺務所。

    寺務所。

  • 寺務所。

    寺務所。

  • 寺務所。

    寺務所。

  • 十三重石塔。

    十三重石塔。

  • 稲荷社。

    稲荷社。

  • 石仏。

    石仏。

  • 石祠。

    石祠。

  • 本覚寺本堂。

    本覚寺本堂。

  • 本覚寺本堂。

    本覚寺本堂。

  • 本覚寺本堂。

    本覚寺本堂。

  • 本覚寺本堂。

    本覚寺本堂。

  • 本覚寺本堂屋根に上がる浪の飾り瓦。

    本覚寺本堂屋根に上がる浪の飾り瓦。

  • 本覚寺本堂屋根に上がる浪の飾り瓦。

    本覚寺本堂屋根に上がる浪の飾り瓦。

  • 本覚寺本堂に掛かる「本覚寺」の扁額。

    本覚寺本堂に掛かる「本覚寺」の扁額。

  • 本覚寺本堂石段に置かれた十二支石像。

    本覚寺本堂石段に置かれた十二支石像。

  • 本覚寺本堂石段に置かれた十二支石像。

    本覚寺本堂石段に置かれた十二支石像。

  • 高覧の彫刻。

    高覧の彫刻。

  • 高覧の彫刻。

    高覧の彫刻。

  • 天水鉢。

    天水鉢。

  • 本覚寺境内。

    本覚寺境内。

  • 本覚寺伽藍群。

    本覚寺伽藍群。

  • 本覚寺伽藍。

    本覚寺伽藍。

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