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ゴールデンウィークも終盤の5月4日、京都南座で歌舞伎を観た。色々と話題には事欠かない市川海老蔵が主演、「伊達の十役」というものだ。歌舞伎に頻繁に出かける訳ではなく、海老蔵の公演について評論できるほどの知識はないが、今回は子供に、日本文化を代表する歌舞伎を一度観せておきたい、という目的もあった。解説書によれば、「伊達の十役」は、江戸時代の仙台藩の御家騒動を題材とし、1815年に初演され、昭和54年に三代目市川猿之助(現・猿翁)が復活上演、「三代猿之助四十八撰」の中でも人気作の一つである。海老蔵は平成22年に新橋演舞場で善悪十役に初めて取り組み、今回満を持して南座での上演となる。<br /><br />歌舞伎は高いし、なかなかいい公演というのは、東京、大阪、ここ京都を除けば多くはない。ストーリーを理解していないと楽しめないだけでなく、眠気を催してしまう。また、公演は長く、今回も2回の休憩を挟んで5時間という、ワーグナーの長大なオペラにも匹敵する。度々出かけるには敷居は高い、と言わざるを得ない。<br /><br />市川海老蔵は35歳、9年前に11代目海老蔵を襲名して歌舞伎界の期待を背負っている。伊達の十役の見所は、善悪、もちろん男女、あらゆる個性を一人で演ずるという、まさに独り舞台、スター性が要求される。宙吊りあり、早変わりありと、これは娯楽作品としても立派なものだ。イヤホンガイドもあり、初めてであっても十分楽しめる、歌舞伎の今後の発展のためにも、多くの人が出かけて欲しいものである。なお千秋楽は27日である。<br /><br />実は南座に出かける前に建仁寺に詣でた。南座に近く、以前にも花見小路を散策し、近くまでは何度か行ったことがあるが、建仁寺の場内に入るのは初めてである。京都最古の禅寺であり、臨済宗の大本山で、開山は栄西禅師、鎌倉時代建仁2年(1202年)の開創、などとパンフレットにある。禅寺らしく石庭を眺めながら、縁側で瞑想することもできる。<br /><br />しかし、今回の訪問の目玉は、俵屋宗達筆による国宝「風神雷神図屏風」である。もちろんオリジナルは常時は公開されていない。しかし、ここで展示されている複製は、京都文化協会とキャノンにより開発された最新鋭の高度な技術を採用し製作されたものだ。デジタルカメラで多分割撮影し、高精度なカラーマッチングを行い、特性の和紙に大判インクジェットプリンターで出力。これに金箔や表装などの京都伝統工芸の技を加えて、オリジナルに限りなく近い複製を完成させた。また、重要文化財である「建仁寺方丈障壁画」も5年の歳月をかけて昨年完成した。制作された当時のオリジナルの迫力が伝わってくる。<br /><br />翌日はせっかく車で出掛けたので、車で足を伸ばせるところへ行こう、ということで、鞍馬寺へ行くことになった。鞍馬寺の開基は鑑真の高弟鑑禎、本尊である「尊天」は、毘沙門天王、千手観世音菩薩、護法魔王尊である。鞍馬は古来から山深い修行者の里で、母常盤御前の命乞いにより、平清盛に命だけは救われた牛若丸(源義経)が修行をした地であり、また新西国十九番札所である。<br /><br />我々は鞍馬寺の麓にあるケーブルカーの駅の近くにある雍州路という精進料理の店で食事を取った。きのこや大豆や山菜を材料にしていながらなかなかの美味で、お勧めである。この店にしばらく駐車させてもらって、ケーブルカーで参拝した。参道はすでに山の中であり、森の香りが心地よく、展望台からは山の稜線が見渡せる。なお、国宝の毘沙門天立像、吉祥天立像、童子立像などの仏像は、鞍馬山霊宝殿の3階にあり必見である。

京都南座で市川海老蔵の「伊達の十役」を観る + 建仁寺、鞍馬寺訪問

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2013/05/03 - 2013/05/05

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ハンク

ハンクさん

ゴールデンウィークも終盤の5月4日、京都南座で歌舞伎を観た。色々と話題には事欠かない市川海老蔵が主演、「伊達の十役」というものだ。歌舞伎に頻繁に出かける訳ではなく、海老蔵の公演について評論できるほどの知識はないが、今回は子供に、日本文化を代表する歌舞伎を一度観せておきたい、という目的もあった。解説書によれば、「伊達の十役」は、江戸時代の仙台藩の御家騒動を題材とし、1815年に初演され、昭和54年に三代目市川猿之助(現・猿翁)が復活上演、「三代猿之助四十八撰」の中でも人気作の一つである。海老蔵は平成22年に新橋演舞場で善悪十役に初めて取り組み、今回満を持して南座での上演となる。

歌舞伎は高いし、なかなかいい公演というのは、東京、大阪、ここ京都を除けば多くはない。ストーリーを理解していないと楽しめないだけでなく、眠気を催してしまう。また、公演は長く、今回も2回の休憩を挟んで5時間という、ワーグナーの長大なオペラにも匹敵する。度々出かけるには敷居は高い、と言わざるを得ない。

市川海老蔵は35歳、9年前に11代目海老蔵を襲名して歌舞伎界の期待を背負っている。伊達の十役の見所は、善悪、もちろん男女、あらゆる個性を一人で演ずるという、まさに独り舞台、スター性が要求される。宙吊りあり、早変わりありと、これは娯楽作品としても立派なものだ。イヤホンガイドもあり、初めてであっても十分楽しめる、歌舞伎の今後の発展のためにも、多くの人が出かけて欲しいものである。なお千秋楽は27日である。

実は南座に出かける前に建仁寺に詣でた。南座に近く、以前にも花見小路を散策し、近くまでは何度か行ったことがあるが、建仁寺の場内に入るのは初めてである。京都最古の禅寺であり、臨済宗の大本山で、開山は栄西禅師、鎌倉時代建仁2年(1202年)の開創、などとパンフレットにある。禅寺らしく石庭を眺めながら、縁側で瞑想することもできる。

しかし、今回の訪問の目玉は、俵屋宗達筆による国宝「風神雷神図屏風」である。もちろんオリジナルは常時は公開されていない。しかし、ここで展示されている複製は、京都文化協会とキャノンにより開発された最新鋭の高度な技術を採用し製作されたものだ。デジタルカメラで多分割撮影し、高精度なカラーマッチングを行い、特性の和紙に大判インクジェットプリンターで出力。これに金箔や表装などの京都伝統工芸の技を加えて、オリジナルに限りなく近い複製を完成させた。また、重要文化財である「建仁寺方丈障壁画」も5年の歳月をかけて昨年完成した。制作された当時のオリジナルの迫力が伝わってくる。

翌日はせっかく車で出掛けたので、車で足を伸ばせるところへ行こう、ということで、鞍馬寺へ行くことになった。鞍馬寺の開基は鑑真の高弟鑑禎、本尊である「尊天」は、毘沙門天王、千手観世音菩薩、護法魔王尊である。鞍馬は古来から山深い修行者の里で、母常盤御前の命乞いにより、平清盛に命だけは救われた牛若丸(源義経)が修行をした地であり、また新西国十九番札所である。

我々は鞍馬寺の麓にあるケーブルカーの駅の近くにある雍州路という精進料理の店で食事を取った。きのこや大豆や山菜を材料にしていながらなかなかの美味で、お勧めである。この店にしばらく駐車させてもらって、ケーブルカーで参拝した。参道はすでに山の中であり、森の香りが心地よく、展望台からは山の稜線が見渡せる。なお、国宝の毘沙門天立像、吉祥天立像、童子立像などの仏像は、鞍馬山霊宝殿の3階にあり必見である。

旅行の満足度
4.5
観光
4.5
グルメ
4.5
交通
4.0
同行者
家族旅行
一人あたり費用
1万円 - 3万円
交通手段
高速・路線バス タクシー 自家用車 徒歩
旅行の手配内容
個別手配
  • 南座のファサード

    南座のファサード

  • 南座の前に並ぶ芸子さんたち

    南座の前に並ぶ芸子さんたち

  • 南座の前の芸子さん

    南座の前の芸子さん

  • 五月花形歌舞伎 市川海老蔵主演の「伊達の十役」

    五月花形歌舞伎 市川海老蔵主演の「伊達の十役」

  • 南座の内部、後方の座席

    南座の内部、後方の座席

  • 南座の内部の花道

    南座の内部の花道

  • 南座で歌舞伎を鑑賞する芸子さんたち

    南座で歌舞伎を鑑賞する芸子さんたち

  • 南座の内部、座席数は約1,000人

    南座の内部、座席数は約1,000人

  • 舞台の緞帳を見る

    舞台の緞帳を見る

  • 幕間の軽食、土産物売り場

    幕間の軽食、土産物売り場

  • 建仁寺の入り口

    建仁寺の入り口

  • ◯△□乃庭、◯は水、□は地、△は火を象徴したもの

    ◯△□乃庭、◯は水、□は地、△は火を象徴したもの

  • 砂利を敷き詰めた庭園

    砂利を敷き詰めた庭園

  • 龍安寺と共通の石庭

    龍安寺と共通の石庭

  • 俵屋宗達筆による国宝「風神雷神図屏風」。オリジナルは常時は公開されていない。ここで展示されている複製は、京都文化協会とキャノンにより開発された最新鋭の高度な技術を採用し製作されたもの。

    俵屋宗達筆による国宝「風神雷神図屏風」。オリジナルは常時は公開されていない。ここで展示されている複製は、京都文化協会とキャノンにより開発された最新鋭の高度な技術を採用し製作されたもの。

  • 重要文化財である「建仁寺方丈障壁画」も5年の歳月をかけて昨年完成した。

    重要文化財である「建仁寺方丈障壁画」も5年の歳月をかけて昨年完成した。

  • 平成22年に創建800年を記念して描かれた「小泉淳作画伯)筆の双龍

    平成22年に創建800年を記念して描かれた「小泉淳作画伯)筆の双龍

  • 満開の白い花

    満開の白い花

  • 満開のピンクの花

    満開のピンクの花

  • 建仁寺三門、「御所を望む楼閣」という意味で「望閣楼」と名付けられた

    建仁寺三門、「御所を望む楼閣」という意味で「望閣楼」と名付けられた

  • 夜の先斗町の風景

    夜の先斗町の風景

  • ケーブルカーの駅の近くにある雍州路という精進料理の店

    ケーブルカーの駅の近くにある雍州路という精進料理の店

  • きのこや大豆や山菜を材料にしていながらなかなかの美味でお勧めである

    きのこや大豆や山菜を材料にしていながらなかなかの美味でお勧めである

  • 鞍馬寺の山門

    鞍馬寺の山門

  • 鞍馬寺の参道

    鞍馬寺の参道

  • 鞍馬寺の多宝塔

    鞍馬寺の多宝塔

  • 鞍馬寺の本殿

    鞍馬寺の本殿

  • 階段に現れた黄金のトカゲ、20センチはある

    階段に現れた黄金のトカゲ、20センチはある

  • 美しい山の稜線

    美しい山の稜線

  • 八重桜が満開であった

    八重桜が満開であった

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