2009/12/18 - 2009/12/21
122位(同エリア189件中)
naoさん
2009年12月18日から21日まで、雪の青森を旅しました。
今回の旅の目的は、ランプの宿とストーブ列車です。
直前までの暖かい気候をあざ笑うように出発前日にクリスマス寒波が襲来、「青森も一面の銀世界と化した」とテレビで報道しています。
幻想的な雪景色が楽しめるのは望むところなんですが、二日目からの慣れない雪道の運転に一抹の不安を抱えながらの旅になりそうです。
主な行程
12月18日 黒石、青荷温泉
12月19日 弘前
12月20日 五所川原、津軽半島
12月21日 青森
伊丹空港を8時15分発のJAL2151便で飛び立ち、青森空港には9時50分に着陸しました。
この日は、黒石の「こみせ」通りを散策した後、「ランプの宿」で人気の青荷温泉に宿泊する予定で、青森空港 ⇒ 空港バスでJR弘前駅 ⇒ 弘南鉄道で黒石駅 ⇒ 弘南バス「どさ湯さ号」で道の駅「虹の湖」 ⇒ 送迎バスで青荷温泉、というルートで向かいます。
黒石の「こみせ」は、現在全国の商店街に見られるアーケードに相当するもので、その優れた機能性から、通りの商家や通行人にとってなくてはならないものでした。
これは、通りに面する商家が、自らの所有地の一部を提供してでも厳しい自然環境から人々や建物を守るために造ったもので、東北人の優しい人間性の表れであると思います。
現在、「こみせ」通りには国の重要文化財に指定されている「高橋家住宅」をはじめ、昔ながらの造り酒屋などが残っていて、古きよき情緒を伝えています。
平成17年には国の重要伝統的建造物群に選定され、市をあげて町並みの保存・修復に努めておられます。
激しい雪に見舞われる中、名物の「つゆ焼きそば」のお店を探したり、造り酒屋で酒を仕入れたり、土産物屋さんで津軽三味線の演奏に耳を傾けたりと、あちこち歩き廻りましたが、「こみせ」のおかげで大いに助けられ、とても楽しい時間を過ごすことができました。
では次に、今宵の宿、青荷温泉へ向かいます。
青荷温泉は、黒石の山奥深く、険しい谷底にひっそりと佇む秘湯で、「ランプの宿」と言われるだけあって、ほのかなランプの明かりが醸し出すロマンチックな世界が広がっています。
テレビやラジオは用意されていませんし、もちろん携帯電話も使えません。
あるのは、厳しい自然、心地いい湯、そしてゆっくりと流れる時間だけです。
風呂は、総ヒバ造りの「健六の湯」、この温泉唯一の混浴で渓流沿いにある「露天風呂」、本館建屋内にある「内湯」、2005年に新規オープンした「滝見の湯」の4つがあります。
雪明りのなか、川の音を聞きながらゆったりと湯に浸れば、幽玄の世界に誘われることうけあいです。
黒石駅15時15分発の弘南バス「どさ湯さ号」で、宿の送迎バスが迎えに来てくれる道の駅「虹の湖」へ向かいます。
このバスは路線バスとして運行されているので、土地の方々も大勢乗り合わせていて、途中の停留所で乗客を降ろしながらバスはどんどん雪深い山奥へ入って行き、道の駅「虹の湖」にはおおよそ40分で到着しました。
道の駅で待つこと30分あまりで宿の送迎バスが迎えにきてくれたので早速乗り込みます。
ここから宿までは、冬場一般車両の通行が禁止されるほどの険しい道が続きますが、この雪の中、その険しい道を何の躊躇もなく走っていきます。
慣れておられるとはいえ、大した腕前です。
宿までの道すがら、何気なく窓の外を見ていると、走り去る電柱ごとに「ゴイッとカーブ」、「アワくなって」、「あとワンチカメエー」など、お国言葉丸出しの言葉が書かれた看板がかかっているのを見て、語感の面白さに思わず笑ってしまいました。
私なりに解読すると、「凄いカーブだよ」、「あわてるなって」、「あと少しで到着だよ」といった、遠来の客の安全を気遣ってくれる言葉のように思われ、客を暖かく迎えてくれる宿の優しい心遣いに感激しました。
部屋は「滝見の湯」の2階にある、木の香もすがすがしい和室が用意されていて、今夜は、この部屋のランプ一つだけの明かりの中で過ごします。
ただし、トイレはウォシュレットがついた洋式トイレで、さすがにここには電気がきていました。
- 交通手段
- レンタカー JALグループ 私鉄
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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JR弘前駅で、まず手始めにJR東日本、弘南鉄道、津軽鉄道、弘南バスが2日間乗り放題の「津軽フリーパス」を購入しました。
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JR弘前駅に隣接する、弘南鉄道の弘前駅にやってきました。
弘南鉄道は、弘前駅から黒石駅までの約17kmを、おおよそ30分で結ぶ民間の鉄道です。
住民の足としては勿論、沿線にある高校の通学、黒石及び青荷温泉への観光客の足としてもなくてはならない存在です。 -
11時30分発の電車に乗ります。
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駅や電車内では、地元のおばちゃん達の間で「Д●ш£юж∽♭・・・」と、津軽弁が飛び交っています。
いきなり津軽弁の洗礼です。
おばちゃん達には申し訳ないんですが、何を言っているのかさっぱりわかりません。 -
そうこうしているうちに、発車の時間になりました。
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黒石駅から慣れない雪道に手こずりながら「こみせ」通りに入ると、先ずこの建物が目に入り、その前に黒石独特の「こみせ」が続いているのが見えます。
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少し進むと・・・
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国の重要文化財に指定されている高橋家住宅があります。
高橋家住宅は黒石藩御用達の豪商の家柄で、現在の建物は宝暦13年(1763)に建てられた木造平屋建ての妻入り住宅で、ここにも「こみせ」が設けられています。 -
高橋家住宅の「こみせ」です。
今でいう商店街のアーケードに相当するもので、機能的に優れた効果を発揮していて、今でも通りの商家や通行人にとってなくてはならないものになっています。 -
屋根は垂木だけで母屋と繋がっているように見えます。
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昼食は、「蔵よし」さんで黒石名物の「つゆ焼きそば」をいただきました。
「つゆ焼きそば」とは、普通のソース焼きそばに和風のそばつゆをかけたもので、ソースと醤油が混ざり合った独特の風味の食べ物です。
「好き」、「嫌い」がはっきり分かれると思いますが、旅の土産話にはうってつけです。 -
昼食を終えてお店を出ると、先ほどの良いお天気はどこへやら、一転大雪になっていました。
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この雪の中、地元で「菊乃井」の名で親しまれている老舗の造り酒屋、鳴海醸造店さんへ「こみせ」伝いにやってきました。
この蔵の創業は文化三年(1806年)とのことで、この建物は市の有形文化財に指定されているそうです。 -
このお店厳選のお酒を仕入れて行きましょう。
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このお店は、店内に杉玉が吊り下げられています。
そういえば外には見あたらなかったですね。 -
見事な小屋組です。
その黒ずんだ小屋組みがこのお店の歴史を物語っています。 -
外は、ますます雪が激しくなっています。
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こんな時こそ「こみせ」の本領発揮です。
傘をささなくてもいいので大いに助かりました。 -
近くのお土産屋さんで津軽三味線を演奏しているというので、聞きに行きました。
津軽三味線といえば、何といっても盲目の高橋竹山(初代)さんが弾く「津軽じょんから節」を初めて聞いた時、大変衝撃を受けたことを今でもはっきり覚えています。 -
雪は衰えることを知らず、高橋家住宅の「こみせ」にまで吹き込んできます。
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さて、そろそろ「こみせ」に別れを告げる時間が来ました。
この後、黒石駅から、弘南バス「どさ湯さ号」〜宿の送迎バスと乗り継いでランプの宿へ向かいます。 -
最終の送迎バスだったので、日没寸前の薄明かりのなか宿に到着。
玄関を入るとすでにランプの世界が広がっています。 -
帳場はもちろん、廊下もランプの明かりしかありません。
旅の荷をほどくのもそこそこに、まず「健六の湯」で疲れを癒してきます。 -
この日、大広間は宴会の予約が入っているとのことで、一般客は食事処で夕食をいただきます。
料理は、山菜や川魚を中心に地元特産の食材を使ったものばかりで、素材の良さを生かし美味しく調理されています。 -
炭火の入った大きな火鉢では岩魚が焼かれているので、焼きたてを一本持って席につきました。
お味噌汁やご飯は食べ放題で、セルフサービスで給仕します。
食後、大広間の宴会がはねる前に「露天風呂」と「滝見の湯」に入ることにしました。
この雪で、さすがに露天風呂の温度は下がっていましたが、雪明りのなか、川の音を聞きながら湯に浸っていると幽玄の世界に誘われるような心地良さです。 -
おかげで、翌朝は爽やかに目覚めることができました。
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窓の外を見ると・・・、
滝が凍り付くのではないかと思えそうなくらいになっています。 -
そりゃそうでしょう、外はこんな状態なんですもの。
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大阪人の私にとっては、眩しすぎるほどの銀世界で・・・
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こんなに厳しい光景は滅多にお目にかかれるものではありません。
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奥に「滝見の湯」の建物が見えています。
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この寒さでも、さすがに「露天風呂」は湯気で靄っています。
今朝は「内湯」に入りましたが、朝早かったせいか、はたまた他のお客さんの二日酔いのおかげか、誰にも邪魔されずゆっくり暖まることができました。 -
この、1mは優に超えるツララが厳しい寒さを物語っています。
たまたま出てこられた女将さんが、「今朝はマイナス12度でした」と、平然とおっしゃっていました。
そう、平然とです・・・。 -
食事の給仕や布団の上げ下ろしがセルフサービスという煩わしさを差し引いても、ランプの明かりが持つ暖かさ、何もないことの豊かさ、そしてゆったりと流れる時間に、このうえない満足感を得ることができました。
ここに来て本当に良かった。 -
ありがとう、青荷温泉。
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ありがとう、ランプの宿。
必ずまた来ます。
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