2011年オーストリア旅行記　その3　ウィーンのシェーンブルン宮殿と庭園を見学

2011/09/16 - 2011/09/26

2011年9月の連休と夏休みを利用してオーストリアに行ってきました。
ハプスブルク家の栄華を今に伝える歴史的建造物、世界遺産に指定された美しい街並み、チロル地方を彩るアルプスの山々、高原を走る登山鉄道のＳＬ・・・。
オーストリアはヨーロッパの中では比較的マイナーですが、北海道とほぼ大きさの国内には様々な魅力に溢れていました。

今回もブログ『マリンブルーの風』に掲載した旅行記を若干省略の上再編集して掲載しています。
ブログ版の旅行記もぜひご覧ください。

『マリンブルーの風』
http://blog.livedoor.jp/buschiba/

2011年オーストリア旅行記目次
http://blog.livedoor.jp/buschiba/archives/52213513.html


■　日程

9/16　金　成田空港からウィーンへ
9/17　土　ウィーン市内観光　シェーンブルン宮殿、美術史美術館、国立図書館など見学
9/18　日　セメリンク鉄道を経由しザルツブルグへ　ハルシュタット散策、　城塞コンサート鑑賞
9/19　月　ザルツブルク観光　トラウンゼー鉄道、アッターガウ鉄道乗車
9/20　火　ツェル・アム・ゼー、クリムル散策　ピンツガウ地方鉄道乗車
9/21　水　ザルツカンマーグート観光　シャーフベルグ登山鉄道乗車　インスブルックヘ
9/22　木　インスブルック観光　市内観光、ケーブルカー、ロープウェー、トラム乗車
9/23　金　チロル観光　ツィラータール鉄道、アーヘンゼー鉄道乗車、アーヘン湖遊覧船乗船
9/24　土　インスブルック→フェルトキルヒ→ウィーンと移動　楽友協会でコンサート鑑賞
9/25　日　ホーフブルグ宮殿を見学し、空港へ
9/26　月　成田空港着

オーストリア旅行記の第3回です。
2日目はウィーン観光。まずは世界で最も美しい宮殿の一つと言われるシェーンブルン宮殿とその庭園を見学します。

エリア ウィーン(オーストリア)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 5.0
• グルメ: 5.0
• 交通: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 鉄道 高速・路線バス 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

2011年9月17日。
朝6：40起床。天気は若干雲が多いものの晴れています。
ホテルでビュッフェ形式の朝食を食べました。ベーコン、ソーセージ、ハム、パン、野菜などで、特にまずいわけでもなく、まあ普通の朝食です。

今日は丸一日ウィーン観光の予定です。行きたいところは色々ありますが、まずは「ウィーンに来たら絶対行っておけ」と言われるシェーンブルン宮殿に行くことにしましょう。
なぜならシェーンブルン宮殿はウィーンの中心部から離れた位置にあるためです。他の観光スポットのほとんどは中心部にありますから、先にシェーンブルン宮殿に行っておけば時間的ロスが少なくて済みます。
それにシェーンブルン宮殿は全世界から観光客、それも団体客が多数訪れるため、昼前になると大混雑。チケットを買って入場するまで1時間以上かかることもあるのだそうです。朝一番に行けば少なくとも待つことはないでしょう。ですので朝一番はシェーンブルン宮殿です。

というわけで、朝食を食べてすぐにホテルを出て、ウィーン西駅に向かいました。

シェーンブルン宮殿はウィーン中心部から地下鉄Ｕ４線に乗るのがアクセスとして一般的ですが、地下を走るので面白くありません。
幸いウィーン西駅からはシェーンブルン宮殿の前を通るトラムの28番系統が運行していますので、駅前広場で発車を待っているトラムに乗り込みました。
ウィーンカードを持っているので運賃はタダです。

シェーンブルン宮殿に向かう28番系統は朝のウィーンをゆっくりと走ります。乗客はまばら、ほとんどが宮殿に向かう観光客です。日本人や中国人が多いようです。

ウィーン西駅から15分ほどでシェーンブルン宮殿の目の前にある電停に到着しました。

トラムを見送り、宮殿に向かい道路を渡ります。すでに目の前には大きな建物が見えています。

宮殿の手前で地下鉄の線路をまたぎます。トラムの電停は宮殿の正面ですが、地下鉄のシェーンブルン駅は宮殿入口から10分ほど歩いた場所にあります。

さあ、シェーンブルン宮殿の入口にやってきました。

シェーンブルン宮殿はハプスブルク家の栄華を今に伝えるウィーン風ロココ様式の宮殿で、世界遺産に指定されています。
ウィーンを代表する観光地であり、庭園も合わせて年間670万人もの観光客が訪れるそうです。
ただし見学できるのは宮殿のすべてではなく、居室1441室のうち45室となっています。

もともとは17世紀末に建てられた狩猟用の別荘で、シェーンブルンの名は17世紀初頭の神聖ローマ皇帝マティアスがこの地で美しい（シェーン）泉（ブルン）を見つけたことにちなんでいるようです。
その後歴代皇帝が増築と改築を行い、18世紀中頃のマリア・テレジア女帝の大改築によりほぼ現在の姿となりました。
建物にはもともと金を塗る予定でしたが、マリア・テレジアが財政状況を考慮し、黄金に似せた黄色にしました。
この色はテレジア・イエローと言われています。

シェーンブルン宮殿はハプスブルク家の夏の離宮として使われました。
1762年には、当時6歳だったモーツァルトがこの宮殿に招待され、マリア・テレジアやマリー・アントワネットらの前で演奏しました。
この時宮殿内で転んだモーツァルトを助け起こした当時7歳のマリー・アントワネットに対し、モーツァルトが「僕と結婚して」とプロポーズしたという逸話が残っています。

またシェーンブルン宮殿は政治の舞台にもたびたび登場し、1805年と1809年にはナポレオンが司令部を置き、1815年には「会議は踊る」で有名なウィーン会議がここで開かれました。
1918年にオーストリア＝ハンガリー帝国が崩壊すると新生オーストリア共和国の所有となり、改装の上博物館として利用されるようになりました。
現在でも国の公式行事や海外から国賓を招いての国家公式晩餐会などで使用されることがあり、1961年にはケネディとフルシチョフの会談にも使用されました。
　

ここがシェーンブルン宮殿の入口です。中に入るとチケット売り場があります。

シェーンブルン宮殿の入場チケットにはいくつか種類があります。
まずインペリアルツアー。フランツ・ヨーゼフ１世とエリザベート皇后夫妻の居住した部屋や、公式セレモニーが行われた大広間など計２２部屋を見学できるコースで、10.5ユーロ。
所要３０〜４０分です。ツアーと言ってもオーディオガイド（日本語あり）を聞きながら自分で見学する形になり、ガイドによる案内を希望する場合は追加料金となります。

もう一つはグランドツアー。インペリアルツアーの２２部屋に加え、１８世紀の女帝マリア・テレジア時代の部屋など合計４０部屋を見学できるコースで、13.5ユーロ。
所要１時間です。

ただし、これら２つのチケットは入場時間が指定されてしまい、混雑する時間だとチケットを買ってもすぐに入場できず、１時間以上待たされることもあるそうです。
限られた時間しかありませんから、見学にかかる時間が読めないのは困ります。

実はこうした悩みを解決してくれるチケットがあります。
シェーンブルン宮殿のインペリアルツアーと市内中心部にあるホーフブルク王宮の入場券がセットになったシシィチケットというもので、値段は23.5ユーロ。別々に買うよりも25％安くなります。
シシィチケットのメリットはそれだけではありません。このチケットを買えば通常シェーンブルン宮殿へ入場する際の時間指定がなくなるのです。
つまりシシィチケットさえあれば混雑していても待たずに即入場できるのです。これは非常に大きいです。
シェーンブルン宮殿もホーフブルク王宮もすばらしい宮殿ですから、両方を見学する価値は充分にあります。
そこで私はこのシシィチケットを購入することにしました。

チケットの発売は8：15から。まだチケット売り場には誰もいません。それでも団体は別なのでしょう。まだ8時ですがいくつかの集団が宮殿内に入っていきました。

チケットは窓口のほか自動券売機で購入することもできます。しかし自動券売機はグランドツアーかインペリアルツアーしか購入できないため、シシィチケットを買うためには窓口が開くまで待つしかありません。

やがて8：15になると係員がやってきて窓口が開きました。さっそくシシィチケットを購入します。23.5ユーロですがウィーンカードを見せると2ユーロほど割引になりました。
入場は8：30からとなっているはずですが、窓口の係員が「もう入っていいですよ」と言うのでそのまま進みました。
リュックは預けなければならないようです。ただし私は昨日買ったショルダーバックにカメラなどを詰替えていますので大丈夫でした。

団体の後に続いてゲートを通過ここからは写真撮影禁止なので、残念ながら写真はありません。
ゲートにあるカウンターで日本語のオーディオガイドを借り、日本語の解説を聞きながら各部屋を見学します。
団体客をさっさと抜き去れば、あとは少人数で静かにゆっくりじっくりと豪華できらびやかな内装と調度品を堪能することができます。

この宮殿の見どころは様々。
皇帝フランツ・ヨーゼフが過ごした質素な私室と執務室。彼と結婚し、絶世の美人として知られた皇后エリザーベト、愛称シシィの部屋、6歳のモーツァルトが演奏した鏡の間。
中国風の部屋、最後の皇帝カール１世が皇帝位放棄の署名をした青い陶器の部屋、ウィーン会議で政府首脳が毎日踊り明かしたミリオンの部屋などがあります。
どの部屋も豪華絢爛、息をのむ美しさでした。やはりウィーンに来たら訪問必須ですね。おすすめの観光スポットです。


約1時間ほどで宮殿の見学を終え、売店でお土産を買いました。
シェーンブルンと書かれた小さなワインをレジに持っていったら、店員に「ワーオ」と言われました。未成年と思われたのでしょうか。

9時半ごろに宮殿の見学を終え、今度は宮殿の後ろに広がる庭園を散策することにしました。
広大な庭園は1779年から公園として一般開放されています。18世紀のマリア・テレジア時代のバロック様式が現在もそのまま残っており、宮殿同様世界遺産に指定されています。

宮殿の宮殿内部と異なり、庭園は無料で入場することができます。宮殿の後ろ側からまっすぐに伸びる通路。美しいです。

宮殿から斜めに伸びる通路。街路樹がまっすぐに剪定されていますね。日本では見られないデザインです。

丘の上にグロリエッテという建物が建っています。1775年にマリア・テレジアがプロイセン戦の勝利を祝い、また戦没者の慰霊のため建てたもので、内部はカフェになっています。
まずはそこに向かいましょう。

通路の左右には花壇が広がります。美しく手入れされています。

ネプチューン像の前に来ました。グロリエッテはこの先です。

階段を登りネプチューン像の裏側に回ってみました。

ネプチューン像の裏側から見たシェーンブルン宮殿。ここは噴水になっているようです。

ここからは10分ほど山登りです。ジグザグの上り坂をひたすら歩きます。目指すグロリエッテは丘の上。小雨がぱらついてきました。

頂上に着きました。黄色いシェーンブルン宮殿がウィーン市街をバックに建っています。
晴れていたら青空に映えるでしょう。美しい景色です。
でも宮殿から丘の上までは歩いて20分かかります。この絶景を楽しむには時間と体力と相談しないといけませんね。

見ろ！人が××のようだ！
と、お約束のセリフを呟いてみます。

ウィーン市街の教会のひとつが見えます。

グロリエッテの近くまで来ました。

グロリエッテ前の池では水鳥が羽を休めていました。

グロリエッテの中に入るとカフェがありました。かなり混み合っています。あまり時間がないので何も食べずに写真だけ撮りました。

丘を登るのが大変という人たちのために、こんなものがあります。

グロリエッテからわき道にそれ、出口を目指します。
森の中にはこのような小道がいくつもあり、ウィーン市民がランニングを楽しんでいました。

リス発見。

ネプチューン像のところに戻ってきました。ちょうど噴水の水が出る時間だったようです。

ネプチューン像から数分歩くと、ローマ時代風のモニュメントがありました。

さらに行くとオベリスク風のモニュメントがありました。

こちらも噴水になっています。

オベリスクからしばらく歩くと、まっすぐに切りそろえられた街路樹の向こうに宮殿が見えてきました。

ちょっとわき道にそれ、庭園を散策します。球体や円筒の形に切りそろえられた木々が生えています。なんでこんな形なんでしょう。

いたるところに噴水やモニュメントや池があります。
柵に囲われた謎の庭園もありましたが、入場に10ユーロも取られるので外からのぞくだけにしました。
そうこうするうちにもう11時です。庭園内を1時間半近くさまよっていたことになります。
この後も見学の予定が盛りだくさんですから、そろそろシェーンブルン宮殿を出ることにしましょう。
宮殿の正面入口を通ったらものすごい行列ができていました。やはり早く来て正解です。

次回は明日乗車予定のウィーンマイドリング駅の下見をし、ウィーン中心部に入ります。