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わが配偶者は、寒さに弱い。<br />気温が10度を下回ると動きが鈍くなり、5度を下回る瞼が重くなり、その場で冬眠を始める。<br /><br />よって鯨家においては、この季節、<br /><br />「お母さんが冬眠に入ったから、ストーブたいて」<br /><br />なんて会話が普通に交わされる。<br />イグアナでも飼ってるみたいである。<br /><br />ちなみに彼女は新潟市・古町の商家の産であるが、つねひごろ、<br /><br />「暑いのはいくらでも平気だけど、寒いのはイヤ」<br /><br />と公言してはばからない。なにしろ18の春、<br /><br />「イナカはイヤ。雪のない、あたたかい土地の人と結婚するのよ」<br /><br />と宣言し、雪のエチゴを後にして、はるばる上京したオナゴである。<br /><br />しかしその4年後、なぜか、同じエチゴ、しかもドイナカ、しかも豪雪地出身、という男と結婚してしまうのであった。<br />よほどその男がステキだったに違いない。<br />もしかしたら騙されたのかもしれないが、それは騙されたたほうが悪いとゆうものである。<br /><br /><br />で、このたび、ふたりで冬のフランスにトツゲキすることになった。<br />12月21日に成田を立ち、27日午後帰国。いわゆるクリスマス休暇である。チケットも年末年始の直前であるから安い。<br />現地4泊であるから<br /><br />「オシッコだけして帰ってきました」<br /><br />みたいな感じである。<br /><br />「寒いのはイヤ」<br /><br />と、彼女がゆうので、まっつぐ、南のプロヴァンス地方をめざすことにした。<br />いかにも安易だが、すくなくともパリよりは暖かいに違いない。<br /><br />調べてみると、パリのドゴール空港から、直通のTGVがプロヴァンスまで走っている。<br />飛行機をリザーブして、TGVの時間を調べると、到着後30分後に、マルセイユ行きのTGVがあるではないか。<br /><br />「これだ!」<br /><br />と、フランス・パスといっしょに、代理店を通して、リザーブしてしまう。別途6000円。あいたたた。<br />(⇒TGVは事前に予約が必要。ユーレイルパス、フランスパスの販売ぶんは、当日だと売り切れるリスクもある)<br /><br />しかし、よく考えてみると。国際空港30分乗り換え、というのは、いかにもムチャではないか。<br />しかもよく見ると、到着便はターミナル1、TGV駅はターミナル3。<br />空港の端と端である。<br />成田と羽田ほどは離れていなくとも、上野と鶯谷くらいは離れてそうではないか。<br /><br />最大のポイントは、荷物の受け取りであろう。<br />あれは、どうあがいても、鯨の荷物は、一番最後に出てくるようになっているのである。<br />とにかく魔法にかかったように、いつもいつもいつもいつも、一番最後なのだ。<br />鯨は荷造りをしている配偶者に、決然と宣言した。<br /><br />「今回は、荷物は機内持ち込みだけ。重量10キロ以内」<br /><br />「ムリよ、よく考えてよ、あっちは寒いのよ」<br /><br />「うむ。であれば、全部着ていこうではないか」<br /><br />「・・・」<br /><br />とゆうわけで、成田にやってきたふたりは、日本一の着膨れカップルになっていた。<br />下着、長袖シャツ、セーターの上にチョッキ、カーディガン、それにコートを着込む。<br />「アラスカからイヌイット夫妻が成田到着で出迎えゼロ」みたいな状況である。<br />さらに力士の着ぐるみみたいである。<br />旅行前というよりは、バラエテイー番組に呼ばれた売れない夫婦漫才みたいなのであった。<br />

なんちゃってプロヴァンス・パリ素通りでTGVにトツゲキ

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2011/12/21 - 2011/12/21

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旅行記グループ なんちゃってプロヴァンス

4

6

鯨の味噌汁

鯨の味噌汁さん

わが配偶者は、寒さに弱い。
気温が10度を下回ると動きが鈍くなり、5度を下回る瞼が重くなり、その場で冬眠を始める。

よって鯨家においては、この季節、

「お母さんが冬眠に入ったから、ストーブたいて」

なんて会話が普通に交わされる。
イグアナでも飼ってるみたいである。

ちなみに彼女は新潟市・古町の商家の産であるが、つねひごろ、

「暑いのはいくらでも平気だけど、寒いのはイヤ」

と公言してはばからない。なにしろ18の春、

「イナカはイヤ。雪のない、あたたかい土地の人と結婚するのよ」

と宣言し、雪のエチゴを後にして、はるばる上京したオナゴである。

しかしその4年後、なぜか、同じエチゴ、しかもドイナカ、しかも豪雪地出身、という男と結婚してしまうのであった。
よほどその男がステキだったに違いない。
もしかしたら騙されたのかもしれないが、それは騙されたたほうが悪いとゆうものである。


で、このたび、ふたりで冬のフランスにトツゲキすることになった。
12月21日に成田を立ち、27日午後帰国。いわゆるクリスマス休暇である。チケットも年末年始の直前であるから安い。
現地4泊であるから

「オシッコだけして帰ってきました」

みたいな感じである。

「寒いのはイヤ」

と、彼女がゆうので、まっつぐ、南のプロヴァンス地方をめざすことにした。
いかにも安易だが、すくなくともパリよりは暖かいに違いない。

調べてみると、パリのドゴール空港から、直通のTGVがプロヴァンスまで走っている。
飛行機をリザーブして、TGVの時間を調べると、到着後30分後に、マルセイユ行きのTGVがあるではないか。

「これだ!」

と、フランス・パスといっしょに、代理店を通して、リザーブしてしまう。別途6000円。あいたたた。
(⇒TGVは事前に予約が必要。ユーレイルパス、フランスパスの販売ぶんは、当日だと売り切れるリスクもある)

しかし、よく考えてみると。国際空港30分乗り換え、というのは、いかにもムチャではないか。
しかもよく見ると、到着便はターミナル1、TGV駅はターミナル3。
空港の端と端である。
成田と羽田ほどは離れていなくとも、上野と鶯谷くらいは離れてそうではないか。

最大のポイントは、荷物の受け取りであろう。
あれは、どうあがいても、鯨の荷物は、一番最後に出てくるようになっているのである。
とにかく魔法にかかったように、いつもいつもいつもいつも、一番最後なのだ。
鯨は荷造りをしている配偶者に、決然と宣言した。

「今回は、荷物は機内持ち込みだけ。重量10キロ以内」

「ムリよ、よく考えてよ、あっちは寒いのよ」

「うむ。であれば、全部着ていこうではないか」

「・・・」

とゆうわけで、成田にやってきたふたりは、日本一の着膨れカップルになっていた。
下着、長袖シャツ、セーターの上にチョッキ、カーディガン、それにコートを着込む。
「アラスカからイヌイット夫妻が成田到着で出迎えゼロ」みたいな状況である。
さらに力士の着ぐるみみたいである。
旅行前というよりは、バラエテイー番組に呼ばれた売れない夫婦漫才みたいなのであった。

同行者
カップル・夫婦
一人あたり費用
10万円 - 15万円
交通手段
鉄道 レンタカー 徒歩
旅行の手配内容
個別手配
利用旅行会社
エアトリ
  • が、遠路はるばる、ドゴール空港についてみれば。<br />ヒコーキは追い風で30分の早着。さらにTGVは20分の延着なのであった。<br />恥を忍んで、着膨れしたのに、この責任はだれが取ってくれるのか。<br /><br />TGVは南に向かって走り出す。<br />すでに外は真っ暗である。景色なんてなんも見えん。おまけに雨も降りだす。<br />横を見ると、配偶者はお約束で、早くもウトウトしはじめている。<br />今回は終点ではない。よって爆睡されても困る。<br />ツンツン、とつついてみる。<br /><br />「寝てないでね」<br /><br />「はい」<br /><br />返事だけはいい。まだ寝てる。<br /><br />「行きたいところ、事前にチェックしといてね」<br /><br />「はい。そします」<br /><br />のそのそ起き出し、彼女が読み出したのは日本から持参した週刊誌であった。<br />フランスまで来て雅子様かよ。<br /><br />「ガイドブック読めっての」<br /><br />苦言を呈しつつ、週刊誌を取り上げる。<br />と、彼女は、しぶしぶ、といった風情で、「地球の歩き方」を取り出て読み始める。<br />なんだかアホアホ受験生に参考書を強要してるみたいである。<br /><br />「…どうせなんにも調べてないだろ」<br /><br />「忙しかったんだもん」<br /><br />宿題サボった高校生かよお前は。<br /><br />「ワシのこと、便利な添乗員と思ってるだろ」<br /><br />「あー確かにそれはあるかも」<br /><br />あー確かにじゃねーよ。車内に置いていくぞコラ。<br />

    が、遠路はるばる、ドゴール空港についてみれば。
    ヒコーキは追い風で30分の早着。さらにTGVは20分の延着なのであった。
    恥を忍んで、着膨れしたのに、この責任はだれが取ってくれるのか。

    TGVは南に向かって走り出す。
    すでに外は真っ暗である。景色なんてなんも見えん。おまけに雨も降りだす。
    横を見ると、配偶者はお約束で、早くもウトウトしはじめている。
    今回は終点ではない。よって爆睡されても困る。
    ツンツン、とつついてみる。

    「寝てないでね」

    「はい」

    返事だけはいい。まだ寝てる。

    「行きたいところ、事前にチェックしといてね」

    「はい。そします」

    のそのそ起き出し、彼女が読み出したのは日本から持参した週刊誌であった。
    フランスまで来て雅子様かよ。

    「ガイドブック読めっての」

    苦言を呈しつつ、週刊誌を取り上げる。
    と、彼女は、しぶしぶ、といった風情で、「地球の歩き方」を取り出て読み始める。
    なんだかアホアホ受験生に参考書を強要してるみたいである。

    「…どうせなんにも調べてないだろ」

    「忙しかったんだもん」

    宿題サボった高校生かよお前は。

    「ワシのこと、便利な添乗員と思ってるだろ」

    「あー確かにそれはあるかも」

    あー確かにじゃねーよ。車内に置いていくぞコラ。

  • 結局、30分遅れでアビニョンTGV駅に到着した。<br />力尽きてゴーゴー寝ている配偶者をたたき起こす。<br />三々五々、お客さんが降りていく。<br /><br />郊外の駅で、周囲は暗い。<br />ひろびろした駐車場が敷設されており、お客さんのほとんどはそちらに向かう。<br />年配のツーリストはタクシー乗り場に並ぶ。<br /><br />われわれはガチの節約旅であるから、北口の「旧市街行きバス停」にたどりつく。<br />バスの運転手さんは、退屈そうに路上でタバコを吸っていた。<br />さっそく近づき、ショートホープを進呈する。<br />おじさんは<br /><br />「おージャポネか」<br /><br />とニッコリし、アビニョン旧市街マップをくれた。

    結局、30分遅れでアビニョンTGV駅に到着した。
    力尽きてゴーゴー寝ている配偶者をたたき起こす。
    三々五々、お客さんが降りていく。

    郊外の駅で、周囲は暗い。
    ひろびろした駐車場が敷設されており、お客さんのほとんどはそちらに向かう。
    年配のツーリストはタクシー乗り場に並ぶ。

    われわれはガチの節約旅であるから、北口の「旧市街行きバス停」にたどりつく。
    バスの運転手さんは、退屈そうに路上でタバコを吸っていた。
    さっそく近づき、ショートホープを進呈する。
    おじさんは

    「おージャポネか」

    とニッコリし、アビニョン旧市街マップをくれた。

  • 旧市街までは20分、1.3ユーロ。<br />バス停を降りると、市街をぐるりと囲む城郭が、イルミネーションで光っている。<br />なるほど、クリスマスなのだなとおもう。<br />

    旧市街までは20分、1.3ユーロ。
    バス停を降りると、市街をぐるりと囲む城郭が、イルミネーションで光っている。
    なるほど、クリスマスなのだなとおもう。

  • バス停からまっすぐ北上すると、100メートルで予約したホテルの名前を見つけた。<br />午後9時30分。ようやくにして、着膨れ東洋人の初日の移動が終わった。<br /><br />夕食は、通りの並びにある海鮮系のレストランに飛び込む。

    バス停からまっすぐ北上すると、100メートルで予約したホテルの名前を見つけた。
    午後9時30分。ようやくにして、着膨れ東洋人の初日の移動が終わった。

    夕食は、通りの並びにある海鮮系のレストランに飛び込む。

  • ワシはとりあえず生カキにビール。<br />ワシの場合、馬鹿で単純なので、生カキさえあれば満足なのである。<br />プリプリツヤツヤな方々が、6つ鎮座して9ユーロ。安いがな。ビール6ユーロ。<br />よいではないか、よいではないかー、と叫びつつ、2分で完食してしまう。<br />

    ワシはとりあえず生カキにビール。
    ワシの場合、馬鹿で単純なので、生カキさえあれば満足なのである。
    プリプリツヤツヤな方々が、6つ鎮座して9ユーロ。安いがな。ビール6ユーロ。
    よいではないか、よいではないかー、と叫びつつ、2分で完食してしまう。

  • 彼女はホタテとベーコンのクリームソース。つけあわせのリゾットがうまそうだ。<br />ホタテとベーコンに白ワインが合うらしく、早くも目がウルウルしている。<br /><br />今回、彼女のミッションは「おいしいフランス料理」なのである。<br />それも海鮮系希望なのだ。<br /><br />「ああシアワセ。もうシアワセ。あす浦和に帰ってもいいわ」<br /><br />初日からボケをかましつつ、アヴィニョン夜は更けて行くのだった。<br />

    彼女はホタテとベーコンのクリームソース。つけあわせのリゾットがうまそうだ。
    ホタテとベーコンに白ワインが合うらしく、早くも目がウルウルしている。

    今回、彼女のミッションは「おいしいフランス料理」なのである。
    それも海鮮系希望なのだ。

    「ああシアワセ。もうシアワセ。あす浦和に帰ってもいいわ」

    初日からボケをかましつつ、アヴィニョン夜は更けて行くのだった。

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この旅行記へのコメント (4)

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  • mauibananaさん 2012/01/07 17:05:48
    素晴らしいテンポ!
    鯨の味噌汁さん

    はじめまして、こんにちは!
    mauibananaと申します。
    この度はご訪問ありがとうございました。

    めっちゃ面白い文章に唸ってます。
    こんなふうに書けたらいいなあ。
    それにフランスなので、特に親近感が増します。

    私もこの時期、海外逃亡してました。
    でもまだ画像も整理してない状況です。
    ボチボチやるのでまた見に来てください!

    それでは、続きをゆっくり拝見しま〜す!

    mauibanana

    鯨の味噌汁

    鯨の味噌汁さん からの返信 2012/01/08 12:49:30
    RE: 素晴らしいテンポ!
    mauibananaさん

    こんにちは、はじめまして。

    おこしいただき、ありがとうございます。

    旅から戻ってきて、レ・ボーってあんな不便なトコ、みなさんどうやって行ってるんだろ、と思い、mauibananaさんのブログにたどりつきましたの。
    やっぱりクルマでいらしてたんですね。
    しかもよい季節に行かれてますねー。
    写真もすばらしいです…

    > 私もこの時期、海外逃亡してました。
    > でもまだ画像も整理してない状況です。
    > ボチボチやるのでまた見に来てください!

    了解です!

    ちなみにワシの場合写真はほとんど撮ってないんです。
    カメラが異常にニガテで(⇒機械オンチ)、電池の入れ替えもロクにできないんですの。
    いつも「今度こそはちゃんと記録に残そう」と心に誓って旅に出るのですが、4日間で50ショット、うち半分ピンボケとかですの。
    とほほでございます。
  • ももであさん 2012/01/03 23:35:01
    Je t'aime ♪
    鯨の味噌汁さん

    相変わらず見事な、爆笑の軽妙路線。しかもアップが早い!

    イヌイット夫婦が、空飛ぶ鯨に乗り込んだかと思うと、巨大な蛇で
    あっという間に、アヴィニヨン到着。
    奥様のアザラシのマントが、実にお似合い♪

    夏場は観光客と大道芸人で賑わう法王庁前も、すっかりミストラルに
    吹き飛ばされた感じですね。

    へぇ〜、随分と親切なおねいさんですねー。いいなぁ
    ぼくは、そこまでしてもらったことがないです。
    オプションのレンタル料は、一晩おいくらでしょう?

    その前にフランス語で愛をささやくiPhoneアプリが必要でしょうか。

    ももであ

    鯨の味噌汁

    鯨の味噌汁さん からの返信 2012/01/04 07:57:00
    RE: Je t'aime ♪
    ももであさん

    > アップが早い!

    早いのがトリエです。現地でのメモをほとんどそのまま載せてますの。
    ちなみに若いころは「早撃ち鯨」としてフーゾク嬢の間で名をはせていました(ウソ)。

    > 奥様のアザラシのマントが、実にお似合い♪

    旅の前にジャスコで買ってました。しかもキッズコーナーの一品。もう50なのにすこし考えてほしい。

    > ぼくは、そこまでしてもらったことがないです。
    > オプションのレンタル料は、一晩おいくらでしょう?

    「一晩」ですか「一晩」。
    用途が異なるような気が。
    でもお嬢さんがたの美人度は、ギリシャのほうが上だった気がいたします。

鯨の味噌汁さんのトラベラーページ

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