2011/05/13 - 2011/05/19
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アルデバランさん
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キャノンゲートを下り、今はイギリス王室のエディンバラの離宮となっているホーリールード宮殿そして隣接するホーリールード修道院をまわった。
スコットランドの歴史的建物を見る上での必須アイテムと言ったら…
そう、「宗教問題」
カソリック、イギリス国教会、チャーチ・オブ・スコットランド(長老派教会)
この3者が入り乱れ(オリバー・クロムウエルの「ピューリタン」なんてのもあってエディンバラは大迷惑を蒙ったけどね…)
時には激しく争い、時には妥協し、内部分裂、統一を繰り返し、様々な歴史的事象の遠因となった。
そりゃそうだよね、イングランドとの同君連合、合同で、国王は宗教制度の違うイングランドの国王を兼ね、さらにはカソリックの国王なんてのもいたから…
ここホーリールード宮殿やホーリールード修道院も例外ではなくカソリック、イギリス国教会そして宗教改革の洗礼をうけた。
天気がはっきりしない上にハードスケジュールの無理がたたったのか体調不良で宮殿見学後のアーサーズ・シートまでの散策はあきらめた。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 徒歩
-
さらに道を下ります。
High stを過ぎるとロイヤル・マイルはキャノンゲートと呼ばれる地区になります。
両側にはいろんな柄の旗がはためいてました。 -
Old Tolbooth Wyndの路地を跨いで建っているのが、塔とでっかいソーシャル・クロックが通りに突きでたキャノンゲート・トルブースです。
-
通りに面した外階段を上がって行くと、2階にはピープルズ・ストーリーという博物館があります。
1700年代の庶民の暮らしや仕事、レジャーを紹介した博物館です。
無料なのですが、随分時間が経過してしまい既に3時半
ホーリールード宮殿を優先するため先を急ぎます。
天気も怪しくなってきてポツリポツリときたので… -
ピープルズ・ストーリーの向かい側
Bakehouse Closeの入口が見える、三つの切妻屋根と漆喰が美しいハントリー・ハウス。
壁にはラテン語で幾つかのモットーが書かれており、「話す家」(The Speaking House)と言われてます。
そしてその手前がエディンバラ博物館。
ここも無料ですが先を急ぎます。 -
先を急ぐと言った矢先…
そこにあったキャノンゲート教会。
由緒ある教会なんで外せません。
中に入ると、どこから来たのか聞かれ、「日本から」と答えると
親切にも日本語の説明書きを見せてくれました…
ジェームス2世(ジェームス7世)によって建てられ、資金は裕福な商人のトーマス・ムーディーさんが拠出したそうでおかげで彼の紋章が入口上部に掲げられてます。
その証拠にT・Mの頭文字が見えます。 -
でも、ジェームス2世がここを建てたのは、ホーリールード修道院をカソリックにするために、
それまでいた長老派を追い出して、彼らの受け皿としてここを建てたのでは?
何故かというと内部はいたってシンプルだから。
ただし、説明書きには廃墟となったホーリールード修道院を引き継いだ由緒ある教会だと書いてありました。 -
キャノンゲート教会も裏に墓地を併設してます。
ちょいと覗いてみようと教会横の砂利道を歩いていると…
誰が埋めたのか、砂利道に碑が埋まっており「つまずいたら、どうするんじゃ!」と良く見ると
ん?「ADAM SMITH?」 -
更に、すこし進んでお墓の一角に…
縦数センチ、横20センチ、ちょうどレンガの大きさです。
そういえば、ロイヤルマイルにも像がありました。
まさかあの像の主?それにしては小さすぎます。
ここで携帯から画像を送りメールで友人に問い合わせ…
回答はフォース湾をはさんだ「生まれ故郷のカーコーディにあるはず」とのこと -
そしてまわりを良く見ると、一際立派な墓地がキャノンゲート・トルブースの建物を背にしてありました。
神の見えざる手によって導かれたのか、かの「道徳感情論」「国富論」の著者にして古典派経済学の始祖、アダム・スミスの墓に違いないと勝手に断定。
そうすると、あのちっちゃな碑はなんだったんだろう… -
確認のため、教会に戻って案内のおばちゃんに
「ここのお墓で最も有名な人はだあれ?」と聞くと
「アダム・スミス」という期待の答えに反して帰ってきたのは…
グレイフライヤーズと同じく敷地外にある「ロバート・ファーガスンじゃ」
あらら?アダム・スミスは?なんせポピュラーな名前だから同姓同名?
ちょいと確信が揺らぐ… -
まずい!
貴重な時間を30分も使ってしまった…
でも、もうここからは目と鼻の先で、見えてます。 -
ロイヤルマイルを下るとホーリールード宮殿に突き当たりますが、
その突き当たりの手前にあるのが竣工前から予算面等でいろいろ物議をかもしたスコットランド議会議事堂
なんせ当初予算の10倍かかったというから…
バックはアーサーズ・シートのソールズベリー・クラッグスの断崖。
醸造所の跡地を再開発した当時は、イアン・ランキンのリーバス警部のミステリー小説の著述の時期と重なってたびたび出てきておなじみです。
時間が余ったら立ち寄ることに。 -
そして道をはさんで対面には教会の建物。
かつてのホーリールード自由教会
スコットランド教会と統合した為か、今は教会としては使用しておらず、クィーンズ・ギャラリーとして王室のお宝を展示してます。 -
そして奥の突き当たりがホーリールード宮殿です。
ゲートは閉まっておりちょいと不安でした。 -
ゲートの間から覗くと観光客が三々五々、中に入って行きます。
よかった、間に合って…
チケットセンターは右手横の建物でした。 -
クィーンズ・ギャラリー1階の一角にあるチケット売り場で入場券を買います。
ガラガラだし、大して並んでいないのに、効率が悪くノンビリ対応してるので、やけに時間がかかりました。
クィーンズ・ギャラリーも見るか?と聞かれたけど
とてもそんな時間はなさそうなので、宮殿だけのチケットを購入。 -
入場料を払って進むと、この入口でオーディオ・ガイドを貸してくれます。
日本語のガイドもあってよかった… -
ガイドを耳にしながら声の指示に従って進みます。
なになに?「正面の建物で左側の塔が最古の建物…」 -
王冠を頂く中央入口の塔や紋章に圧倒されながら中に入ります。
-
中世スコットランド歴代の王や妃は中世の城であるエディンバラ城より、こちらの方がいいと言ってこちらを好んだといいますが、分からないでもないですね。
-
中庭から建物を見ます。
ギリシア風のペディメントに描かれてるのは同じように宮殿のあちこちに描かれているユニコーンとライオン -
中庭です(この先は撮影禁止でした…)
このホーリールード宮殿を語るにはやはりスコットランド女王メアリーを抜きにしては語れません。
嫉妬にかられた夫であるダーンリ卿が秘書のイタリア男リッツィオを女王陛下メアリーの目の前で刺し殺した寝室の階段、ジョン・ノックスと宗教論議を戦わせ一歩も引かなかったメアリー、いにしえから連綿と続く歴代スコットランド王の肖像。
オーディオガイドは丁寧に説明してくれます。 -
ところが、昨日までの無理と朝からのエディンバラ城、ロイヤルマイルと根を詰めすぎたのか、はたまたスコットランド王家の呪いなのか(なんせスコットランドの王の王たる所以はいかに残忍に殺されたかという事だから…)
急に体調が悪くなり、グレート・ギャラリーの部屋で絵画を眺めている途中で狭心症の発作が…
寄りかかるように警備係の椅子に勝手に座り込みニトロを舌下しました。
これには係の女性も心配してくれたけれど少々の休憩で事なきを得ました。
大げさにならずによかった… -
ホーリールード宮殿を出たところですべて終わりではありません。
裏手にあるホーリールード修道院を見なくては半分しか見たことになりません。 -
といっても、ホーリールード修道院は教会の廃墟ですが。
スチュアート朝の王や王妃が埋葬されていたけどいまはちゃんとした所にうつされたという事です。 -
イングランドとの因縁の戦いはエディンバラ城が難攻不落の要塞ならば、ここは飛んで火にいる夏の虫のような存在。
格好の餌食となりました。
イングランド軍の乱暴狼藉、そのおかげでこんなになっちゃった訳じゃあないだろうけど… -
そもそもジェームス2世(爺ちゃんがほらあのスコットランド王にしてイングランド王も兼ねたジェームス1世)はカソリックを公言してはばからないオッちゃんで、こともあろうにこのアビーをカトリックの教会にしようとお偉方の首を総とっかえ。
-
でも、議会を無視しすぎて長続きしなかったんですねこれが。
世に言う名誉革命であわれジェームス2世はフランスに…
エディンバラの長老派の人たちはこのチャンスを見逃さなかったね。
ここホーリールード修道院は憎しみの多少となってあわれこのような姿に… -
建物のわりに柱が太いのは、元はもっと規模の大きい建物だったと思います。
真西方面…
多分あそこが正面入口だったはずです。 -
北側廊から東方面。
約束どおり東西に配置されていますが、身廊だけで、交差廊、袖廊、内陣が見当たりらず、十字になってません。
ここで、念のためにGoogleの航空写真で確認すると…
やはり、あの東壁の先に礎石だけが残って十字状になって大聖堂級の巨大な建物だったことがわかります。 -
ホーリールード修道院を出るとホーリールード・パークです。
ホーリールード・パークはアーサーズ・シートまで続く260ヘクタールもの広大な敷地で、この端をかすめるようにアビーをぐるっと迂回する歩道を歩けば、ホーリールード宮殿の出口に行けます。 -
庭園には色んな色のシャクナゲや、
-
紫モクレンが咲いてました。
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ホーリールード修道院を横から見た図です
右の後方に宮殿も見えます。 -
北袖廊があったと思われるところからは北側の壁が見れます。
北側は控え壁も取り払われて壁だけが残ってます。
右端は北タワーですね… -
小道を隔てた所は礎石が残ってますが身廊の延長線であることから奥内陣があった所ではないでしょうか。
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そしてホーリールード・パークは彼方のアーサーズ・シートまでひろがってます
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ホーリールード・パークを散歩する人たちの姿が見えます。
あそこまで往復するにはゆうに1時間は見なくてはなりません。
暗くなるまでにはまだ時間はありますが、雨模様だし、先程の体調不良のこともあり大事をとってあきらめます。 -
ソールズベリクラッグスの下を歩道は上がっており、雄大なホーリールード・パークに後ろ髪を引かれながらも引き返すことに…
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南側は控え壁が残ってます。
この控え壁の外側辺りにかつて、回廊(クロイスター)とチャプターハウスがあったのでしょうか。
宮殿の為にアビーが犠牲になったのでしょうね。
建物とのコントラストがなんとも言えません。 -
ゴシック独特の控え壁と尖ったアーチはここも例外ではないのですが、何故か1箇所ノルマン様式の半円アーチが…
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6時です。閉館の時間になってしまいました。
ホーリールード宮殿の南側の角をまわりこむと宮殿前広場です。 -
前庭の一角のエドワード7世の像に敬意を表して出口に向かいます。
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ここが出入り口です。
オーディオガイドを返して最後に記念に係の人に写真を撮ってもらい帰ります。 -
スコットランド議会議事堂は宮殿同様に6時までの開館ですので既に閉まってます…
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スコットランド各地の石を使用したキャノンゲート・ウォールの横を通ってロイヤルマイルを引き返します。
そして壁に彫られてる模様は、この議事堂の設計を担当しながら完成を見ることなく若くして亡くなった、日本でも縁が深いエンリク・ミラージェスが滞在したバルモラルホテルから眺めたオールドタウンの様子です。 -
キャノンゲート・トルブースです。
まだ雨はパラパラ程度ですがこの後、本格的な降りになってしまいました。
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