2010/12/25 - 2011/01/01
223位(同エリア717件中)
ねいちゃさん
カリーのパレードで胃が悲鳴をあげています。
物乞いの悲しい瞳に心が悲鳴をあげています。
クラクションの喧噪に耳が悲鳴をあげています。
そうしたインドの「今」を全て飲み込んで、大河の水がたおやかに流れています。
ガンガー・・・この地を訪れるために、私たちはやって来たのです。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 3.0
- グルメ
- 2.0
- ショッピング
- 4.0
- 交通
- 1.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 30万円 - 50万円
- 交通手段
- 鉄道 レンタカー 飛行機
- 航空会社
- エアインディア
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行なし)
-
ダシャーシュワメード・ガート[Dashshwamedh Ghat]
6:00早起きして出発、ガンガーでの日の出です。旅行会社から「テロのため、ガンガーでのボート乗船観光は中止。」と旅立ちの前に電話があって、諦めていたのですが、ガイドさんは普通に「じゃあ乗りましょう」と。「この最近亡くなった方があれば、花を流してあげてください。」とも仰ったので、今年母を亡くしたので、花売りから蝋燭のついた花を買いました。 -
ヒンドゥーと仏教と宗教は異なっていたとしても、死者を悼む気持ちというものは同じだと思う。そしてそれがヒンドゥーの聖地で、死んだらこの地で荼毘にふし、輪廻の呪縛から逃れるために、河に流してもらうことを究極の願いとする人々と観光目的であったとしても遠く異国から来て厳粛な気持ちをもって聖地に臨んでいる我々と、人として大きな違いはないだろうと勝手に思わせてもらうことにした。
-
ガートで沐浴する人々
ここは神聖なる場所であり、ガンガーの水はあらゆる穢れを清めてくれる。この大河の水は決して清潔ではなく、日本人が勢い沐浴なぞをすれば、2/3が体調不良になるという。しかし、穢れを祓うということは抗菌だけの清潔さとはまた違うものだと改めて思う。ここには美しさは確かにないが敬虔さはあふれているのだった。 -
プラヤ・ガートとアンマバイ・ガート[Prayag & Ahalya Bai Ghat]
このガートはダシャーシュワメード・ガートに隣接している。バラナシにはこのようにいくつものガートが並び、沐浴や瞑想のための空間を提供している。 -
このように早朝より河岸に赴き、日の光をまってプージャを行う人々も数多く見られます。
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サドゥと呼ばれる聖人。何をもって聖人とするかは全くわからないが、彼らは毎日ガンガーと対峙し瞑想をする。彼は神に何を語っているのか、神のどんな声が聞こえてくるのか。ただ瞑目したままで微動だにしなかった。
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チョーサティ・ガート[Chausathi Ghat]
SITAのゲストハウスの看板が目立つ小さなガート。赤白の階段が印象的。 -
バブア・パンデ・ガートにある「久美子」の家
久美子さんという日本人オーナーがやっている全8室のホテルらしい。バックパッカーにはとても有名な所で、ある意味日本人の聖地かも・・・とまぁ、お話には聞いているが、ご本人とお会いしたことも訪れたこともありませんので、詳しくはわかりません。 -
今年の8月に突然母を失った悲しみを花に託して流しました。母はもちろんヒンドゥーのなんたるかも、ガンガーのなんたるかも、知らないだろうし、遠く異国の地で祈りを捧げられても、迷惑以外なにものでもないでしょうが、子のわがままということで笑ってくれれば嬉しいです。
この後、手をガンガーにつけ、ガイドさんがしていたように、頬や髪に聖水をつけて清めました。水としては何だかぬめりがあるようで、そんなには冷たくもなかったですが、この水で口をゆすぐなんてことはさすがにできそうもありません。 -
日の出です。霧の加減か、太陽はオレンジ色の光を出して、この風景をぼやかせて、とっても幻想的な雰囲気です。綺麗でした。
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ガンガーの対岸は「不浄」の地で何もありません。こちら側は多くのガートにゲストハウスがたち並んでいるのと、余りにも対照的で「生と死」「動と静」が独特の印象をかもしだしています。対岸に多くの建物があったら、こんな日の出は見られません。
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日の丸・・・太陽が少しずつ黄色を帯びてきました。周りもたいぶ明るくなってきた気がします。
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ケダール・ガート[Kedar Ghat]
このガートの右上には寺院があってヒンドゥーの神様たちがガンガーを見下ろしています。 -
ラジャ・ガート[Raja Ghat]
遠方にラジャ・ガートが見えます。元々はマラータのマハラジャが建てた所からこう呼ばれているそうです。建物上部にはかつて水位がここまで上がったという黄色いラインがあるらしいのですが、ここからではよく見えません。 -
クロード・モネの「印象・日の出」を思わせるような景色です。
船はこの当たりでUターンし、ダシャーシュワメード・ガートを超えて進んでいきます。ちなみに、ダシャーシュワメードという呼びにくい名前は、ダスは「10」アシュワは「馬」メードは「犠牲」をあらわし、10頭の馬をブラフマー神に捧げる祭儀が行われたことに由来するそうです。 -
ラリータ・ガート[Lalita Ghat]
ガートの上にはネパール寺院あり、ネパール人のためのネパーリ・ガートが隣接しています。 -
マニカルニカー・ガート[Manikamika Ghat]
バナラシ最大の火葬場。近くからの写真撮影は厳禁で、私もガイドさんに止められました。これくらい離れていればまぁいいだろうと撮影を許してもらいました。
確かに観光客にすれば、遺体を焼く光景を目の当たりにするわけで、思わずカメラを向けてしまうのもわかりますが、死者にすれば見世物のように死の尊厳を貶められるような行為。異文化というものの接し方は常に難しいものですが、自分の立場に置き換えれば、無遠慮な観光客に自らの焼死体を見られるのはやはり堪らないと思います。想像力というものをもっておけば、無用なトラブルも避けられるかもしれません。 -
ほんの1時間程度の遊覧乗船でしたが、遊覧とか観光とかそういうものを超えた濃密な時間がここには確かにありました。どう表現すればいいのかわかりませんが、やはりここに来てよかったと強烈に思います。インドはわけのわからない国で多くのインド人もまたええかげんだったり嘘つきだったりするのですが、インドでしか味わえない「何か」がバラナシにはあったと感じています。
-
一旦ホテルに戻って食事をし、ラマダ・ホテルを後にしました。これからサルナートへ行ってから空港へ。そうしてデリーに戻ることになります。いよいよ旅も終盤になってきました。
写真はムルガンダ・クティー寺院[Mulgandha Kuti Vihar]
サルナート[Sarnath]は仏陀が最初に説法をした場所で、これは仏教寺院です。ヒンドゥーにまつわる神々の遺跡や建造物が多いインドにあって、仏教が生まれたのもまたインドで、サルナートにあるものの多くは仏教関係のものばかりでした。 -
寺院正面には金剛のお釈迦様が鎮座され、堂内には日本人画家の野生司香雪さんの壁画が一面に描かれています。ガウタマ・シッダールタが生を得て、苦しみから逃れるため、悟りを得るまでの修行や悪魔や女犯の誘惑に打ち勝つ様子などが描かれていました。
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寺院右手には巨大な菩提樹の木があり、その周りには仏陀の弟子たちの仏像が安置されています。その中には日本でも有名な「スジャータ」もありました。やせ細ったガウタマに乳粥を与え体力を回復させた女性スジャータ、この故事からコーヒーフレッシュに「スジャータ」と名付けた日本の社長さんがおかげで、この乳製品はインドでも大評判になったとか。1億の日本人に売れるものより10億のインド人に売れるものを・・・確かにねぇ。
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寺院をぬけて西の道を進むと見えてきましたダメーク・ストゥーパ。突然視界に飛び込んでくる巨大な建造物に一瞬驚きます。
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サルナートの仏教遺跡。紀元前から僧院や寺院が建てられ、マウルヤ朝をへてグプタ朝の時代に最盛期を迎えた。7世紀には唐の僧玄奘も訪れ「精舎や塔が数百もあり1500人の僧が住んでいる」と記述したという。その後イスラムの侵入を受け破壊され、19世紀になって発掘がはじまり現在遺跡公園として整備が進められている。
ちなみにこの地を仏典で「鹿野苑(ムリガダーヴァ)」というのはここに鹿が棲みついていたことに由来するという。そういえば京都にある金閣寺の正式名称は「鹿苑寺」だとふと思い出した。 -
アショーカ王の石柱碑
マウルヤ朝のアショーカ王は深く仏教に帰依し各地に仏教を広めるために石柱碑を立てた。これはその一部で、上部の4獅子と法輪は近くの考古学博物館に収められています。この法輪は現在のインド国旗の真ん中に描かれてます。世界史の教科書にもよく載っていたし、見たかったなぁー。時間があったらなぁー。
ちなみに当時の地表は地下5mの層で石柱は15mもあったという。上部が折れ、下部は埋まって現在はこのような形になっています。 -
サルナート、初転法輪の場
中国人の観光客が去るのを待ってじっくり見ました。ここがお釈迦様が最初に説法を行った場所と言われています。奥の柱上部に金箔が貼られていますが、それがお釈迦様がおられた場所だと言うことです。 -
馬の耳に念仏・・・ではなく犬に説法の図
この写真はほっとします。何というか犬に説法というよりむしろ犬から教えられているようにも見えます。なんか良い感じ。この二人?はツレでもなさそうで、犬は何か貰えるのかなと待っているってところでしょうか。 -
ダメーク・ストゥーパ[Dhamekh Stupa]
直径28m・高さ34mの円塔。下段は石だが上部はレンガ作りで表面にはグプタ様式の装飾がほどこされています。ストゥーパとは仏塔のことで、日本で言うところの五重塔のようなもの。本来仏塔は仏舎利を収める建物で、ストゥーパの中でも有名なのはサーンチー[Sanchi]にあるものですが、ここまで巨大なストゥーパも珍しいと思っています。 -
ストゥーパから入り口に戻る道はジャイナ教の寺院の塀と接していて、そこには貧しいインド人が50人くらい集まっていました。多くは女性と子供で、外を通る観光客に塀の隙間から手をだして食べるものを要求していました。多くの宗教が生まれたインドですが、なおも貧困が続いて置き去りにされた人々はまだ救われておらず、そのためにまた多くの宗教が生みだされることになったのかもしれません。素晴らしい風景や立派な建造物を見た後に、必ずインドの「今」があります。
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この旅行記へのコメント (4)
-
- ニッキーさん 2013/07/16 13:20:03
- タイトルの意味がわかりました。
- ねいちゃさん、インド旅行記、最後まで読みました。
それで、コメントはやっぱりこのガンガー編へ。
インド旅行記のタイトル「悠久のガンガーにふれて・・・」、
ここで意味がわかりました。
一枚目の写真から引き込まれました。
ねいちゃさんの文章がいつものねいちゃ節とはちょっと違うけど、これまた名文で感動。
印象的な日の出。
混沌。
沐浴し瞑想し、死んだら荼毘に付して母なるガンガーに流してもらい、輪廻の苦しみを断ち切る。
千の風ならぬ千の流れになる。
ねいちゃさんの、お母さまを失くされた悲しみ・・・。
いろいろ伝わって来ました。
良い旅行記を見せていただきました。
それにしてもお土産たくさん買われたようで。
細密画、いいじゃないですか〜。
シルクのスカーフ?紅茶も。
リキシャに乗ってらっしゃるご夫妻の写真で、ねいちゃさんのお姿を初めて拝見しました。ご夫妻ともにお洒落で若々しいですね。
ニッキー
- ねいちゃさん からの返信 2013/07/17 11:01:55
- RE: タイトルの意味がわかりました。
- こんにちは、ニッキーさん。
> ねいちゃさん、インド旅行記、最後まで読みました。
ありがとうございます。
インド編はちょっと個人的すぎる所もあるのでどうかなーって思っていました。
喪中なのでインド行きもやめようとしたのですが、いつも勝手やってる我が儘放題の私ですから、今回も予定を変えない方が私らしいと思って。
ただ旅程には、絶対バラナシ入れることに拘りました。
ガンガーで祈られてもどうよ〜、とは思うんだけども。
> 良い旅行記を見せていただきました。
さすがにバラナシでのお話ではオチャラケしたら罰があたります。
実際あの場の空気感がそういうものを寄せ付けない何かがありましたね。
もし何かの間違いで(笑)、インドに行かれることでもありましたら
是非バラナシは見て、そして感じてほしい所だと思います。
欧州の教会に入った時の重厚な圧迫感とは違う種類なんだけど
うまく言えないんだけど、敬虔な何かを感じるんですよね。
> それにしてもお土産たくさん買われたようで。
細密画(ミニアチュア)は絶対買おうと思っててね、ホントは大理石もほしかったのだけど、重いし高いでしょー。むっちゃ綺麗でしたよ、大理石。
他にパンジャビードレスとかクルタパジャマという民族衣装。いつ着るんだってものばかりですが・・・。
アグラはシルクが有名らしいので、安物のマフラー5本くらい買いましたね。すぐ糸がほつれますよー。(笑)
紅茶はアッサム地方の名産ですが、500ミリくらいの容器一本が2500円でした。インドの物価では考えられない高値なのですが、本当に美味しい。香りがねー全然違ってお上品なのです。
> ご夫妻ともにお洒落で若々しいですね。
きゃあー、みっかっちゃった! ねいちゃ
-
- るなさん 2013/03/07 09:47:32
- 心に染み入る風景
- こんにちは、ねいちゃさん。
インドでしか味わえない何か...
行ったことがないので、もちろん実感はないですが、こんな風景を見てると感じ取れるような気がします。
でも、死体の焼き場なんてのは異文化過ぎてわかりませんね。
遠くからでも体が震える感じがします。
何かやっぱり私にはハードルの高過ぎなお国のような気がしますわぁ(T_T;)
るな
- ねいちゃさん からの返信 2013/03/07 16:30:07
- RE: 心に染み入る風景
- こんばんわ、るなさん。
> インドでしか味わえない何か...
確かに山盛りありすぎて、飲み込めなかったです。
圧倒的・・・でした。
人の死なんてものは、普段目にするものではありませんが
インドではそれが日常として存在する。
牛も豚も犬もリスも山羊も・・・普通にいます。
普通すぎるのが、すごく居心地が悪くって。
> 何かやっぱり私にはハードルの高過ぎなお国のような気がしますわぁ(T_T;)
インド行って往復ビンタされるような衝撃受けて
嵌る人は嵌るし、怖じ気づく人は怖じ気づく。
私は心が悲しくて悲鳴をあげた人。
ハードル低いなんて思える日本人っているんでしょうかねぇ。
頭が消化するまでだいぶかかりましたが、それでも
今はやっぱり行っておいてよかったなぁと思ってます。
そうそう、「デルフトの眺望」の場所
何となくわかりました。スヒー川の対岸から新教会方面を描いた
らしいです。もう一回るなさんとこのデルフトのぞいてこよう・・・。
ねいちゃ
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