2011/07/02 - 2011/07/08
19位(同エリア24件中)
haneさん
週末のせいか、深夜まで騒がしかった通りの音と、夜通し吠える野良犬の声によく眠れないまま、ブータンで過ごす初めての夜が明けてしまいました。噂には聞いていたけど、なるほど、なかなかな吠えっぷり。どこへ行っても、夜はこの鳴き声がついてまわります。
気を取り直して。
朝だ! ・・・曇りだ!(そりゃ雨季やし・・・)
今日はティンプーからウォンデュ・フォダンへ移動です。途中、ドチュ・ラ峠を越えるので、天気が良ければヒマラヤの山々を望むことが出来る・・・って、旅人の必需品「ロンリー・プラネット」には、ほぼ冬場にしか見られないってムゴイお言葉。そりゃそうです。ガイドブックに載っている、殆ど雲が無くキレイに山並みが見える風景はそうそう見られるもんじゃありません。
朝ごはんの後は、荷物を部屋の外に出しておくと、宿のスタッフが人海戦術で荷物を下に降ろしてくれます。・・・そう、ブータンのホテルにはエレベーターなんてものはありません(高い建物も無いし)。しかも男性のスタッフが少ないので、たいていレセプションの女性たちが運んでくれます。もちろん民族衣装姿で。しかも一人で2〜3個一気に持って階段を昇り降りするから、ほんと力持ちっていうか、働きもの。
キラの裾踏んづけて、階段から落っこちたりしないのか心配になるけど。私だったら絶対転ぶ(笑)
とにもかくにも、1日だけお世話になったラヴェン・イン(お湯出なかったな・・・)を後にして、一路東へ向かうのでした。
ティンプーを出発して少しすると、まずイミグレーション・ポイントが有ります。関所みたいなものです。ブータンでは外国人が別の地域へ移動する場合、必ず事前に申告しているルートしか通れません。ビザと一緒にそのルートも明記されているので(別紙ですが)、途中で確認のため提出が義務付けられているようです。もちろんそれはガイドのお仕事です。
このティンプー・プナカ方面ルートの面白いところは、みるみるうちに、辺りの植物が変化するところ。
標高2400m弱の首都ティンプー、3140mのドチュ・ラ峠、1300m弱の元首都プナカ。
気温も、辺りの植生も、かなり違います。広葉樹林が広がり、リンゴや桃の栽培もしている温暖なところから、夏の昼間でも暖房をつけるような針葉樹林の広がる峠、そしてそれを越えればサボテンの花も鮮やかな水田(棚田)地帯まで。数時間のうちに、みるみる変わります。ドチュ・ラ峠では冬物が必要なくらいなのに、2時間後のプナカでは暑いくらい。着るものがたいへん!
そして案の定、ドチュ・ラからの景色は・・・なんも見えん! 完全に雲の中でした。近くの建物さえ霞んで見えないという状態。巨大な杉の木がたくさんあるんですが、これも霞んで、まるで水墨画のよう。これはこれで綺麗ですが、せっかくブータン来たならヒマラヤが見えたらよかったのになぁ。。。
そしてドチュ・ラ峠の公衆お手洗い・・・、なかなかスゴイです。便器から、大量の蚊や虫が湧きあがるという(泣)。でもここしか無いから仕方ない(そしておしりを蚊に噛まれた・・・)。まぁ、チベットのポタラ宮のトイレよりはマシかな・・・。車で少し行った所にカフェテリアがあるそうなので、お茶をする余裕があれば、こっちへ行った方が正解かもしれません。
峠を越えて、くねくねと断崖絶壁ガードレール無しの山道を下ると、細い谷に穏やかな棚田の風景が広がってきます。谷に平地は殆ど無く、緩やかな傾斜に棚田が重なって、田植えのこの時期は昔ながらに手植えをしている風景も見られました。
メシナ・ロベサ周辺の集落といえば、子宝祈願の寺・チミ・ラカンが有名です。
子宝祈願と言うだけあって、門前の集落の家々には豊穣を表す吉祥文様・・・そう、あれです。あれが堂々と描かれてます。古くからこの種の土着信仰はアジア中に見られるし、日本にもありますよね。こんだけ堂々と言えの外壁に描いちゃうのは、あんまり見ないかもだけど(笑)。ブータンではしばしば見かけますが、やっぱりここは数が多い。
もちろん、チミ・ラカン内部にも、そういったものがちょいちょい見え隠れ。っていうか、まんまじゃん!っていう場合も(笑)。大らかでいいなぁ(笑)。何でこの小さなお寺がブータン中で子宝祈願に有名なのかと言えば、15-16世紀の有名なチベット僧ドゥクパ・クンレィの破天荒な伝説因るそうで・・・平たく言えば、女性が大好き?だったそうです。当時のチベット仏教では、厳しい戒律をあえて破り風狂に生きるという一派があったらしく、その流れをくむひとなんだとか。他にも悪魔を倒した伝説とか色々あって The Divine Madman と呼ばれ、ブータン人の好きな聖人のひとり。ちょっとDivine Madmanをどう日本語にすればいいのかわからないので、そのままで(笑)。
チミ・ラカンは小高い丘の上にありますが、辺りはほんとうに穏やかで、のんびりあぜ道を歩いてハイキングするにはもってこい。標高も低くて苦しくなることは無いし、アップダウンも緩やか。子供たちが元気に遊んでいたり、大人たちが農作業に励んでいたり、半世紀前の日本もこんな感じだったのかな・・・と、なんだか懐かしくなるような風景でした。
そしてこの後は壮麗な姿が見られるプナカ・ゾンをまわって、ウォンデュ・フォダンへ入ります。
プナカはかつての首都で、現在も宗教界は冬になるとこちらへ移って来るだけあって、本当に壮麗な建物です。二つの川が合わさる中州に建てられ、対岸からの風景はブータンを代表する眺め。ちょっと暑いけど、川を渡る風がとても心地いい。ジャカランダの花の咲くころは、本当にキレイなんだろうな〜。残念ながら、今回は散っちゃってました。
プナカから川沿いにしばらく行くと、ウォンデュの新市街地が見えて来ます。旧市街は崖の上で手狭なため、川沿いの低い位置に新しい町が出来つつあります。でも風情からいったら・・・やっぱり旧市街かな?
ウォンデュ旧市街は、ガソリンスタンドを中心に商店などが建ち並んだ、小さな町です。隅の崖の上にゾンがあり、現在インドの援助を受けて修復中・・・とはいえこの国のこと。相当のんびり修復中らしく、まだまだ古いまま。でも、褪せた色や、ちょっと歪んだ年季の入った木造の建物も良いものです。
今日もガイドのサージャンの早口英語で難しい話を聞いて(笑)、お坊さんに祝福してもらって、けっこう移動したなと思いながら、のんびりウォンデュの宿タシリンでエマ・ダツィ(青唐辛子とヤクのチーズの煮込み)にビール!
タシデレ〜!!
≪今回のメニュー≫
■イミグレーション・チェックポイント:ティンプーとプナカ方面の間に有る関所。外国人は必ずここでチェックを受ける必要がある。・・・単なる小屋みたいな感じだけど。そばには果物やチーズを売る露店が少し並んでいます。
■チミ・ラカン:The Divine Madman ゆかりの子宝祈願で有名な寺院。小高い丘の上にあり、辺りは牧歌的で、棚田のあぜ道を縫いながらのハイキングは気持ちがいい。サボテンもいっぱい。ちなみに、チミは No More Dog の意味だそう。伝説では悪魔が犬に化けていたためだとか。でも境内にはやっぱり犬がいます(笑)。
■プナカ・ゾン(プンタン・デチェン・フォダン・ゾン):宗教上の夏の首都ともいえる場所。壮麗な建築で、ことに初夏のジャカランダの咲く頃の美しさはよく知られてます。
■ウォンデュ・フォダン・ゾン:ウォンデュの町のすぐ隣に有るゾン。修復中だけど、ある意味、古き良き建築が残るスポット。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 4.0
- ショッピング
- 2.0
- 交通
- 3.0
- 交通手段
- 観光バス 徒歩
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-
パロ・ティンプとプナカ間にあるイミグレーション・チェックポイント。
国内であっても、違う地域に行くときはビザを提出しないと行けません。
ちなみに、こんお写真の中のカイドのサージャンは、ゴの上半身を脱いで腰に巻いてます。夏はさすがに暑いので、こうやってる人が多いです。ゴの下にはみんなシャツやTシャツを着てます。
ちなみに下も、ハーフパンツみたいなの穿いてます。ブータンではあぐらが普通なので・・・見えちゃうやん(笑)
女性もあぐらが行儀悪いっていう事はないそうです。キラは日本の着物と違って、わりあい足広げられるようにゆったりしてるそうなので(サージャン談)、むしろ日本みたいに斜め座りとかしないとか。 -
ドチュ・ラ(ラは峠の意味)の経文旗(タルチョ)。
色とりどり。 -
トチュ・ラからの眺め・・・って、ほんと深い霧。っていうか、標高高いので雲の中です。気温も低く、夏でも15度もないかな? 上着来てても寒くて、屋内ではヒーターつけてるくらい。
乾季には、ここからヒマラヤの山々が望めるそうです。
それにしても、真っ白すぎるだろ・・・ -
ドチュ・ラの新しい寺院。
中の壁画はリアルです(笑)。ブータンは寺院内撮影禁止なので、映像をお届けできなくて残念。。。
現在のワンチュク王家の歴史みたいなのが描かれています。 -
イチオシ
ドチュ・ラを超えて、メシナのほうへやってきました。
標高が下がって、一気に暑くなる・・・
棚田がキレイ! -
子宝祈願で有名な、チミ・ラカンの門前集落。
男性器は、とてもお目出度い吉祥文様だそうです。 -
チミ・ラカン周辺
-
標高が低く温暖なので、大きなサボテンがいっぱい
-
チミ・ラカン。
と、牛。
どこにでもいる、牛、牛、牛。 -
イチオシ
チミ・ラカンより。
小高い丘の上に立っているので、眺めが良いです。
でも、あちこちに洗濯物があります。
お坊さんの僧衣なので、赤い衣がいっぱい。 -
チミ・ラカンの参道のそば、牧草地を駆け回る子供たち。
10歳くらいのこどもたちを、16歳の年かさの子が面倒みてました。
しかし容赦ない・・・、彼らの得意技はとび蹴りです(笑)
16歳の子、みんなにボコボコに蹴られながらも相手してやっています。大人だ。。。 -
織物。
地方によって文様が違います。 -
体を使ったというか、ちょっと乱暴なスキンシップが大好き
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女の子だそうです。
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昭和30年代の田舎の子・・・ってカンジかな? トトロの世界だ!
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お昼ご飯したレストラン。
窓に向かって一列に並んで、チミ・ラカンを眺めながらゴハンを頂きました。 -
ほんと、子供がいっぱいの国。
-
イチオシ
美しさ随一、プナカ・ゾン。
二つの川(モ・チュとポ・チュ)が交わる地点に、壮麗な姿を見せています。 -
川をわたる、木造の橋。
カンチレバー形橋梁構造・・・ってナニ? むつかしい。 -
とても気持ちいい風が吹き抜ける橋の上。
サージャンはまたカムニを纏って正装してます。ゾンだからね。
とりあえず、ここに入る前にカムニのつけ方講座をしてもらいましたが・・・くるくるぱっ、って感じで早いです。みんな慣れてるからね。
ちなみにドチュ・ラの寒い中、ゴの着方講座もやってもらいました。日本の着物と違って、おはしょりの他に後ろで襞を2本作るため、鏡とか、誰か居ないときれいに着られないとのこと。でも学校の制服が民族衣装なので、みんなちゃんと着れるそうです。
あと、前も日本とは逆かな? 右前です。・・・日本だと死んだ人になっちゃう(笑)
・・・てか、あの寒いなか脱がせました、ハイ。 -
橋からの眺め。
-
すごい急な階段(てか、梯子?)を登らないと、中には入れません。
真ん中の段は、以前は王様しか登れなかったそうです。
今はそのルールはないので、もちろん真ん中を行きました(笑) -
入り口にある巨大なマニ車ど、パワーの神様の壁画。
・・・っていうか、パワーの神様って名前なんて言うん。サージャンがずっとそう言うから、すっかり刷り込まれてますが(笑)。
・・・忿怒尊? ふ〜ん・・・ま、パワーの神様でいいや。 -
動物園の図・・・ってサージャンは言うが・・・言いたいことはわかるよ、うん。
深い意味がいろいろあるんだよね、うん。
あとで自習しとくよ、うん。 -
ブータンの伝統建築は、本当にキレイ。
木を組んでる形や、様々な文様。 -
窓の緻密な文様
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雷龍の国だから、ドラゴンがいっぱい
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きんきらきん、ドアノッカー
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宇宙図
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フナカ・ゾンから。
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ウォンデュの宿、ホテル・タシリン。
某有名サッカー選手(元日本代表)N氏が泊まったことがあるとか。N氏って、もちろんイタリアとかで活躍していたあのN氏ですよ(笑)。
谷側の部屋からは、素晴らしい眺めが見える。
部屋数は20ほど、合鍵のない部屋もあるから、ロックアウト要注意!
非常に質素だけど、屋根裏部屋に泊まってるみたいで楽しい(笑)。
道はさんで隣のお寺からは、時々お勤めの声や音楽が聞こえてきます。 -
ウォンデュの町で。
兄妹で店番中。
ウォンディって現地のひとは言うけど、本とかでは「ワンデュ・ポダン」とか「ウォンデュフォダン」とかって書いてあります。どれで言っても通じるカンジのあいまいな発音です(笑)。
ちなみに私にはウォンデって聞こえます。 -
こっちは水汲み中。
ブータンの子供たちは、よくお手伝いします。 -
ウォンデュの町。
すごくちっちゃい。
ガソリンスタンドを中心に、通りにお店が並んでいるだけの町です。
ゾンがあるので、お坊さんはいっぱい。 -
夜のウォンデュ。
街灯はないので、商店の明かりだけ。 -
野良わんこ、たくさん。
ブータンはとにかく野良犬、野良牛、野良猫・・・がいっぱい。
昼間は車なんかものともせずダラダラ寝てますが、夜になったら、スゴイ声で吠え続けます。かなりウルサイ。 -
ウォンデュのゾン近く
-
洗車中。
ブータンはけっこうな車社会。やっぱり四駆が多いです(政府や王様の車も四駆)。ティンプーなんかでは軽自動車もいっぱい。
土地柄、インド車(タタ)が多いかも。韓国車(ヒュンダイ)、日本車(トヨタ、スズキなど)も走ってます。 -
ウォンデュ・フォダン・ゾン
-
寄進されたニワトリ。
町にいると食べられちゃうかもだけど、お寺に寄進されたニワトリは安全だそうです(笑) -
出勤してきた皆様。公務員かな。みんな当然正装です。
ゾンの中には、裁判所や登記所など、お役所のオフィスがいっぱい入ってます。
ちょっとゴがおそろ(笑) -
こちらも公務員
-
ウォンデュ・フォダン・ゾンの骨骨ボーン。
こんなん、ヨーロッパにもよくあるかも。
宗教違っても、考えることは似てるのかな。
メメント・モリ。 -
こちらに興味津々の子坊主さん
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お寺にはたいていネコがいます。
ネズミよけかな。 -
やっぱり気になる・・・
-
イチオシ
みんな外国人が気になるから、上からじ〜っと見てます。
読経の時間なのに、そっちのけで観察(笑)。怒られれても知らないよ〜 -
けっこうみんな、のんびり出勤するみたいです。
-
これは偉いひとの出勤表。
・・・月曜なのに殆ど来てないし(笑) -
ウォンデュの町家で。
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対岸から、ウォンデュ・フォダン・ゾンのながめ。
実は崖の上に建ってます。 -
ティンプーへ戻る道すがら。
唯一の道で、事故発生。
トラックが崖をまっさかさま。
でっかいウィンチで引き上げるのはいいんだけど、ウィンチが巨大すぎて道をふさいで通行止め。あと1時間以上はかかる予定。
ブータンの道は崖の上をヘアピンカーブみたいなのばっかりで、ちょっと間違うと真っ逆さま。ガードレールも無いし、時々コンクリ・ブロックはあるけど、ホントに危険。
その後、別の車が迎えに来てくれることになり、いったんミニバスを降りて事故現場をつっきり、ティンプー側へ歩いていくことに。 -
みんな事故で待ちぼうけ。
スパイダーマン・スーツの男の子。 -
しょうがないもんね、のんびり待ちます。ってカンジ。
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