染谷花しょうぶ園と見沼の自然

2011/06/19 - 2011/06/19

6月の週末、新緑を観に、水上か草津へ行こうと考えていた。
ところが、日頃の疲れがどっと出て、見事に寝坊をしてしまった。
とは言え、せっかくの休日である。
どこかへ行こうと探していると、県内随一の花しょうぶ園の文字を見つけた。
場所は、大宮駅からバスで行ける範囲だったので行ってみることにした。
訪れてみると、思ったよりも見事な花菖蒲園だった。
近くの見沼の風景や自然にも癒された小さな旅となった。

（2021.06.19 投稿）

エリア 大宮(埼玉)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.5
• 交通: 3.5

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 高速・路線バス JRローカル 徒歩

旅は、馴染みの大宮駅から始める。
とは言え、今回は新幹線でもなく、高崎線や東北本線でも無い。
５つの新幹線が発着する交通の要衝である大宮駅だが、駅舎は簡素だ。

７番バス乗り場へ行くと、高校生の集団がいた。
何とか乗れたが、車内は男子高校生で大混雑。
途中、バス停ごとに降車ボタンを押す悪ガキ共に閉口。
それでもきちんと停車する運転手さんは偉いと思う。
30分ほど我慢して、染谷新道バス停で下車した。

バス停から住宅街の中へと歩いていると、ドクダミの花を見つけた。
名前などからあまり良いイメージを持たれないドクダミだが、よく見るととても綺麗な花なのだ。

10分足らずで染谷花しょうぶ園に到着。
この菖蒲園は、個人の方が造ったものだが、埼玉県内随一と言われる330種20000株の花菖蒲が植えられているそうだ。
入場料は500円だった。

染谷花しょうぶ園 公園・植物園

中へ入ると、少し低くなった場所に、色とりどりの花菖蒲が咲いている。
ちょうど見頃のようだ。

早速、菖蒲田の中に設けられている鑑賞路を歩く。
間近で見るとかなり大きな花が多い。
それでも、花弁がしっとりして柔らかそうだ。

見渡すと、紫陽花も植えられていた。
やはり、紫陽花は綺麗だ。
花菖蒲が主役でも、その存在感は大きい。

花菖蒲には、それぞれ名前が付けられていたが、覚えられない。
似たような花が多いし、種類も多過ぎるのだ。

それにしても、色々な種類があるものだ。
自然界にあるものではないが、これはこれでとても美しい。
花菖蒲は、ノハナショウブを、江戸時代を中心に品種改良して造られた観賞用の植物だが、山形県の長井には、原種に近い姿をしたものが残っているそうだ。
長井は好きな街なので、いつか訪れてみたいものだ。

園内には木道も敷かれていた。
ある意味、菖蒲田も湿原みたいなものだ。
その木道を歩けば、少し高い位置から見ることもできる。

園内は、狭いようで結構広かった。
案内板には、今後もっと広げるようなことも書いてある。
なかなか見応えがあって、来てよかった。

個人的には、青系統の花が好みである。
ついつい、青っぽい花を撮ってしまう。
ここには、青色の花が多いので、そこも気に入った。

散策路を歩きながら花を観る。
見事に花が咲き揃い、まさに見頃だ。

花菖蒲は、紫陽花と共に初夏を彩る花。
久しぶりに間近でゆっくり観たので、好きになってしまった。

それでも、紫陽花に目が行ってしまう。
菖蒲田の周囲には、日本の紫陽花も少し植えてあった。
やはり、紫陽花は繊細な品種が綺麗だ。

色付き始めた紫陽花の花は、何とも言えず美しい。

朝方まで降っていた雨のせいで、花菖蒲の花弁が濡れている。
多くの花が、雨のせいで花弁がぐったりしていた。
それでも、十分綺麗である。

花が小振りな品種に目が留まった。
原種に近いものは、このような感じなのかもしれない。

この日は薄曇りだったので、緑が綺麗である。
花との色調もちょうどいい感じだ。

ふと目線を上げると、もみじに実が付いていた。
小さな竹とんぼのような花が付いた実が、飛び立つ日を待っている。

紫陽花の葉の裏では、大地に戻る前の水が滴になっている。
自然は繊細で美しい。

そして、てんとう虫も初夏を満喫している。

近くでは、シモツケの花も咲いていた。
ところどころ色が違う花が咲くのが、何とも不思議だ。

そして、花菖蒲も見飽きない。
それにしても、個人経営とは思えない素敵なしょうぶ園である。

これほど多くの花菖蒲を観ることが出来、十分、満足した。
さらに広くなったら、もう一度訪れよう。

もみじの木陰でひと休みする。
初夏の瑞々しい景色に癒される。
ここは、良い所だ。

一周したので、そろそろ帰ることにする。
埼玉にも、良い所はまだまだあると知り、嬉しい。

染谷花しょうぶ園を後にして、近くを散策。
開けた場所に出たら、ここが県都さいたま市なのかという長閑さ。

畑では、ジャガイモが栽培され、ちょうど花が咲いていた。

そして、山下橋で加田屋川を渡る。
自然な感じの川に見えるが、上流は暗渠やコンクリートの河川である。
不思議なことに、下流のこの辺りだけが自然河川のようなのだ。
とは言え、水質はかなり悪いらしい。
上流の下水を綺麗にすれば、ホタルが観られそうな感じがする。

橋の先には、田圃が広がっていた。
この辺りは見沼田んぼの一部で、加田屋新田と呼ばれている。
蛙が鳴き、雲雀も頭の上でさえずっている。

田圃の畦道では、ハルジオンなどの外来種が多かった。
ハルジオンは、要注意外来生物（生態系被害防止外来種）に指定されている植物だが、子供の頃からよく見かけた花なので、どこか憎めない。
見ていたら、ベニシジミが食事に舞い降りた。

歩いていると、田圃の中に動く影がある。
つがいのカルガモだった。
顔を向けなくても、かなり警戒しているのが分かる。

その田圃の脇の土手に、白い穂を付けた植物が群生していた。
調べてみると、チガヤという名前だった。
『古事記』や『万葉集』にも登場する植物だそうだ
甘みがあるそうで、昔は摘んで食べたらしい。

バス停へ戻る途中に、旧坂東家住宅と言う施設があった。
加田屋新田を開発した坂東家の建物で、江戸期の安政4年(1857)頃を中心に建てられたものだそうだ。
現在は、旧坂東家住宅見沼くらしっく館という名前の野外博物館として、無料で公開されていた。

旧坂東家住宅見沼くらしっく館 名所・史跡

その庭に、ムラサキカタバミの花が咲いていた。
こちらも帰化植物で、繁殖力は旺盛である。
可愛い顔をして、かなり強い。

旧坂東家住宅の前にあった三崎台バス停から、一つ先にある染谷新道バス停まで歩いて行くと、手前に庚申塔があった。
明和８年(1771)の銘が刻まれている。
この周辺には、13基もの庚申塔が点在しているそうだ。

バス停染谷新道から大宮駅へと戻る。
本数が多いので、交通の便は比較的良かった。
バス停の距離もそう離れていないので、散策にも好都合だ。
見沼自然公園も近いが、今回は立ち寄るのを止めたので、このあたりは、もう一度歩いてみたいと思う。

埼玉県随一の菖蒲園を訪ねた初夏の小さな旅。
思いがけず素晴らしい景色が楽しめ、とても癒された。

この旅行記へのコメント （6）

• たらよろさん 2011/07/06 20:21:20

  菖蒲と紫陽花♪

  こんばんは〜旅猫様。
  
  日ごろのお疲れ、、、見事なお寝坊さんだったのかしら？？（笑）
  それにしても、バスでの悪ガキ君は困りますね〜
  でも、押されたら運転手さんは停まらないといけないんだろうな〜
  ストレス溜まるわ！！
  どなってやりたい衝動に駆られました（笑）
  
  それにしても、500円の入場代を支払っても十分な
  美しい菖蒲と紫陽花。
  紫色と白色のコントラストが素敵。
  そして菖蒲といえばなといってもあの木の通路が絵になるんですよね〜〜
  
  なんだかんだ言いながら梅雨の季節もそろそろ終わり。。。
  夏の花に突入ですねっ！！
  
  　　たらよろ

  旅猫さん からの返信 2011/07/06 21:23:45

  RE: 菖蒲と紫陽花♪

  たらよろさん、こんばんは！
  いつもありがとうございます。
  
  いや〜、見事な寝坊でしたよ（＾＾；
  時計を見って、呆然としてしまいました。。。
  
  往きのバスに乗り合わせたガキには頭にきましたが、
  今時の奴らは、注意するとかえって危ないので。。。
  
  それに引き替え、花菖蒲は美しい！
  往きのもやもやが一瞬のうちに吹き飛んでしまいました。
  紫陽花も咲いていて、梅雨の季節に咲く花の競演も見られました。
  全国的には知られていませんが、地元では名のあるしょうぶ園だそうです。
  偶然見つけられて良かったです。
  
  初夏の花もそろそろ終わり、夏本番って感じですね。
  旅猫

• 潮来メジロさん 2011/07/06 08:45:21

  庚申塔・・・。ヾ(^o^)

  旅猫さん、おはようございます。ヾ(^o^)
  「染谷花しょうぶ園と見沼の自然」旅行記にお邪魔しております。
  
  > 染谷新道バス停近くにあった庚申塔。
  > 明和８年(1771)の銘が刻まれている。
  > この周辺には、13基もの庚申塔が点在しているそうだ。
  
  染谷花しょうぶ園や見沼の自然も美しいですが、この庚申塔なるものに興味を持ちました。
  江戸時代に作られたものが多いようですが、昭和や平成になってから作られたものもあるとの事で、今でも庚申講は生きているのでしょうかね。
  ひとつ勉強になりました。ありがとうございました。私も近所にもないか探して見ます。
  見沼自然公園はバードウォッチングにも適しているらしいので、今度機会をみてバードウォッチングがてら、染谷新道バス停近くにあった庚申塔を訪ねてみたいと思いました。
  ではまた・・・。(^o^)／~~~
  　　（潮来メジロ）

  旅猫さん からの返信 2011/07/06 21:08:58

  RE: 庚申塔・・・。ヾ(^o^)

  潮来メジロさん、こんばんは！
  書き込みありがとうございます。
  
  寝坊したのが幸いして、綺麗な花菖蒲を堪能できました。
  見沼の景色や自然も良かったですし。
  
  庚申塔って、今も作られているのですか？
  ちなみに、今回訪れた場所のものはすべて江戸時代のもののようです。
  でも、今でも大切の保存されているのが嬉しいですね。
  
  見沼自然公園、今回はゆっくり見られませんでしたが、
  いつか訪れてみたいなと思いました。
  
  旅猫
  

• ツーリスト今中さん 2011/07/04 00:02:02

  お近く。。。

  社会的物心が付いてからは関東を離れてしまったのでお近く情報は4トラから得る事が多いです。
  
  花菖蒲や朝顔などは江戸の粋が創った花って言う感じがありますね。
  
  さいたま市も「元の○○市」と言った方が分かり易いのはずっと住んでいる人も然りのようですが。
  住まいが見沼用水近くの今中。
  区政に慣れ親しんだ見沼の名前が冠された時には嬉しく思った事でした。
  
  結構、近くでもいろいろあるんだなぁとまた改めて知りました
  ありがとうございます
  
  原市沼の古代蓮もなかなか見応えありましたがこちらも4トラで。

  旅猫さん からの返信 2011/07/06 20:58:11

  RE: お近く。。。

  ツーリスト今中さん、こんばんは。
  いつもありがとうございます。
  
  久しぶりに近間を歩いてみました。
  そうそう、「さいたま市」ってまったく馴染みませんね。
  大宮市と言ったほうがしっくりします。
  
  見沼用水の近くにお住まいでしたか！
  あの辺りは、まだまだ自然が残っていて良いですね。
  今回歩いてみてホッとしました。
  
  原市沼の古代蓮！
  ４年前に訪れましたが、あそこもなかなか良いですよね。
  旅行記には蓮の花ばかり載せましたけど、
  あの時、近くの伊奈氏の陣屋跡も散策しました。
  そちらも、個人的はよかったなぁ。
  
  旅猫