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<br />2010年10月16日(土)<br /><br />正面のフリードリッヒ館に次いで目立つのは、右側に建つオットー・ハインリッヒ館だった。<br /><br />この建物は幅が広く、周辺の建物に比べ五階建てと背が高く、上層部は壁だけ取り残されて窓の枠から空が覗いている。<br /><br />一番高い梁には、幾つかの石像が残っていて、今にも崩れそうな不安定さなのだが、廃墟を思わせるその姿が古城の趣きを増している。<br /><br />城を再建したとき、観光価値を増そうとして、計算づくで、こんな姿を遺したのだろう。<br /><br /><br />この館を建てた、プファルツ選帝侯オットー・ハインリッヒも、話題に事欠かない。<br /><br />彼は選帝侯としての在位期間が1556年から59年までと3年しかなかったが、数々の足跡を残す。<br /><br /><br />自分の領土にプロテスタントの信仰をもたらし、学問を奨励した。<br /><br />新人の医師に、死体の解剖を義務付けたという。<br /><br />また立派な図書館も、残している。<br /><br /><br />一方浪費が激しく、破産の一歩手前の状態でもあったようだ。<br /><br />隣のフリードリッヒ館を造ったフリードリッヒ四世にせよ、このオットー・ハインリッヒにせよ、酒癖や浪費癖など、よく出来た王様たちにはひと癖あった例が多い。<br /><br />この現象は、古今東西を問わず、通例だったように思う。<br /><br /><br />オットー・ハインリッヒ館は、ドイツにおけるルネサンス建築の代表作と、評価されている。<br /><br />またファサードには、後に造られたフリードリヒ館と同じように、各階に石像が並んでいる。<br /><br /><br />石像は玄関の4体を除き16体あって、自らの候領を統治するための理念が示されているらしい。<br /><br />一階のものは、政治力と軍事力を象徴する、神話の英雄やローマ皇帝。<br /><br />二階は、キリスト教の支配者としての美徳、強さ、信仰、愛、希望、正義。<br /><br />三階は、五つの惑星(土星、火星、金星、水星、木星)および、太陽と月。<br /><br /><br />以下、ハイデルベルクの考古学者K.B.シュタルクの説明文を、wikipediaから引用する。<br /><br /><br />この宮殿のファサードの彫像は選帝侯の統治理念を反映したものである。<br /><br />選帝侯の権力は、神話の神に象徴される個人の力の上に成り立っている。<br /><br />キリスト教徒の力を高める徳目の中心は強さと正義である。<br /><br />しかし、これらすべては天体の運行が知らせる天意の影響下にある。<br /><br /><br />(片瀬貴文 2011.01.23)<br />

ライン・マイン・ドナウ【29】古城noを演出しているオットー・ハインリッヒ館

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2010/10/16 - 2010/10/16

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ソフィ

ソフィさん


2010年10月16日(土)

正面のフリードリッヒ館に次いで目立つのは、右側に建つオットー・ハインリッヒ館だった。

この建物は幅が広く、周辺の建物に比べ五階建てと背が高く、上層部は壁だけ取り残されて窓の枠から空が覗いている。

一番高い梁には、幾つかの石像が残っていて、今にも崩れそうな不安定さなのだが、廃墟を思わせるその姿が古城の趣きを増している。

城を再建したとき、観光価値を増そうとして、計算づくで、こんな姿を遺したのだろう。


この館を建てた、プファルツ選帝侯オットー・ハインリッヒも、話題に事欠かない。

彼は選帝侯としての在位期間が1556年から59年までと3年しかなかったが、数々の足跡を残す。


自分の領土にプロテスタントの信仰をもたらし、学問を奨励した。

新人の医師に、死体の解剖を義務付けたという。

また立派な図書館も、残している。


一方浪費が激しく、破産の一歩手前の状態でもあったようだ。

隣のフリードリッヒ館を造ったフリードリッヒ四世にせよ、このオットー・ハインリッヒにせよ、酒癖や浪費癖など、よく出来た王様たちにはひと癖あった例が多い。

この現象は、古今東西を問わず、通例だったように思う。


オットー・ハインリッヒ館は、ドイツにおけるルネサンス建築の代表作と、評価されている。

またファサードには、後に造られたフリードリヒ館と同じように、各階に石像が並んでいる。


石像は玄関の4体を除き16体あって、自らの候領を統治するための理念が示されているらしい。

一階のものは、政治力と軍事力を象徴する、神話の英雄やローマ皇帝。

二階は、キリスト教の支配者としての美徳、強さ、信仰、愛、希望、正義。

三階は、五つの惑星(土星、火星、金星、水星、木星)および、太陽と月。


以下、ハイデルベルクの考古学者K.B.シュタルクの説明文を、wikipediaから引用する。


この宮殿のファサードの彫像は選帝侯の統治理念を反映したものである。

選帝侯の権力は、神話の神に象徴される個人の力の上に成り立っている。

キリスト教徒の力を高める徳目の中心は強さと正義である。

しかし、これらすべては天体の運行が知らせる天意の影響下にある。


(片瀬貴文 2011.01.23)

旅行の満足度
4.0
観光
4.0

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  • オットー・ハインリッヒ館

    オットー・ハインリッヒ館

  • オットー・ハインリッヒ像<br />(wikipediaからのコピー)

    オットー・ハインリッヒ像
    (wikipediaからのコピー)

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