2010/08/21 - 2010/08/21
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鯨の味噌汁さん
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鯨的は、この旅に、いくつかの目的を設定している。
「台湾少数民族の顔を見たい」
とゆうのも、その一つだ。
日本で明治維新がおわったばかりの、明治4年のこと。
宮古島の住民が台湾沿岸に漂着し、台湾少数民族に襲われ、50人余りが首をちょん切られてしまった。
世にいう「台湾出兵」のキッカケとなった事件である。
早い話が首狩り族ですね。
台湾には140年前に、現役バリバリの首狩り族がいて、ブイブイゆわせていたのである。
ここで、
「・・・な、なんちゅう野蛮な」
なんてことを、ゆってはいけない。
日本だって、そのわずか10年前に、鳥羽伏見の戦いをやっている。
このいくさで、幕府側の武将の何人かは、古式豊かな武者装束で出陣した。
でもって、めでたく敵の首を落とすと、それを腰にぶら下げ、戦場を駆け回ったのである。
つまり、日本においても、「首狩り」は歴史的・正統的・伝統的スタイルであり。
鉄砲が普及した後も、明治維新まで、習慣として生き残っていたのである。
もし、学術的に「首狩り族文化圏」なんてものがあるとしたら、日本は堂々、その一翼を担っていたのである。
-
おっとっと、話がそれた。
台湾少数民族の話だった。
現在の台湾少数民族の趨勢は、微々たるものである。
台湾人口2000万人のうち、本省人(蒋介石以前に移住していた漢民族)が85%、外省人(蒋介石政権といっしょに移住してきた漢民族)13%、少数民族はわずか2%だ。消費税以下である。
で、なんで鯨が、台湾少数民族の顔を見たいのかとゆうと。
早い話が「日本人」というスープの原材料に、彼らの血が、いくばくかは入っていると、勝手に想像しているからだ。
われわれ日本人は、ひとりひとりが、みな「近くのだれか」に似ている。
東洋の果ての島国に、縁あってたどり着いた、雑種民族である。
だからモンゴルにも似ている。朝鮮族にも似ている。漢族にも似ている。
でもって、わが配偶者は、縄文系の「目・鼻・口がムダに大きい」系なのである。
南から来たか、北からかは定かではないが。
とりあえず、原日本人に近い血統のはずである。
話変わって。司馬遼太郎は
「薩摩・土佐・紀州あたりの人の顔つきは、黒潮に乗ってきた台湾少数民族の血が混じっているのではないか」
と楽しそうに想像している。(⇒いずれも黒潮の洗う土地である)
「薩摩の武辺、不名誉よりも死を選ぶ風土は、実は勇猛な台湾少数民族の遠い血を、受け継いだのではないか」
・・・なるほど。と、ゆうことは。
配偶者の顔つきを見る限り、ご先祖の中にも、台湾少数民族がいたに違いない。
首狩りの習俗は忘れてしまったが、その「目・鼻・口がムダに大きい」は、台湾少数民族の、忘れ形見に違いない。
と、きわめて論理的に推理したのである
じゃっかん論理の飛躍があるような気もするが、それは気のせいであるので気にしないように。
で、台湾旅行の三日目。
長女と配偶者には「きょうは台中に行く」とのみ告げ、台北から新幹線に乗る。
ちなみに新幹線は、その技術を、まるまる日本から導入している。
外観、内装、シートの作り、パタンと落とすテーブルの裏の表記まで、日本といっしょである。 -
わずかに、車内販売のお姉ちゃんが、日本よりじゃっかん、美しいのではないかと思われる。
配偶者と長女は、のんびり、ガイドブックを眺めてつつ「台中おいしいスイーツ」なんてチェックしておる。
「駅を降りたらな。ちょこっと、バスに乗るんだ」
と、ふたりにだましだまし、いう。
少数民族の顔を見たい、なんてことをゆったら
「また、おとうさんのヘンな趣味が始まったのネ」
とバカにされるに決まってるのである。 -
台中駅で下車すると、鯨はまっつぐバス案内所に行き、
「九族文化村行きのバス停」
を教えてもらう。
「よし、このバスだ。乗れ乗れ。これから1時間半」
とふたりを押し込む。
「どこまで行くの」
ここで初めて、
「少数民族に会いに行くぞ」
といいつつ、ふたりにパンフレットを渡した。
九族文化村は、深い深い、山の中にあるのだ。
「・・・何これ」
まず長女がかみつく。彼女は町でショッピングやおいしいものをいっぱい食べたいヒトである。
「九族文化村といってな。台湾少数民族のテーマパークみたいなものだ」
「これを見るために、わざわざ台北から往復するの」
台中のおいしいお店は、マボロシのごとく消えたのである。
うふふふふ。
もう遅いのだよ。バスは走り出してしまったのだよ。 -
九族文化村は、台湾のほぼ中央、日月潭のほとりにある。
バスは高速道路を経て、どんどんと山の中に入っていく。
ヤシに覆われた峠を越えると、眼下に霧にけむる湖が現れた。台湾最大の湖、日月潭である。
日月潭の湖畔にあるバス停から、九族文化村へはロープウェイに乗り換えねばならない。
が、ローブウェイ乗り場にたどり着くと。
そこには、台湾中から押し寄せた家族連れで、延々、長蛇の列ができているのであった。
まさに煮〆にしたいくらいのヒトの波である。
ロープウェイに乗る際に、もらったパンフレットで、理由が判明した。
九族文化村は、巨大遊園地が併設されているのである。今風なのである。
ジェットコースターとか、ウォータースライダーなどが、少数民族とは全然関係なく、真横にある。
で、入場料を払えば、少数民族も遊園地も、いっしょなのである。
ハードボイルドな施設かと思いきや、年間入場150万人、国民的行楽地なのであった。
ロープウェイを降りると、村の入り口だ。
ここから、いろんな先住民族の住居が現れ、衣装が現れ、顔が現れ、広場では男女が踊りを披露している。
この踊りは圧巻だ。
イレズミを施した若い男たちが、美しい女たちを奪い合うように躍動する。 -
台湾の少数民族は、全部で20といわれる。
その中から九つの民族を紹介しているから、九族文化村なのである。
ちなみに、各民族の現在の人口は、最も多いアミ族で17万。
もっとも少ないサオ族は、270人。
そのサオ族のブースでは、おじいさんが2人とおばあさんが3人、サオ族名物の「石焼き肉」を販売していた。
この売り場にいる人だけで、民族の2%を占めているわけだ。
まさに世界最小の民族なんだろうな。
その方々の顔を、シミジミと見る。
サオ族の、最後に残った270人のうちの5人。
うーむ。
わが実家、エチゴのトシヨリと似た、実直そうな顔つきである。
ちょっとエラが張って、野の風を受けて生きてきた、皺深い顔。
そのままエチゴの棚田に、ぽんとおいても、なんの違和感もないがな。
それから、9つの民族の顔を、確かめるように見て歩く。
アイヌに似た、彫りの深い顔立ちもいる。
関西人によく似た、色白、細面もある。
東南アジアの、フィリピンに近い顔つきもある。
どれも、日本人の「だれか」に似ている。
ワシにも、配偶者にも、長女にも似ているのであった。 -
ゆうがた、村を出て、台中に戻るバス停で、3人、のんびりとバスを待った。
少し離れた場所で、客待ちタクシーの運ちゃんたちが、ワシらのほうを見ながら、ナニヤラ話していた。
やがて、バスがやってきた。
バスに乗りこんだ途端、長女がワシに言う。
「あのタクシーの運転手さん、なんて言ってたと思う」
長女は中国語を解する。
どうやら運転手たちの会話を、聞くともなしに、聞いていたらしい。
「こいつら、どこから来たんだろう」
なんて、ゆっていたらしい。
以下、会話の再現。
「顔を見ると、東のほうからだろう」
「日本人かな」
「違うだろ。日本人にしては、オンナの顔が丸いナ」
「オトコのほうは、体形も丸いナ」
なんてこと、ゆわれていたらしい。
うむむむ。
日本に移住したサオ族の末裔である、とゆってやればよかった。
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この旅行記へのコメント (2)
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- hiroshi_kakogawaさん 2010/11/11 00:57:47
- 通訳が居ていいですね。
- なかなかコミカルな文章で楽しく読ませて頂きました。
しかしこのような楽しい旅行記の文章に遭遇したのは初めてです。
一気に読んでしまいました。
我が家の次男もここに行きましたよ。
私は台湾留学組(1年間)ですので、娘さんと話してみたいですね。
次男も台湾へ留学し三男はオーストラリアへ留学しました。
長男は大学院へ進学したので、留学はしていませんが、年末は
台湾へ一緒に行っています。今年も29日から訪台します。
これにも1票投票しました。
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2010/11/13 22:01:26
- RE: 通訳が居ていいですね。
- はい、通訳がいると何かと便利です。
わしら夫婦は中国語はてんでダメなのですが、長女はかるーい中国オタクなのですね。
とはいえ、できるのは北京語だけなんですけども。
台湾のテレビを見ていて、国産のドラマにも「字幕」がついているのがなんだかおかしかったです。かの国は、発音に関しては複数の言語があるんですね。知りませんでした。
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