短期決戦・台湾親子どんぶり④台湾棒球の正しい楽しみ方とは

2010/08/20 - 2010/08/20

台湾に来たからには、ぜひとも「台湾プロ野球」(中華職業棒球大連盟=CPBL)を観戦したいところである。
八百長問題で監督がお縄に、なーんて暗いニュースもあるが、本来20年の歴史があり、現在4チームが加盟している。

事前にインターネットで調べてみると。
滞在初日と二日目に、台北市内でナイターが行われる、とある。

とゆうわけで、二日目の夜、台北の南に位置する、新荘棒球場(球場)へ向かう。
地下鉄を一回乗り換え、埔里駅で下車。
ネットによると、ここから無料バスが球場に出ているはずである。

エリア 台北(台湾)

三人で、駅前のバス停で、無料バスを待つ。
すると、長女が「おなかすいた〜」と言い出し、とっとこ、通りに面したパン屋さんに入ってしまう。

「ええい、団体行動を乱すヤツめ」

と、父は思うが。
よく考えたら、その父親が、そもそも団体行動が苦手なのであった。

が、すぐに、「あたしも〜」と、配偶者が行ってしまう。

「あ、裏切りモノっ」

ワシひとり、バス停でお留守番になる。
団体はアッチ、こっちが少数派になってしまう。もとより二対一なのだ。
しばし、♀♀♂三人旅の悲哀をシミジミと味わう。

少し離れた場所に、行き先を書いていないバスがやってきた。
そのバスに、レプリカ・ユニフォームの若者が乗り込んでいる。

お、これかな。

走り寄り、若者にバスを指さし

「ベースボール・スタジアム？」

「イエス」

後ろを振り向くと、のんびり二人が店から出てくるところである。
乗車口に脚をかけ、ふたりに向かって

「は・し・れーーーーーーー」

と、大音声の日本語で叫ぶ。
女ども、はじけるように走ってくる。

「ムダに声が大きい。みんな振り向いたよ」

配偶者がワシにらむ。
ええい黙らっしゃい、ナニと声は昔からでかいのだ、何をいまさら。

当日の試合は、「兄弟エレファンツ×統一ライオンズ」である。
入場料は300元(内野)。公式レートでは900円くらい。
が、コンビニの缶ビールが35元であるから、日本の感覚では1500-1800円くらいだろうか。

球場に入ると、ちょうど「兄弟」のピッチャーが肩を作っているところであった。
これがまた、なんとゆうか、キッパリ、デブである。
野球選手らくしない、とゆうよりは、そのままマウンドに縄などをあしらい、土俵にしたいくらいである。大相撲台湾場所なのである。

「台湾に来て、お父さんよりデブを始めてみた」

と、長女が失礼なことをゆう。
確かに、新弟子検査は通りそうだ。

このピッチャーの名は、カルロス・カスティーヨ。
以前ダイエーにいたような気がする。
が、デブすぎて、日本ではまったく使えなかったはずだ。

野球のレベルは・・・1試合見ただけではなんとも言えないが、日本の2軍の少し下、といった感じである。
うまい選手は日米へ引き抜かれるので、全体のレベルは上がりにくいのであろう。
バッターは親のカタキみたいにブンブン振りまわすので、やたらとポップフライが多い。
パワーはあるのだが、試合が大味なのだ。

しかし、ナニがすごいって、応援がすごい。
観客は4000人といったところだが、一球ごとに、コレデモカの大音声なのてある。

観客席の真ん中に、太鼓、トランペット、トロンボーンが陣取っている。
ここまでは、日本の「私設応援団」と同じであるが。
リーダーが、ワイヤレス・マイクで完全武装している。(⇒日本では当然禁止)
でもって、そのマイクを目いっぱい使って、観客を扇動するのだ。
しかも両軍のスタンドにそれがいる。

場内は、もちろん「公式アナウンス」のマイクが存在するのだが。
もはや、どれが場内アナウンスでどれが応援マイクなのか、判然としない。

「天上天下唯我独尊！」

「盛者必衰！諸行無常！」

「歩行禁煙！投捨厳禁！」

何一つゆってることは分からない。
中国語を解す長女も、マイクの音が割れているので分からないという。
夜市もかくや、とゆうほどのカオスなのである。

かろうじて分かるのは、「カットバセー」ですね。

「アンダー・アンダー」(安打、安打)

ドコドンドン。(→太鼓の音)

「アンダー・アンダー」

ドコドンドン。(→太鼓の音)

これだけが、耳の底に、お経みたいに張り付く。
宗教だったらそのまま帰依してしまいそうだ。
五体投地くらいしそうになってしまう。

点でも入ろうものなら大変だ。
大人も子供も、焼けた鉄板の上で焼かれるタコみたいに大騒ぎしている。

毒気をすっかり抜かれる、日本からの観客約三名なのであった。

この旅行記へのコメント （2）

• hiroshi_kakogawaさん 2010/11/11 00:43:44

  野球観戦とは！

  笑える旅行記ですね。
  
  台湾に来てまで野球観戦するその姿勢に脱帽です。
  
  私は流石に野球観戦はしませんが、映画は台北でよく見ます。
  
  日本より封切りが半年程早いからです。しかも安い！
  
  次回は映画観賞しませんか？
  
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  鯨の味噌汁さん からの返信 2010/11/13 22:05:53

  RE: 野球観戦とは！

  台湾プロ野球は日本とも交流が深いんです。
  指導者に日本人が多いんです。ここらへんも、日本をライバルとキョーレツに意識している韓国とかなり違う風土ですよね。
  
  鉦や太鼓の村祭り・・・といった雰囲気で、大変楽しめました。
  まさに一球一打にアツくなる、好ましい観衆でしたよ。