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◆アンコール・トムの巨顔像<br /> 駐車場の奥の売店の裏側に、トクトクがたくさん停まっており、そこでキンちゃんはトクトク仲間とおしゃべりしながら待っていた。「食事はどうしますか?」「中の食堂で済ませてきたよ。」「そうですか。それならアンコール・トムに行きましょう。」というようなやりとりがあって、トクトクに乗り込み次の目的地であるアンコール・トムに向かう。<br /> 同じ「アンコール」でも、こちらのアンコールは、サンスクリット語の「ナガラ(都市)」から出た言葉で、またトムはクメール語で「大きな」という意味がある。アンコール・トムは、1辺3kmの堀とラテライトで造られた8mの高さの城壁で囲まれた、巨大な城砦都市なのだ。外部とは南大門、北大門、西大門、死者の門、勝利の門の5つの城門でつながっている。トクトクは、15分ほどで南大門に渡る橋のたもとについた。<br /> 南大門は塔になっており、東西南北の四面に観世音菩薩の彫刻が施されている。また、堀をこえ南大門に渡る橋の欄干は、乳海攪拌を模したナーガ(蛇神)になっていて、ナーガを引っ張るアスラ(阿修羅)と神々の像が築かれている。橋のたもとに象がいて驚いたのだけれど、この像はタクシーのように人を乗せ南大門を通ってバイヨン辺りまで行ってくれるようだ。赤い服を着た象使いが象の頭のすぐ後ろ辺りに座って、その後ろに方形の座が括りつけられている。そこに数人が座って象に揺られながら南大門をくぐって行った。<br /> 僕たちは、いったんトクトクを降り、歩いて橋を渡り、南大をくぐり、大門の上に登って、僕の背丈よりも大きな観世音菩薩の御尊顔を拝した。クメールのほほ笑みと呼ばれる独特の笑みを浮かべたような表情をした菩薩像に感動すると同時に、この石の大きな建造物を造った当時の苦労を思った。塔に連なる壁の上から見下ろすと、橋の右側は堀に水があるけれど、橋の左側は堀の底が見え、雑草が生えている。壁の上は人が十分歩ける広さがあり、いつか再訪する機会をつくって、ゆっくり歩きまわってみたい。<br /><br />◆バイヨン、パープオン、王宮、そして象のテラス<br /> 再びトクトクに戻って、バイヨンへ。バイヨンはアンコール・トムの中心に位置する寺院で、四面に観世音菩薩のある塔堂が見どころの一つだけれど、本当は第一回廊の外壁に彫られたレリーフに、アンコール・トム成立の由来となる物語が描かれており、この第一回廊のレリーフで歴史の勉強ができる。でも、観光客の多くは、やっぱり塔堂を珍しそうに見上げている。僕たちも、今回は1日でアンコール遺跡群を辿らなければならず、ゆっくりとみている余裕がなく、とても残念だった。今度は2週間くらいじっくりと見て回る時間を持てるような旅を計画して見たいと思っている。<br /> ところでこの巨大な観世音菩薩の顔は全部で190いくつあるという話だけれど、顔の特徴がいくつかのパターンにわかれているような気がする。もちろん、よくみれば全部違う顔をしているけれど、少なくとも、角ばった顔と細面の顔の2パターン、それにクメールのほほ笑みと呼ばれているその微笑み方に差があって、かなりにこやかそうに笑っている顔があるかと思えば、笑っているように見えない顔もある。時間の都合で、そんな微妙な表情の差を読み取る間もなく、大きな遺跡を直線的に登ってすぐに降りなければならいのが返す返すも残念である。<br /> バイヨン寺院を出て真っすぐ北に進むと左手にパプーオンというヒンドゥー教の寺院がある。寺院に続く2mほどの高さの真っすぐ延びた石の参道は、「地上と天上界を結ぶ虹の架け橋」を意味していると聞く。にしても、まだ9時だというのに、ジリジリと照りつける日差しに痛めつけられ、本日2本目の2リットルのペットボトルを買った。<br />パープオンは修復工事の最中であり、その全貌を見ることはできなかったが、巨大な石造建築を見上げながら、当時の人々の暮らしと宗教の関係や日本人との宗教観の違いについて考えさせられた。<br /> 日本人は、「八百万の神」というように、いろいろな物に神を認め、崇めてきた。村の近くには鎮守の森と神社があり村を守り、道行く旅人を見守る道祖神がいて、家の中にも神棚があり、竈や井戸といった生活道具などにも神を認めた。たくさんの神がいて日頃から神に守られて生活してきたのが日本人だった。<br /> これに対して、ヒンドゥー教も多神教だが、日本のそれとは趣を異にし、神々の信仰と同時に輪廻や解脱といった独特の概念を持ち、四住期に代表される生活様式、身分・職業までを含んだカースト制度を特徴とする。人生の最終目標である解脱をめざして、人生を四つの時期に分け、それぞれの時期に目標と義務が設定されるなど人の人生そのものを縛りつけるものと僕の目には映るのだけれど、ヒンドゥー教を信じている人たちは教えに従って敬虔に生きている。<br /> パープオンから王宮の広場に出る。王宮は木造であったらしく、王宮そのものは残っておらず、林のようになっている。王宮跡の林を抜けて「象のテラス」に出る。王宮前広場に向かって南北に300m以上も続く長大なテラスが象のテラスで、テラスの上にナーガの欄干があり、側壁にその名の通り象のレリーフが見られる。ここまで暑い日差しの中を歩いてきて、ちょっとくたびれた僕とKさんは、キンちゃんを見つけてトクトクで移動することにした。

悠久の大河とアンコール遺跡群を辿る旅No.11 クメールのほほ笑み編

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2010/03/20 - 2010/03/27

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山菜迷人

山菜迷人さん

◆アンコール・トムの巨顔像
 駐車場の奥の売店の裏側に、トクトクがたくさん停まっており、そこでキンちゃんはトクトク仲間とおしゃべりしながら待っていた。「食事はどうしますか?」「中の食堂で済ませてきたよ。」「そうですか。それならアンコール・トムに行きましょう。」というようなやりとりがあって、トクトクに乗り込み次の目的地であるアンコール・トムに向かう。
 同じ「アンコール」でも、こちらのアンコールは、サンスクリット語の「ナガラ(都市)」から出た言葉で、またトムはクメール語で「大きな」という意味がある。アンコール・トムは、1辺3kmの堀とラテライトで造られた8mの高さの城壁で囲まれた、巨大な城砦都市なのだ。外部とは南大門、北大門、西大門、死者の門、勝利の門の5つの城門でつながっている。トクトクは、15分ほどで南大門に渡る橋のたもとについた。
 南大門は塔になっており、東西南北の四面に観世音菩薩の彫刻が施されている。また、堀をこえ南大門に渡る橋の欄干は、乳海攪拌を模したナーガ(蛇神)になっていて、ナーガを引っ張るアスラ(阿修羅)と神々の像が築かれている。橋のたもとに象がいて驚いたのだけれど、この像はタクシーのように人を乗せ南大門を通ってバイヨン辺りまで行ってくれるようだ。赤い服を着た象使いが象の頭のすぐ後ろ辺りに座って、その後ろに方形の座が括りつけられている。そこに数人が座って象に揺られながら南大門をくぐって行った。
 僕たちは、いったんトクトクを降り、歩いて橋を渡り、南大をくぐり、大門の上に登って、僕の背丈よりも大きな観世音菩薩の御尊顔を拝した。クメールのほほ笑みと呼ばれる独特の笑みを浮かべたような表情をした菩薩像に感動すると同時に、この石の大きな建造物を造った当時の苦労を思った。塔に連なる壁の上から見下ろすと、橋の右側は堀に水があるけれど、橋の左側は堀の底が見え、雑草が生えている。壁の上は人が十分歩ける広さがあり、いつか再訪する機会をつくって、ゆっくり歩きまわってみたい。

◆バイヨン、パープオン、王宮、そして象のテラス
 再びトクトクに戻って、バイヨンへ。バイヨンはアンコール・トムの中心に位置する寺院で、四面に観世音菩薩のある塔堂が見どころの一つだけれど、本当は第一回廊の外壁に彫られたレリーフに、アンコール・トム成立の由来となる物語が描かれており、この第一回廊のレリーフで歴史の勉強ができる。でも、観光客の多くは、やっぱり塔堂を珍しそうに見上げている。僕たちも、今回は1日でアンコール遺跡群を辿らなければならず、ゆっくりとみている余裕がなく、とても残念だった。今度は2週間くらいじっくりと見て回る時間を持てるような旅を計画して見たいと思っている。
 ところでこの巨大な観世音菩薩の顔は全部で190いくつあるという話だけれど、顔の特徴がいくつかのパターンにわかれているような気がする。もちろん、よくみれば全部違う顔をしているけれど、少なくとも、角ばった顔と細面の顔の2パターン、それにクメールのほほ笑みと呼ばれているその微笑み方に差があって、かなりにこやかそうに笑っている顔があるかと思えば、笑っているように見えない顔もある。時間の都合で、そんな微妙な表情の差を読み取る間もなく、大きな遺跡を直線的に登ってすぐに降りなければならいのが返す返すも残念である。
 バイヨン寺院を出て真っすぐ北に進むと左手にパプーオンというヒンドゥー教の寺院がある。寺院に続く2mほどの高さの真っすぐ延びた石の参道は、「地上と天上界を結ぶ虹の架け橋」を意味していると聞く。にしても、まだ9時だというのに、ジリジリと照りつける日差しに痛めつけられ、本日2本目の2リットルのペットボトルを買った。
パープオンは修復工事の最中であり、その全貌を見ることはできなかったが、巨大な石造建築を見上げながら、当時の人々の暮らしと宗教の関係や日本人との宗教観の違いについて考えさせられた。
 日本人は、「八百万の神」というように、いろいろな物に神を認め、崇めてきた。村の近くには鎮守の森と神社があり村を守り、道行く旅人を見守る道祖神がいて、家の中にも神棚があり、竈や井戸といった生活道具などにも神を認めた。たくさんの神がいて日頃から神に守られて生活してきたのが日本人だった。
 これに対して、ヒンドゥー教も多神教だが、日本のそれとは趣を異にし、神々の信仰と同時に輪廻や解脱といった独特の概念を持ち、四住期に代表される生活様式、身分・職業までを含んだカースト制度を特徴とする。人生の最終目標である解脱をめざして、人生を四つの時期に分け、それぞれの時期に目標と義務が設定されるなど人の人生そのものを縛りつけるものと僕の目には映るのだけれど、ヒンドゥー教を信じている人たちは教えに従って敬虔に生きている。
 パープオンから王宮の広場に出る。王宮は木造であったらしく、王宮そのものは残っておらず、林のようになっている。王宮跡の林を抜けて「象のテラス」に出る。王宮前広場に向かって南北に300m以上も続く長大なテラスが象のテラスで、テラスの上にナーガの欄干があり、側壁にその名の通り象のレリーフが見られる。ここまで暑い日差しの中を歩いてきて、ちょっとくたびれた僕とKさんは、キンちゃんを見つけてトクトクで移動することにした。

  • 南大門の観世音菩薩像

    南大門の観世音菩薩像

  • ナーガ

    ナーガ

  • ナーガを引っ張るアスラ(阿修羅)

    ナーガを引っ張るアスラ(阿修羅)

  • 象に揺られて南大門をくぐる旅人

    象に揺られて南大門をくぐる旅人

  • 象や車が南大門を潜ろうとしている。南大門の高さがわかる。

    象や車が南大門を潜ろうとしている。南大門の高さがわかる。

  • 南大門を潜って、振り返る。朝早くから大勢の観光客が歩いている。<br />南大門の観世音菩薩は、違った表情を見せる。

    南大門を潜って、振り返る。朝早くから大勢の観光客が歩いている。
    南大門の観世音菩薩は、違った表情を見せる。

  • バイヨン全景

    バイヨン全景

  • 第一回廊外壁のレリーフ<br />歴史絵巻が広がっているが残念ながらゆっくり見ている時間がなかった。

    第一回廊外壁のレリーフ
    歴史絵巻が広がっているが残念ながらゆっくり見ている時間がなかった。

  • バイヨンの『クメールのほほ笑み』

    バイヨンの『クメールのほほ笑み』

  • アプサラー

    アプサラー

  • バイヨンのデヴァター

    バイヨンのデヴァター

  • クメールのほほ笑み

    クメールのほほ笑み

  • クメールのほほ笑み その2

    クメールのほほ笑み その2

  • クメールのほほ笑み その3

    クメールのほほ笑み その3

  • クメールのほほ笑み その4

    クメールのほほ笑み その4

  • クメールのほほ笑み その5

    クメールのほほ笑み その5

  • 祠堂から回廊を見下ろす

    祠堂から回廊を見下ろす

  • ヒンドゥー教の寺院パプーオンに向かう虹の架け橋

    ヒンドゥー教の寺院パプーオンに向かう虹の架け橋

  • パプーオン

    パプーオン

  • 寺院に入る門をくぐり振り返ると、真っすぐに伸びる虹のかけ橋がみえた。

    寺院に入る門をくぐり振り返ると、真っすぐに伸びる虹のかけ橋がみえた。

  • 寺院の上から広場を見下ろす。土産物売りがたむろしている。

    寺院の上から広場を見下ろす。土産物売りがたむろしている。

  • ピミアナカス

    ピミアナカス

  • 象のテラス

    象のテラス

  • 象のテラス その2

    象のテラス その2

  • シンハ像

    シンハ像

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