2010/03/20 - 2010/03/27
47位(同エリア55件中)
山菜迷人さん
(3)ベトナム人とオートバイ
ホーチミンの人口は2009年4月で7,123千人、これに対してオートバイは200万台以上走っている。人口にはお年寄りから赤ちゃんまで含まれているわけで、ベトナム戦争のせいで高齢人口が少ないので、免許をとれない18歳未満の人口を仮に35%として推計すると、運転可能人口の43%以上に相当するオートバイが走っていることになる。
そのくらいオートバイが普及し、朝夕の出勤ラッシュは言うに及ばず、すさまじいオートバイが走りまわり、しかも、二人乗りは当たり前、激しい時にはお父さんの前に子ども、お父さんとお母さんの間に子ども、お母さんの背中に子どもの5人乗りといような離れ業もやってのけるのだからすごい。しかも、このオートバイの運転マナーはけして良くはない。少しでもスペースがあろうものなら、他の迷惑など関係なしにどんどん突っ込んでいく。
今回のツアーでも、バスでチャウドックに移動したとき、サデクの辺りで工事用の資材を積んだトレーラーが工事現場にバックで入ろうとしているのに、日本のように交通整理係りがいないこともあるけれど、両方向から次々にオートバイが突っ込んできて完全に交通が遮断されてしまうという出来事に遭遇した。
感心したのはトレーラーの運転手で、ジワジワとバイク押しのけていき、バック、そしてまたジワジワと前進し、またバックするという作業を何度か繰り返し、工事現場に見事にトレーラーを乗り入れることに成功したのだ。交通が再開された後がまたすさまじい。センターラインなどは無視してあっちからこっちからバイクが動き始めるものだから、僕などが車を運転していたらどうしていいのかわからなくて路頭に迷いそうだ。
これほどオートバイが普及した理由は、自動車がまだまだ労働者にとって高根の花で、車は一般的な労働者の月収の40倍もする高価なものだからだ。それに対して、オートバイは、外国製品の輸入を禁止し国内のオートバイ産業を育成してきたこともあり、本体・パーツも含めて内製化が進んだ。その結果、一般的な労働者の手の届く価格になってきたということであるらしい。しかし、交通マナーについての教育はこれからで、オートバイの関係する事故の多さが問題にされている。
でも僕は、このオートバイの群れを見ると、ベトナムの人たちの生きるエネルギー感じて、忘れがたい風物として強く記憶に残っているのである。
(4)河の暮らしと子どもたち
ベトナムでもカンボジアでも、メコン河沿いの村の家は概ね2間四方ほどの2階建てである。1階は板張りの所もあるけれど、たいては土間のままで、農具などの物置として使われている。雨季には1階が水没するくらいの水が出るので、住居はこのような構造になっており、一部屋しかない2階部分が生活の場である。屋根は波板のトタンで葺かれていることが多く、川に面した側に壁はなく、他の3方は板もしくは萱などの草を束ねたもので壁がこしらえてある。壁のない面は、夜間には蚊帳のようなものが吊られるようになっている。
水牛が飼われ、鶏が放し飼いにされ、カモ類もメコン川の支流で放し飼いにされている。水牛は農耕に使われ、鶏やカモ類は食料として飼われている。農作物が現金収入の源であり、基本的に自給自足の暮らしである。料理をするのも、洗濯をするのも、身体を洗うのも、全てメコン河の水を使う。気温が高く、食中毒などの心配がないのだろうかと心配になるが、長い間メコンの水によって生きてきた人たちであり、免疫力も僕たちとは違うのだろう。
それにしても、メコン河を遡上する旅で出会った子どもたちは、屈託なくよく笑う。けして豊かには思えないその暮らしを悲観するわけでも辛いと思うわけでもなく、あるがままに一日一日を生きている。こちらを睨んでいるように見える子どもに、「シン チャオ」とか「ハーイ」「ハロー」などと声をかければ、子どもたちの顔はたちどころにほころび、満面の笑顔で「ハロー! ハロー!」とあいさつを返してくる。
また、子どもたちは水遊びが大好きだ。3月の平均気温が27~28度、日中の最高気温は30数度まであがる。大人の男たちは、昼飯を食ったら暑いうちハンモックの上で過ごす。子どもたちはハンモックで寝ている暇があったら川で遊ぶのだ。小さな子どもは浅瀬で、少し大きくなると川渡りを競い、深い淵にバック転をして飛び込んだり、身体一つで思いおもいに遊んでいる。その逞しさ、大らかさ、僕は、メコン河に生きる子どもたちが大好きになった。
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