2010/04/11 - 2010/04/13
171位(同エリア532件中)
mingさん
エルサレム郊外へバスで20分ほど走ると、イスラエルとパレスチナの2つの民族を隔てるコンクリートの巨大な分離壁が姿を現した。あたかも民族問題の縮図であるかのような殺風景さであった。
【生活費】7万円
【飛行機】15万円
【通貨単位】1シュケル=28円
【英語通用度】5人に4人
【旅程】9日間
4/9カイロ
4/10カイロ
4/11エルサレム
4/12エルサレム
4/13ペトラ
4/14ペトラ
4/15アンマン
4/16ジェラシュ
4/17帰国
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- ショッピング
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 高速・路線バス タクシー
- 航空会社
- エティハド航空
-
(1)『イスラエル入国』
4/11 7:00アンマンのクリフホテルからタクシー(18JD=3,060円)で40kmほど走り、8:00イスラエル国境のアレンビー橋(=キング・フセイン橋)に到着した。ヨルダン出国審査の後、緩衝地帯を専用バスで移動した(ヨルダン出国のスタンプは全員別紙に押された)。荷物検査を3回受け、この国境が普通の国境とは別物であると感じた。
イスラエルの入国審査では、「ヨルダン川西岸地区(=パレスチナ自治区)へ行く予定か?」「(シリアなどに入国できなくなるが)入国スタンプをパスポートに押すか?」などを聞かれた。
10:00を過ぎて、ようやくイスラエルへ入国することができた。 -
(2)『ダマスカス門』
11:30 国境から1時間ほどバスで30km走り(40シュケル=1,120円)、エルサレム旧市街のダマスカス門に到着した。
威圧するほど強固な門は、聖書の中で「紀元前11世紀のダビデ王の時代にはすでに存在した」とされている。いくつかの紛争を経て、現存する門は16世紀に絶頂を迎えたオスマン帝国のスレイマン1世によって城壁とともに美しく再建されたものである。 -
(3)『エルサレム旧市街』
ダマスカス門をくぐると、クリーム色で統一された景色が広がった。2000年以上も生き続けた「聖地」に足を踏み入れ、聖書の世界の中にいるような独特な雰囲気を感じた。 -
(4)『世界遺産に住む女の子』
ダマスカス門から道なりに南へ歩くと、ベロニカ教会に到着した。そこから少し奥の通りへ入ると、旧市街に住んでいる子供たちが遊んでいた。
旧市街は民族ごとに住む地区が決められている。キリスト教徒地区、ユダヤ人地区、ムスリム地区、アルメニア人地区の4地区に分けられている。
5分も歩くと、違う民族の同世代グループがあり、子供ながらに複雑な隣人事情だと勝手に心配した。 -
(5)『ヴィアドロローサ』
ヴィアドロローサ(=悲しみの道)は、イエスが十字架を背負って最期の地となるゴルゴダへと続く約1kmの道である。
イエスは律法主義に凝り固まったユダヤ教を批判し、弱者救済・暴力否定を説いた。一方で、ユダヤ教徒はローマの支配から解放してくれるメシア(=救世主)像をイエスに求めた。そのギャップがユダヤ教徒の失望となり、後の悲劇のきっかけとなった。 -
(6)『キリスト教徒巡礼』
キリスト教徒はヴィアドロローサを十字架を担ぎながら行進する。1留ごとにイエスの身に起こったことを黙想しながら、その足跡をたどって行く。
熱心なキリスト教徒たちは讃美歌を合唱しながら歩き、観光客も加わっていつしか大きな群れとなっていた。 -
(7)『聖墳墓教会』
聖墳墓教会は、336年にローマ皇帝コンスタンティヌス1世の母ヘレナによって建てられた。
この地がイエスが磔刑に処せられたゴルゴタの丘と特定され、磔刑に使われた十字架の破片などもこの周辺で発見されたと伝えられている。 -
(8)『嘆きの壁』
紀元後70年ユダヤ教徒はエルサレムを支配していたローマ軍と戦争状態となる。その結果エルサレムの神殿は破壊され、ユダヤ教徒たちはエルサレムから追放された。世界各地へと散らばって行ったディアスポラ(=離散)のはじまりであり、ユダヤ教徒はエルサレムの立ち入りを禁じられた。
その後、年に1度だけ来訪を許された。この壁はソロモン時代の神殿の一部と言い伝えられ、ユダヤ教徒は壁の前で祖国の復興を祈った。 -
(9)『祈るユダヤ人』
下層の石はヘロデ王の時代のもので大きな石が積まれているが、上部の石は16世紀に積まれており石のサイズが小さくなっている。
壁の石の隙間に詰まっているのは、ユダヤ教徒の悲願を記した紙切れである。夜になると、石の間にたまった夜露が壁の草を伝って落ちてくる。壁が涙を流すかのようであり、神殿の壁から「嘆きの壁」と呼ばれるようになった。 -
(10)『最後の晩餐』
シオン門から旧市街を南へ数分歩くと、最後の晩餐の建物に到着する。この部屋はイエスが処刑される前の晩に弟子たちを集めて最後の晩餐を行った場所である。
現在の建物は十字軍の時代に建てられたため、ユダの裏切りを予言したレオナルド・ダ・ビンチの名作と異なりとてもあっさりとした部屋である。 -
(11)『アラブバス』
4/12 8:00ベツレヘムへ向けて出発した。ダマスカス門近くのアラブバスステーションから、#21と#124がベツレヘム方面へ向かっている。
パレスチナ地区とエルサレムの境にある「民族の分離壁」を見るため、124番のバス(4シュケル=112円)に乗りチェックポイントで降りることにした。 -
(12)『パレスチナの分離壁』
バスで20分ほど走っていると、突如バスの車窓から万里の長城のように連なるコンクリートの壁が姿を現した。
名目上はテロ組織「ハマス」に対する防御壁と言っているが、事実上イスラエル民族のパレスチナ民族への復讐の意味合いが強く、対立の根深さを感じさせられた。
噂には聞いていたが、その殺風景さに「21世紀とは思えない時代錯誤感」を感じた。
さらに、高さが8mほどの壁を1m造るために2億円の税金が投入されているというから、まさしく国家的民族差別プロジェクトである。 -
(13)『ベツレヘムの壁画』
分離壁には、パレスチナ民族の「壁への憤り、平和への願い、差別への怒り」などのメッセージが描かれていた。
目的地のイエス聖誕教会まで30分ほど街の中を歩いたが、朝の11:00前の時間帯にも関わらず商店のほとんどが閉まっていた。
エルサレムと異なり、ベツレヘムはパレスチナ自治区という別の地区であり、景気も活況ではないということを実感した。
エルサレムとガザ地区(パレスチナ自治区)との対立が報道されるが、圧倒的な経済力と軍事力の格差がより一層対立の溝を深めていた。 -
(14)『イエス生誕教会』
11:00 メンジャー広場の奥のあるイエス生誕教会に到着した。
イエスは紀元前4年頃の12月25日に「ベツレヘムの馬小屋で生まれた。」と聖書にあるが、325年にローマ帝国によって生誕の地に教会が建てられた。
到着した時間帯はすでに、イエスの生まれた聖地に祈りを捧げようとする信者の団体が長蛇の列を作っていた。 -
(15)『岩のドーム』
14:00 神殿の丘から岩のドームへと向かった。天気も晴れ、黄金の丸屋根が光り輝いていた。
岩のドームは、687年エルサレムを占領したイスラム軍によって建設された。エルサレムは、イスラム教において「ムハンマドが昇天した地」としてメッカ、メディナに次ぐ第3の聖地とされている。 -
(16)『神殿の丘にて』
岩のドームでサッカーをしている親子がいた。たまに岩のドームの壁にボールが当たっていた。
「世界遺産でサッカー遊びとは贅沢だ。」と思っていいると、「少年が写真を撮ってよ。」と近づいてきた。数枚写真を撮っていると、「私も撮ってよ!」と妹がカメラ目線でポーズと表情をバッチリと決め、笑顔でバイバイと去っていった。 -
(17)『オリーブ山』
オリーブ山はイエスが最後の晩餐の後に、祭司長に捕えられるまで神に祈り続けた場所として有名である。
丘からは岩のドームや聖墳墓教会や嘆きの壁が狭い地域に密集していることがわかる。 -
(18)『エン・ゲディへ』
4/13 エルサレム新市街のバスターミナルから421番のバスでエン・ゲティへと向かった。
死海の東西の幅は約14kmで、対岸にはヨルダンの赤い山々が連なっていた。
荒野を2時間ほど進み、11:30にエン・ゲティのビーチに到着した。 -
(19)『死海ビーチ』
死海は海抜マイナス420mにあり、水が流出する出口がない。強烈な太陽光線で水が蒸発するため、水中の塩分濃度が濃縮され、海水の10倍の濃度の塩水湖である。
水の中に入ると、砂糖水のようなドロリとした液体が足に絡みついた。しばらく歩くと、足が上に引っ張られるように浮き、背中に重心があるような不思議な感覚であった。
泳ごうとすると口の中に超濃い塩水が入り、歩こうとすると浮力で足が下に着かず、静かに浮いて青い空を眺めているのが一番であった。 -
(20)『死海から国境へ』
13:30 444番のバスでエルサレム方面へと向かった。バスの運転手に「ヨルダンへ行くので、国境付近で降ろしてほしい。」と伝えた。30分で道路が分岐する地点でバスを降りた。
タクシーを拾おうと思ったが、交通量は思いのほか少なかった。20分ほどしてようやくタクシーがつかまった。
「アレンビ国境まで。」と運転手に告げたが、メーターを倒さず、10分で到着したにも関わらず150シュケル(=4,200円)を請求された。
交渉して100シュケル(2,800円)を払ったが、イスラエルの幕引きも死海同様しょっぱいものとなった。
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