
2010/03/20 - 2010/03/22
37745位(同エリア75420件中)
まゆままさん
一日目の後半は梵寿綱の建築巡りへ。
2年ほど前ぬいぬいさんの旅行記で梵寿綱のドラード和世陀を初めて見た時は、日本にこんな建物があるなんて!と衝撃を受けた。
いつか東京へ訪れたら梵寿綱の作品を見てみたいと思いつつこの度ようやく念願がかなった。
せっかくなので東京にある梵寿綱の作品を全て見ようと計画。
こちらの旅行記では一日目後半に訪れた早稲田にある「ドラード和世陀」、池袋へ移動して「斐醴祈:賢者の石」、「ヴェッセル:輝く器」、そして「PETTI ETANG」をご紹介。
- 交通手段
- 私鉄 徒歩
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早稲田大学の並木通りに面して建つこの建物、「ドラード和世陀」は1階部分が店舗の6階建ての民間分譲集合住宅になっている。
梵寿綱自身も早稲田大学の建築学科を卒業、1974年には「梵寿綱とその仲間たち」を結成。
仲間たちは鍛冶屋・ステンドグラス作家・陶芸家・木彫造形家・ガラス彫刻家・コンクリート造形家・更に繊細な壁がきを造る浮世絵の木版画家等、日本でも最高の技術を持つ職人たちの集団なのだそう。 -
その「梵寿綱と仲間たち」により1984年に建てられたというこの建物。
とても26年も前に建てられたとは思えない〜
自然界には直線は存在しない、人にとって安らぎを感じることができるのは曲線、
ということで有機的な曲線を使ってデザインされている。 -
真っ赤な扉はギャラリーの入り口。
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外壁にはさまざまなタイルや陶片などを使った装飾で覆い尽くされていて圧巻〜
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この二階、三階のベランダはバルセロナで見たガウディのカサ・ミラのワカメのようなアイアンのフェンスを彷彿とさせるもの・・
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大胆なデザインにドキッとさせられるけど、よく見ると絵付けは京都のやきもののように繊細できれい。
蝶に牡丹、青海波、梅、そして水玉と、和のテイストが集まってるけどミックスされるとなぜかポップな雰囲気に。 -
こちらの壁面は魚のうろこをイメージしたものだろうか?
うろこのひとつひとつにさまざまな色合いのメタリックに輝く小さなタイルがびっしりと張られていて、
光を受けてキラキラ輝いている。 -
こちらも一旦絵付けをした陶片を割ってバラバラにしたものが張りつけられてる。
フラットでないデコボコ感の演出?! -
こちらの丸窓のアーチの中にも凝縮された装飾がいろいろ。
昭和レトロな石目調のタイルも丸窓の周りに張られてた。 -
一階にはもう一軒、散髪屋さんが入っている。
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こちらの入り口も有機的に大きく波打ってる。
散髪屋さんの干されたタオルがオブジェのよう・・ -
入り口下部にはカーテンのすそから覗く足?
足の爪はお花模様になってるし。 -
顔、顔・顔が張りつく・・
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マジョリカタイル風のものも見つけた。
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これは何だろか〜?
魔よけの鬼?? -
そしてマンション部分のエントランス。
こちらの入り口には床も波打つ。
壁や天井の立体的な造形もインパクト大。 -
エントランスで衝撃を受けるのはモザイクタイルで造られたベロを出したこの顔。
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「ワセダ エル ドラード」とモザイクで入れられたエントランスへ
ちなみにエル・ドラードというのは南アメリカのアンデスに伝わる黄金郷にまつわる伝説のこと。転じて、黄金郷自体を指す。のだそう。
この先に黄金郷のような世界が待ち受けているのだろうか・・? -
蝶の羽をイメージするような優雅な鍛鉄の門を押して中へ。
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この先に何があるのかを期待させるカーブを描く通路。
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天井もこんな風にモザイク状に入れられた石と一緒にうねうねとしたひも状のものが貼り付く。
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気持ちがいいのか?悪いのか?分からないほどの密度の濃いい天井装飾・・
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そして一番奥にはこれまた驚きのオブジェが!
色とりどりのステンドグラスに囲まれた空間には木製の手がぶら下がる・・
床には足をかたどったモザイクが。 -
天井のステンドグラスは蓮の花
極楽浄土の世界?! -
土壁?に古代の壁画?もしくは抽象画?を思わせるような絵が描かれている・・
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周りのステンドグラス
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そしてこれまたかわいかったのは動物が浮き彫りになったポスト。
受け口もそれぞれ違った形なのがいい! -
ウサギのポストは丸、蛇のポストは縦長と・・
郵便屋さん泣かせ?! -
更にもう一つ奥の居住者だけが入って行ける門。
これでもかとぐるぐると渦巻くアイアンの装飾がすごい。 -
まるでケルトの渦巻きのような・・
この力強い渦巻きに魅せられてしまった。 -
その渦巻き門の間から先を写す。
緑を基調としたステンドグラスのドアと天井からはガラスのフルーツの照明がぶら下がってた。 -
ここの壁は外壁にも一部使われてたマジョリカタイル風のものが張られてた。
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このコーナーはややイスラーム?な雰囲気を醸し出している。
コーナーごとに雰囲気ががらっと変わるのはさまざまな職人の合作だからだろうか。
皆、それぞれの持ち場で?芸術を爆発させてるなあ・・ -
花などのステンドグラスで装飾されたドア。
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こちらのドアの前には、竣工年とずらりと名前が書かれたプレートが。
このマンションの建設にたずさわった人たちの名前だろうか。
これも立派なオブジェとなっている。
早稲田エルドラード・・内部もまさしく黄金郷だった〜 -
ドラード和世陀を後にし、やってきたのは池袋。
池袋には梵寿綱の作品が二つある。
まずはこちらの「斐醴祈:賢者の石」から
一階には「平喜屋」という飲み屋さんの店舗が入っていて、その問屋倉庫、事務所、社員寄宿舎、賃貸住宅からなる複合ビルとなっている。 -
ドラード和世陀のようにカラフルな外観ではないが
外壁には布のようなやわらかな質感が感じられるような凝った左官仕上げがされている。 -
バルコニーの柵と平喜屋と書かれたこの看板の雰囲気が外壁のやわらかさと調和していていい感じ。
こちら側の面は結構好きだけど・・ -
ちょっと角度を変えて見てみると今までのイメージとはガラリと変わってしまう。
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縦に並んだ目玉のような装飾がなんか恐い・・
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倉庫の上は事務所、3階4階は社員宿舎なのだろうか、
3階、4階、屋上のバルコニーの部分にも細やかな装飾が施されていた。 -
事務所のある方の入り口の門。
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明りを持つ手。
女の人の手のよう。 -
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階段を上がってみると一見、冷蔵庫の扉のような?事務所の扉が。
扉には繊細な装飾が描かれている。 -
蛍光灯のカバーも美しい。
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こちらは食堂だったか?のドア。
このステンドグラスのようなドアを中から見てみたいとノックしてみたが開かなかった。 -
そしてこちらがマンションの方の入り口
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色違いのタイルが敷かれてる。
ドラード和世陀でも見かけたタイルだ。 -
こちらにも明りを捧げ持つ手が。
こっちは男の人の手みたい。
ごつごつとしてリアルな感じ。 -
ふと上を見上げるととても色鮮やかで華やかなモザイク装飾。
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入り口天井のモザイク
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エントランスホールの天井のモザイク
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入り口から見たエントランスホール全体像。
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人間の手足が椅子と一体化・・不気味な人間椅子
チューブのようなタコの吸盤のようなものが上からいっぱい垂れ下がりこの摩訶不思議空間をいっそう盛り上げる。 -
人間椅子一人掛け用が二脚。
しまった〜座り心地を試してくるのを忘れてしまった; -
エレベーターの上にはモザイクタイルタペストリーが上からかかっている。
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エレベーター
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エレベーター脇の照明はまた一味違うもの。
手の形が更に複雑化。 -
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カーテンのドレープから覗く照明を持つ手。
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突き当りのドアにはこんなステンドグラスが入れられていた。
あっちにもこっちにも「うおおーー!」と心の中で感嘆の叫びを上げながら写真を撮っていたところ、ふと人の気配が・・
振り向くと
カメラを持った男の人が一人立っていて、
「あの〜ここは有名な建物なんですか?あまりに熱心に撮られてたようなんで・・」
と、尋ねられてしまった。
「ゆ、有名といえば有名ですが・・梵寿綱さんといわれる方が設計された建物で・・」
と答えると、その人も梵寿綱は知らないようだったがあっちこっちを写真に撮りだした。
その後外へ出てからも別の人に尋ねられ、意外とこの辺りの人にもあまり知られてない建物なんだなあ〜と。 -
エントランスの吹き抜けの高い天井。
上部にはこんなステンドグラスも。 -
エレベーターに乗ってちょっとマンションの方へ上がってみた。
エレベーターを降りてみるとエントランスの豪華な雰囲気がまるで夢か幻だったかのごとく対照的にシンプルな空間が広がってた。 -
アールヌーヴォーな扉・・
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平喜屋と同じ通りの筋向いに建つ細長いビル、「ヴェッセル:輝く器」
ぱっと見た目には梵寿綱と気付かなかったがよく見ると外壁がすごい・・ -
1m角のアルミ鋳物パネルに玉虫色のステンドグラスの細片をはめ込んだものだそうで、一枚一枚が工芸作品のような美しさがあり、実は宝石のような手の込んだ美しいビルなのだ・・
ただ一枚一枚近くで見ると美しいのだけど建物の外壁に使われるとインパクトに欠けるような・・もったいないような・・ -
エントランス付近はシルバーでまとめられている。
外壁のそのステンドグラスの壁を引きたてるべくなのか他の装飾は大人なし目だった。 -
入り口上部に張り付く装飾。
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鏡とシルバーがメタリックな雰囲気の入り口。
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斐醴祈:賢者の石とヴェッセル:輝く器を見た後、
一番分かりにくい場所にある「PETTI ETANG」というマンションを探すべく、池袋の複雑な住宅街をしばしさまよった。
手持ちの地図の自分で書き込んだ「点」だけが頼り・・住所を控えてなかった;
この「点」を間違ってつけてたら終わりだ〜と思いつつなんとなく方向を定めて歩いて行ったがなかなか見つからない・・
自分が地図のどこを歩いてるのかもうすでに分からなくなってるし;
次の次の路地まで見て見つからなかったらもうあきらめようか〜と思いつつ覗き込んだ路地に光沢のある外壁を発見!
やった〜見つかった!
こういう建物探しって見つかった時は宝探しに似た喜びがあるなあ・・ -
ファサードが目に入った時に思い浮かんだのがチェコのプラハ、シロカー通りで見たの妖精の館といわれるアパート。
そのアパートもこんな風に女の人が入り口でいざなうようなレリーフが貼りついていた。
今まで見てきた梵寿綱の建築とはまた一味違うアールヌーヴォーの香り漂うエントランス。 -
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玉虫のように光沢があるタイルを使った外壁。
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入り口の鍛鉄の扉も美しい曲線を描いている。
こちらのマンションの扉は閉ざされているようだ。
と、その時一人のマンションの住人の方が帰って来られた。
写真を撮らせていただいてます、と一言ご挨拶をすると、よかったら中もどうぞ。
と言われてしまった〜
まさにそのプラハのシロカー通りのアパートでも以前同じことが起こり、タイミング良く住人の方が帰って来られて中を見せていただくことができたのだけど、
今回もまさにグッドタイミング・・結構こういうことがよくあるんだなあ。 -
扉を開けて頂いて中へ入ると大理石のカラフルな階段があり、吹き抜けになっている踊り場が。
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吹き抜けになってる踊り場の壁にはこんなモザイクタイルがタペストリーのように入れられている。
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吹き抜けを見上げると天窓にはカラフルなステンドグラスが入れられていた。
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そして、中へ入れてくださった女性の方は梵寿綱氏の会社の方だという。
頂いた名刺を後で見返すと代表取締役とのこと;
少しお話を聞かせて頂いたが、梵寿綱氏のことを崇拝されているご様子。
向台の老人ホームも素晴らしいからぜひおすすめとのこと。
ほんとは今朝、東京へ着く前に旦那に郊外にあるその老人ホームへ寄ってもらう予定にしてたのだが、
ナビに入れると車でも不便な場所でかなりの遠回りになる、と却下されてしまったのだ。
が、そんなにおすすめとあれば明日、電車ででも行かなければ〜と。 -
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壁は六角形の光沢のあるタイル張りになっている。
梵寿綱氏の建物には普段あまり見かけないような珍しい形や色合いのタイルがよく使われてるようだけど、
それにしてもこんなにありとあらゆる細かい部分に凝っていると建設費用がすごくかかるのでは?
とお聞きすると、
それほどかかっていないのだとか。 -
よかったら部屋の中もどうぞ、と今空き室になってる部屋の鍵を開けて見せていただいた。中はほんとに普通な感じ。
何の奇抜さもなくちょっと拍子抜け。 -
この女性をイメージしたステンドグラスが玄関横に入れられていたぐらい。
電気をつけてもらい外側から写真を撮した。 -
この向かいの部屋には男性をイメージしたステンドグラスが入れられていて各階同じくステンドグラスが対になって入れられているそう。
中を見せていただいた会社の方には電話番号を聞かれたのでお教えし、何かあったら?連絡してくださるとのことで、お礼を言ってお別れした。
そろそろ日も暮れてきたので銀座方面へ戻って最後の散策をすることに。 -
今日は子どもたちとディズニーシーへ行ってる旦那に電話すると、まだ帰れそうにないようだ。
銀座界隈の建物巡りを少ししてから宿へ戻ることにした。
昭和7年建築の和光(服部時計店)
ライトアップされ始めた建物がきれい。 -
近代建築とは言われなければわからないような教文館ビル。
昭和7年アントニン・レーモンド設計 -
大正13年建築の銀録館。
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いい感じのドア。
開いたので中へちょっと入ってみる。 -
不思議な形の照明器具?!
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所々はがれながらもなんとか保っているタイル張りの床・・
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この階段の地下には老舗のバーがあるそう。
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ファサードが一部保存され、建て替えられた昭和4年建築の交詢社ビル
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昭和4年建築の丸嘉ビル(旧丸嘉商店)
そろそろ第一日目の建築巡りも終わりに。
東京メトロと都営線の一日乗車券をフルに使って、
事前のシュミレーションのおかげか?なかなかスムーズに回れたかも〜満足〜 -
一旦宿に戻り、旦那、子どもたちと晩御飯に月島のもんじゃ焼きを食べに。
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キムチが入ったスタミナ風もんじゃ
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海鮮もんじゃ
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もんじゃ焼を食べたのは今までで二度目・・
う〜ん、やっぱり普通のお好み焼きの方が美味しいかな?と・・
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