2007/12/30 - 2008/01/09
36位(同エリア43件中)
ちゃおさん
メーサロンの丘の上にあるワット・サンラキーへ行った帰り、丘の断崖の上に建っている食堂のような見晴台がある。立ち寄ってみると建物の下がかなり深い谷になっていて、谷の反対側の段丘状の集落、お茶畑、またその先のビルマ、雲南に続く山並、等々、自然の景観が素晴らしい。
見たところ、レストラン営業はもうしていないようだが、聞いてみると特別に料理を作ってくれるとのこと。それはあり難い。この田舎町では屋台等はなく、今晩の夕食をどこで取ろうか思案していた矢先のこと、直ぐにも予約し、夕方7時改めて訪問することを伝える。
7時、少し早目にレストランに行くと、既に調理場ではご主人が大きな鍋に火を起こして何やら炒め物の準備をしている。聞くと、ご主人は今日は早目に職場から帰ってきて、今晩の料理に備えているとのこと。元々コックだから何でも注文に応じられる。「クン(エビ)が良いか、プー(かに)かムー(豚肉)か」、等々聞いてくる。多分久し振りのお客さんに腕が鳴っているに違いない。元気そうに目も輝いている。
当方、料理の名前は殆ど知らないし、味にも頓着しない。食べるのも自分一人だし、「じゃ兎も角何でも良いから豚肉の料理を作って下さい(コータム アハーンムー!)」とお願いし、夜の帳の下りている谷側の村落を眺め、料理の出来上がるのを待つ。自分一人の為にわざわざ大竈に火を起こし、食材も揃えてくれた、この夫婦には感謝する。
料理が出来る間、地酒があるというので、飲んでみると、日本の梅酒とは違うが、矢張り何か果実に糖分を加えたまろやかな味で、Regent の中瓶に入っていたので、最初はブランデーかと思ったが、中々良い味で、安さ(ワンカップ40バーツ)もあってか、何杯か杯を重ねる。
出来上がった料理は、特別注文だけあって味も美味しく、ご主人自慢の出来上がりかも知れない。夜の闇に消える谷底の静かな山間のレストランで、地酒の酔いも俟って、時間の止まる様な思い、邯鄲の一瞬を過ごすことが出来た。
この地酒を土産にもらい、街灯の少ない夜の坂道を陶然の思いで下りおり、街中に1軒だけ煌々とした光りを放つセブン・イレブンの明かりを見て、又再び現実世界に戻ったことを思い知ったのだった。
タイはどこへ行っても、どこにいても良い人々に恵まれている。国が良いのか、民族が良いのか、僅か300バーツ、1000円にも満たない金額で、今宵も又邯鄲の夢をむさぼることができた。今回の旅行では既に幾つもの良い思い出を作ることが出来たが、今宵の料理も又深く脳裏に刻まれるものとなった。
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