2006/06/30 - 2006/07/30
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ジオディオスさん
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日本海を渡り、シベリアの大地を駆け抜け、ロシアの世界遺産を探訪する。
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富山県高岡市伏木港。停泊しているのは、ルーシ号。埠頭には、免税店はおろか、客船ターミナルもあらず。ただ大きなクレーン車が1台あるだけの殺伐とした風景がそこにあった。(なぜクレーン車があった理由は、後ほど。)どこで出国手続きしたらよいか、見回しても、日本人は見当たらず、たむろっているのはロシア人だけ。日本の出国なのに、仕方なくロシア人に尋ねなければならないなんて、トホホ。。。しかも、無愛想で評判のロシア人。勇気を持って、“プラスチーチェ・パジャールスタ(すいません。)と、恐る恐る声を掛けてみると、タラップを指差し、優しい笑顔で返してくれた。ロシア人の優しさをかみ締めながら、タラップを上っていく。
入口を入ると、先ず乗船券を見せて、乗客名簿と照らし合わせ、本人確認を行う。船内にある一室に日本人係官が乗り込んできて、スタンプをポーン。けっこう待たされたが、あっけないイミグレであった。出港時間が近いので、荷物を部屋に置いて、甲板へレッツゴー。 -
出港時刻は午後3時。乗客が早く乗り込んでしまったためか、定刻より15分早く出港した。船の出港というと、船と埠頭の間に何千本という紙テープが行き交う光景を思い浮かべていたが、実際は、埠頭には手を振って見送る人は誰もおらず、また甲板で出港を眺めている人もいなかった。汽笛もならない、実に静かな出港であった。2泊3日、38時間のワクワクドキドキの船旅が今、始まった。
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甲板に人がいない理由があった。ルーシ号はロシア船なので、当然船籍はロシア。日本の岸壁に接岸していても、船の中はウラジオストクタイムなのだ。ちょっと奇異な感じもするが、実はウラジオストクは、日本の広島県あたりと同じ経度、つまり、日本の標準子午線と同じ経度上近くにあるのに、日本時間に比べて+2時間の差がある。(夏時間ということもあるが。)出発時間が3時でも、船の中に入り込んだ瞬間に、夕方5時となり、すぐに夕食の時間なのである。夕食時間は決まっていて、それを逃すと夕食にありつけないのだ。だから、ロシア人にとって、夕食前の時間は、そそくさと寝室で荷物をまとめたりしていて忙しいのである。
それにしても、航海中の全食、船の料金に含まれているので、食いっぱぐれがないのはうれしい。料理もロシアの伝統的な料理ばかりで、前菜・メインディシュ・デザートと一応フルコースで味も申し分なかった。席はたくさんあったが、なぜか、毎回同じ席に案内され、違う席に座ろうとすると、注意されるのは不思議であった。レストランルームにて。 -
ルーシ号2等寝室(カテゴリー4)片道港湾税込みで、32000円。貧乏旅行者は、一番船底の船室だ。部屋の広さは、3畳あまり。入口入って、右側にシャワー付きのトイレがあり、折りたたみ方式のベット4台に、簡易なテーブルといす各1脚と、直径40cmくらいの丸い窓があり、波が間近に見える。通常、4人の相部屋だが、船会社側の配慮からなのか、日本人とロシア人を別々に分け、今回の日本人乗客はたったの5人だったので、日本人ひとりひとりに、一室が与えられて、部屋を独占できたのはラッキーだった。食事前だけ、つたない日本語の案内放送をしてくれる。過去、小笠原へ行った時の経験から船が揺れるのを覚悟していたが、航海は極めて順調で、船酔いは杞憂に終った。ただ、東京・小笠原間(26時間)と、それほど距離的に違わないはずなのに、38時間かかるのは腑に落ちなかった。
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ここで、伏木の埠頭に大型クレーンがあった理由を説明しよう。実は、ルーシ号のロシア人の乗客の大半は、日本の中古車のバイヤーなのだ。日本車の性能の良さは、かの地では好評で需要が多いため、ルーシ号デッキの上ばかりか、写真のように、プールの中までも中古車でいっぱいだ。
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ちなみに、ウラジオストクの路上を走る90%以上の車は、日本車といっても、過言ではなかった。この状態は、シベリアの中間地点イルクーツクまで続く。
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天井までも、中古車はいっぱいだ。さて、今から100年前は日露戦争が行われ、20年前でさえ、軍都ウラジオストクには、日本人が行けない所であったのに、今こうして、ロシア人と楽しく寝食を共にして旅が出来る時代が来て、平和のありがたさをしみじみ感じる船旅であった。が、(後で知った話だが、)私達の船の上空をテポドンミサイルが飛んでいったのを聞いて驚いた.
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ウラジオストク港遠景。ウラジオストクは深い入り江になっていて、港付近の波は極めて穏やかで、まるで湖の上を滑っているよう。しかし、さすがに軍港らしく、着岸するまでに何隻ものいかめしい軍艦が停泊していた。まるで、軍艦の花道の中を入港するかのようだった。朝食の時間を終え、午前9時、ほぼ時間どおりの入港であった。
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ウラジオストク港。ウラジオストク港とシベリア鉄道の起点になっているウラジオストク駅はターミナルをはさんで、表と裏の状態。埠頭には大型クレーンが、積んである中古車をひっきりなしに下ろしている。いよいよ入国である。日本の自転車や電気製品・(なぜか)ティッシュボックスを抱えたロシア人たちが、すでに長―い行列を作っている。出発前にいろいろな人の旅行記を読んでいたので、ロシアの入管や警察・軍人の悪評ばかりが脳裏をよぎり、入国を前に緊張感が一気に増した。しかし、入国も拍子抜けするほど、何もなかった。イミグレで因縁を付けられるのを避けるため、落ち度がないように一生懸命、税関申告書を書いたのに、受け取りもしなかった。返ってこっちが、スタンプを迫ったが、早く出て行けと言わんばかりに、追い出された。こうして、ロシアへの第一歩が始まった。
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ちょうど、ウラジオストクの開港市制記念日の親善訪問だったためか、アメリカ太平洋艦隊、それも旗艦のブルーリッジが入港するところ。冷戦下では絶対ありえない光景が、今こうして普通に見られるのは、平和を象徴する光景だ。
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ロシア太平洋艦隊と仲良く並んで、停泊しているアメリカ太平洋艦隊、旗艦ブルーリッジ。間近で見ると、さすがにデカい。デッキの上を囲むようにに白い水兵さんたちが、整列して入港していた。
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ウラジオストクとは、ロシア語で「東方を征服せよ。」の意味らしい。その最たる光景がこの軍艦群ではないだろうか。こうもずらっと並んでいる光景は日本では見られまい。
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ウラジオストク中心部の中央広場。正面はオケアン通り。ウラジオストクは、長崎や函館と同じような坂の多い町。ソ連時代に作られた計画的な街作りのためか、地形を無視して条里制の道路を作っている通りもかなりある。
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訪れた7月2日が市制開港146周年の記念日だったのか、中央広場では、昼は民族ダンスやバレエ、夜は有名ロシア人アーチストを招いての野外コンサートが行われた。広場付近の通りは、ものすごい人でごったがえしていた。ソ連時代の今にも線路から脱線しそうなボロいトラムが街じゅうを今でも元気に闊歩している。
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中央広場より西へ進路を向けると、アドミラーラ・フォーキナー(通称・噴水どおり)通りが歩行者天国になっている。花壇や噴水に彩られた通り沿いには、おしゃれなカフェやレストランが並んでおり、他のウラジオストクの街並みと趣を異にする。噴水通りなのに、なぜか噴水は出ていなかった。この通りを降りていくと、ウラジオストクの憩いの場、スポーツ湾に出る。
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この日、気温は30℃を越えていた。短い夏を楽しむかのように、老若男女を問わず、狭いビーチに大挙して押し寄せていた。内海であるため波は穏やかで、水遊びをするには最適だ。写真のビーチはパブリックビーチであるため、着替えが出来るような海の家などなく、ロシア人たちはビーチに着くと、男ははいているGパンをおもむろに脱いでパンツのままで、女の人は、洋服を着たままの状態で、海の中に入っていく人が多かったのには驚いた。彼らは、一浴びした後、そのままびしょぬれのまま、去っていった。恐るべし、ロシア人。海水は冷たいと思っていたが、その割ではなかった。
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手前は有料のプライベートビーチっぽかった。公共のビーチと境があり、シャワー室や遊器具や飛び込み台までみえる。奥がパブリックビーチ。その突端に、魚市場がある。ここで、夏のウラジオストクの気候について、少し述べておこう。緯度的には、北海道の札幌付近のはずだが、(勿論、その日の天気にもよるが、)この時期の北海道と比べると暑いと思う。空気は、梅雨など感じられないカラッとした大陸性な気候に感じた。
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宿泊したホテル「エクヴァトール」から撮った、アムール湾に沈む夕陽。夕陽を浴びた水面がキラキラ金色(こんじき)に輝いていた。夜10時前でも、この明るさだ。
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スポーツ湾の魚市場には、屋根付きのプレハブ屋台が並んでいる。中は、長テーブルと長いすが、びっしり置かれてある。そこで、ゆでたタラバガニやえびなどの魚介類やビール等の飲み物を提供している。ちょっと失敗写真となってしまったが、私たちが食べたのはシャコ。12cm前後のやや小さ目のシャコだったが、頭の部分をもじいて、しっぽの殻の部分を取って、醤油にちょっと付けて食べてみると、これが最高に美味だった。
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この旅行記へのコメント (3)
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- ぶうちゃんさん 2008/08/13 10:15:06
- こんにちは
- こんにちは。
お気に入りに入れていただきありがとうございます。
ウラジオストックって結構賑やかで明るい感じの街なんですね。
どうしても冷戦の最前線って言うイメージや古くはシベリア流刑の地みないなイメージがありもっと寂れた感じと所と思っていました。
ロシアの軍港にアメリカ軍艦がいるのを見ていると昔の冷戦とか言っていたつい20年ぐらい前がうそのようですね。
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- カヌ太郎さん 2006/09/14 18:41:42
- こんばんは〜
- ジオディオスさま
4トラデビューおめでとうございます。
昨年11月のオフ会でお会いした
カヌ太郎です。
フルさんからお聞きして訪問しました。
おひさです。
デビュー作がウラジオストックとは
これまたマニアックな(笑)
比類なくディープなジオディオス・ワールドを
楽しみにしております。
カヌ太郎
- ジオディオスさん からの返信 2006/09/15 16:39:21
- RE: こんばんは〜
- カヌ太郎 様
早速の訪問、更に掲示板メッセージありがとうございました。
お元気だったでしょうか?IT音痴の私もやっとデビューにこぎつけました。
慣れない作業で、まだわずかですが、今後少しずつ増やしていきたいと思います。
本当にわからないことばかりですので、いろいろ教えて下さいませ。
また、お会いできる日を楽しみにしています。
ジオディオス
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