2006/08/06 - 2006/08/15
304位(同エリア467件中)
huwaさん
8月11日(金)午後。
三ツ山という集落にやって来ました。
5戸しかないという本当に静かな集落です。
この三ツ山分校が廃校になったのも、ずいぶん前のことなのでしょう。
今までに見たどの廃校よりも校舎が古びて、ひっそりとした空気に包まれていました。
- 同行者
- 友人
- 交通手段
- JR特急
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-
橿尾正次「自在−三ツ山に捧ぐ」
和紙で作られ、ふんわりと吊り下げられています。 -
という貼り紙がありましたが…
作品の下には、子供だったら入りこみたくなるぐらいのスペースがあったので、走り回ってしまった子もいたことでしょう(笑)。 -
隣の教室の床には、こんな貼り紙が。
では作品の中に入って休んでみましょう。
同じ作家による「田毎の月−華」です。 -
ここからもぐっていくと
-
中はこうなっていました。
和紙を通ってくる光が柔らかく、ステンドグラスふうの模様がとてもやさしい色あい…。
田毎の月という題もすてきです。
このあたりの棚田の田植えの頃、段々の田んぼのそれぞれに、お月さまがどんな風に映るのかなあ…と想像させるような。 -
廊下に設置されたこのゲートのようなものは
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すべてカセットケースでできています。
1つ1つのケースの中には、花や葉っぱなどの植物が、透明な樹脂といっしょに入っています。 -
こんなに小さい花ばかりを集めて、こんなにみずみずしく色をとどめて…
根気のいる作業だったでしょうねー…
近くで見ても、離れて見ても、綺麗です。 -
体育館には、そのカセットプラント1万数千個を集めて作られた
「光の庭、三ツ山5つの空気柱」(山口啓介)。 -
5つという数はこの集落の戸数を表しているんですね。
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1つ1つのカセットが、ここを巣立っていった子供たちの、キラキラ輝く思い出のカセットのようにも見えてきて…
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まぶしすぎない、この柔らかな照明の中にたたずんでいると、時間を忘れそう…。
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おそろしく古びたピアノがありました。
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弦が切れて陥没したままの鍵盤
-
室内に水がたたえられていて、ちょっとどきっとします。
でもその非日常感が心地よいのです。
じいっと見ていると、上から滴がつん、と落ちてきて、水面に輪っかがひろがってゆきます。
どこから滴が落ちてくるのかといえば、妻有の形をした白い彫刻。
波紋が消えるまで見入ったり、その上に新しい波紋が現れるのを待ったり、気がつくとポカンと心が空っぽになっていました。
本間純「しずく」 -
窓からの景色(校庭と校舎の一部)。
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廊下に黒電話と10円を入れる容器が置いてありました。
もしやここでは携帯電話がつながらない?
試してみました。圏外でした。 -
校庭にぽつんと置かれていた遊具。
緑の中に燃えるような赤が、目に染みます。 -
校舎の周りにも、何かの目印みたいに二箇所、子供たちが教室で使うあの学校机が、同じ鮮やかな赤にペイントされて置かれていました。
夏草の生い茂る中に。
「あれにはどういう意味が?」と受付で尋ねてみても、
「作家さんの誰かが塗ったんだと思うんですけど、誰かなー。本間さんかなー。」
はっきりしないみたい(笑)。
アーティストのインスピレーションによる即興作品ですね。
古くてくすんだ校舎ですが、この学校にもかつて、元気な子供たちがいたんだよ!と言っているような赤です。 -
新築の頃はきっと輝くほどモダンだったに違いない校舎。
-
次の目的地に向かおうとして、道を間違えました。
運転する友人の最も苦手とする山道で、Uターンをしなくてはなりません。
「ちょっと降りてガードレールがわりに立ってて」と言われ、道の端っこで両手をあげて車のお尻を通せんぼする役をしました。
無事車が行きたい方向に向いた時、モネの好きな友人が気に入りそうなものを発見。
「ねえエンジン切って降りておいでよ」
エンジン音が消えると同時に、響きわたる天上の音楽のような蜩(ひぐらし)の声に包まれ、二人して息を飲みます。
そして、目の下には森の木々に囲まれた、きれいな睡蓮の池がありました。 -
うちの押し入れではありません。
「ドリーム・ブランケット・プロジェクト」(アルフレド&イザベル・アキリザン)という作品です。
楽しい色どりでぎゅうぎゅう詰めてあって、このきっちりした収まり具合が目に快い〜。
最後の一枚をどう詰めたのか気になりますねー?
それに、襖でふさがっている右半分、開けてみたらどうなっているのかな?
こっそり開けてみたらよかった(笑)。
さて、この1枚を最後に私のデジカメは充電切れになりました。
だからこの土市の空家にあった他の作品をご紹介することができません。残念。 -
夜は復活したデジカメを持って、「星の木もれ日プロジェクト」(木村崇人)を見に出かけました。
その名の通り、夜の森で、星の形の木洩れ日を見る、というプロジェクトです。
この写真は「星取り網」で星の木洩れ日を拾ったところ。
「星取り網」というのは、虫取り網の丸い口の部分につるつるした白い布を張ってあるもの。
道に迷いながら会場に着いたら、虫取り網をかついだ親子連れがたくさん歩いているので、一瞬別のイベントに来てしまったのかと思いました(笑)。
「星取り網での星すくい」も楽しかったけど。
星の形の木洩れ日に目が慣れてから帰ろうとすると、森の地面にこぼれている木洩れ日がとてもきれいな星形に見えて。
そこを踏んで歩くのは、おとぎ話の中に入り込んだような気分。
帰りに、真っ暗な田んぼの道で車を停めて、今度は夜空の降るような星を眺めました。
ものすごく明るく輝く長い尾を引く流れ星も見ました。
そうしているうちに、山の端から大きなお月さまがのぼってきました。
さあ、宿に帰ってあのお月さまを見ながら温泉に入ろう!
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この旅行記へのコメント (4)
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- ぱんぱーすさん 2006/12/18 15:40:13
- 就業時間中におじゃましてます☆
- お久しぶり、ぱんぱーすです。
星取り網、いいですね。幼い頃の、何でも夢を見ていた、信じていた自分がちょっとだけ戻ってきて、心の端っこから顔を出してくれるような、そんな感覚が戻ってきました。
ただ、「ほしとり」と打って変換すると「星取」となって、まるで大相撲の勝ち負けを連想させる文字に化けてしまいました。いやぁん。
この間ちょこっと話しましたけど、現代アートは古代中世のそれと違って表現の方法や素材が非常に多様化しているので、人の数だけアートの切り口があるような気がします。こういう村がまるまる芸術作品であふれているようなところって、きっと何日間いても飽きないんでしょうね〜。俺も行ってみたいや。時間ないけど(T△T)
- huwaさん からの返信 2006/12/19 02:25:50
- 星の木洩れ日という体験
- ぱんぱーすさん ようこそ!
たくさんの投票ありがとうございます。
お仕事中に大丈夫だったんでしょうか??(笑)
星の木洩れ日プロジェクト すてきでしょ〜?
「普通の木洩れ日がなぜまるいかというと、太陽がまるいからなんです。
太陽を星形にしてみたら、木洩れ日も星形になるんです」
という説明を現地で受けて、
「へえぇ〜…(?)」
ってとまどったんですけど。
見上げると確かに、森の樹上のはるか高い位置に、星の形の強烈なライトが、まぶしく輝いていたんですよ。
それまで私は「普通の木洩れ日はまるい」ということを意識したこともなくって…。
でもそれ以来、意識して見るようになったら、確かに木洩れ日ってまるいんですよね!
いわば壮大な理科の実験のようなプロジェクトだったわけですけど、
四角でも三角でもなく
「太陽を星形にしてみよう」
「星の形の木洩れ日を、ほんものの森の中で見よう」
っていう発想が 実に感動的で…。
「どうせ見るなら星取り網で星をすくおう」
っていう発想が またまた実に遊び心満点で…。
サイエンスとロマンとアートの幸せな融合を体験した夜になりました。^^
おっしゃるとおり、何日いても飽きないアートの祭典でした。
次は3年後…ではありますけど、この冬の間も、日を限定して作品を公開したり、イベントを行ったり、いろいろしているみたい(メールマガジンが届き続けています)。
心そそられているんですけど、やっぱり関西からは遠くって…。
誰か4トラベルでレポートしてくれないかなぁ…ってひそかに待望してるんですけどね〜^^
ではではまた。
ぱんぱーすさんの中国西域旅行記も楽しみにお待ちしています!
huwaより
-
- wiz さん 2006/10/07 22:41:26
- カセットケース
- huwaちゃん、こんばんは〜!
このカセットケースのアート、涼し気で気に入りました。
夏の陽が差しているとほんとキラキラして・・・。
おもしろいアイデアですね!
アートトリエンナーレの作品を見ていると、
ちょっと違った面からモノを見てみる、
日常ある何気ないモノを利用してみる・・・とか、
新たなおもしろい発見がありますね!
- huwaさん からの返信 2006/10/10 02:04:45
- 日常がひっくり返される快感
- ほんと、そうなんです。
アーティストたちのアイデアに、「よくこんなの思いつくなあ〜」って感心した瞬間、なんか靴下でも裏返すみたいに気軽に、くるんと日常をひっくり返される快感があって…。
特にカセットケースみたいな、ものすごく身近なモノが美しい作品になっているのを見ると、不思議なときめきがありますね〜。。
とある窓べにはカセットケースと並んで、ガラスの風鈴も吊り下がっていて、いい音で鳴っていたのを思い出します。
この作品の制作をお手伝いしたこへびさんのレポートがhttp://www.echigo-tsumari.jp/kohebi/fld/060610.html
に載っていますよ!
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