2006/08/06 - 2006/08/15
272位(同エリア502件中)
huwaさん
2003年にこの下条地区で出会って惚れ込んだ作品は、古郡弘「盆景-?」でした。
田んぼの中に土の壁がそびえている…屋根はない…まるで遠い昔の城壁の残骸のように、朽ちた感じで分厚い壁だけがある…という不思議な作品でした。
そういうものを初めて見たにもかかわらず、懐かしい記憶を揺り覚まされるような、心地よい感覚に浸らせてくれる空間でした。
その古郡さんの2006年の作品を目指して、「うぶすなの家」を後にします。
- 同行者
- 友人
- 交通手段
- JR特急
-
途中でここに立ち寄りました。
この地区の冬季分校だったところです。
なんてかわいらしい学校なんでしょう。
小さな建物と大きな木…妻有ではよく見かける取り合わせです。
ここも芸術祭の展示会場です。 -
松岡真澄「蓮渡り−逸楽郷へ」。
「こ、これは枯れた蓮だ〜!」
「よくこれだけ集めたね〜!」
部屋一面に作られた枯れた蓮池を渡ってゆくと、
咲き誇るピンクの蓮の花が描かれた屏風があります。
でも… -
屏風の裏を見ると、枯れてゆく蓮の絵が…。
つまり、この部屋にあるのはほとんどが枯れた蓮。
それなのに、題は「逸楽郷へ」なんです。
意味深長…。
「冬は孕みのとき」
という鉢の好子さんの詩の言葉を思い出します。
枯れた蓮池は次の花盛りを静かに孕んでいるんですね…。 -
ここからは山本浩二「フロギストン」。
和室の宙にアメーバみたいなものが浮かんでいて、一瞬ぎょっとします。
ガラスと紙でできています。 -
室内楽の楽器のようにリズミカルに、居並ぶ彫刻たち。
なんとすべて炭でできています。 -
たとえばこのネコみたいなのはホオの炭。
-
この縄文土器ふうのはドロノキの炭。
-
譜面台みたいなこれは、上からヤマクワ、アブラチャン、オオバクロモジの炭。
どれだけいちいち彫って焼いてみたことでしょう…? -
いよいよ来ました。
古郡弘「胞衣 みしゃぐち」。
畑の横に入り口があって。 -
階段を上って
-
発掘されたばかりの遺跡みたい…
-
心そそられる開口部…
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内部はドーナツ状の空間。
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ドーナツの中心には白い石が敷きつめられていて
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木が植えられています。
-
階段の上はちょっとした展望台になっていて
-
その展望台からは、この地区のお社が真正面に見えます。
小さいけれど、赤い鳥居と屋根がはっとするほど印象的。
作家は最初、あのお社に隣接する場所に、この作品を作りたかったそうです。
そのぐらい、この土地の神様と結びついた作品として構想されたんですね。 -
屋根の下は土壁に囲まれてひんやりと涼しい。
地元のおじさんたちがグループでやってきて、
「これはすごい。まさに大地の芸術だね」
という感嘆の声を漏らしてゆきました。
ちゃんと休憩できるベンチも設けられています。 -
新しく見えないように建物を造るのは、実は並大抵ではない苦労があるそうです。
3年前の「盆景−?」はすべて地元のボランティアの力で作り上げられましたが、今回のこれは施工の専門家でなくては安全なものは作れませんでした。
ところが、芸術家・古郡弘の描いた図面は、数字が一切入っていない、世にも珍しい図面だったりして、専門家も目を白黒(笑)。
工法は最初、版築で構想されていたそうです。
それがとても無理なので、山を作ってから掘り抜いてはどうか、と提案したのは、地元の工務店の人でした。
つまりこの作品は、アーティストと地元の工務店の人の共同制作とも言えそうなのです。 -
その共同制作者からお聞きした苦労話の一例。
「屋根は床板の廃材でって言われても、今どき合板でない廃材なんて、なかなか探してもないのよ!」
そのなかなかない廃材をこんなに集めてきたんですね(すごい)…。
(ちょっとは廃材じゃないものも混じっているとか?) -
この切り通しは最後の最後に一挙に掘られたそうです。
「もう信じられないぐらいの量のセメントが実は入ってんの」って。
そうなんですか!
確かにこれが全部土だったら危険ですもんね。
観光客が生き埋めになったら大変ですし…。
「できるだけ綺麗に仕上げてやろうと思ってんのに、あんまり綺麗じゃないほうがいいって言うんだわ古郡さんは」って。
なるほど…(笑)。
「それでもこれは、今年の雪には堪えられねえべなあ」って。
そんな悲しい…。「盆景−?」と同じくこの作品も土に返されちゃうのでしょうか…(涙)。
「まあもし来年修復するとしたら、あんまり綺麗じゃなく修復したらまたいい味が出る、みたいな話もしてる」って。
じゃあ修復して残す可能性もありってことですよね!
ぜひ残して下さい!
また見に来ます、その味が出た後のこの作品を!
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