1961/08/08 - 1961/08/08
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片瀬貴文さん
1961年8月8日(火)
鳴り渡る教会の鐘の音に、ふと我に戻った私は、丘を下り始めた。
早く食事を済ませて、山に登りたいと考える。
ひっそりと静まり返った街では、散水車が消防車よろしく、強いジェット水流で、大小のごみ、ほこりのすべてを洗い流している。
この街のきれいなのは、毎朝このように徹底した掃除をしているかららしい。
朝から、よく鐘が鳴る。
ここの人は、よほど鐘が好きらしい。
町の人は、鐘とともに礼拝に集まるのだろうか。
朝食をほどほどに済ませて、8時ホテルを出発する。
今日はマッターホルンのすぐ麓にある、シュヴァルツゼー(2580m)に登る。
シュヴァルツゼーに降りると、マッターホルンが眼前にそそり立っている。
その山は圧倒的に大きく、小さな人間社会を威圧している。
対照的に、やさしく展開する、緑の草原と山を映す湖水。
私はこの草原に寝転び、山の大きさをしっかり心にとどめようとする。
太陽のぬくもりが、何時の間にか私を、夢の世界に誘ってくれる。
ふと人の気配を感じてそっと目を開けると、そこにあどけない天使のような女の子が、ニコニコ笑って立っている。
思わず微笑み返すと、その小さな女の子は、私に一輪のエーデルワイスの花を差し出した。
またウトウトする。
目を覚ましてみると、エーデルワイスは確かに枕元に置かれていた。
「あれは夢ではなかったのだ」
この花は、アルプスのシンボルで、採取禁止のはずなのだ。
私は大切に手帳にはさみ、押し花とする。
目を遠くに転じると、ハイキング姿の人が、マッターホルンに向けて歩いている。
私も、少し歩いてみようと思う。
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