1961/08/08 - 1961/08/08
508位(同エリア525件中)
片瀬貴文さん
1961年8月8日(火)
晴天に恵まれた今朝、私はツェルマットから、シュヴァルツゼー(2580m)にやってきた。
目の前にどでかく聳え立つマッターホルン(4478m)を仰ぎながら、草原に寝そべって少しウトウトする。
寝ながら周囲を見渡すと、マッターホルンに向かって歩く人たちが見える。
近づいて尋ねてみれば、ハイキングの人たちは、「ヴェルヴェデール(見晴台)」と称する、肩の小屋を目指しているらしい。
案内板を見れば、ヴェルヴェデールの標高は3400m。
マッターホルン登山は、ガイドを付けなければ出来ないと書いてあるが、この肩の小屋までならば、誰でも歩いて登れるようだ。
シュヴァルツゼーから、ほぼ800mの登りだから、往復5〜6時間見れば、充分往復できるだろう。
途中まで登って、帰ってもいいな。
と考えながら、私はそのコースを歩き始めた。
後ろから追いついてきたおじさんが、ドイツ人で声を掛けてくる。
「どこに行くの?」と訊いているらしい。
ドイツ語は高等学校(旧制)時代、毎日習ったものだが、ものになっていない。
3年間だから、学習時間は700時間を越えているだろう。
読み書きだけで、頭で覚えた言葉は、こんなときには役立たない。
英語にいたっては、7年間、1000時間以上習っているのだが、これも会話に際してはおぼつかないところが、たくさんある。
その反省から、自習のフランス語は、耳と口で、体で覚えた。
だから、体が反射的に反応する。
おそらく日本語を介さずに、つたない内容なりに、フランス語で考えているのだろう。
その証拠に、私の場合、フランス語社会に暮らしていると、日本語が下手になる。
とっさにフランス語が出てきて、それを日本語に直すという過程が、日本語をぎこちなくしている。
要するに、不器用なのだ。
いや、日本語はそれ以前からも下手だった。
私は勝手に、下手な理由を、頭のスピードと口のスピードが、うまく合っていないからと考えていた。
昭和一桁生まれの人には、どもりが多いとも言う。
言論統制の時代に育ち、考えたことを口にする過程で、無意識にチェックが入るからという説である。
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