1972/08/07 - 1972/08/07
152位(同エリア172件中)
片瀬貴文さん
シュトックホルンからモンテローザに向かって、わりと広い尾根を歩いている。
どこに行くのかはっきりしたあてはないが、とにかく歩いてみたいのだ。
今まで出会ったことのない大きな自然を、少しでも多く心の中に抱き込んでおきたいのだ。
とにかくこんなところに再び来る機会は、恐らく一生の中でももう二度とないだろうから。
風が強くて、しっかり足を踏ん張っていないと、吹き飛ばされそうになる。
ヤッケのフードを介して寒風が遠慮なく顔を叩き、耳が痛い。
ときどき雲の切れ間に、モンテローザの氷河に削られた岩肌が、見え隠れしている。
私は今、一種の恍惚状態にある。
1時間ほどで、無名の小さなピークに達する。
標高3,700か3,750メートルだろう。
歩き始めたとき一応の目標は、3,800メートルだった。
しかしもう1時間歩かなければ、その高さには達しないだろう。
ロープウェイが止まるのが心配なので、ここで引き返すことにする。
こんなところで遭難したら、せっかくここまで踏んできた経験が、これからの人生に生きてこないではないか。
多少後ろ髪を引かれる決断だったが、また来た道をシュトックホルンまで引き返す。
帰途は雪渓をトラバースして、近道をする。
グリンデルヴァルトで買った、バリーの軽登山靴が頼もしい。
ビブラムソールは、よく岩をグリップしてくれる。
シュトックホルンに到着した直後、はいぜんと雨がやってくる。
危機一髪のことだった。
15時50分シュトックホルン発、ツェルマットに戻る。
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