1972/08/07 - 1972/08/07
152位(同エリア172件中)
片瀬貴文さん
1961年8月7日(月)
ゴルナーグラートからシュトックホルン行きのロープウェーは、悪天候のため、客は私一人だった。
ゆれるゴンドラに不安を感じながら到着した山頂駅で、私は町から買ってきたパンの昼食を食べる。
あれは十年前の、1951年の夏だった。
私は立山から、剣岳を通って大日尾根を歩いたことがある。
夏のシーズンが過ぎていて、山には人影がなかった。
一日誰一人出会う人もなく、ただ黙々と歩き続けた。
大自然に自分がただ一人いると、すっかり孤独になり、宇宙の中に生きている自分が見えるようだった。
その思い出が、次々に頭をよぎってゆく。
雪渓をトラバースするとき、ピッケルもアイゼンもない、地下足袋の私は、危うく滑落するところだった。
その体験は、恥ずかしくて誰にも言えなかったけれど、あの時私は命を失うところを、今生き延びてスイスにまで来ている。
食事を終えて、時間は12時半。
食後再びモンテローザに向かい、尾根を登る。
とりあえずの目標は、富士山より高く、3800mにまで上ることだった。
この尾根は広いが、何度も強風のために、吹き飛ばされそうになる。
周りの山は大きく、自分の小ささを痛感する。
モンテローザは、ときどき雲の間にチラッと見える。
このように雲の多いときのほうが、山は大きく見えるものだ。
耳が、冷たさを通り越して、痛い。
空気が薄いためだろう、息切れが激しい。
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この旅行記へのコメント (2)
-
- とらいもんさん 2006/05/31 07:24:05
- 1951年!
- お早うございます。
小林です。昭和26年に「スイス」それも山の上まで!
敬意を表します。
私は、1949年の修学旅行のとき「地下足袋」に「巻き脚半」でした!
- ソフィさん からの返信 2006/05/31 18:36:46
- RE: 1951年!
- とらいもんさんへ
1951年は、立山・剣岳・大日尾根を歩いた年です。
スイスに行ったのはそれから10年後の、1961年でした。
それでもスイスでは日本人が珍しく、ユングフラウで出会った以外、日本人とは会わずじまいでした。
スイスで山を写そうと、12倍ズームの軽いデジカメを奮発しました。
「奈良新緑」は、その試運転です。
こばやしさんのスイス便りが、待ち遠しいですね。
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