1972/08/06 - 1972/08/06
1895位(同エリア2148件中)
片瀬貴文さん
1961年8月6日
ツェルマットは日本の上高地といったところだが、上高地よりよほど都会的で賑やかだ。
シーズンとあって、狭い道の人ごみはシャンゼリゼー並みである。
私の部屋は二階で、町を縦貫する通りに面しており、窓に腰掛けながら、街を行く人を眺めているだけで退屈しない。
自動車が走らない街は、こんなに平和なのだ。
町の唯一の乗物は、タクシーと称する鉄輪の馬車であり、ガラガラと走りぬける。
19世紀に戻ったようだ。
赤い帽子を被ったタクシーの御者には、子供や若い娘もいる。
貨物の運搬は、朝早く、静かにバッテリーカーでやっているらしい。
かと思うと、羊の群れが各自首につけた鈴を鳴らしながら、大通りを我が物顔に道草をしながら、歩いている。
牧場帰りなのだろう。
大通りと言っても幅は二車線あるかなしかなので、羊が通れば人は片隅に寄り、避けなければならない。
羊の群れを先導している人がいないので、不思議に思っていたら、後ろに牧童と思われる可愛い子供が付いていた。
ホテルの前に、風琴屋が陣取って、音楽を流してくれている。
その懐古的な音は、この町によく調和して、街のムードを高めるバック・ミュージックである。
聞き慣れた曲の題名は「日曜日はだめよ」だったかナァ。
たしかギリシャ映画の主題歌で、原題は「ピレウスの子供たち」か「ピレウスの恋人たち」かであった。
向かいの店に、バロメーター(天候計)が飾られている。
赤いランプが灯っているのは、気圧が下がり、明日は雨かもしれないということだろう。
そうなれば、ゆっくり休むことにしよう。
夜、豪雨。
遠くから「ゴーゴー」と山鳴りが聞こえる。
雷鳴か、はたまたなだれの音か。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
片瀬貴文さんの関連旅行記
ツェルマット(スイス) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
0