1972/08/05 - 1972/08/05
57位(同エリア60件中)
片瀬貴文さん
1961年8月5日(金)続
ヴェンゲンから乗った電車は、クライネ・シャイデックに向かってゴトンゴトンと走りながら、どんどん高度を上げてゆく。
車窓の右側に、ベルナーオーバーラントの三山、アイガー、メンヒ、ユングフラウがぐんぐん迫り、そのヴォリュームに息が詰まりそうだ。
左側には、緑の牧草地が広がり、牧歌的なヴェンゲンの景色が、次第に高原的に変わってゆく。
クライネシャイデックの標高は2061m、アイガー北壁へのベースキャンプ。
周りに家のない大自然のまっただ中、駅舎を兼ねたロッジ・レストランが、建っている。
ここで下車して、ユングフラウヨッホ行きの電車に乗換えだ。
電車を待つ間ホームの片隅で、ゆっくりと山に向かい合う。
頭上を覆うばかりに、白銀に輝くユングフラウの連山が切り立っている。
雪を寄せ付けない峨々たるアイガーの北壁が、真正面に立ちはだかっている。
このような凄い岩山は、いまだかつて見たことは無い。
登山鉄道の山小屋風の頑丈そうな駅で、昼食のサンドウィッチを買う。
背後には牛がのんびりと草をはむ、緑の放牧地。
カウベルの響きが重なり、風に乗りながら流れてくる。
新田次郎は、この山をどれほど愛しただろうか。
彼のスイス旅行記は、これらの山々を思う愛情に溢れていた。
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