ウイスキーが夢見て眠る場所
- 5.0
- 旅行時期:2016/09(約9年前)
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by Flocons-de-neigeさん(男性)
余市 クチコミ:4件
工場ではあるが、普通イメージする工場とはかなりかけ離れている。余市駅側の入口はスコットランドの古城をイメージしたという石造りの門で、そこからガイドつきでもガイド無しでも工場内のメインストリートの左右にならぶ施設を見ていくことが出来る。蒸留酒であるウイスキーの製造過程は若干複雑ではあるが、製品として完成するまでにもっとも時間を要するのが樽の中に詰められた原酒の熟成期間である。ここ余市工場では樽の眠る貯蔵施設がまるで公園のような緑多い敷地に整然とならび、10数年後の出荷を待っている。石炭の直火での蒸留を続ける世界でも数少ない工場であるが、実際に蒸留が行われるのは気候の適した春秋だそうで、多くの観光客が訪れる夏は工場もまた眠っている。工場の建物はどれも文化財に指定されるような年代物であるが、よく手入れされて美しい情景を見せる。場内のウイスキー博物館にはウイスキーの展示に加えて竹鶴夫妻の事物も展示されている。竹鶴氏がスコットランドでウイスキー作りを学んだときに記録したノートが残されているが、すこし大ぶりの手帳くらいの小さなノートに小さいが丁寧で美しい文字がびっしりと書き込まれ、また工場の蒸留施設の絵はスケッチというよりはまるで製図された図面のような精密さであった。氏のお人柄をうかがい知ることができる。竹鶴夫妻の私邸はここに移築されていて以前はティーサロンとして利用されてかつて入ったことがあるが現在は老朽化による痛みのため玄関先からのみの見学が可能だ。
ウイスキーの熟成に適した冷涼で湿気を含んだ余市の風土はウイスキーとリタ夫人の故郷スコットランドに似た美しい町。
創業者、竹鶴夫妻の夢の詰まった工場は今も二人の同じ夢を紡いでいる。
- 施設の満足度
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5.0
- 利用した際の同行者:
- カップル・夫婦
- アクセス:
- 4.5
- 人混みの少なさ:
- 3.0
- バリアフリー:
- 4.5
- 見ごたえ:
- 5.0
クチコミ投稿日:2016/09/02
いいね!:3票
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