東近江市八日市の老舗料亭。
創業は明治元年だそうです。
湖東三山紅葉狩り2泊3日の旅の初日の夕食で予約しました。
彦...
続きを読む根の八景亭でランチの後、多賀大社・湖東三山・永源寺をタクシーの運転手さんに案内して貰い、夕方八日市に着きました。
一旦、店の下見をしようという事になり店の前に車を遣って貰うと大変な格式ある佇まい。
無粋なキャスターなど転がしていけそうな雰囲気ではないので大きな荷物は駅に預けてお店に向かいます。
予約時間に合わせて店の方が外で待っていてくれました。
「日経大人のOFF」で“それなりの料亭”に行く時は、客は予約時間を厳守しなければならない、と知りました。
来店時間に合わせて料理や部屋の設えの準備をしているので、予約時間に前後10分以上差が生じる時は電話連絡するのが客のマナーなんだそうです。
案内されたお部屋は多分「灯の間」ではなかったかと思います。
仄かなお香の香りが出迎えてくれます。
それにしても、燭台の灯りが置かれただけの部屋は、暗い!
よく目を凝らさないと周りが見えないようです。
でも、この暗さの秘密が後で分かりました。
約2時間の食事の最中、何度か男衆さんが庭の敷石にそっとじょうろで水を撒いているのです。
庭に点々と置かれた灯篭の光を濡れた敷石に反射させて2倍の光の効果を狙った心憎い演出の為でした。
煌々と照らされたお部屋での食事よりも、薄暗いくらいの方が非日常的な雰囲気があります。
これは夜の食事でしか味わえない風情です。
東近江市になる前の八日市市時代の古い訪問なので細かいお料理の内容は忘れてしまいましたが、宿のHPによると「禅の精神とお茶の心を基とする料理」を提供しているんだそうです。
忘れられないのは、ご飯のやわらかさ。
契約農家への特注品の近江米だそうですが「普通に固めに炊くご飯は仕出し屋さんのやり方。料亭ではその場で炊き立てを食べて頂くのでやわらかく炊くのです。」と中居さんが説明してくれました。(でも、私はやっぱり普通の固さの方がいいかな…)
それと、デザートですが、普通は水菓子が出て、最後にお抹茶と和菓子が来るものだとの固定概念が有りましたが、それが逆なのです。
「お抹茶が苦手な方もいらっしゃいます。水菓子が嫌いな方はまずいらっしゃらないので最後の最後には果物で〆て頂きたいから」というような理由でした。
ふ~ん、そうなんだ…
昼間のお庭が見られなかったのは残念でしたが、京都などと違いちょっと行きづらい場所なので多分もう行けることは無いかな…
でも、ミシュランではないけれど「そこに行くために旅に出る」価値のあるお店かも知れません。
おまけですが、
招福楼の東京店が丸ビルに出店した直後に行ってみましたが、高層ビルのテナント店ではお料理のポリシーは受け継がれているのでしょうが「本店の風情」は全く感じられませんでした。(今は内装なんかも変わっているかも知れませんけれど・・・)
東京店を見ただけで、あの近江の「招福楼本店」の佇まいを想像して欲しくない!と、少しだけ心配になりました。
私達の拙いお料理屋さん訪問歴の中でも群を抜いて素晴らしいお店です。
いつまでも頑張って欲しいと思います。
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投稿日:2015/04/12