2017/06/03 - 2017/06/05
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ノーーウォリーズさん
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チベット大横断 #4、長年の念願かなってのチベット・エベレスト・カイラス巡礼に行ってきました。ラサから4日間のドライブ(直行した場合は3日間)でようやくタルチェンに到着、いよいよカイラス山の巡礼に出発します。全長52キロ、高度差1000mの道のりを3日間かけて時計回りに1周します。最高地点は標高5630mは私にとって未知の領域です。カイラス山は大昔から伝説の山としてヒンズー教、仏教徒の間で語られていました。ヒンズー教徒にとってはシバ神の住む山、聖なるガンジス川の源流として知られています。仏教徒にとってはマンダラに描かれた理想郷。ヒマラヤ山脈の後ろに隠れる様にひっそりと佇み、周りに人は殆ど住んでいない地域のため、永らく神秘に包まれ誰も見たことがない山でした。しかし時代は21世紀、西チベットへの道は整備されお金さえ積めば(あと重要なのが中国政府のパーミットが取れれば、政情により突然シャットアウトもあるそうです)誰でも来れる場所となりました。但しカイラス山 6714mの山頂は別、今まで誰も登頂したことがない聖域です。カイラス山周辺を1周する巡礼(コルラと呼びます)を成し遂げると最高のカルマを積むことができます。夏の巡礼期には多くのチベット人、インド人が訪れます。
巡礼1日目: タルチェン Darchenの街(標高4600m)からディラプク寺院 Dira-puk Monastery(標高5100m)へ 20km
巡礼2日目: ディラプク寺院からドロマラ峠 Drolma-la (標高5630m)を超えズトゥルプク寺院 Zutul-puk Monastery(標高5000m)へ 18km
巡礼3日目: ズトゥルプク寺院からタルチェンの街へ 14km
- 旅行の満足度
- 5.0
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チベット9日目(巡礼1日目)朝7時、日の出と共にタルチェン Darchenの街(標高4600m)を出発します。チームは多国籍の7人です(ドイツ人2人、フィンランド人、インド人・イラン人(共にアメリカ国籍)、オージーと私)。他にスイス人もいたのですが、今朝突然の食中毒?にかかり出発できず。昨日は同じレストランで夕食を食べたはずなのに何故彼だけかは謎。チームで最年少は恐らく私、最年長は71歳で年齢層は高めです。
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最初の8kmはバスでスキップすることもできたのですが、私のチームは全区間52kmのコルラをすべて歩くことに全員同意。西向きに出発して30分ほどしてタルチェンの街を振り返ってみたところ。カイラス山南側は平地が広がっています。
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これらの石はチベットの歌で有名な「オンマニデテコ~」を刻んでいます。この歌は昔ネパールのポカラに居た頃、みやげ物屋で流すのを毎日聴いていたので私にとってはお馴染みです。
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巡礼路を飾るタルチョと、南東側の遠くに見えるナムナニ山、その少し手前に僅かに見えるマナサロワール湖です。
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ここで進む方向が西から北向きに変わるとカイラス山の南側が見えてきます。この場所はタルボチェ Tarbocheと呼ばれ、サカダワ祭の開催地です。来週6/9にはサカダワ祭で大勢の人が集まるはずですが、今は誰もいなく準備をされている様子もありません。崖の上はかつて鳥葬が行われる場所でしたが、鳥ではなく野犬が集まるようになり中止されたそう。そのためここの野犬は人間を食べる味を覚えており、人食い犬が潜んでいます。私もこの写真を撮るために少しチームと離れただけで数匹の野犬に襲われそうになりました。ここは十分に注意が要ります。
サカダワ祭 祭り・イベント
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タルボチェの隣にはKangnyi碑があります。巡礼者は間を歩いて縁起を担ぎます。
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道は北に向かい、カイラス山に近づきます。五体投地で進むチベタン巡礼者と、遠くに見えるのは最初のテントショップで休憩地点です。ミルクティとカップラーメンなら道中で手に入ります。ここまでならバスで来れるようでインド人の巡礼者はここまでバスで来てそこから馬に乗る様です。意外な事に巡礼路では中国人旅行者は見かけません。
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更に北に進んで、振り返って南側を見たところ。あまり人はいません。五体投地のチベタン人を何人か見ただけで寂しい雰囲気。6月上旬はまだ早すぎるのかと思っていましたが、実はチベタンは夜明け前に出発していた様で、私のチームは最後尾で出発していたことを後で知ります。また、カイラス巡礼路はゴミが沢山捨てられていると以前聞いていましたが、今は凄く綺麗でゴミは全く落ちていません。
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小さなタルチョがあり、そこからはカイラス山の西側が見えます。もうカイラス山を真下から見上げる程近づきました。
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恐らく直線距離で最もカイラス山に近づいた瞬間。垂直で崖の山肌は来る者を拒むようです。
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2番目のテントショップが見えてきました。今日の行程は大体が緩やかな登りできつくはないですが20kmの道のりはさすがに長く感じてきます。この時点で3分の2を超えた辺りです。今日は雲ひとつない快晴、直射日光は強烈で日焼け止めは万全に期す必要はあるのですが、同時に吹き付ける風は冷たくウィングブレーカーも要ります。気温は一桁でしょう。川はまだ凍っています。平地では経験することのない極端な環境です。
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ピクニック中のチベタンの輪に入れてもらいました。私の昼飯は質素なカップラーメンなのに対し、彼らは豪華にも乾燥ヤクミートを食べており、少しおすそ分けをもらいました。しわくて噛むのが大変でしたがここではご馳走です。
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すぐ北にあるのが仏陀の足跡。宗教を問わず神がいるところには足跡があります。
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カイラス山を北西側から見たところ。山肌が東西南北4面に綺麗に分割されているのが分かります。
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そこから更に北東へ歩くこと2時間、カイラス山の真北側に到着です。ここから見るカイラスがガイドブックに載ってる姿そのままです。
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そしてその麓には、今日の宿泊地であるゲストハウス(青色の建物)と川の向こうにみえるのが ディラプク寺院。標高は5100mで宿泊地としては今回の旅で一番高い。
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午後4時に到着。まだ日没まで時間があったのでディラプク寺院まで行ってみます。雰囲気からすると古い建物の様ですが、実は再建されてまた2年しか経っていないとの事。あえて古い雰囲気を出して建てられています(昔の建物は文化大改革時に破壊されました)。またここは宗派がミックスされておりゲルグ派のパンチェンラマとカギュ派カルマパの写真が並んで飾ってあったりします。この地域はミラレバのカギュ派の影響が強い様です。
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寺の外からはカイラスが聳え立つのがみえます。最高のロケーションです。部屋からはお経を唱えている声が聞こえます。しばし瞑想します。
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夕暮れのカイラス山を拝みます。夕食はゲストハウスの食堂でカップラーメンではないまともな食事ができます。飲料水も手に入ります。ドミトリーのベッドは思ったより汚くはないですが寝袋はあったほうがよいでしょう。シャワーなし。トイレは個室ですが、とても汚く使う気がしません。
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チベット10日目(巡礼2日目)朝4時に起きます。まだ暗い中室外に出てそこで見たものは、、見事な星空で圧倒されました。燃えるような天の川、降ってきそうな無数の星の数、実際に流れ星も飛びまくっており、この写真にも3つも映っています。神がカイラス山に降りて来た瞬間に感じました。
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朝6時に出発、暗い中1時間ほど登ると日が昇ってきました。カイラス山の姿は他のどの山より早く照らし、そこだけがスポットライトで当てたような明るさで存在感抜群です。これがカイラス山を北東側から眺めた様子、残念ながらこの辺りがカイラス山を見れる最後の場所で、巡礼中に東側からカイラス山を見る事はできません。巡礼路は東へ高度を上げ、今回最大の難所ドロマラ峠 Drolma-la 5630mへ向かいます。
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朝早いにも関わらず、多くのチベタンが巡礼中です。昨日のゲストハウスには一人もチベタンは居なかったので、外に泊まっていたか夜中歩いていたのかは分かりません。この辺りの坂が最も急で登っても登っても先があります。しかし、私には奇跡的にも高山病の気配は全くありません。10日間の高地での準備期間とダイアモックスが効いたのでしょう。他のメンバーの先頭に立ち、淡々と登っていきます。
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しばし平坦な部分に着き、峠の頂上は近いと思ったら、まだ大きな登りが待っていました。人の列が頂上まで続いてます。しかも雪が積もっています。まあ、6月上旬ならある程度の雪は残っているのは予測済みでしたが。これだけで済んでラッキーだったかも知れません。ちなみに中国語ではカイラス山のことを神山と呼びます。
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チベタン家族の後ろについて行く様に登り始めます。彼らは老若男女問わず決して早いペースではないですが、殆ど休ます一気に登ることができ、その体力には驚かされます。
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スキー場の様な感じで大した勾配に見えませんが、ここは標高5500mを超えています。一歩一歩が重くなってきました。
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こんな雪の中でも五体投地をしているチベタンもいます。こんなに長い時間をかけてつらい思いをしてまで五体投地するチベタンの、その心の中までは巡礼では見ることはできませんでしたが、その揺るがぬ信仰心は良く伝わりました。
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山の頂上にタルチョが見えて着ました。頂上までもう少し。
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ドロマラ峠 Drolma-la 標高5630mに到頂です。人々には到達して達成感から笑顔が見えます。しかし自分にとって憧れで未踏の5000m級登山を(630mも上まって)ここドロマラ峠で達成することができました。
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ドロマラ峠、確かに巡礼路では最高地点ですが、周りにはもっと高い山に囲まれているため、こうして見るとただの通過点にも見えます。周りの山々の景色も忘れがたいものです。
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他のメンバー2人を待ち、ドロマラ峠を降り始めます。峠の直下にはGauri Kundという美しい池あるのですが、この時期は凍結しておりその姿は見えませんでした。
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雪の平面に降りて振り返ってドロマラ峠を東側から見た様子、殆どの人が時計回りにコルラを廻りますが、反対方向から登ってくる人々もいます。彼らはボン教徒といってチベット古来の宗教です。
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その先は岩場で急な斜面が続きます。こんな岩場でも五体投地でコルラをしているチベタンが、今日だけでも50人は見たでしょうか。
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更に降りると峠の麓が見えてきて、巡礼路は谷に沿って南下します。麓に降りたところにテントショップがあり、ここで昼食&少し昼寝。今日ここまで歩いた距離は10km程でまだ半分ほどでしたが、気分的にはもう終わった気分。
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しかし後半の8kmは平坦な道ながら長い長い道に感じました。午後4時半ごろに2日目の宿泊地ズトゥルプク寺院に着いたのですが、写真を撮ることもなく寝てしまいました。なので写真はありません。ここはミラレパに縁のある雰囲気の良い寺の宿坊で宿泊です。ここでまともな食事ができます。飲料水も手に入ります。ドミトリーのベッドは少し汚く寝袋はいります。シャワーなし。トイレは個室ではなく、とても汚く使う気がしません。メンバー3人で一緒にたどり着き、他のメンバーの動向は後で知るのですが、ひとり(71歳)は、出発直後にリタイアを決め、特別手配のタクシーで来た道を引き返したそう。もうひとりはドロルマ峠を越えた先のテントショップで寝てから起き上がれず、たまたま来た車に乗って着きました。あとの2人は日没直前の10時ごろ自力で到着したそう(1日16時間のトレッキング!)。ガイドは1人とポーター2人が携帯で連絡を取り合い、動向を確認していました。何とカイラスでは全行程で携帯が使えるのです。
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チベット11日目(巡礼3日目)、この日は僅か14kmの平坦な行程なので朝8時に起きてゆっくりと南へ出発です。出発して15分後あたりで振り返り北側を望んだところ。すこし緑も見える風景になって高度が下がっていることを実感します。
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南側の向こうに平地が見えてくると巡礼コルラの旅も終わりに近づいていることが分かります。今日は4時間ほどの行程なので、ゆっくり歩いています。
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最後のテントショップでは記念品が並んでいます、こんなに重い石をお土産に持って帰れと言うのでしょうか?この石はお持ち帰り用ではなく、好きな文字をリクエストしてそれを石に刻んでもらい置いて帰るものでした。
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タルチェンの街が見えてきてカイラス1周 52kmの巡礼のコルラが終わりました。達成感と共に特別なカルマが積めた気がします。そして自己最高地点のトレッキングで標高5630mまで到達しました。全行程を走破したのは、チーム8人中6人、何と具合の悪かったスイス人は翌日1人で出発して2日間で完走したそう。またチベット人はこのコルラを真夜中に出発して1日で廻るそうです。私にはとても真似することはできませんが。
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