2017/05/29 - 2017/05/31
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ノーーウォリーズさん
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チベット大横断 #2、長年の念願かなってのチベット・エベレスト・カイラス巡礼に行ってきました。ラサを出発した後は、シガツェ、サキャのチベット寺に寄った後は、エベレストベースキャンプへ。誰もが知ってる世界一の山、死ぬまでに訪れたい場所のひとつ、エベレストのすぐ側まで迫ります。もちろん道中の景色も特別で、これぞザ・チベット、という絶景が続きます。600kmのドライブも全く飽きることなく楽しめました。
- 旅行の満足度
- 5.0
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チベット4日目、いよいよラサを出発です。道の脇には中国の旗が並んでいます。中国政府もここが中国領であることをアピールするのに必死です。中国国旗はチベットの辺境でもよく見かけます。写真には他にもよく見かけるものが写っています。それは中国のスローガンとスピードカメラです。政府は愛や団結とかいう言葉がお好きな様です。スピードカメラは区間測定のため、カメラの前だけ減速してもだめです。よって移動には意外と時間がかかります。
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西のシガツェに向かいます。道は2つあって北側が高速道路で早く着く道、南側が景色の良い道。南側は帰りに通るとの事で北側の高速道路を通ります。楽しみは最後にとっておきます。それでもご覧の様な山道を通ったりスピードカメラの為、平均時速は50km/hほどのゆっくりしたペースです。
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チベットは高地で木なんか生えていないイメージがありますが、低地側(4000m以下、これがチベットでは低地です)には木が生えており畑もあります。この辺りは見渡す限りの平原ではなく、大体どこかに村が見えるので、人口密集地(チベット基準で)と言えます。
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5時間ほどでシガツェ Shigatseに到着です。チベット第2の都市でここも漢族の街でかなり近代的です。ガイドブックには人口8万人と書いていましたが、ガイドによると今は50万人に増えたとのこと。なのでチベットの田舎を想像していくとびっくりすることになります。
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タシルンポ寺 Tashilhunpo に行きます。ここもゲルグ派6大寺のひとつでパンチェンラマの地元でもあります。ダライラマに比べるとパンチェンラマは知られていませんが、チベット第二の高位のラマとして、どこにでも写真が飾ってあります。
タシルンポ寺 (扎什倫布寺) 寺院・教会
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寺の側ではここでもコラに励む人々。サガダワ(サキャムニの誕生日、2017年は6月9日)に近いので巡礼シーズンなんだそう。
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ここには大きな建物が4つあります。左端の建物には身長26mの巨大ジャンパ像(未来仏)が。奈良の大仏より10m以上も高いです。他の仏像とちがって椅子に座っているので、簡単に見分けがつきます。ここも内部撮影禁止で結局1枚もジャンパの写真がないのが残念です。
他の3つの建物はすべて歴代のパンチェンラマのチョタン(墓碑)が祭られています。どれも10m以上で巨大です。この写真から内部の黄金に輝いている物が少しだけ見えますが、それがチョタンです。チベットでは金も採れるそうで大量の金を使って作られています。ガイドはシガツェ出身なんで、パンチェンラマ10世のチョタンの前では涙ぐんでいました。 -
祭りの時にはこの壁に巨大なタンカが掲げられるそうです。ガイドはパンチェンラマ10世の功績について色々語っていましたが、中には経済最優先の今の常識では??というものもあり、経済優先・物質主義の中国政府と対立するのも無理はありません。世界の常識でチベットを理解しようとしてはいけません。
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左からダライラマ13世、パンチェンラマ10世、そしてパンチェンラマ11世です。寺では結局写真は撮れなかったので、ホテルに飾ってあった写真です。現職なのは11世だけです。もちろんダライラマ14世の写真はどこにもありません。パンチェンラマ11世の誕生はいわくつきで、中国政府に選ばれたと言われています。なので彼は中国寄りで今は主に北京で政治活動をしていて、シガツェには殆ど来ないそうです。ガイドによると北京で「勉強中」だそうです。そんな理由で、チベットに尽くした前代の2人が今も人々の心の拠り所です。
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これはゲルグ派がイエローハットと呼ばれる所以の黄色いモヒカンです。沢山の僧が集まってきます。
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これから本堂で午後の集会が始まるようです。誰か特別の人を待っているのと思いましたが、特に誰も現れず。私たちを歓迎してくれた(?)
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若い僧も気合いが入っています。やっぱり何か特別な事があった様ですが、何かは分かりませんでした。
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これが本堂の外です。タシレンポ寺の本堂は特に古くて雰囲気が良く、大勢の僧がお経を読んでいる時に中に入れてもらい、映画のひとコマに入り込んだ感じでした。
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今日のツアーが終わった後、コラを廻ってみました。シガツェにもミニポタラ宮(シガツェ宮?)がありますが、内部には大したものは無いそう。この時も大勢のコラをするチべタンがいました。
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五体倒地でコラをするのは女性が多いです。貧しい身なりに見えますが、コラは地面を這うので汚れてもよい格好をしているだけです。また手足にはプロテクターを着けています。大体グループでいて、休憩中は楽しくお喋りしています。
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これがの全容。左端がジャンパ、他3つの黄金の屋根が歴代パンチェンラマのチョタンを祭る建物です。タルチョ(チベット旗)が山の上まで続いています。
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近くの仏教具を売る店。線香、数珠、ミニタンカ、蝋燭立てなど、お土産にも良さそうです。
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チベット5日目、更に西を目指します。今日は150km離れたサキャまで、距離は短めです。途中の休憩では、上海から5000kmの碑があります。中国人旅行者が絶えずやって来ては記念写真を撮っています。
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サキャ Sakyaの街の入口では検問があり許可証をチェックされます。これがこれから多く見かけることになる最初の検問でした。サキャはチベット仏教の宗派のひとつサキャ派の総本山。サキャ派とゲルグ派の違いは沢山あります。サキャ派の建物はすべて灰色で地味です。サキャ派は輪廻制ではなく、世襲制です。なので、現在の主とその息子が一緒に写っている写真もあります。長髪も許される様で、現在の主は長髪を束ねています。
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サキャ寺は13世紀に建てられました。高い城壁に囲まれているのは当時は敵が多かった為でしょうか。この当時はチンギス・ハーン率いるモンゴル元寇帝国の侵略の脅威がありましたが、後にモンゴルとは友好が深まり、チベット仏教はモンゴルまで布教されました。モンゴルにチベット寺があるのはサキャ派の功績です。
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サキャ寺の入口、撮影料300元で内部撮影できましたが、私は撮りませんでした。サキャ寺にはチベット一と言われる大量の蔵書が保存されています。高さ10m奥行き100mほどの巨大空間に蔵書が並んでいます。チベットの本は1:6位の横長で、レンガの様な形の本が積みあがっています。主にインドから学問を輸入して、それを翻訳して本を作成しました。
サキャ・ゴンパ 寺院・教会
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別館で撮影許可をもらいました。後ろに映っているのがチョタン(墓碑)です。これらは翻訳に貢献した人のもので、他の場所で見たラマのチョタンよりはるかに小さいですが、チョタンは大体こんな形をしています。他にも大きな貝殻や象牙、虎の毛皮など、チベットにいない動物の形見が展示されています。寺の建設に使われた動物だとか。これらもインドから輸入されたのでしょう。
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ちょっと隠れた場所に不気味な部屋があります。バラバラにされた人間の体の模型がぶら下がっています。これは鳥葬の様子を描いたもので、人間の死体は鳥によって空に運ばれ、魂はまた別の生き物として生き返るのです。世襲制のサキャ派では少し解釈が違うかも知れませんが。
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サキャには北と南に2つの大きな寺があったのですが、現在は南側のみが残っており、山の麓にあった北側の寺はもうありません。
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数年前に、その跡地にはチベタンカレッジが建てられました。中にはいると問答の最中でした。セラ寺でも見ましたが、こちらの僧は観光客に見られ事に慣れていないのか中断させてしまいました。それでも問答は迫力があります。写真は決して叩いている訳ではないのですが、間違った答えを出すとご覧のように叱責されます。
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北側の山から見たサキャの全景。手前のチベタンカレッジと奥のサキャ寺の巨大さが目に留まります。すこし前までは村レベルの規模だったのが急速に拡大されています。手前の灰色の建物がチベット族エリア、奥の白い建物が漢族エリアです。サキャはほぼ100%チベットの町と期待したのですが残念です。ガイドによると、ある程度の規模で純粋チベット人の町はもう存在しないそうです。
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チベット6日目、更に西へ進みます。写真は畑を耕すためのヤクと何故か元気に踊っている子供。今のところ高山病の気配はありません。ラサ(3泊)3600m -> シガチェ3800m -> サキャ4300m と少しずつ高度を上げて、ダイアモックスを飲んでいるのが効いているようです。しかし今夜はエベレスト・ベースキャンプ、標高5000mを越えます。未知の世界が待っています。
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ラツェ Lhatseの街を越えると大きな検問所があります。ここは2008年以前、許可書を持たず闇入域を果たしたバックパッカーに待ち構えていた難関でした。今は許可書なしで旅行はほぼ不可能です。日本では江戸時代の関所の感じでしょうか。
細かくチェックをしているのか、許可書を持っていても通過に20分もかかりました。検問を越えるとご覧の標識が。エベレスト・ネパール方面へ南下する道と、カイラス・アリ・カシュガル方面へ北西に行く道に分かれます。カイラスが目的地ですが、最初にエベレストに向かうため南へ進みます。 -
ここからは、峠を登るため一気に高度があがります。村は少なくなり、交通量も減り、緑も消えてチベットの荒野への入口です。
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そして30分後には標高5248mのギャツォラ。雪山が一望できる素晴らしいい眺めです。なんとここがエベレスト・カイラスの道中の中で車で通過する最高地点でした。高山病の気配はなし。しかし4000m以下では夏の様に暑くてTシャツで過ごしていたのに、5200mでは陽が差していても冬服を着ても寒い。標高1200mの差はそれほど大きいものでした。
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そこから30km進むと、初めてエベレストが見える場所に来ました。残念ながら雲に覆われて良く見えませんが、エベレストに近づいている実感はわいてきました。
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エベレストへの最後の街バベール Baber(通称ニューティングリ New Tingri)。新しいと言うだけあって整備された街でした。少し昔までは埃だらけのトラックストップと呼ばれていた頃から随分と変わったようです。ここで昼食。この街を出る時にまた検問所、ここは更に厳しく全員降りてパスポートを持って手続きしました。
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チョモランマ自然公園への入口。雄大な景色。いよいよエベレストへのファイナルラップです。
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まだエベレストは見えず、高い山がそびえ立っています。ここを越えるため道は100回以上ジグザグに曲がって高度を上げます。交通量はほとんどありません。この道はつい昨年舗装されたばかりで、今ではエベレストベースキャンプまですべて舗装道路で行けます。そのためか自転車で旅行する中国人は多く、この強烈な坂にも登っているサイクリストが。この日だけで10人以上見かけました。
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パンラ峠 5050mを登りきったところで、いよいよエベレストを一望できる場所へ到着。残念ながら雲に覆われており良く見えませんが。。
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20分ほど様子を見ますが、雲が引く様子はなく、諦めて峠を降り始めます。すると奇跡的にエベレストの頂上だけが雲が引きました。すぐ車を停めてエベレストを拝みます。この瞬間がエベレストを初めて見た瞬間でした。
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峠を降りきると川沿いに村が点在するエリアへ。標高4500mが人が住める境界線の様です。この辺りではエベレストを覆う雲は消えて村の中からもエベレストが見えます。エベレストが見える村なんて、なんて素晴らしいのでしょうか。
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この辺りの道はのどかなものでヤクの休憩場所になっています。なんとか追い払い先に進みます。
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そして、、エベレストを目の前に見える距離まで到達。またエベレストは雲に覆われてしまいました。何と運のない。。
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エベレストベースキャンプまで8kmの場所です。中国側からエベレストのアプローチは車に乗っているだけで到着なので本当に簡単です。ネパール側のベースキャンプは10日間のトレッキングでやっとたどり着くのに。あっけないといえばその通りです。
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舗装道路の先端の駐車場から、ベースキャンプまで4kmあります。エコバスに乗り換えるか歩くかの選択がありますが、もちろん歩きます。着いたばかりで5000mの高度順応はできていませんが、カイラスのトレッキングへどれだけ準備ができているか知るためでもあります。高低差は200mほどで緩やかな登りなので1時間ほどで簡単に登れました。生憎、エベレストはまだ雲の中です。
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標高5150mのエベレストベースキャンプへ到着!ここで奇跡が起こりエベレストの頂上が現れます。これは神業としか言えません。エベレストは最高の登場の仕方で迎えてくれました。ちなみに厳密にはベースキャンプは右下に小さく映っている場所であと500mほど先ですが立ち入り禁止です。なのでその手前の丘をベースキャンプと呼んでいます。
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人生の中でも最高の写真のひとつが撮れました。
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十分余韻に浸った後にまた歩いて駐車場に戻ります。ここはテントキャンプと呼ばれていて車の脇には沢山のテントが並んでいます。エベレストに来た観光客のほとんどはここに泊まります。今のところホテルなど環境破壊の建物はありません。5月のシーズン前でも何百人の観光客が同じ場所に泊まるので、結構人が多く騒がしい感じです。
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これがテントキャンプの中、10人まで泊まれます。ここで食事をとり、ヤクの糞で暖めたストーブで温まります(一見は糞には見えず、臭くないです)。厚いブランケットは用意されていますが、それでも夜は寒いです。ブランケットは意外と清潔でしたが、どこもそうとは限らないのでラサから寝袋を持って行ってそれを中に敷くのが良いでしょう。
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エベレストのサンセットです。この時は雲は消えてエベレスト全体が見えます。最高の眺めです。言葉では表せません。
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日が暮れた後にもう一度テントを出ると一面の星空が!今まで世界中で見た星空のベストのひとつです。やはり地球上で最も高い山というだけあります、宇宙のすぐ近くまで近づいた気がします。夜はすごく寒いのでゆっくり外で星空を楽しむ余裕はありませんが、この眺めは記憶に強く残りました。
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翌朝のサンライズ、残念ながら山頂は雲に覆われています。サンセットとは違う部分が陽に当るので、またエベレストの違う顔を見ることができました。この日の朝も高山病の様子はなし、皆元気に次の目的地カイラスへと向かいます。
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この旅行記へのコメント (2)
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- Satoshi-sanさん 2017/07/18 01:38:53
- 素晴らしい奇跡のショット!
- こんにちは、ノーーウォリーズさん
サンセットのエベレストのショット。素晴らしいです。
書かれている通り 雲が晴れたあたりから、奇跡ですね。
星空の写真はどうとるのか私にはわかりませんが、そちらもとても素敵です。
ノーーウォリーズさんの興奮冷めやらぬのが良く分かります。
また、いろいろ拝見させて下さい。
Satoshi-san
- ノーーウォリーズさん からの返信 2017/07/20 19:35:11
- RE: 素晴らしい奇跡のショット!
- Satoshi-san、コメントありがとうございます!
そうなんです、この気持が上手く伝わってよかったです。エベレストベースキャンプまで行っても結局エベレストが見えなかったという話をよく聞くので、本当にラッキーでした。これからもよろしくお願いします。
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