2016/07/20 - 2016/07/21
14位(同エリア70件中)
玄白さん
貸別荘、ホリデイアパートで自炊しながらのオーストリア・チェコ一ヶ月旅行は、いよいよ最後。最終日は、昨日に続きプラハを離れて、西ボヘミアのプルゼニュへ。
プルゼニュといえば、ビール好きにとってはミュンヘンと並ぶビールの聖地、特に、今や世界のビールの8割を占めるに至ったピルスナービール発祥の地なのである。そもそもピルスナーとはプルゼニュのドイツ語読み「ピルゼン」に由来しているのである。ワインも好きだが、ビールも大好きな玄白としては、このビールの聖地に巡礼に行かないわけにはいかない。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 鉄道
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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イチオシ
プラハ入りして5日目。日課のウォーキングを兼ねて朝食前にアパート近くの旧市街の散歩に出る。 飽きもせず、同じような写真を撮りまくっている。
旧市街広場の真ん中のヤン・フスの銅像のまわりの花壇の花と旧市庁舎。 -
花壇の花とティーン教会
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早朝6時半、さすがに広場に観光客の姿はまばら。そんな時を狙ってか、中国人女性4人組が、着飾っての記念撮影に興じている。許可を得て、一枚撮影させてもらった。
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イチオシ
今日もどうやら天気はよさそうだ。
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旧市街広場をブラブラ散歩している間に連れ合いが作ってくれた朝食を済ませ、地下鉄を乗り継ぎプラハ本駅へ。
9:12発のミュンヘン行きEC354に乗り込み、いざプルゼニュへ。一時間早いヘプ行きのローカル線を利用すれば空いていたかもしれなかったが、このミュンヘン行特急は激込み。座席指定は取れず、一時間半立ちっぱなし。今回の旅の中の失策の一つになってしまった。 -
ようやく、プルゼニュに到着。駅の売店でトラムの切符を買い、駅前のトラム乗り場でトラム1番に乗り込み、旧市街へ。
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イチオシ
とりあえず、旧市街の中心、共和国広場へ。広場のど真ん中に立つ聖バルトロミェイ大聖堂。1320年から150年の歳月をかけて創建されたゴシック様式の聖堂である。
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ちょっと中を覗いてみた。主祭壇まで入るには、教会には珍しく入場料を払わねばならない。いままで、随分いろいろな教会や聖堂をゲップが出るほど見学したし、目を見張るほどの装飾があるわけでもなく、プルゼニュ訪問の目的は別にあるので、入口で一枚記念写真を撮っただけ。
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広場の周囲は高さが揃ったルネッサンス様式のファッサードの建物が取り囲んでいる。聖バルトロミェイ大聖堂の高さ102mの塔が影を落としている。
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ヨーロッパの中世から続く都市の広場に必ずあるものは、教会と市庁舎だ。これが、プルゼニュの市庁舎。17世紀初頭に建てられた。
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近づいて壁面をよく見ると、びっしりとレリーフ彫刻で埋め尽くされている。
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1681年に建てられたペスト記念柱。塔のてっぺんの聖人像は、カレル橋でも人気の彫像だった聖ヤン・ネポムツキーのようだ。
今回訪れたいろいろな街では、かなりの割合でペスト記念柱があった。中世から近世にかけて繰り返し流行したペストの猛威がすさまじかったことを物語っている。 -
ざっと共和国広場をみてから、目的地の一つ地下道博物館へ。
博物館の隣にあるホスポダ「ナ・パルカーヌ」まだ、朝なので、営業はしていない。 -
博物館入口には、古いビール樽が並んでいる。
ここには、ビール醸造博物館と地下道博物館が併設されている。この後ビール工場見学を予定していて、そこで、ビールの歴史なども展示されているだろうから、地下道博物館のチケットだけを購入。なお、チケットを購入すると、市内の指定レストランで、ビール一杯分の無料ドリンク券がもらえる。 -
ここの見学は1日4回のガイドツアーのみ。12:40の英語のガイド以外はチェコ語のツアーである。12:40までは待てないので、英語のオーディオガイド一人分だけ借りて11:00出発のチェコ語ツアーに参加。
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プルゼニュ市内の地下には13~19世紀にかけて掘削された地下道が網の目のように張り巡らされていて、全長20kmに及ぶ。どんな目的、経緯で、この長大な地下トンネルが作られたのか、後で調べてみたがよくわからない。オーディオガイドでは説明されていたと思われるが、写真を撮るのに忙しく、ガイドは連れ合いの首にぶら下がっているので、結局分からず仕舞い。
想像をたくましくすれば、普段は倉庫として使い、戦時は対フス派軍などの外敵へのゲリラ戦用の通路兼隠れ家として使われたのではなかろうか。プルゼニュはカトリックの町だったのである。 -
地下道は狭く天井が低いところがあるので、全員ヘルメットをかぶらなければならない。ヘルメット姿が全く似合わない連れ合い。顎紐がないので、落っこちそうだ。
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いよいよ、地底探検出発。
今回の旅行では、よく地下洞に潜った。ハルシュタットの岩塩坑、クリッペンシュタインの氷の洞窟、インスブルック郊外のスワロフスキー地下ミュージアム、チロルのシャウフェルフェルナウ氷河の洞窟についで、5回目だ。
地下空間は夏でも気温は10℃くらいなので、この女性、さぞ寒かろう。 -
ところどころ、小部屋のような空間には、当時使われていた器や、
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ビール(?)樽や・・・
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古いボヘミアングラスの壺などが展示されている。
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14~15世紀頃の馬の頭蓋骨の展示。この地下道を再整備したとき発見されたらしい。
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井戸。一見してきれいな水で、今でも使えそう。
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プルゼニュの市の紋章レリーフかな
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イチオシ
こんなアーチ型の通路になっているところもある。
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通路は複雑に分岐し、上下に分かれていたりする。これは、たしかに個人で入って迷ったら出られなくなる。ガイドツアー見学だけというのも頷ける。
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地上に近いところまで戻ってきた。
16世紀中葉に作られた水車。この上が給水塔になっていて、塔の上に水車を利用して近くを流れている水路の水をくみ上げ、給水塔から市街の家に水を配るシステムになっている。この水車は19世紀に再建されたもの。
原理的には、現代のマンションの給水システムと同じである。 -
全長20kmの地下道のうち、800mほどが、博物館として公開されているのである。ここを1時間かけてガイドツアーで巡った。目を見張るようなお宝はなかったが、インディ・ジョーンズになって地下空間を探検したような気分になれた。
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イチオシ
地下都市探検の次はビール工場見学へ。チェコビールの最強ブランド「ピルスナー・ウルクェル」を作っているプルゼニュスキー・プラズドロイ醸造所である。創業1842年という名門醸造所である。重厚な門がこの醸造所の歴史と伝統を物語っているようだ。
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イチオシ
門をくぐって構内に入ると煉瓦作りの高い煙突が目を引く。
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門をくぐって100mほど行った左側の建物の中に工場見学ツアーを受け付ける場所がある。ツアー出発は12:45なので、しばらく、このホールで待つ。なお、英語のツアーは12:45から2時間置きに3回行われる。およそ1時間40分のツアーである。
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ビール瓶を積み重ねて作ったPirsner Urquellのブランドディスプレイ
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ホールには、昔使われていた煉瓦作りの醸造タンクなどが展示されている。
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広い構内
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見学場所へはバスで移動。
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最初に連れていかれたのは、最終工程の瓶詰め、出荷部門。昔使われていた出荷用の鉄道貨車が展示されている。
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工場建屋の中へ。広大なフロアで流れ作業でビールが瓶詰されていく。
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最初は、洗浄された空きビンの品質検査。傷やカケている瓶が取り除かれている。検査は目視のようだ。このあたり、日本のビール会社では画像処理による自動検査になっているのではないかな・・・?
泡のようなものが床にこぼれている。日本の工場運営では職種に関わらず当たり前になっている3Sや5S運動などは行われていないようだ。 -
猛烈なスピードで瓶が流れ、自動でビールが充填されていく。平均一時間当たり10万本の生産数だという。
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瓶詰め工場を出ると、変わった形の塔が見える。ビールの原料である水を供給する給水塔らしい。
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次はビール醸造工場へ。
72人乗りの巨大なエレベータで2階に上がる。ガイドがこのエレベータは世界一大きいと自慢していた。
エレベータから降りると、パノラマスクリーンにプルゼニュスキー・プラズドロイ醸造所の沿革が紹介される。 -
続いて、いくつかの小部屋では、ビールにおけるホップの役割を説明を聞きながら、実際に原料の大麦やホップを口に含んで味を試してみたり、酵母を顕微鏡で覗いてみたり、ビールの醸造プロセスの説明を聞いたりするビール博物館見学といった感じである。
<ビールのうんちくⅠ>
ビールは大別すると、エールビールとラガービールに分かれる。エールビールは、常温で大麦麦芽を酵母で短時間で発酵させる方法で、古くからの製法である。もろみの上に酵母が浮き上がるので上面発酵とも言われる。ホップが伝わる前はホップなし、あるいはある種のスパイスやハーブが使われたりしていた。エールビールの特徴は、泡が少なく麦芽の甘味と香りが強いこと。最近、日本でも種類が増えてきたプレミアムビールは、この上面発酵によるものが含まれている。また、各地の地ビールもエールビールに分類されるものが多い。古い製法で設備的にも技術的にもラガーより簡単であることも理由の一つなのだろう。イギリスではなんと2000年前からエールビールが作られていた。 -
<ビールのうんちくⅡ>
一方、ラガービールとは10℃前後の低温で長時間かけて発酵させる製法で、酵母がもろみの下に沈むので、下面発酵とも言われる。現在では冷蔵技術が発達しているので、大量生産が可能だが、昔は低温に保つために、冬の間に氷を洞窟に貯蔵しておき、その氷でもろみを冷やしながら発酵させていた。ラガービールを考案したのはバイエルン、とくにミュンヘンの醸造家で15世紀のことである。
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<ビールのうんちくⅢ>
ピルスナービールは、もちろんラガービールの一種である。
13世紀ごろからプルゼニュでも市民がビールを作っていたが、醸造過程で雑菌が入るなどしてその味はひどいものだったらしい。時の政府からたびたび廃棄命令が出ていたほどだったという。1842年、プルゼニュ市民有志は、当時大成功していたミュンヘンのラガービール製法を取り入れるべく、バイエルンの醸造家ヨーゼフ・グロルという人物を招きラガービール製造に乗り出した。これが、プルゼニュスキー・プラズドロイ醸造所の始まりである。
写真は、初代プルゼニュスキー・プラズドロイ醸造所所長と現在の社長の写真である。 -
<ビールのうんちくⅣ>
グロルの指導で作ったビールを樽から取り出したとき、醸造所の関係者は大変な驚きだったという。ミュンヘンで作られているラガービールと同じように茶褐色の濁りがある液体が樽から出てくると思っていたのに、出てきた液体は黄金色の透明な液体だったのである。味もミュンヘンのラガービールとは違いすっきりとしたキレがある飲み口で、真っ白な豊かに泡立つきめ細かな泡もミュンヘンラガービールにはない特徴だった。同じ原料、製法で、これだけ大きな違いが生じたのは水の性質だった。ミュンヘンのビールは重炭酸塩を多く含む硬水が使われていたのに対して、プルゼニュの水は軟水だったのである。
水の性質の違いだけで、これだけ大きな違いが出るということに、醸造・発酵という微生物が関わるプロセスの奥深さを感じざるを得ない。プルゼニュ発祥のピルスナービールは、今や全世界のビールの8割を占めるビールの王道となっているが、これだけ普及した要因のもう一つが、ボヘミアンガラスの存在がある。ミュンヘンのラガービールやそれ以前のエールビールは陶器の器(マグカップ)で飲んでいたが、透明なボヘミアんグラスで作ったジョッキが、透明感があるピルスナービールの魅力を、さらにひき立てたのである。
今や、ラガービール発祥の地ミュンヘンでも、ピルスナータイプのビールが大きな割合を占めるに至ったのである。 -
いよいよ、このツアーのクライマックス、地下のピルスナービールの貯蔵庫見学である。しばし、ガイドに待たされたのは、ガイドが防寒服に着替えるためだったのである。
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昔ながらの冷涼な地下洞窟内でゆっくりともろみの発酵をしているのである。
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その地下貯蔵庫のマップ。広大な地下空間が利用されている。
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イチオシ
巨大な樽で発酵熟成が終わるの待っている。ガイドの背と比べて、その樽の巨大が分かる。
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高く積み上げられた醸造樽が延々と続いている。
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お待ちかねの試飲タイム。マイスターと思しきオジサンが、樽から直接注いだビールを試飲させてくれるのである。濾過していない生ビールなので、少し濁りがあり、その分若干雑味が感じられるが、芳醇でまろやかな香り豊かな味わいは、新鮮そのものの生ピルスナーである。
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ツアー参加者たちは、この超新鮮な生ビールに舌鼓を打ちながら、しばし談笑タイム。
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ここは、かつて低温醸造の冷却に使われた氷の貯蔵庫。今では、近代的な冷却設備が使われているので、氷を貯蔵することはない。
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最後は、ちょっとしたお遊びゲームで終了。醸造樽の蓋に開けられた穴を潜り抜けられるとラッキーな事があるというガイドにそそのかされ、何人かの女性が挑戦。でも、その体形で、樽の穴を潜り抜けられるとは思えないのだが・・・
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ツアー終了して、すでに時刻は2時半、腹はペコペコ。醸造所内にあるレストラン「ナ・スピルツェ(Na Spilce)」で、遅めのランチ。
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内部はとても広い。
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ビールは当然ピルスナー・ウルクェル。地下道博物館とセットになっていた無料ビール券を活用。先ほど試飲したビールと違い、こちらは濾過されて、透明なビールである。
最初に行ったホスポダ「ウ・ピンカスー」で食べたタルタルステーキがとても美味だったので、ここでも注文。パンに入ったスープ仕立てのグヤーシュも注文。 -
帰りはのんびり歩いてプルジェニュ駅に戻る。特急ではなかったので、2時間ほどでプラハに戻る。
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最後の晩餐は、昨日ミクロフで買ってきたワインと、スーパーで買っておいた残りの食材を使ったつまみで、アパートで済ます。
そのあと、またもや飽きもせず、ブラブラしながら夜景撮影。日が暮れても相変わらず旧市街は賑わっている。 -
セグウェイに乗った観光客の一団。
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見納めで、またまたカレル橋へ。
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日が暮れても相変わらずカレル橋の上は大勢の観光客が溢れている。
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カレル橋から、マラーストラーナ方面を望む。
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カレル橋の上の彫刻群のひとつと満月
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橋の上から国民劇場のライトアップを狙う。
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翌7月21日。長かった旅は終わり、帰国の日である。
前日に荷物のパッキングは済ませてあるので、最後の旧市街広場の朝食前の散歩。
この日も観光客が集まる前に、ロングドレスを着た女性の撮影が行われていた。 -
まだ静かな旧市街広場に鳩が舞っていた。
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朝日が昇ってきた。
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空港へは、共和国広場から出るエアポートシャトルを利用。割高な料金ではあったが、アパートから近くて便利だったし、ぼったくりタクシーを使ってプラハ本駅からのシャトルバスは使いたくなかったので、やむを得ない。
プラハ国際空港発9:55のAF便でパリ経由にて帰国。
旅行記を完成させるのに10か月もかかってしまい、最後の方は記憶が薄れて正確さを欠いている部分もあるが、ご容赦願いたい。最後までこの拙い旅行記をご覧になってくださった4travelerの皆様、ありがとうございました。
「オーストリア・チェコ、貸別荘・ホリデイアパートで自炊しながらの一ヶ月間のんびり旅」完
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