クロンシュタット　ペテルブルグの隠れた観光スポット（後編）

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1999/06/27 - 1999/06/27

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#留学

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　是非見てほしいのはピョートルが作った船のドック跡。巨大なドックは海にではなく内地にある。深く深く谷のように掘られたドックを上からのぞき込むと足がすくむ。知り合いの映画監督が撮影に使いたいと言っていた場所だ。その建設は1719年5月1日に始まり、エリザヴェータ・ペトローヴナ時代に完了した。1752年6月30日にエリザヴェータ帝の見守る中、最初の水が運河に導かれ、10の戦艦がドック入りした。150サージェン（約320m）の石の運河が掘られ、運河には開閉できる門が設けられ、船の鋼張りや船底の点検、修理が必要なときに水を入れ、船を導いた。

その水門の先に三つの石製のドックが十字架の形に配置されている。一つは西へ、もう一つは北へ、最後のは東へと伸びている。そのいずれもが別個に水門を持っているので、他の船のために運河を満水にしたり排水したりするのを邪魔することなしに造船ができた。水は地下に敷設した給水管から運河に導かれ、全運河を満水にするには7時間かかった。それから水門を開け、船を入れ、入れてしまうと門を閉め、排水した。水は船の下から排水管を通してはき出され、東向きのドックに流入し、その後すぐ近くの貯水池に入った。貯水池に設けられた183馬力の蒸気機関はその水位を上げたり、また7日間かけて水を放出したりすることができた。長方形の貯水池には現在でも水がたたえられ、禁止されているのだが、夏には泳いでいる人を見かけることもある。

　その他に、街を縦に貫くソヴィエツカヤ通りに沿って灌漑用の運河が走っている。1785年に着工したこの運河は、先ほどの古文書が1824年に発行された時点では「建設はまだ完了していない」と書かれている。幅8サージェン（約17m）の運河は、その両方の壁を御影石で固められ、高さ8フィート（約2.5m）の銑鉄製の格子が巡らされている。運河沿いに長い長い緑の公園があり、市民の憩いの場となっている。クロンシュタットは行政区画の上ではペテルブルグに含まれるが、まるで他の国に来たように住み心地が違う。

街が小さいと運営しやすいのかもしれないが、道路は清掃が行き届き、バスはピカピカ、病院でも病人が待たなくてもいいシステムが整っているし、役人は電話で質問に応じてくれるし、ペテルブルグ市内の子供診療所はどこも入口に急な階段があって乳母車と一緒に入れなかったり、あるいは乳母車を置く場所さえなかったりするのに、ここでは入口はゆるやかなスロープ、乳母車置き場は広々、ロシアのどこの都市へ行っても経験する「そんな不条理な、非合理な！」と思うようなことに出くわしたことがない。市内では「外国人だから」とたらい回しにされた妊婦の定期検診も、すんなり受け入れてくれ、分娩代も入院代も1カペイカも請求されることがなかった。子どもには生後しばらくロシアの健康保険がなかったのに、産院退院後すぐから頻繁にドクターや看護婦さんがアパートを訪ねてくれた。私にとってクロンシュタットは特別な場所なのだ。

　さて、ペテルブルグからクロンシュタットへ行くには、海が凍っていない季節なら水中翼船がいい。ワシーリー島から毎正時一本でている。帰りも同じく。清潔なガラス張りの船に揺られて青い空を眺めていると35分の船旅はあっという間だ。料金は10ルーブル（1＄＝25ルーブル）。海が凍ってしまったら、地下鉄「チョールナヤ・レーチカ」駅のわきから20?30分おきくらいにバスが出ている。建設中のダムの上を突っ走って1時間後には終点、クロンシュタットのゴスチーヌイ・ドヴォール（ペテルブルグのゴスチーヌイ・ドヴォールと同じような概観の古い百貨店）前に着く。乗り合いタクシーなら40分だ。また、ロマノーソフ（ペテルゴフの隣町）とも連絡船で結ばれているので、ペテルゴフを満喫した後で海路クロンシュタットに入ることもできる。夏には遠方にダムを仰ぎ見ながら遠浅の海水浴場で泳ぐとよい。よって水着を忘れないように。