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シルクロード鉄道 ウルムチ(中国)からアルマトイ(カザフ)へ

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1999/11/02 - 1999/11/02

146位(同エリア251件中)

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JIC旅行センター

JIC旅行センターさん

「シルクロード鉄道」の始発駅ウルムチは、道路もよく舗装されており立体交差など近代的な大都市といった感じだ。極彩色の派手なネオンがあちこちに光り、一見するとここが中央アジアの玄関口といっても信じられないほどだ。ホテル等は外観のみしか見ることができなかったが、建設中のものも含め、高層ホテルが林立している。

 民族料理は羊肉中心の中華料理といった感じで、スパイスがきいておいしかった。夕食の後、駅へ向かう。ウルムチ駅に着く。国際列車の利用客は、駅正面中央の専用の入り口から構内に入る。空港のように、手荷物のX線検査があり、見送りもここまでだ。入って右手奥に国際列車専用待合室があり、内部には小さな売店。飲み物やお菓子などを売っている。見渡すと、ロシア人、カザフ人、中国人と、すでに多様な民族が入り混じっている。

*         *        *

 発車1時間ほど前に、係員の誘導で国際列車専用ホームに移動する。係員が、チケットを一人一人検札する。

 目指す第13列車「ZHIBEK ZHOLY」号が、ホームで僕らを待つ。列車はカザフスタン国鉄所属のようだ。で、旧ソ連では一般的な、旧東ドイツ製の深緑色の車両だが、優等列車らしく、車体には白や黄色で飾り帯が描かれている。食堂車は中国の車両が連結されていたが、営業していなかった(カザフスタンのドルージバで切り離される)。食料、飲料は事前に調達しておいた方が無難なようだ。荷物を置き、発車までのひととき、列車の編成を探検する。中国式の呼び名で「軟臥」というのは、旧ソ連ではハードクラスと呼ばれる4人部屋のコンパートメントだ。ほかに、中国式での「硬臥」?旧ソ連でのツーリストクラス、3段ベッドの開放寝台がたくさん連結されている。いわゆるソフトクラス(2人コンパートメント)は、連結されていないようだ。

■英語と中国語とロシア語とカザフ語での会話

 部屋に戻ってまもなく、コンパートメントに同室の乗客が乗り込んできた。一人はカザフ系中国人の女性で今年25歳。北京にある国立文献翻訳センターに勤務しており、普段は中国に住んでいるカザフ人住民のための行政文書の翻訳に当たっているそうだ。半年間、アルマトイに留学するという。もう一人はカザフ人の男性で今年30歳。昔ジャンブルと呼ばれたタラス市の人で、病気のお母さんをウルムチの病院に入れるためにやってきたという。僕を含め、3人とも同じような顔をしているのに、僕と彼女は英語と筆談、僕と彼とはロシア語、彼と彼女はカザフ語での会話。不思議な世界だ。第一、(実際話題にもなったが)、彼と彼女は同じカザフ民族なのに中ソ対立時代は行き来すらも難しかったのだ。

 ちなみに、彼は例によってたくさんの食料を持ち込んできていて、僕も彼女も2泊3日の車中、結局すべて彼にごちそうになってしまった。

■ものものしい中国側の国境検問所

 ウルムチを発った列車は、中国領内で翌朝を迎える。朝もやの平原を列車はひた走り、8時58分に中国・カザフスタン国境の駅、阿拉山口に到着する。時刻表によるとここで列車は2時間停車するという。トイレはふつう、停車時は車掌がかぎをかけて入れなくしてしまうため、前もってトイレや洗面は済ませておいた方が無難だ。実際、トイレに行はぐれた何人かの乗客が、車掌に苦境を訴えていた。

 窓から外を見る。駅舎はそう大きくないが、建設されたばかりの近代的な建物だ。ただし、各車両の出入り口に一人ずつ、自動小銃を下げた国境警備兵が直立不動で立ち、ものものしい雰囲気だ。しばらくすると、別の兵士の一団が駅舎から列車にやってきて、車内に乗り込む。一両ずつ順番に出国手続きをするようだ。

 やがて、自分のコンパートメントの番が回ってきた。最初に税関(荷物)検査だ。全ての荷物を開けられ、持っている本や雑誌のひとつひとつまで、英語で、「これはどんな内容だ」とチェックしていく。ちょうど北京で、「法輪功」の件が騒がれており、そのことも関係しているのだろうか。ただしロシアのような、所持金の届け出検査などはなかった。

 次はパスポートコントロールだ。兵士が本人かどうかを確認の上、パスポートを回収していく。発車前に、ビザに出国スタンプが押されて返却された。

 阿拉山口を発車した列車は国境の緩衝地帯を30分ほど、人の駆け足ほどのゆっくりとしたスピードで走る。この時間がトイレが開くチャンスだ。車掌に告げられて、多くの乗客が小走りにトイレに急ぐ。一面の平原に、みすぼらしい柵が伸びる。ここが中国とカザフスタンの国境だ。

 国境を消えて現地時間で9時30分(時差の関係で時間が逆戻りするのだ)カザフスタンのドルージバに入る。最初は駅ではなく、平行して走る道路と共用の、国境警備隊の検問所に停車する。ここで国境警備隊員、税関係員が乗車し、ふたたび各コンパートメント内で検査がおこなわれる。兵士はカザフ人もいればロシア人もいる。ロシア人のカザフ兵なのか。それともロシア軍と合同で国境を警備しているのか。

 まずパスポートは持って行かれる。次に税関検査。事前に車掌が配ったカザフスタンの税関申告書(旧ソ連タイプ)に所持金記入。捺印。ただしここで係員から「カメラ、ラジカセ等は持っていないか」と聞かれ、持っていると答えると、「出国時に問題になる可能性があるので全て申告しておいた方が良いです」と丁寧に言われる。税関申告書裏面にその旨追加して記入。中国側出国時に比べて全体的にとげとげしい印象は薄い感じだ。もっとも、こうした印象はそのときの係員の当たりはずれに左右されてしまうものだが。

■ドルージバの駅で列車の台車を入れ替える

 検査終了後、列車は数分走ってドルージバ駅に到着。列車は40分ほど停車した後、中国のレール間隔(1435mm)用台車からカザフスタンのレール間隔(1524mm)用台車に取りかえるために、交換作業場に移動する。ここで3時間ほどかけて台車を交換する。まず車両を一両一両切り離した後、今度は巨大なジャッキで車両全体を持ち上げる。そして車両が乗っかっていた台車だけを入れ替えるのだ。

 再びドルージバ駅に戻り、また30分ほど停車した後、列車はアルマトイに向けて再び走り出した。この間約6時間、トイレは施錠されたままである。(ドルージバ駅停車中に駅のトイレに行くことは可能)乗客は台車交換の間、列車に乗っていても駅で待っていても良い。ただしドルージバ駅には小さなバーと売店があるだけで両替所は結局見つけることはできなかった。駅員は駅を出て道を渡ったところに銀行があると言っていたが、それらしい建物は見あたらなかった。小さい、さびれた町である。

■ウルムチから2泊3日、アルマトイに着く

 ドルージバを発車後は、列車は見渡す限りの平原をゆっくりとした速度で走る。背丈ほどもある草が、風になびいてまるで海のようだ。夕暮れの車窓に、大きな湖がうっすらと浮かぶ。アクトガイ駅に21時50分着。物売りに来た小学生くらいの女の子から、近くのバルハシ湖でとれたという焼き魚を買う。何という魚かわからないが、ホッケに似た、懐かしい味がした。車中でもう一晩を明かし、翌朝の7時30分にアルマトイ駅着。最初に「アルマトイII駅」に到着、折り返しで終点の「アルマトイI」駅へ向かう(こちらが中央駅に当たる)。

 長いようであっという間だった2泊3日の旅は終わり、僕は同室の2人に別れを告げた。アルマトイ駅は小雨がぱらついている。ここがステップなら、恵みの雨といったところだろうか。

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