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クロンシュタット ペテルブルグの隠れた観光スポット(前編)

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1999/06/27 - 1999/06/27

1772位(同エリア1797件中)

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JIC旅行センター

JIC旅行センターさん

 ペテルブルグに観光で訪れたついでにペテルゴフやプーシキンに足を延ばす人はいるが、クロンシュタットを訪れる人はまずいない。1年も滞在している留学生ですらそうなのがとても残念だ。それは、クロンシュタットがごく最近まで外国人どころか住民以外のロシア人まで立入禁止の島で、今は解禁になったということを知る人が少ないからだろうか。その島についても、歴史の授業で習った「十月革命の最大の拠点の一つになった」にも関わらず「1921年には水兵が反ソビエト政権の反乱を起こした」こと以外、知る人は少ない。私は去年、その島で男の子を産んだ。出産祝いにペテルブルグから駆けつけてくれた友人たちは、「タクシーの運転手に、あそこは行っちゃだめなんだよって言われたよ。運転手も行ったこと無いって」と口々に言った。

 クロンシュタットは、島の端から端まで散歩がてら歩いて横断できる小さな島で、自動車が極端に少なく、ペテルブルグと違って街中にあちこち警官が立っていない、信号機が一つもない、緑のとても多い、路線バスが三本しか走っていない、今でも昔ながらの0.5リットルガラス瓶入りのケフィールが売られている、店の売り子が怒鳴らない、落ち着いた、誰でも受け入れてくれるふところの広い街だ。街のあちこちで乳母車を見かけるのは、子沢山の家庭の割合が多いから。「島に娯楽がないから、夜になるとすることがないんだよね」と、自身も5人の子持ちの同い年のターニャは言う。小さい街ながら、その歴史はペテルブルグと同じくらい古く、見るに値するものもたくさんある。

 クロンシュタットとその軍港(ロシア・バルト艦隊の主要基地)はフィンランド湾の東部、コトリン島にあり、ネヴァ川の河口から25ヴェルスターのところに位置している。コトリン島には何もなく、無人島であった。しかし、サンクト・ペテルブルグの建設にともない、慧眼ピョートル大帝が島の地理的有利性に目をつけ、1713年島の東側沿岸にクロンシュタット市を建設し、軍艦と商船のために二つの港を築きはじめた。建築は着々と進み、すでに1720年の春には大帝自身の出席のもと港には24フントと18フントの銃が180挺も備え付けられた。商港には900もの商船が収容でき、軍港にも商港にもマストを取り付けるためのクレーンがあった(以上、1824年発行の「航海術、科学および人文学のための海軍省報告・第六巻」より抜粋)。つまり、もともと海上要塞として発展した都市なのだ。

 現在の軍港には、ウラジオストックのように灰色の軍艦がずらりと並び、潜水艦も見える。今では使われていない、カレンダーの写真に採用されそうなシックな白い灯台は、何とも珍しいすべて木製だ。港のわきには緑の公園が広がり、中央に像が立っている。誰の?もちろんピョートルの!公園をぬけると教会らしい建物のドーム屋根が目に飛び込んでくる。これが有名な「海の聖堂」。船乗りの無事を祈るために建設され、またクロンシュタットの守り神でもある。

 ロシア正教会の聖堂でガイドブックに「美しい」と書かれているものは数多いが、これより美しい聖堂を私は見たことがない。イサク寺院のような豪華絢爛さはないし、モスクワのワシーリー寺院のようなオリジナリティにも溢れていないが、しっとりした落ち着きがあり、緑色が青い空、青い海に溶け込みそうだ。聖堂の礎を築いた聖人イオアン(ヨハネ)は1908年に没し、1913年に完成した美しい聖堂をついぞ見ることがなかった。外側には細かい透かし彫りのアーチ、ひとでやカニ、たこや貝など海がモチーフのモザイクが今でも残っている。内部は残念ながら博物館になっているが、その代わり昔のクロンシュタットの姿を知ることができる。

 イオアンは、死後聖列に加えられ、今では「クロンシュタットのイオアン」と呼ばれているが、生前も民衆の間で多大な人気を博していた。アンドレエフスキイ寺院に奉仕していたイオアンは、「共同懺悔」なるものを実行していた。つまり、一般に教会で信者一人と僧侶一人の間で秘密裏に行われてる罪の告白を、全信者の前でおおっぴらに行ったのである。クロンシュタットは水兵の街。水兵を相手にする売春婦も多かった。彼らは皆民衆の前で罪を告白したので、島では誰がどんなことをしたか互いに知り尽くした上で暮らしていた。アンドレエフスキイ寺院はソビエト政権時代に取り崩され、そこには今でもレーニン像が立っている。話を海の聖堂にもどすと、聖堂は石が敷き詰められた広場の上に建っている。広場には日露戦争で太平洋艦隊司令官だったマカーロフ提督の像がある。実は港からこの広場に来るにはひとつ吊り橋を渡ることになるのだが、私を訪ねてくれた日本の友人はそれを「ヨーロッパの保養地みたい」だと言った。白樺の木立ちの中を眼下に小川を眺めながらこの吊り橋を渡るのは、秋がもっとも美しい。

(つづく)

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