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日本のオペラを見てみたいと思っていました。<br />そんなとき、観劇のたびにたくさんもらうチラシの中から、面白そうなものを見つけました。<br />源氏物語の末摘花を主人公にした女だけのオペラ「末摘花」です。<br />その会場の紀尾井ホールは初めてです。<br />上品なホテルのような中規模のホールでした。<br />そして舞台はオーケストラピットのなく、むしろコンサートホールでしたが、こじんまりしていてかえって良い雰囲気だったです。<br />源氏物語の中でもまれにみる醜女の末摘花は、その心根の優しさと、おっとりした貴族の娘であまりに哀れな境遇から、須磨から戻ってきた源氏にひきとられますが、このオペラは、あてもなく源氏物語の再度の訪れを待ちこがれる末摘花と末摘花の周囲の女性たちの物語です。<br /><br />「高校演劇として評判の高い榊原政常原作戯曲「しんしゃく源氏物語」に基づき、今や気鋭の作曲家として注目を集めている寺嶋陸也が精魂込めて仕上げた珠玉のオペラ。NHK出身でニュー・オペラ・プロダクション代表の杉プロデューサーが「死神(デス・ゴッデス)」「鳴神」「耳なし芳一」に続いて世に送り出した喜劇オペラ。忠義一徹の乳母や成金の叔母、現代娘さながらの女官達がイケメン光源氏を待ち侘びて繰り広げる笑いあり、涙ありの物語。現代に通じる人情の機微をつき、滑稽の中にも、しみじみとした「あはれ」の余韻を残す。」<br />チラシの解説より<br /><br />紀尾井ホール公式サイト<br />http://www.kioi-hall.or.jp/<br /><br /><これまでの劇場シリーズの旅行記><br />東京宝塚劇場(有楽町)<br />「手にしたばかりのオモチャに夢中:デジカメ持って宝塚劇場へ(その1)」(2006年3月)<br />http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10059201/<br />「手にしたばかりのオモチャに夢中:デジカメ持って宝塚劇場へ(その2)」(2006年4月)<br />http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10062015/<br /><br />東京文化会館(上野)<br />「何十回と訪れて、初めてまともに歩いた上野公園その3:もろもろ&最近の上野での過ごし方」(2006年5月)<br />http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10065823/<br /><br />新国立劇場(初台)<br />「今宵は初台の新国立劇場へ」(2007年3月)<br />http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10130385/<br /><br />新橋演舞場(東銀座)<br />「今宵は東銀座の新橋演舞場へ」(2007年3月)<br />http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10131883/<br /><br />国立劇場・小劇場(半蔵門)<br />「国立劇場で文楽を見たよ@」(2007年5月)<br />http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10150477/<br /><br />帝国劇場(有楽町)<br />「帝国劇場でミュージカルを見よう」(2007年12月)<br />http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10206152/<br /><br />東京国際フォーラム(有楽町)<br />「国際フォーラムでもバレエを見るよ」(2007年12月)<br />http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10206978/<br /><br />東京芸術劇場(池袋)<br />「池袋の東京芸術劇場、ミュージカル観劇の日は雪でした」(2008年1月)<br />http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10216358/<br /><br />劇団四季・自由劇場(浜松)<br />「劇団四季・自由劇場ときれいになった浜松町駅界隈」(2008年3月)<br />http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10228045/<br /><br />新国立劇場(初台)<br />「クリスマス色の新国立劇場でバレエ「シンデレラ」を鑑賞」(2008年12月)<br />http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10296524/<br /><br />赤坂ACTシアターと赤坂サカス(赤坂)<br />「イルミネーションの赤坂サカスでバレエ「くるみ割り人形」を鑑賞」(2008年12月)<br />http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10297306/<br /><br />国立劇場・大劇場(半蔵門)<br />「歌舞伎の西遊記を観に行こう!───国立劇場の大劇場は日本画の宝庫@」(2009年6月)<br />http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10349807/<br /><br />マッスルシアター(渋谷)<br />「残暑厳しい9月の連休にマッスルミュージカルを見に行きました@」(2009年9月)<br />http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10378257/<br /><br />劇団四季・海劇場(大井町)<br />「ちょっとだけクリスマス・イルミネーションの汐留の四季劇場「海」でミュージカル「アイーダ」を鑑賞」(2009年11月)<br />http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10401655/<br /><br />新ビッグトップ(原宿)<br />「一度は当日公演中止の憂き目にあったシルク・ド・ソレイユの「コルテオ」リベンジ!」(2009年12月)<br />http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10405973/<br /><br />新国立劇場(初台)<br />「新国立劇場の3階客席からオペラ「カルメン」を鑑賞」(2010年6月)<br />http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10469761/<br />

真夏の夜の紀尾井ホールで女だけのオペラ「末摘花」を観劇

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2010/07/30 - 2010/07/30

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まみ

まみさん

日本のオペラを見てみたいと思っていました。
そんなとき、観劇のたびにたくさんもらうチラシの中から、面白そうなものを見つけました。
源氏物語の末摘花を主人公にした女だけのオペラ「末摘花」です。
その会場の紀尾井ホールは初めてです。
上品なホテルのような中規模のホールでした。
そして舞台はオーケストラピットのなく、むしろコンサートホールでしたが、こじんまりしていてかえって良い雰囲気だったです。
源氏物語の中でもまれにみる醜女の末摘花は、その心根の優しさと、おっとりした貴族の娘であまりに哀れな境遇から、須磨から戻ってきた源氏にひきとられますが、このオペラは、あてもなく源氏物語の再度の訪れを待ちこがれる末摘花と末摘花の周囲の女性たちの物語です。

「高校演劇として評判の高い榊原政常原作戯曲「しんしゃく源氏物語」に基づき、今や気鋭の作曲家として注目を集めている寺嶋陸也が精魂込めて仕上げた珠玉のオペラ。NHK出身でニュー・オペラ・プロダクション代表の杉プロデューサーが「死神(デス・ゴッデス)」「鳴神」「耳なし芳一」に続いて世に送り出した喜劇オペラ。忠義一徹の乳母や成金の叔母、現代娘さながらの女官達がイケメン光源氏を待ち侘びて繰り広げる笑いあり、涙ありの物語。現代に通じる人情の機微をつき、滑稽の中にも、しみじみとした「あはれ」の余韻を残す。」
チラシの解説より

紀尾井ホール公式サイト
http://www.kioi-hall.or.jp/

<これまでの劇場シリーズの旅行記>
東京宝塚劇場(有楽町)
「手にしたばかりのオモチャに夢中:デジカメ持って宝塚劇場へ(その1)」(2006年3月)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10059201/
「手にしたばかりのオモチャに夢中:デジカメ持って宝塚劇場へ(その2)」(2006年4月)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10062015/

東京文化会館(上野)
「何十回と訪れて、初めてまともに歩いた上野公園その3:もろもろ&最近の上野での過ごし方」(2006年5月)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10065823/

新国立劇場(初台)
「今宵は初台の新国立劇場へ」(2007年3月)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10130385/

新橋演舞場(東銀座)
「今宵は東銀座の新橋演舞場へ」(2007年3月)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10131883/

国立劇場・小劇場(半蔵門)
「国立劇場で文楽を見たよ@」(2007年5月)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10150477/

帝国劇場(有楽町)
「帝国劇場でミュージカルを見よう」(2007年12月)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10206152/

東京国際フォーラム(有楽町)
「国際フォーラムでもバレエを見るよ」(2007年12月)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10206978/

東京芸術劇場(池袋)
「池袋の東京芸術劇場、ミュージカル観劇の日は雪でした」(2008年1月)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10216358/

劇団四季・自由劇場(浜松)
「劇団四季・自由劇場ときれいになった浜松町駅界隈」(2008年3月)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10228045/

新国立劇場(初台)
「クリスマス色の新国立劇場でバレエ「シンデレラ」を鑑賞」(2008年12月)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10296524/

赤坂ACTシアターと赤坂サカス(赤坂)
「イルミネーションの赤坂サカスでバレエ「くるみ割り人形」を鑑賞」(2008年12月)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10297306/

国立劇場・大劇場(半蔵門)
「歌舞伎の西遊記を観に行こう!───国立劇場の大劇場は日本画の宝庫@」(2009年6月)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10349807/

マッスルシアター(渋谷)
「残暑厳しい9月の連休にマッスルミュージカルを見に行きました@」(2009年9月)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10378257/

劇団四季・海劇場(大井町)
「ちょっとだけクリスマス・イルミネーションの汐留の四季劇場「海」でミュージカル「アイーダ」を鑑賞」(2009年11月)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10401655/

新ビッグトップ(原宿)
「一度は当日公演中止の憂き目にあったシルク・ド・ソレイユの「コルテオ」リベンジ!」(2009年12月)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10405973/

新国立劇場(初台)
「新国立劇場の3階客席からオペラ「カルメン」を鑑賞」(2010年6月)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10469761/

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  • 紀尾井坂を上りまーす!

    紀尾井坂を上りまーす!

  • あの木の柵が気になる@

    あの木の柵が気になる@

  • ホテル・ニューオータニーが見えてきたら、もうすぐ!

    ホテル・ニューオータニーが見えてきたら、もうすぐ!

  • 紀尾井ホール入口

    紀尾井ホール入口

  • 終演予定をチェック!<br /><br />でも休憩時間は書かれてありませんでした。<br />全2幕でした。<br />1幕目のラストは源氏が須磨から都に戻ってきた噂が末摘花のもとに届いて、末摘花をはじめとするみんなが明るい将来に期待を寄せるところまで。<br />そして2幕目のはじめは、あれから半年以上も源氏の音沙汰がなく、みんな一度期待しただけに、ますますみじめな気分になっているところからでした。<br />

    終演予定をチェック!

    でも休憩時間は書かれてありませんでした。
    全2幕でした。
    1幕目のラストは源氏が須磨から都に戻ってきた噂が末摘花のもとに届いて、末摘花をはじめとするみんなが明るい将来に期待を寄せるところまで。
    そして2幕目のはじめは、あれから半年以上も源氏の音沙汰がなく、みんな一度期待しただけに、ますますみじめな気分になっているところからでした。

  • ロビーに入ってすぐ<br /><br />あのシャンデリア、すてき!<br />

    ロビーに入ってすぐ

    あのシャンデリア、すてき!

  • シャンデリアを見上げて

    シャンデリアを見上げて

  • クロークに荷物を預けます@<br /><br />花と一緒に撮ったせいか、雰囲気がクロークというよりホテルのレセプションみたい!?<br />

    クロークに荷物を預けます@

    花と一緒に撮ったせいか、雰囲気がクロークというよりホテルのレセプションみたい!?

  • ロビーのささやかなにぎわい<br /><br />グッズやCDが売られていました。<br />

    ロビーのささやかなにぎわい

    グッズやCDが売られていました。

  • ロビーの陶製人形・その1<br /><br />風の妖精たち?<br />

    ロビーの陶製人形・その1

    風の妖精たち?

  • ロビーの陶製人形・その2<br /><br />お嬢様と犬のお散歩。<br />照明と上から目線のせいで豊かな胸が強調されています、ムフッ@<br />

    ロビーの陶製人形・その2

    お嬢様と犬のお散歩。
    照明と上から目線のせいで豊かな胸が強調されています、ムフッ@

  • ロビーの陶製人形・その3<br /><br />避暑地の令嬢?<br />

    ロビーの陶製人形・その3

    避暑地の令嬢?

  • 1階客席への扉はロビーの奥を左に曲がったところ

    1階客席への扉はロビーの奥を左に曲がったところ

  • ビミューにかわいい電話と……

    ビミューにかわいい電話と……

  • 「夢みる街の新・モノ語り」<br /><br />可愛い登場人物はアルキメテツ男爵(左)とソクラテツ(右)です。<br />街づくりのためのソクラ製鉄なる製鉄所の設立と発展の物語でした。<br />月刊「文藝春秋」の広告や広報誌「ニッポン・スチール・マンスリー」の特集記事を絵本にしたものだそうです。<br />

    「夢みる街の新・モノ語り」

    可愛い登場人物はアルキメテツ男爵(左)とソクラテツ(右)です。
    街づくりのためのソクラ製鉄なる製鉄所の設立と発展の物語でした。
    月刊「文藝春秋」の広告や広報誌「ニッポン・スチール・マンスリー」の特集記事を絵本にしたものだそうです。

  • 面白そうな公演チラシがあるかな

    面白そうな公演チラシがあるかな

  • いまやデザイン価値のありそうな昔のポスターの展示

    いまやデザイン価値のありそうな昔のポスターの展示

  • 「耳なし芳一」1993年の初演のときのポスター<br /><br />面白そうです。みてみたいなぁ。再演しないかなぁ@<br />

    「耳なし芳一」1993年の初演のときのポスター

    面白そうです。みてみたいなぁ。再演しないかなぁ@

  • そろそろ開演時間なので席につきまーす!<br /><br />ホールは意外、もろにコンサートホールでした。<br />でも、こぢんまりとしたホールはアットホームな雰囲気があり、おちぶれた貴族のぼろ屋敷が舞台で、おっとりと浮世離れした末摘花が主人公の本作品の雰囲気に合っていました。<br />オーケストラピットがないので舞台の下、1列目の客席と同じレベルのところに、ピアノ、ハープシコード、バイオリン、フルートなどを含めた7〜8人の管弦楽団。<br />指揮者は作曲家本人。<br />西欧楽器を前に平安の舞台。このギャップもなかなか面白かったです。<br />

    そろそろ開演時間なので席につきまーす!

    ホールは意外、もろにコンサートホールでした。
    でも、こぢんまりとしたホールはアットホームな雰囲気があり、おちぶれた貴族のぼろ屋敷が舞台で、おっとりと浮世離れした末摘花が主人公の本作品の雰囲気に合っていました。
    オーケストラピットがないので舞台の下、1列目の客席と同じレベルのところに、ピアノ、ハープシコード、バイオリン、フルートなどを含めた7〜8人の管弦楽団。
    指揮者は作曲家本人。
    西欧楽器を前に平安の舞台。このギャップもなかなか面白かったです。

  • 休憩時間はトイレへまっしぐら!<br /><br />女性トイレはすぐに行列ができますから、20分の休憩時間で先にトイレをすませないと、間に合わなくなります。<br />写真はトイレの行列に並んでいるときに撮った、廊下の照明@<br />

    休憩時間はトイレへまっしぐら!

    女性トイレはすぐに行列ができますから、20分の休憩時間で先にトイレをすませないと、間に合わなくなります。
    写真はトイレの行列に並んでいるときに撮った、廊下の照明@

  • あらステキな譜面台!

    あらステキな譜面台!

  • おやっ、2階にカフェ・カウンターあり?<br /><br />これは探索しに行かねば!<br />

    おやっ、2階にカフェ・カウンターあり?

    これは探索しに行かねば!

  • 2階へ上る階段から1階ロビーを見下ろす

    2階へ上る階段から1階ロビーを見下ろす

  • 劇場のバーというより、やっぱりホテルのバー・カウンターみたい@

    劇場のバーというより、やっぱりホテルのバー・カウンターみたい@

  • カフェのテーブル<br /><br />もうすぐ第2幕が開演ということで、ひとけがさっとなくなった瞬間を狙って撮りました。<br />

    カフェのテーブル

    もうすぐ第2幕が開演ということで、ひとけがさっとなくなった瞬間を狙って撮りました。

  • 公演チラシ<br /><br />キャストは全員がダブルキャストでした。<br /><br /><7月30日のキャスト><br />末摘花:天羽明恵<br />その叔母(大阪弁を話すお笑いムードメーカー):牧野真由美<br />乳母の少将(いつでも末摘花の味方):青木美稚子<br />侍従(乳母の娘で、自分に合った堅実な生き方をめざす娘):砂田恵美<br />宰相(後ろ盾もなく落ちぶれた末摘花の屋敷をきりもりする一方でちゃっかりした女性):河野めぐみ<br />右近(ほとんどいなくなった奥女中の1人で、こんな屋敷にいては将来がないと嘆く):品田昭子<br />左近(同上):今仲敬子<br /><br /><感想><br />日本語のオペラを見るのは初めてです。<br />日本語で歌うので当然、字幕がないのが最初ちょっとだけ違和感がありました(苦笑)。<br />歌だからたまに歌詞が聞き取りづらいところがあり、つい字幕を探したくなりました。<br />でも、さすがに日本語なので、多少聞き取りづらいところがあっても内容が分からないというほどではなかったです。<br /><br />女だけのオペラなので、当然、源氏が末摘花を迎えに来る(実際には源氏の使者が来る)直前、みんなが使者を迎えようとしているところで幕が下ります。<br />なので、最後のカーテンコールで女性の歌手たちの中に男性の指揮者の寺嶋さんも一緒に舞台に上がったとき、まるで寺嶋さんが源氏の使者で、女性たちに大歓迎されているように美恵まいた。<br />寺嶋さんが照れくさそうに笑っているのが、微笑ましくて妙におかしかったです。<br /><br />舞台の幕が下りたときに、あれっ、オペラなのにアリアがあったかしら?───と一瞬思いました。<br />いや、思い返せば、あれがアリアだなと思える、切々とした心情を訴える歌が何ヶ所もありました。<br />でも私自身はそれがアリアと意識しなかったくらい、アリアが流れの中に自然に溶け込んでいた気がします。<br />逆に言うと、それまでの西欧のオペラでは、さぁ、アリアですよー! えりを正して聞きましょう!───というかんじで構えた印象を受けたことが多かったのかもしれません?<br /><br />そんなアリアの中でも特に印象的だったのは、身分はずっと低いけど羽振りのよい叔母に、家を売り払ってうちに来て、娘の教育相手でもしないか、と言われた末摘花が、叔母の前では「はぁ」ととぼけていたけれど、叔母が帰ったあと号泣して、乳母に悔しさを訴えるところでした。<br />末摘花は、良く言えば浮世離れしている貴族のお姫さまですが、気がきかず、身分の高い姫君にしては垢抜けず、ドンくさい田舎娘も同然です。<br />確か原作でも、源氏が彼女にがっかりしたのは、びっくりするほど醜女だったのもあると思いますが、そういう気の利かないところも含めてだったように思います。<br />相当な醜女であっても、立ち居振る舞いや会話、身だしなみや、明かりの少ない当時の屋敷でなら部屋の雰囲気などの演出で、魅力的な女性に化ける方法はいくらでもあったでしょうから。<br />そして、あのように奥ゆかしく清らかな心が持てるのも、浮世離れしていて感性が鈍く、自分が醜女だと分かっているからこそ、と思わなくもないです。<br />そんな彼女も、この作品では、ちゃんと悔しさも覚えて泣き叫ぶ人間らしいところを見せたのが、胸をつかれる思いがしました。<br />誰だって、馬鹿にされれば悔しくて泣きもしましょう。そんなあたりまえのことなのに。<br /><br />この作品は、観る前は、チラシの解説から、笑いあり涙ありのドタバタ・オペラと思っていました。<br />でも、末摘花があまりに哀れで、それほど笑えるオペラではありませんでした。<br />笑いのネタは、最後に源氏の使者がやってくるところまでは、末摘花を馬鹿にすることでしたから。<br />ドタバタということはなかったですね。これは私の勘違いでした。「笑いあり涙あり」のフレーズの後だから当然そうつながると思い込んでしまって@<br />乳母の娘の侍従が、末摘花を見捨てるというのでなく、自分の身の丈に合った生き方を求めて、末摘花の叔母に仕えることを決めて地方に下る決心をしたところなどで「おーせーわーにーなーりーまーしーたー」という末摘花とのあいさつ場面まで、いちいち丁寧に歌っていたりして、オペラ自体も全体におっとり雰囲気がありました。<br /><br />人物論を語ったらオペラの感想でなく源氏物語論になってしまいますが。<br />それでも、末摘花の周りの女性たちのうち、特に宰相と侍従の対照的な2人は印象的でした。<br />報いのない仕えについにしびれを切らして毒舌を吐いて屋敷を飛び出し、その直後に待ちかねていた源氏の使者が来たと知ったら、ころっと態度を変えて戻ってきた宰相。<br />他方、今後は末摘花は源氏の後ろ盾が期待できて、仕える主人の格が上がってある意味それが出世であり、不遇な日々がこれから報われるというのに、自分の決めたことを翻すことなく、やはり地方に下るという侍従。<br />宰相の変わらぬ決意と、自分に合った道を行きたいと歌うのを聞いたときには、ジーンときてしまいました。<br />一方、末摘花は、自分にさんざん悪態をつきながら、ころっと態度を一変させて戻ってきた宰相を、あっさりと許します。<br />なんてお人好しなんだろうなぁ、私なら末摘花の乳母と同じく、いまさら許せっこない!と思ったに違いありません。<br />でも考えてみたら、たとえ彼女の忠誠が心の底からのものではなく、源氏の君が見たいという下心があったとはいえ、それだけのことで宰相が10年以上も落ちぶれる一方の末摘花に仕えて、屋敷をきりもりできるはずがありません。職務への責任感というのがあったはずです。<br />そんな彼女が一度ぶち切れたからといって、そういうそれまでの功労をすべて否定するのはあまりに狭量でした。<br />末摘花がおっとりとしたお姫様だからというのもあると思いますが、宰相なんて追い返しちゃえ!と思った自分が恥ずかしくなりました。<br />

    公演チラシ

    キャストは全員がダブルキャストでした。

    <7月30日のキャスト>
    末摘花:天羽明恵
    その叔母(大阪弁を話すお笑いムードメーカー):牧野真由美
    乳母の少将(いつでも末摘花の味方):青木美稚子
    侍従(乳母の娘で、自分に合った堅実な生き方をめざす娘):砂田恵美
    宰相(後ろ盾もなく落ちぶれた末摘花の屋敷をきりもりする一方でちゃっかりした女性):河野めぐみ
    右近(ほとんどいなくなった奥女中の1人で、こんな屋敷にいては将来がないと嘆く):品田昭子
    左近(同上):今仲敬子

    <感想>
    日本語のオペラを見るのは初めてです。
    日本語で歌うので当然、字幕がないのが最初ちょっとだけ違和感がありました(苦笑)。
    歌だからたまに歌詞が聞き取りづらいところがあり、つい字幕を探したくなりました。
    でも、さすがに日本語なので、多少聞き取りづらいところがあっても内容が分からないというほどではなかったです。

    女だけのオペラなので、当然、源氏が末摘花を迎えに来る(実際には源氏の使者が来る)直前、みんなが使者を迎えようとしているところで幕が下ります。
    なので、最後のカーテンコールで女性の歌手たちの中に男性の指揮者の寺嶋さんも一緒に舞台に上がったとき、まるで寺嶋さんが源氏の使者で、女性たちに大歓迎されているように美恵まいた。
    寺嶋さんが照れくさそうに笑っているのが、微笑ましくて妙におかしかったです。

    舞台の幕が下りたときに、あれっ、オペラなのにアリアがあったかしら?───と一瞬思いました。
    いや、思い返せば、あれがアリアだなと思える、切々とした心情を訴える歌が何ヶ所もありました。
    でも私自身はそれがアリアと意識しなかったくらい、アリアが流れの中に自然に溶け込んでいた気がします。
    逆に言うと、それまでの西欧のオペラでは、さぁ、アリアですよー! えりを正して聞きましょう!───というかんじで構えた印象を受けたことが多かったのかもしれません?

    そんなアリアの中でも特に印象的だったのは、身分はずっと低いけど羽振りのよい叔母に、家を売り払ってうちに来て、娘の教育相手でもしないか、と言われた末摘花が、叔母の前では「はぁ」ととぼけていたけれど、叔母が帰ったあと号泣して、乳母に悔しさを訴えるところでした。
    末摘花は、良く言えば浮世離れしている貴族のお姫さまですが、気がきかず、身分の高い姫君にしては垢抜けず、ドンくさい田舎娘も同然です。
    確か原作でも、源氏が彼女にがっかりしたのは、びっくりするほど醜女だったのもあると思いますが、そういう気の利かないところも含めてだったように思います。
    相当な醜女であっても、立ち居振る舞いや会話、身だしなみや、明かりの少ない当時の屋敷でなら部屋の雰囲気などの演出で、魅力的な女性に化ける方法はいくらでもあったでしょうから。
    そして、あのように奥ゆかしく清らかな心が持てるのも、浮世離れしていて感性が鈍く、自分が醜女だと分かっているからこそ、と思わなくもないです。
    そんな彼女も、この作品では、ちゃんと悔しさも覚えて泣き叫ぶ人間らしいところを見せたのが、胸をつかれる思いがしました。
    誰だって、馬鹿にされれば悔しくて泣きもしましょう。そんなあたりまえのことなのに。

    この作品は、観る前は、チラシの解説から、笑いあり涙ありのドタバタ・オペラと思っていました。
    でも、末摘花があまりに哀れで、それほど笑えるオペラではありませんでした。
    笑いのネタは、最後に源氏の使者がやってくるところまでは、末摘花を馬鹿にすることでしたから。
    ドタバタということはなかったですね。これは私の勘違いでした。「笑いあり涙あり」のフレーズの後だから当然そうつながると思い込んでしまって@
    乳母の娘の侍従が、末摘花を見捨てるというのでなく、自分の身の丈に合った生き方を求めて、末摘花の叔母に仕えることを決めて地方に下る決心をしたところなどで「おーせーわーにーなーりーまーしーたー」という末摘花とのあいさつ場面まで、いちいち丁寧に歌っていたりして、オペラ自体も全体におっとり雰囲気がありました。

    人物論を語ったらオペラの感想でなく源氏物語論になってしまいますが。
    それでも、末摘花の周りの女性たちのうち、特に宰相と侍従の対照的な2人は印象的でした。
    報いのない仕えについにしびれを切らして毒舌を吐いて屋敷を飛び出し、その直後に待ちかねていた源氏の使者が来たと知ったら、ころっと態度を変えて戻ってきた宰相。
    他方、今後は末摘花は源氏の後ろ盾が期待できて、仕える主人の格が上がってある意味それが出世であり、不遇な日々がこれから報われるというのに、自分の決めたことを翻すことなく、やはり地方に下るという侍従。
    宰相の変わらぬ決意と、自分に合った道を行きたいと歌うのを聞いたときには、ジーンときてしまいました。
    一方、末摘花は、自分にさんざん悪態をつきながら、ころっと態度を一変させて戻ってきた宰相を、あっさりと許します。
    なんてお人好しなんだろうなぁ、私なら末摘花の乳母と同じく、いまさら許せっこない!と思ったに違いありません。
    でも考えてみたら、たとえ彼女の忠誠が心の底からのものではなく、源氏の君が見たいという下心があったとはいえ、それだけのことで宰相が10年以上も落ちぶれる一方の末摘花に仕えて、屋敷をきりもりできるはずがありません。職務への責任感というのがあったはずです。
    そんな彼女が一度ぶち切れたからといって、そういうそれまでの功労をすべて否定するのはあまりに狭量でした。
    末摘花がおっとりとしたお姫様だからというのもあると思いますが、宰相なんて追い返しちゃえ!と思った自分が恥ずかしくなりました。

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