箱根の至福　姥子温泉秀明館

2012/04/01 - 2012/04/01

今春中学に上がる我が小僧が春休みに家内の実家にお世話になる間、夫婦で日帰り旅行に出掛けた。
またもやの感があるが箱根である。
然るに今回の目的地は日頃良く訪れる箱根湯本ではない。
箱根屈指の泉質と名高い姥子温泉秀明館。
勿論初めての訪問。

歴史ある建物に神々しささえ感じる風呂場。
箱根にしては珍しい酸性泉で、無色透明･無臭で湯当たりは優しいが、纏わり付くような重さを感じる濃厚な湯。
個室を4時間借りて何度も浸かりに行ったが、日曜日だと言うのに毎回出逢う人は1名以下と、神々しさ漂う風呂場で静寂の中ゆったりした贅沢な時を過ごす事が出来た。

エリア 仙石原(神奈川)

• 同行者: カップル・夫婦
• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: 自家用車
• 旅行の手配内容: 個別手配

横浜の自宅を出発し、箱根湯本までは順調なドライブだったが、その先が大渋滞。
宮の下交差点の渋滞も酷かったが、一番酷かったのが大涌谷の駐車場渋滞。約1km進むのに1時間以上を要した。

この渋滞のお陰で、姥子温泉に午前11時頃に到着する予定が午後1時頃の到着となった。

しかし怪我の功名か、結局は到着が遅れた事で贅沢な時を過ごす事ができたのである。

上の写真の看板から秀明館側を撮ったもの。

この先にあるのは杜か、はたまた廃寺か。
何も知らなければ先に進もうとは思うまい。

一番奥に駐車場がある。
満車状態だった。

姥子温泉秀明館 玄関

大正時代に建造された総木造の温泉旅館。
これを箱根湯本にある天山が買い取り、内装に手を加えて日帰り温泉施設として経営している。

姥子温泉 温泉

■営業時間
　10:00〜17:00(18:00閉館)(4/1〜11/30)
　10:00〜16:00(17:00閉館)(12/1〜3/31)
　　※入館後 最大4時間利用可

■入館料金
　2,300円/人 ･･･ 一間の部屋を4時間貸切
　3,000円/人 ･･･ 二間の部屋を4時間貸切
　　※手拭、バスタオル、浴衣を含む
　(実際は4,000円/人の部屋もあるらしい)

■掟
　・3歳以下の乳幼児、おむつの取れていない子供は不可
　・石鹸･シャンプーの利用は不可
　　(家族風呂(1,000円/人の追加必要)では使用可能)

1人で1部屋借りても2,300円/人、3人1部屋でも2,300円/人。
料金体系に疑問を感じるが、大人数で立ち寄るような処ではないので、これで良いのかもしれない。

受付に行くと、2人用の個室が満室なので午後2時頃に再訪する事を勧められた。
そう言う事で、先ずは近くの蕎麦屋に伺う事にした。

秀明館から車で数分の場所にある蕎麦屋『竹やぶ』を訪れた。

因みにカロッツェリアのカーナビで検索したら全く違う場所に案内されたので注意されたい。

味わい深い暖簾を潜る

階段を上って行くとまた門があった

テラス席が1席空いていたので、そこに陣取った。

天窓から青空が覗える。

手洗いに行く途中にこんなギャラリーがあった。
ご主人の手造りなのだと思う。

私は蕎麦と言えば盛り蕎麦派。

この店は殻ごと挽いた田舎蕎麦と普通の蕎麦を選択できる。
田舎蕎麦を選択。

細目の十割蕎麦は短くぶつぶつ切れている。
ボソッとした食感は正に自分好み。

汁が少な過ぎるように感じたが、蕎麦自体を楽しんで欲しいと言う事だろうと好意的に解釈する事にした。

家内注文のおろし蕎麦。

辛味大根がかなり辛かったらしい。

蕎麦は確かに旨かった。
だが、量が余りに少な過ぎ。

蕎麦替え(汁なし蕎麦と言う名前だったかな)を注文。

これも田舎蕎麦と普通の蕎麦を選択できる。
田舎蕎麦を注文しようとしたが、私の盛り蕎麦が最後の麺だったそうなので、普通の蕎麦にした。

なかなか美味しい蕎麦だった。
蕎麦替え含め二人で三千円ちょっと。
ちょっとお高い印象はあるが、観光の一環としてはお勧めし易いお店である。

会計を終えて、店舗の周りに造られた散策路を歩いてみた。

小川沿いに短い散策路が設けてある。
店のご主人の趣味のようだ。

二笑亭と称す休憩所まで造ってあった。

散策路の終点は店舗テラス席の外側。

椅子とテーブルがしつらえてある。
残念ながら現在店舗の改装中で、無粋な足場がそこここに見える。

散策路には至る所にご主人の趣味であろうオブジェが飾られている。

写真は手摺りだが、そもそもの機能は発揮出来そうもない。

さて、午後2時前になった。
そろそろ秀明館に戻るとしよう。

姥子温泉秀明館に戻ってきた。
ロープウェイ姥子駅がすぐ近くなので、ゴンドラが近い。

時刻は丁度午後2時。
1時間前までは満車状態だった駐車場から最後の1台が出るところだった。
たった1時間でえらく違うものだ。

男性1名が酷く怒って出ていらした。
｢ぬるい！今日は全然出てない。やめた方が良いですよ。｣
ちょっと不安に思いつつ、だがそうは言っても折角だからと入館した。

玄関の様子

左が下駄箱、右が受付。

受付には誰も居ない。
｢大きな声で呼んで下さい｣と書かれているのでその通りにしてでみたが、全くの無反応。
暫く待ったが誰も現れないので、上がり込んで係の方を探して周った。
奥の方で個室の片付けをされているのを見付けて、受付をお願いした。

広い施設だが、2,3人で運営されているようだ。

部屋に案内された。
これが1名当たり2,300円の部屋。
古めかしいが清掃状態はまずまず良い。

料金には以下のものが含まれる。
・個室の4時間使用料
・温泉などの施設使用料
・ハンドタオル、バスタオル、浴衣のレンタル料
・お茶

弁当などの持込はOKとの事。


どうやら秀明館に訪れる通の方々は、新鮮な湯を求めるからか開館時刻頃に来られる方が多いようだ。
この施設の特徴は個室の4時間利用なので、午後2時〜2時半に入替が起きる。
係の方が｢午後2時過ぎに戻って来て下さい｣と仰っていたのはこの事である。

で、私達は入替後の後半組なのだが、後半組は私達夫婦を含め恐らく3組だけだったと思う。
日曜だと言うのに館内は非常に静かで、4時間で人に会ったのは家内と職員を除くと延べ5人くらいだった。
付け加えておくと、午後4時以降は館内では家内と職員以外とは誰とも会っていない。

実は午後2時頃が狙い目なのかもしれない。

廊下

一番奥に風呂場がある。
風呂場の手前は滑り易くなっているのでご注意を。


因みに、滞在中この廊下で人を見たのは一度切りだった。

共同の休憩処

午後3時以降の入館の場合は、個室を使わない利用も可能。
この場合は1,800円/人

マッサージチェアがおかれているが、左側は故障中。
右側はフット部が動かない。

因みに自分以外でここに立ち寄る人は一人も見掛けなかった。

休憩処にはテーブル席もある

休憩処にある飲み物の自販機。
ビールは割高だが、その他は意外と普通の価格。

自炊場の跡

左側のかまどは機能していない。
ただのお飾り。

これが姥子温泉秀明館の風呂場。

人の居る場で公共の風呂場は撮影しないが、余りに素晴らしく、無人の時間に失礼して撮影させて頂いた。

過去訪れた温泉の風呂場で比肩するものを探すのが困難な程に素晴らしい。
神々しささえ漂う。

4時間で数回浸かりに行ったが、初回、2回目で延べ3名に出逢ったのみ。
3回目以降は毎回自分一人だけだった。

手前に二つの湯舟。
岩盤から自然湧出した酸性泉が奥の湯溜りから溢れ、手前の湯舟にフローする。
奥の湯溜りに入る事は禁じられているが、眼病に効く湯だそうで、湯溜りに顔を浸けて目を洗う事は許されている。

同じ箱根でも塔ノ沢や湯本とは対極の酸性泉。
口に含むと、草津のように強烈ではないが明確な酸味を感じる。
それでいて肌当たりは実に円やか。
無色透明で無臭だが、浸かって擦り湯すると身体に纏わり付くような重さを感じる極上の湯だ。

神々しささえ漂う空間。
一人静かに湯に浸かる事のできる環境。
極上の泉質。
湯の湧く音すら聴こえてきそうな静寂の中、まったりと流れる時間の何と贅沢な事か。

ただ残念な事に、この日は湧出量が少なく湯舟側に注がれる湯量が僅かだった。その為、湯舟の湯温は42℃弱。
｢ぬるい！｣とお怒りの先客の気持も理解できる。

姥子温泉は、金太郎説話で名高い坂田金時が枯れ枝で目を傷めた際、母親である山姥が金時の目をこの湯で洗い完治させた事からその名が付いたとされている。

姥子温泉秀明館の裏には、坂田金時の母を祭った山姥堂と、山姥にお告げを授けた箱根権現の社、薬師堂が建っている。

参道を通り、伺いに行った。

姥子温泉 温泉

山姥堂

鐘を撞く事ができる。
小さい鐘ながら、なかなかどうして堂々と鳴る。

薬師堂

奥に薬師さんがおいでだ

坂田金時の母なる山姥がお告げを授かったと言う箱根権現(現箱根神社)の社

箱根神社 寺・神社・教会

近くには手洗い場が設けてあり、湧き水が注がれていた。

一旦秀明館に戻り、裏山に続く小道のような場所を見付けた。
自然探勝歩道と言うらしい。

山の上に向って歩くと大涌谷まで行き着けるらしい。

上ってみた。

大涌谷 自然・景勝地

途中このような場所を発見した。

弘法の硯石

ただ悲しいかな、予備知識も無く来てしまったので、どれが硯石なのか良く分からなかった。

小川の方に降りてみた。
山側を撮影するとこんな感じ。
大涌谷由来と容易に知れる水の色。

硯石から更に100m程上って見たが、秀明館で借りたサンダルを履いての行脚に限界を感じUターン。

大涌谷 自然・景勝地

秀明館に戻ってきた。

閉館まで残り1時間半。
多少長湯をしても、少なくともあと2回は極上の湯を静かに楽しむ事ができる。

午後5時を過ぎる頃には、館内には利用客はおろか職員の気配さえ感じなくなった。

再び無人を良い事に、静寂が包む風呂場を撮影した。

夕刻、風呂場には裸電球が灯り雰囲気が変わる。
しかしこの風呂場で変わったのは雰囲気だけではない。
湯舟からフローする湯量が明らかに増えている。
この風呂は岩盤から自然湧出する源泉を掛け流しているので、湯量は岩の気分次第。
昼過ぎは掛け流しを疑う程に少ない湧出量だったが、ここに来てそれこそ音が聴こえてきそうな程に湧き出した。

自然と湯舟の湯温も高くなる。
昼過ぎは42℃弱だったが、午後5時以降は43℃前後。
個人的には長湯が利く一方で湯に浸かった満足感の得られる絶妙な温度。

閉館までの1時間、極上の湯に浸りながら一人きりで至福の時を過ごさせて頂いた。

午後6時、閉館の刻。姥子温泉秀明館を後にした。
至福の4時間だった。

この後、小田原で『あじわい回転寿司 禅』に立ち寄り、旨い寿司と鮪のテールステーキを頂き、胃袋も満たされてから帰路に着いた。

この旅行記へのコメント （4）

• わんぱく大将さん 2012/04/06 23:59:30

  ”ぬるい　！”

  TaxNaxさん
  
  前のインターネットの会社とは、すったもんだがあって。ここはやくざの会社が多すぎます。　で、新しいとところは１５日程かかって繋がり。イースター前でよかった。
  
  そう、”ぬるい”と怒って出てきた人、海外には住めませんわ。こっちの人なら”なら、来るな”と言いそうですね。　とにかく、自分が太陽と思ってる人が多いので、同じ会社でなのに、私は、部署が違うから、で済ませてしまいます。　切れまくって、血圧挙げるほうが損です。
  
  　大将

  TaxNaXさん からの返信 2012/04/07 14:57:12

  RE: ”ぬるい　！”

  大将さん
  
  書き込み有難うございます。
  
  > 前のインターネットの会社とは、すったもんだがあって。
  > ここはやくざの会社が多すぎます。
  > で、新しいとところは１５日程かかって繋がり。
  > イースター前でよかった。
  
  日本じゃありえないスピード感ですね。
  これじゃあ日本では間違いなく潰れます。
  日本の消費者は売り手に求めるものが高いですから。
  ネット通販の販売店評価で『注文翌日に届かなかったから対応が遅い』と書き込んでる人がいる程です。(求め過ぎだろう、と言いたい)
  
  > 同じ会社でなのに、私は、部署が違うから、で済ませてしまいます。
  
  まあ日本では傾向的にはそうではないですが、個人は居ますよ。
  後輩の同僚ですが･･･。
  同じ課の別の同僚への電話にそういう対応をしていたので、切った後に注意したんですが理解できないみたいでした。
  ｢それは僕の仕事ですか？｣と返され･･･。
  青色を見た事がない人に空の色を説明しているようなものです。
  悟りました。

  わんぱく大将さん からの返信 2012/04/08 08:05:39

  RE: RE: ”ぬるい　！”

  > 大将さん
  >
  > 書き込み有難うございます。
  >
  > > 前のインターネットの会社とは、すったもんだがあって。
  > > ここはやくざの会社が多すぎます。
  > > で、新しいとところは１５日程かかって繋がり。
  > > イースター前でよかった。
  >
  > 日本じゃありえないスピード感ですね。
  > これじゃあ日本では間違いなく潰れます。
  > 日本の消費者は売り手に求めるものが高いですから。
  > ネット通販の販売店評価で『注文翌日に届かなかったから対応が遅い』と書き込んでる人がいる程です。(求め過ぎだろう、と言いたい)
  >
  > > 同じ会社でなのに、私は、部署が違うから、で済ませてしまいます。
  >
  > まあ日本では傾向的にはそうではないですが、個人は居ますよ。
  > 後輩の同僚ですが･･･。
  > 同じ課の別の同僚への電話にそういう対応をしていたので、切った後に注意したんですが理解できないみたいでした。
  > ｢それは僕の仕事ですか？｣と返され･･･。
  > 青色を見た事がない人に空の色を説明しているようなものです。
  > 悟りました。
  
  TaxNaxさん
  
  そう言われたら、ロンドンで働いていた時に、そういった日本人のボクがいましたね。　私が“そういう時は、礼を口にだして言う方がいい”というと
  ”でも、それはあっちの仕事でしょう”と。そりゃ、仕事ですが、ねぎらいというのもあるし、今後のことを考えると。それを彼は考えていない。
  よいしょ、しろではなんですよ。　礼を言われて、イギリス人だって、嫌な気はしないでしょ。　いい方は悪いですが、頭を使って、相手にも仕事させないと。　そのぼくちゃん、いまだに同じ会社にいて、自身のこと、自分でエリートと思ってるようで。　海外赴任のエリートだそうです。
  そんな会社、とっとと辞めてやりました。　その後、買収されたようで。
  
  　大将

  TaxNaXさん からの返信 2012/04/08 11:04:55

  RE: ”ぬるい　！”

  大将さん
  
  > そんな会社、とっとと辞めてやりました。
  それはそれで凄い行動力ですね。
  畏れ入ります。
  
  
  > 今後のことを考えると。それを彼は考えていない。
  > よいしょ、しろではなんですよ。
  > 礼を言われて、イギリス人だって、嫌な気はしないでしょ。　
  > いい方は悪いですが、頭を使って、相手にも仕事させないと。
  
  大将さんとは職種が違うみたいですが、私の処の問題児君も似た感じです。
  私を含む周囲が彼に対して苦慮しているのは想像力の無さ。
  自分がこう言ったら或いはこうしたら、相手はどう思うだろう。その先に次から相手はどうするだろう。が想像できないんですね。
  
  将棋やチェスで言えば、一手先までしか読めない人。
  飛車が欲しいと思ったら飛車を取ってしまい、自分を窮地に追い込むタイプです。
  こういう人って、想像力は能力の一部である事に気付かないんですね。
  それが想像できないから･･･。
  
  依頼内容が完遂されたら｢私の意図を汲み取って頂いた内容になっており、要求以上の出来栄えでした。有難うございます。｣と一言追加するだけで、次回も自分の為に協力してくれるし、対応は迅速になるし、良い事だらけなのに。
  
  まあ、想像できない人に『想像せよ』は甚だ無理な注文です。
  最近は私も周囲も悟りの境地に達した感があります。
  
  旅行記とは無関係な愚痴になってしまいました。
  スミマセン。