男兄弟2人でベトナム縦断1か月の旅（６）首都ハノイで骨董屋に溺れ、古き良きバッチャン村を訪ね、パペットシアターに凍える。

2002/05/07 - 2002/06/05

フエからハノイへ最後の移動も夜行バスでした。ホーチミンを出てから北に来るほどに物価が下がってきているように感じました。この当時はタバコを吸っていたのですが、ホワイトマルボロと呼ばれるマルボロライトはホーチミンでは1箱150円くらいだったのですが、ハノイでは100円を切った値段でした。北朝鮮から密輸された偽物ではないかという話もまことしやかに流れていました。全て物の値段がいくらが本当なのか分からないベトナムの旅でした。明け方のシンカフェでバスを降りて、タクシーでダン・チューというオペラ座の近くのホテルまで移動しました。朝10時くらいでしたが、部屋が空いていたのでそのままチェックインしました。HISで当時5,600円という安さでした。ハノイではハロン湾クルーズに行くつもりでしたので、1日くらい部屋を開けてもいいくらいの値段で考えていました。ハノイでは特にどこへ行きたいという事が無かったので旧市街をブラブラして過ごしました。これがなかなか楽しく、用もないのにブン・チャーを食べてビアホイでビールを飲んでグダグダしていました。蓮茶を買いに行ったり、ドライフルーツを買いに行ったり、そして骨董品屋にドハマリして毎日通いました。ドンの現金払いだったのでお金が足りなくなって店の主人のバイクに乗ってホテルへ戻って、トーマスクックで両替して店に戻るなんて面白い経験もしました。店には見るからに倣古品から一見分からない物もありましたが、ご主人は本物しか薦めてきません。2回目にハノイへ行ったときにこの時の店を探しましたが、ブン・チャーの店も骨董屋も見つけることが出来ませんでした。
ハロン湾へのツアーは数社比較して、内容が面白そうだったグリーンスパン社のボートで1泊して、カット・バ島で1泊する2泊3日のツアーに申し込みしました。それ以外はウォーター・パペットの劇場へ行ったのですが、これが思っていたよりも面白く、これ以降の旅先では人形劇を見つけては通うことになりました。劇場は信じられないほどのエアコンの効き過ぎで寒くて凍えそうでした。毎日ソフィテル・メトロポールホテルの前を通って旧市街に行きましたが、いつか泊まってみたいと思いました。その願いは妻との旅行で適うこととなりました。

エリア ハノイ(ベトナム)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 4.0
• ホテル: 4.0
• グルメ: 5.0
• ショッピング: 5.0
• 交通: 4.0

• 同行者: 家族旅行
• 一人あたり費用: 20万円 - 25万円
• 交通手段: 高速・路線バス 観光バス タクシー
• 航空会社: ベトナム航空
• 旅行の手配内容: 個別手配

早朝の交通渋滞の中ハノイの旧市街のシンカフェにバスは到着します。ホーチミンからの移動旅もここが終点です。ホテルはオペラ座の近くのダンチューホテルでしたので、タクシーで移動します。1室40ドルで朝食付も付いたコロニアル風の建物の気持ち良いホテルでした。

朝10時でチェックインで来たので、部屋で少し休んでから出かけることにします。

オペラ座の近くはハノイ・ヒルトンがあったりソフィテル・メトロポールホテルがある高級なエリアといった雰囲気です。

国立ベトナム歴史博物館 が近いので行ってみました。ここはチャンパやアンコール遺跡の石像から、ベトナム仏教や道教の彫刻もたくさんあって、この1カ月の旅行を集大成すると言っても良いほどでした。何よりこれまでずっと買ってきた陶器と同じようなものが並んでいるので自信も持てました。元々この場所にはフランス領事館と領事公館がありました。1910年にフランス極東学院がサイゴンからハノイへ移ってきたのをきっかけに、「フランス極東学院博物館」となりました。上野の国立博物館の東洋館にはここから贈られたものがたくさんあります。

ホーチミンのインドシナというアンティーク店で買った30センチほどの大鉢です。
染付がきれいなので買いました。

これとほとんど同じものが博物館に並んでいました。30ドルだったかな。船便で送った家具に入れて送りました。

これも同じホーチミンの店で買いました。

サイズはほぼ同じです。20ドル。

これはハノイの骨董品屋さんで買いました。サイズはほぼ同じです。

見込みにはなにも描かれていませんが、側面に鉄絵と線が無作為に引かれています。30ドル。

海上がりの小瓶は染付がきれいでした。15ドル。

フエの骨董品や買った小皿。

７寸サイズで15ドル。

ハノイの骨董店で買った大鉢。

尺寸で20ドル。

ホイアンのアンティーク店で買った茶碗。

夏茶碗に良さそうでした。外側は花弁の模様が入っています。

これもホイアンのお店でした。

15ドル。

これも大鉢で見込みに花の絵が筋彫りされています。

縁の反り返りが何とも言えません。尺寸で30ドル。

ホイアンのお店で買った染付の茶碗。

1組で30ドル。

ホイアンのお土産物屋さんに大量に並んでいました。一番良いものを選んで30ドル。

これは数年後ホーチミンでも見掛けました。約1尺の大きさです。

ホイアンのおじいさんの店で買ったお皿。

7寸ほどの大きさです。これと染付の茶入れを買いましたが、茶入れはどこへしまったのか？？？

ブラブラ旧市街までやってくると天気も良くなってきました。旅行した6月頃は蓮の時期なので、町中で蓮の花が売られていました。売っていたのはおばさんばかりでしたが、トニー・ブイ監督の「季節の中で（原題：スリーシーズン）」という映画の蓮罪の少女の話を思い出しました。

旅をした2002年当時は「青いパパイヤの香り」や「シクロ」や「夏至」などのベトナムの名作映画がいくつも公開された後だったので、出会う旅人との共通の話題はこれらの映画の話でした。

西貢（ホーチミン）と河内（ハノイ）の違いはハノイの人がまだベトコンのヘルメットを被っているのと、ビアホイが多いのと床屋の看板がHOT TOCからCAT TOCに変わったくらいでしょうか。ここのブン・チャーはとても美味しくて、毎日のように通いました。

ブン・チャーが70円で揚げ春巻きが50円くらいで、合わせて1ドルでした。甘酸っぱいタレにコメの麺を入れて、揚げ春巻きと野菜を頬張ると何とも言えない幸福感い包まれます。通りの向こうにはビアホイがあり、ビールを出前してくれます。これが30円くらいでした。グラスはタライに張った水にくぐらせる程度の洗い方でしたが、もう気にならなくなっていました。

写真は残っていませんが、チャー・カー通りのチャー・カー・ラボンにも行きました。この当時は七輪の上に使い込まれたフライパンでターメリック味の雷魚を炒めて食べました。現在はガスコンロになっていますが、部屋の中の空気が少し薄くなる七輪の窒息感も味を美味しくしていると思いました。

小さい子も街に出て商売に熱心です。とてもきれいな英語を話すと弟が驚いていました。彼はTOEIC940点くらいだったので間違いないでしょう。

ハノイの旧市街のおばさんたちも元気でした。この時期美味しいフルーツがたくさん売っていました。

有名な蓮茶を京都の叔母と祖母にお土産にしました。それだけではちょっと少ないなと思い、お茶請けのドライフルーツも買うことにしました。全部試食して美味しいものを選んで小袋に入れてもらいました。

弟がベラベラと英語でおばさんに話しかけますが、困ったような顔をされるだけです。僕が話すとちゃんと通じるので弟は怒っています。ベトナムはブロークンの英語の方がよく通じた気がします

最初はあまり興味が無かったけれど、雨宿りしていたカフェで隣に座っていたフランス人のおばさんに「あんたたちウォーターパペット見た？すごく面白いから絶対に見なさいよ。」と勧められました。おばさんパワーは世界共通のようです。この人もベトナムでバージョンアップしたのかもしれないと思いました。

という事で水上人形劇を観に行くことにしました。2等席にしたけれど、始まってすぐに1等にすれば良かったと思いました。それくらい惹きつけるものがありました。カフェで出会ったおばさんたちを疑って申し訳なかったです。でもこの劇場の冷房は異常なほどなので、絶対に羽織る物を持っていった方がいいです。

水牛に乗った子供は十牛図から出てきたようにも見えます。

水牛を操って田んぼを起こしているのでしょうか。

田んぼではアヒルも遊んでいます。

セリフは全くないのですが、見ているだけで楽しいので外国人にもうけます。

ベトアムの原風景を見ているような気持にさせます。

やんごとなき一団が宮殿から出てきます。全て水中で操っているのですが、操り方が分かりません。レ･ロイ(黎利）と従者の一行です。水中から出て来た亀に剣を還す、タンキエムと呼ばれる魔剣に関する伝説が題材です。レ・ロイはベトナムの後黎朝大越国の初代皇帝です。

鳳凰の舞です。最後に卵からひなが孵ります

龍頭船に乗ってどんぶらこ。

水上人形劇なので水にまつわる題材が多いです。

2艘の船がレースをします。

それぞれの漕ぎ手が生きているように動きます。

一番気に入ったのがこの天女の踊りです。

腕を開くと衣がひらひらして可愛らしいです。

農村の風景は今まで見て来たベトナムの景色と重なります。

最後は御簾の奥で人形を操っていた人たちが現れます。

ホアンキエム湖の脇を通ってホテルに帰ります。この湖が水上人形劇の劇場の舞台になったところです。

黎朝の初代皇帝レ・ロイ（黎利）が湖の宝剣を手にし、その剣によって明との戦いに勝利します。その後、黎利は湖の上で金の大亀から平和になったので持ち主である竜王に剣を返すように啓示され、湖の中心近くにある小島で剣を返します。それに因み還劍（ホアン・キエム）と呼ばれるようになります。小島にはその後亀の塔が建てられています。

美しくライトアップされた亀の塔です。

当時はバッチャンの陶器が流行っていたのでタクシーで行ってみました。壁に貼りついているのは燃料です。炭団（たどん）みたいなものだと思います。

これは燃料なのか加地区の餌なのか判明しませんでした。

炭団（たどん）は丸めたものを勢いよく壁に叩きつけるようなので、指の後が残っています。これだけでも絵になります。

生地は型で成形して、乾燥したものを回転させて同じ寸法にしているようです。大量生産されているのだと分かります。

全て型で造られた生地です。一度素焼きして絵付けを待つのでしょう。

炭団がびっちり壁に着いた通りを天秤棒に練炭を担いでいく人。

この壁に叩きつけられた炭団が気に入りました。

自転車に棒を付けただけで大量に陶器を運べるのは不思議です。

自転車に竹を2本付けるだけでこんなに荷物が運べるのだと感心しました。

陶器屋さんに入るより道行く人を見ている方が面白いです。

ひとつひとつで見るよりこんな風に置かれている方が奇麗に見えます。

客待ちの店番は暇そうです。日本では陶器が流行っていましたが、ここまで来る人は稀のようです。お店もいくつか覗きましたが、骨董屋で古い陶器を大量に買っているのでこれ以上ほしいとは思いませんでした。

この当時はメインストリートも舗装されていません。喉かなバッチャン村の風景です。

そろそろハノイに戻ることにします。往路のタクシーは待たせてあるので安心です。

ハノイ大聖堂の近くで降ろしてもらい、タンタンのラッカー・パネルなんてものを買ったり。

旧市街をブラブラ散歩しながら、ドンホー版画を見に行ったり。

ただ街歩きするのが楽しいハノイです。

水上人形劇を見る迄は気にも留めなかった人形も今日は違って見えます。

ハノイも残すところハロン湾の旅だけになりました。