2026/09/06 - 2026/09/06
325位(同エリア327件中)
あおばさん
東京から知床を目指す旅は、北海道に上陸して2日目を迎えました。
今日はいよいよ、目的地の知床・ウトロへ。
…の前に、どうしてもやりたいことが1つ。
滞在中の鶴居村は、絶滅したと思われたタンチョウが100年前に再発見されて以来、鶴とともに歩んできた「鶴の聖地」。
その村の中心に立つホテルTAITOでは、タンチョウを観察しながら釧路湿原の奥地を訪ねるガイドツアーを、宿のオーナー自ら手掛けていらっしゃいます。
ここでは車も土地勘もなくても、誰でも鶴に会いに行けるんです。
今回はそのツアーに参加して、早朝の村で鶴を探して、天然記念物の森に踏み込みました。
※この旅行記には、遠距離の鶴を撮った写真が多数あります。
鶴の姿をご覧いただくには、PCなど大画面での閲覧をお勧めしますm(__)m
なお、この旅の全体行程は以下の通りです。
こちらの旅行記は、④の前半(朝部分)です。
①:9/3(木) 大宮→釜石→鵜住居(泊)
②:9/4(金) 鵜住居→宮古→八戸→シルバーフェリー(船内泊)
③:9/5(土) シルバーフェリー→苫小牧→釧路→鶴居(泊)
④:9/6(日) 鶴居→釧路→ウトロ(泊)
⑤:9/7(月) ウトロ(泊)
⑥:9/8(火) ウトロ→網走→女満別→羽田
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時刻は朝5時。
ホテルの玄関でオーナーさんに迎えられて、オーナーさんの運転で村のはずれへ向かいます。
日の出前の山野は、地を這うような霧のベールに覆われていました。 -
霧の向こうから、日の丸そのものの朝日が顔を出しました。
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あ、鶴がいる。
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まん丸の朝日に、一層濃くなった霧と、一組の鶴のつがい。
いつか見た明治から昭和ごろの日本画に、こんな絵があったような。 -
広大な牧草地と木立の眺め。
こんな景色の中を走るだけでも気分大爽快です。
ちなみに。この写真の真ん中にも鶴のペアがいます。
お分かりいただけるでしょうか…?(ゴマ粒より小さな白点がそれです) -
朝日にぼんやりと浮かぶ霧が、オーロラのよう。
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また別のペアを見つけました。
オーナーさんはプロの写真家でもあり、このあたりの鶴の縄張りを熟知しています。
オーナーさんと私、2台のキヤノンが鶴を捉えて、次々シャッター音が響きます。 -
朝日の下、せっせと朝食にいそしむ鶴の夫婦。
タンチョウは、一度つがいになった相手と死ぬまで共に過ごすと言われます。
オシドリよりよっぽどおしどり夫婦なんです(オシドリは毎年相手を変える、けど鳥の世界ではそっちの方が標準)。
このペアは、一緒になって何年経つんでしょう?
これからも健やかに過ごしてほしいものです。 -
タンチョウを探しながら村を南東へ下って、釧路湿原の入り口にやってきました。
車で来れるのはここまで。
この先、釧路湿原奥の眺望地「キラコタン岬」までは、片道約30分かけて徒歩で向かいます。 -
車を降りたポイントでお手洗いを済ませて、長靴に履き替えたら、いざ森の中へ。
なお、この先の森は天然記念物に指定された国有林で、許可されたガイド同行でないと立ち入れません。
それくらい厳重に守られた場所なんです。
そもそも、ここはヒグマの生息地でもあります。
ちょっとくらいバレないっしょ、なんてノリで入った暁には、きっと森の主が出迎えてくれることでしょう・・・
私も森に入る前にオーナーさんから、クマと相対した時に取るべき行動をレクチャーしていただきました。 -
オーナーさんの先導で、人里離れた森を進みます。
右手に見えるのは、育成中の若木たち。
エゾシカの食害から守るため、カバーをつけているそうです。 -
森の中に、ぽっかり空いた空間が見えてきました。
池塘(ちとう)といい、泥炭層の上にできた小さな水場です。
周りの山や森に降った雨水が集まった、釧路湿原の水の源流の1つだそう。
背後に豊かな森や池塘があってこそ、水に恵まれた湿原が保たれているんですね。 -
獣道のような散策路の脇に、トリカブトの花が。
森の中でも、場所によって紫が強かったり白っぽかったり、花の色にバリエーションがありました。
オーナーさん曰く、紫陽花と同じで土質によって花の色が変わるそう。
写真の花はちょうど中間くらいの色合いです。 -
高台の白樺の森が、ほんのり朝日の色に染まります。
静かな森に、オーナーさんがストックで木を叩く音(クマにこちらの存在を知らせるため)が軽やかに響きます。 -
やがて白樺の森が途切れて、急に視界が開けました。
眼前に広がるのは、蛇行した川が伸びる一面の大湿原。
目的地のキラコタン岬に到着です。 -
キラコタン「岬」というのは、目の前の釧路湿原が縄文海進の時代に海だったことに由来します。
そして目の前に見える窪みは、縄文人が暮らした竪穴式住居の跡です。
すぐそこにあった海で、漁をしながらの生活だったんでしょう。
ここは北海道だし、縄文人たちもホタテやウニ食べてたのかな?貝塚からウニ殻が出てきたりして(その場合「ウニ塚」になるのでは…) -
少し進んだ高台からは、地平線まで広がる湿原を樹冠越しに見渡せます。
ここキラコタン岬は、絶滅したと思われていたタンチョウが、大正時代に再発見された土地のひとつです。
戦後、1952年の調査で判明した個体数はわずか33羽。
それから鶴居村の皆さんの地道な保護活動が続いて、今世紀には1000羽を超えるまでになりました。
今日、車に乗ってすぐにタンチョウを探しにいけたのも、鶴居の皆さんのおかげなんです。 -
急斜面の下の地層から、水がこんこんと湧き出して湿原を満たしていきます。
それだけ多くの水を、森が蓄えているということです。
だからこの森がソーラーパネルに変わってしまえば、水の流れも…
同行のオーナーさんも、将来を憂いてらっしゃいました。 -
帰り道、木にキツツキがつついた痕がありました。
ドリルで開けたみたいに真ん丸です。
つついた本人の姿が見えなかったのが、ちょっと残念。 -
続いてこちら…オーナーさんが目敏く見つけた糞虫、フンコロガシの仲間です。
まるでタマムシのような、赤みがかった光沢が神秘的。
こんな綺麗な顔をして、仕事は「森のごみ掃除」なんですから、頭が上がりません。
帰り道、オーナーさんが色々見つけて紹介してくれたのですが、中でも一番恐れ入ったのが
「ヒグマがスズメバチの巣を荒らした跡」
でした。
荒らしたのは去年らしく、生々しい痕は残っていなかったのですが、
あのスズメバチが「弱肉強食」の「弱肉」側に回る世界もあるのだと。。。
改めて、原野は恐ろしいですね。
縄文人もアイヌの人たちも、よくこんな中で暮らしてたなぁ。 -
1時間ほどの森林浴を終えたら、車でホテルへ戻ります。
行きと同じく、鶴を探しながらの道中です。 -
お、噂をしたら影が。
朝の食事を終えて、一服しているところでしょうか。
今回撮影に使った機材は、キヤノンのEOS R8に28-70ミリレンズでしたが、ご覧の通り…鶴を撮るにはかなり射程不足でした。
湿原訪問前の、つがいが向き合っている写真は、最大ズーム+無理なトリミングをしてやっとあれです。
オーナーさんからもレンズ選びのアドバイスをいただきましたが、こんなに鶴が見られるなら、200ミリ以上の望遠レンズを借りてくればよかったなぁ。 -
ツアーの最後に、広野を見渡す高台に案内していただきました。
写真中央にかかる赤い橋は「音和橋」。
夏の今はあちこち散らばっている鶴たちは、冬になるとあの橋の近くに集まって、寝ぐらにするそうです。
そしてその鶴を撮りたいカメラマンも、世界各国からやって来ては、氷点下のあの橋に齧り付くとのこと。
ここは文字通り、世界から巡礼者が集う鶴のメッカなんです。
実際私も、1月の成人式の連休に巡礼に来たいなと思ったのですが、
なんと3ヶ月以上前の時点で、連休のホテルTAITOの予約が埋まっていました。。
ガチの愛好家たちの情熱、恐ろしです… -
朝9時すぎ、4時間のガイドツアーを終えてホテルに帰ってきました。
案内してくださったオーナーさんに、感謝と再訪の意を伝えたら、部屋でひと息。
今日はこの後、釧路から知床までの移動が待っています。
セコマで調達した道産牛乳とパンで英気を養って、列車旅に備えます。
ここまでご一読、ありがとうございました。
早朝の幻想的な山野の景色と、そこにとけ込む鶴たちの暮らしぶり、いかがだったでしょうか?
鶴=冬の鳥のイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、この土地では季節を問わず、こんなに自然に出会えるんです。
今回参加したガイドツアーは、ホテルTAITOの宿泊者優先で、参加費は1名8000円です(参加者が1名だと9500円)。
予約はホテルまで電話で。オーナーさんのご都合で開催できないこともあるそうで、そのあたりもホテルにご確認を。
読者の皆さんも、東京や大阪のスピードに疲れたら、広大な野原で暮らす鶴たちの生活を、ぜひ覗きに来てください。
都会にはない時間と空気・水の流れが、ここにはありました。
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2026年9月 遥か知床を目指して
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