2023/04/01 - 2023/04/30
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ばねおさん
3ヶ月間滞在した日本を離れ、4月にフランスへ戻ってから1ヶ月半が経過した。
何だかぼんやりとしている間に時間が勝手に過ぎていったような感じだ。
日本に居る間はあれもこれもと欲張ってフル回転した反動か、日本の生活環境に馴染んだ頃に再び前の生活に戻ったからだろうか。
まるで読みかけの本の続きを、しばらくしてからまた読み始めた時のような、そんな感じだ。
3か月間という期間は決して短くはないが、日本でもフランスでも大から小まで社会の変化の多さには驚かされる。
物価の上昇は共通しているが、日本にいるとまだ全体の割安感があって、飲食費などの安さには感激してしまう。
フランスの物価上昇はかなりのもので、円を生活の原資にしている者にとっては、物価高と円安のダブルパンチを受けている。
それにしても円安は進む一方で、今では1ユーロ150円前後を行ったり来たりしている。一年前に比べたら20円以上は円が下落している。
「円安」ではなく「円の暴落」と呼んだ方がよいのでは、とさえ思うのだが、なぜか周囲にはあまり切迫感を持ったひとを見受けない。
ひとりでボヤいていても何も始まらないので、とりあえず再開したパリ街歩き4月編。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 航空会社
- JAL
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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-
連休でもないのに羽田空港第3ターミナルの混雑ぶりはひどかった。
コロナ明けの旅行ラッシュなのか、それとも朝一番の空港とはこんなものなのだろうか、初めての経験だ。
利用するJL045便パリ行きが10時台後半の出発から8時台に変更になったため、早起きして羽田に6時前に着いたのだが、出国ゲートをくぐった時には7時40分になっていた。
JALのカウンターも混んでいたが、最大の原因は保安検査の渋滞だ。並ぶ人の列は何重にもトグロを巻き、宅配カウンター近くにまで達していた。
朝食も取らずに出てきたため、ラウンジを利用しようと行ったのだが、ここも空席を見つけるのに苦労するほどの混みようだった。
それにしてもどこもかしこも対応する係員があまりにも少なすぎる。
コロナで人員整理をしたためだろうか。
おまけに今回は搭乗口までが従来とは異なっていた。
これまではラウンジを出てすぐの114番搭乗口を利用していたのでのんびり構えていたのだが、食事を終えてチケットを改めて見ると141番とある。
114と141という数字の並びも紛らわしいが、141番搭乗口の位置を知ってびっくり。
ターミナルの最先端にあって移動の目安時間15分となっている。
出発予定時刻は8時23分、ラウンジを出た時には8時を回っていた。
これには慌てた。
動く歩道を早足で向かったが、やはり同類と見えて走っていく人が何人もいた。
幸い搭乗口に着くと同時に搭乗開始のアナウンスがあったのでセーフとなったが、従来の経験だけを頼りにしているととんでもないことになりそうだ。
もっともこの1か月後に同じ便を利用してきたパートナーの話では搭乗口114番だったという。 -
さて、自分が利用した045便はかなりの搭乗率で、しかも観光帰りらしいフランス人乗客の方が日本人より多い様子だった。
パリ行きにフランス人などの外国人が多くいることは不思議ではないが、JAL機なのに日本人を上回っている。
やはり極端な円安という経済状況がそのまま反映しているのだろうと考えてしまう。
機内風景は外国人の多さとマスク姿以外はすっかりコロナ前に戻っていた。
コロナ規制下で日仏を何度か往復した思い出が懐かしいと言ったら叱られるだろうか。
あの頃はどこを見渡してもがら空きの機内。
どうぞお好きな席へどうぞ、まるで暇なファミレスのような案内もあった。
それにしてもロシアを迂回する航空路はあまりにも長い。
北氷洋の上を通り、羽田からパリまでは15時間近くかかった。
まことにフランスは遠くになりにけりだ。 -
いつものことではあるが、フランス入国はあっけないほどスムーズだった。
前年に滞在期限の切れてしまっている滞在許可証と、それでもフランス国境を出入りしてよろしいという紙切れを持って入国審査に備えたのだが、パスポートを広げて入国スタンプを押しただけでハイおしまい。
こういう場合だけ、フランス人のいい加減さが嬉しくなる。
今回、CDGからは久しぶりにタクシー利用となった。
ここ10年以上は、ある業者(V社としておく)をずっと利用していたのだが、ひどく信頼できない問題が生じてやめにした。
本当は問題の経緯を記して今後の同社の利用を注意喚起したいところなのだが、4トラベル旅行記の中でこの業者を強く推奨している方もいるのでここでは割愛する。
乗ったタクシーの運転手氏の開口一番「春だね!」。
毛むくじゃらの大男の口から春だねと言われても森のクマさんしか連想できないのだが、JUDOを習っているということで知っている限りの日本語を並べてくれた。
15区のアパルトマンまで到着するまでの道沿いでは、八重の桜も盛りの様子だが、圧倒的にリラの花が数多く勢いを見せていた。マロニエもぼちぼち花らしきものが所々にのぞいていた。
数年前から空港から市内までのタクシーは右岸左岸別に定額固定制となっていて、利用者にとっては安心感がある。
自分の頭の中では右岸は50ユーロ左岸は55ユーロと覚えていたのだが、いつの間にか刻々と値上がりしていた。
そりゃそうだよね、物みな値上げしている中でタクシー料金は据え置きということはないよね。
ちなみに左岸までは62ユーロ(2023年4月現在)で、2月に改訂されたばかりという。右岸は55ユーロ。 -
パリに帰着した翌日からは雨天続きで気温も上がらず、買い物以外は部屋で過ごすことが多くなった。
少しは体を動かさなくてはと思い、雨間をみて近くのジョルジェブラッサンス公園へ出かけてみた。
近所にこうした自然豊かな大公園があるというのは本当にありがたい。 -
長い間工事中だった時計台前の池もすっかり完成していて、噴水が出ていた。
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池の中をのぞいている人たちがいたので見てみると無数のオタマジャクシが泳いでいた。
オタマジャクシを見たのは何年ぶりだろう。
パリでオタマジャクシに出会うとは、なんだか無性に嬉しくなってしまった。 -
公園内のブドウ畠に行ってみたら、一面のタンポポで、まるでタンポポ畠のようになっていた。
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園内の桜は八重ばかり。
もっともフランスではソメイヨシノはほとんど見かけない。
桜に限らないが、この剪定方法が独特だ。
幹の途中を一旦切って、そこから伸びてくる若木を四方八方に伸ばす。 -
芍薬をはじめ、実に多くの草花が寒空の下によく咲いていた。
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18日、パリ植物園 Le Jardin des plantes de Paris へ。
気温は15度だけど晴れて気持ちが良い。 -
羽田からの機内で客室乗務員の方に話しかけられた。
「日本ではお花見が楽しめましたか?」
ー いやいや、お花見をする余裕もなく動き回っていました。
「パリでは桜はどうでしょうか?フランスではお花見はなさるのでしょうか」
ー そうですね、パリ近郊のソー公園が花見場所として有名で、今やHANAMIという言葉が通用するほどにもなってきています。
まだこの時期であれば桜も残っているかも知れませんね。
その時に、そうだ植物園に行ってみようと思ったのだがあいにくの天候でこの日になってしまった。 -
ここには名前のついた有名な桜の木が何本かあって、ここ数年3月末~4月初旬頃には見学に来ている。
低温続きだったので少し期待してきたが、花はやはりほとんど残っていなかった。 -
地面を這うような白い里桜。
その名は「白妙」 -
2022年3月に撮影した時の「白妙」の優雅な姿。
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ひときわ目立つ存在の「KANZAN 観山」
八重だけど、やはり盛りは過ぎている。 -
2021年4月初めに撮った「観山」の花ざかりの艶やかな姿。
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この日、「観山」の下ではプロのモデルが何人か出て撮影が行われていた。
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ルイ13世の王立薬草園に始まる長い歴史を持つパリ植物園には、広大な敷地に博物館、大温室、動物園などもあるのでさまざまな過ごし方ができる。
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但し、他の庭園や公園と大きな違いが一つある。
ここではフランス人の大好きな芝地での寝転びや、車座になってのピクニックはできないので大人しくベンチで休む他ない。 -
鉄とガラスで構成された大温室は1830年に建てられたもので、歴史的にも貴重な存在となっている。
オルセー美術館に収められているアンリ・ルソーのよく知られた絵画『蛇使いの女』の熱帯植物はここで写生したという。 -
時期が良ければミモザの迫力ある姿にも出会える。
(2022年3月撮影) -
自分のお気に入りは地下道を通って向こう側にあるアルプス庭園。
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高山植物を中心に構成されている区画で、普段はお目にかかれない珍しい草花を数多く見ることができる。
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お似合いの蝶と花。
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ベンチも各所に多く用意されているので、人の往来の少ない木陰で読書や軽食をとっている姿も見られる。
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ただ、動物園が隣接しているので、場所によっては時々風に乗って獣臭が漂ってくる。
こちらはカンガルー?ワラビー?
柵の間から覗いたら何ですか、という感じで視線を返された。 -
4月26日、シテ島のパリ警視庁へ。
ようやく新たな滞在許可証を受け取ることができた。
以前は申請と受領の2回足を運ぶ必要があったが、昨年からオンライン申請となり受領時のみの一回で済むようになった。
ただ、受領のための予約がなかなか取れない状況は改善されていない。
必要な印紙代は従来の倍近くの料金になっていて、ここにも物価高が反映していた。それにしても凄まじい値上がりだ。
警視庁の建物は19世紀のオスマンのパリ改造時に建てられたものであるが、ノートルダム大聖堂やコンシェルジュリー(Conciergerie)、サント・シャペル (Sainte chapelle)などの中世からの建物がある中で違和感なく存在している。
ある説明によれば、建物は「ネオフィレンツェスタイル」であるという。
ただ「ネオフィレンツェスタイル」なる様式が何であるのかが自分にはよく分からない。 -
警視庁の帰りに隣のノートルダム大聖堂に立ち寄ってみた。
あの大火災からもう4年が経ってしまった。
当初は、2024年のオリンピックまでを目指していたと思うが、今は2024年末、できればクリスマスまでに修復を終えて一般公開にすることが目標となっているようだ。 -
大聖堂と向かい合う形で広場には木組みの観覧席のようなものが新たに設けられていた。
広場から見上げるだけでなく、どうぞ座ってゆっくりと眺めてくださいと見学席を用意してくれたのだろう。 -
大聖堂を囲む工事フェンスにはノートルダムに関する様々なパネル展示がされているが、展示内容がリニューアルされていた。
これは目下の最重要事である再建の具体的方法についての図示説明で、とても分かりやすい。 -
大聖堂広場下のクリプト(Crypte Archéologique de l'İle de la Cité)にも寄ってみた。
クリプトはノートルダムの地下で発見された古代~近代の遺跡を保存展示しているミュゼで、大火災後は一時閉鎖していたのだが2020年9月から再公開となっている。 -
遺構、遺跡だけでなく、大革命後は荒廃し忘れかけられていたノートルダムを『ノートルダム・ド・パリ(邦題は、ノートルダムのせむし男)』を著して世間の関心を向けさせた功労者であるヴィクトル・ユーゴと大聖堂の修復にあたったヴィオレ・ル・デユックに関する資料も展示解説されている。
昨年4月にコレージュ・デ・ベルナルダン Le Collège des Bernardinsで開催された「ノートルダム・ド・パリ展」と重なる内容ではあったが、やはりこの二人の存在無くしてはノートルダムの歴史は語れないことをあらためて認識する。 -
クリプト見学後は、バスで帰ることにしてサンミッシェル広場前のバス停へ。
少し先のブロックは観光客でごった返しているのに、集中するスポットをちょっと外れると意外に人が少ない。 -
バス停近くの水栓。
何気ないようで、なかなか考えられたデザインだ。 -
ところで「花の都パリ」には、その名も「シテ・フローラル Cité florale (花の街)」という低層住宅の建ち並ぶ一画がある。
13区の外れで14区のモンスーリ公園に近い場所なのだが、いわば知る人ぞ知る存在でありパリジャンでも知っているとは限らない。
モンスーリ公園まで散歩するつもりがちょっと足を延ばして行ってみた。
(パリには同じ13区に「シテ・フルーリCité fleurie (花咲く街)」という29棟の歴史的アトリエ街もある。関係者以外の立ち入りが出来ないが、一度だけ中に入る機会があった。ここはまた素敵な場所で、いずれ何かの機会に取り上げてみたい。) -
シテ・フローラルの中央付近の小さな広場には桜の木があるのだが、やはりすでに花は終わっていた。
花の街という以上、もっと花があって良いのだが、まだ本当の花の季節にはちょっと早いようだ。
それに、こういう名前を冠すると住民が肩に力を入れて、これでもかというほど飾り立てがちだが、ここにはそうした過剰さがないのも好ましい。 -
シテ・フローラルにはいくつかの小道があって、それぞれの通りに花の名前が付いている。
こちらは「藤通り」。 -
その名の通り藤の花が見事に咲いていた。
フランス人が大好きな花の一つで、紫色は特に好まれる。 -
「アイリス通り」。
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「オルキデ(蘭)通り」と「藤通り」の接点。
建物はそれぞれ個性ある造りになっているが、全体としてよく調和がとれている。 -
こちらの名前は少々難解。
直訳すると丸葉朝顔となり、葉っぱが丸くて花は一日中咲いているそうである。それでは昼顔ではないかと思うのだが、昼顔にはベル・ドウ・ジュール Belle-de-jourという素敵な名前がある。
結局、よく分からないままの名前で、詳しい方の教えを乞いたい。 -
なんだか視線を感じて振り返ったら、番猫さんがこちらを凝視していた。
決して怪しいものではございません、と釈明したが頷いてはくれなかった。
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