2022/11/01 - 2022/12/05
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kawausoimokoさん
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人生の再生を目指して、「お気に入り」と再会し「初めまして」に出会うために、ロンドン、パリ、ヘント&ブルージュ、デン・ハーグ、アムステルダムを35日で巡りました。
旅の25日目は、パリからヘントへ移動し、バーフ大聖堂で「神秘の子羊」に再会します。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 100万円以上
- 交通手段
- 鉄道
- 航空会社
- ANA
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
2022年11月25日(金):(Day25)
今日はパリからヘントへ移動し、バーフ大聖堂で祭壇画「聖なる子羊」に再会します。
未だ真っ暗な朝7時過ぎ、ホテルにスーツケースを預けてチェックアウトし、RER B線でGare du Nordへ行き、Thalysに乗車します。
PAULでコーヒーを買い、運よく空いたベンチに腰掛けてThalysの出発番線が表示されるのを待っていると、チケットを手にした小柄なMonsieurが「チケットが使えなくて困っているので、助けて欲しい」と話しかけてきました。
直ぐに、これが噂のチケット詐欺か!と思い、中国語で「我不懂法語!(フランス語判らない!)」と3度、3度目は少々強めに言うと、諦めて去って行きました。
その後、なんだか哀愁漂うくたびれたジャケット姿のMonsieurを注視していると、巡回しているポリスを巧みに避けながら人混みの中をゆっくり移動し、カモを物色しているように見えました。
「チケットが使えない、チケットが買えない」と言って旅行者に近づき、スリや詐欺を働くケースがあると聞いているので、たぶんそれではないかと思います。
フィレンツェやローマ、LAの空港だって、およそ旅行に出ればどこでも、怪しい方も怪しくない方も色々な方法で近づいてくることがありますが、これまでさほど困ったことはありませんでした。
唯一、ひつこい売り込みに疲れてしまったのがエジプトで、そんなエジプトで功を奏したのが中国語なのですが、ここパリでも効果がありました。
(本当は中国語は旅行用会話程度しか知りません)
きっと彼らもコロナ禍の下、より厳しい生活を強いられていると思いますが、どうも、日本人だとより甘く見られているような気がします・・・ -
Thalys9315 8:25はパリを定刻に出発し、9:47にBruxelle-Midiに到着
1時間ちょっとの乗車時間なので2等車に乗車しましたが、満席でした。
荷物を最小限にしたつもりでも5泊分となるとトートバッグはそれなりに重く、お隣の席のMonsieurにバッグを上の荷物棚に上げ下げしていただき、大変助かりました。感謝! -
Bruxelle-Midi駅でIC(インターシティ)に乗り換え
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9番線、10:04発 Gent-Sint-Pieters行きに乗車します。
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窓の外にはのどかな風景が広がり、30分弱でヘントに着きます。
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10:32 Gent-Sint-Pietersに到着
天井にフレスコ画が描かれた雰囲気ある駅です。
駅構内は大規模な工事中でちょっと戸惑いましたが、人の流れに乗って自然と駅前広場側に出ました。
どうやらヘントの駅にもエスカレーターが設置されるようです。 -
Gent-Sint-Pieters駅外観
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Gent-Sint-Pieters駅前広場 Koningin Maria Hendrikaplein
グルーっと駐輪場になっています。 -
駅から徒歩3分のホテルへ行き、荷物を預かっていただきました。
近くのトラム停留所Gent Van Monckhovenstraatから1番に乗り、歴史地区のGent Korenmarkt perron 5へ行きます。 -
歴史地区に来ると一気に中世の街並みが広がります。
ヘント(英語:Ghent、フランス語:Gand、ドイツ語:Gent)は14世紀に毛織物業の中心として繁栄し、アルプス以北の西ヨーロッパではパリに次ぐ大都市となりました。
15世紀にはブルゴーニュ公国のフィリップ3世(善良公、ル・ボン)の統治下で主要都市として更に発展し、毛織物業や金融・貿易などで財をなした裕福な市民により文化が花開いたそうです。
バーフ大聖堂のファン・エイク兄弟が描いた祭壇画が作成されたのもこの時代だそうです。 -
聖ニコラス教会
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ヘントの鐘楼
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ヘントの鐘楼
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ヘントの鐘楼の真横にあるイタリアンのお店です。
朝が早かったのでお腹が空き、バーフ大聖堂への通り道にあったこの店に入りましたが、レエブ川沿いのお気に入りのお店まで足を延ばせば良かったと後悔しました。 -
料理は普通でしたが、店主らしき人の接客態度に、一体ナンナン!?と言いたくなりました。
どこの国にもbiasedな人はいますし、1970年代後半から2000年代にアメリカへ一人で出張していた頃には、特に南部や中西部であからさまなdiscrimination に遭遇したことが何度もありましたので今更驚きませんが、最近は経験しなかったのでちょっとイラットしました。
お昼時で観光客が次々に来店し、隣のテーブルに座った若い韓国人女性二人にも同じような態度で接しており、思わず呆れてお互いに顔を見合わせてしまいました。
これを書きながら、Google Mapのこのお店への書き込みを見たら、同じように感じた方は多いようなので、それが彼のやり方なのかも知れません。 -
バーフ大聖堂 St.-Baafskathedraal
ヘントの城壁内では最も古い教会で、1274年に教区民の裕福な毛織物商人達の寄進によって洗礼者ヨハネを祀る「聖ヤン教会」として建設が始まりました。
完成までには長い年月がかかったため、ゴシック、バロック、ロマネスクなどの複数の建築様式が混在する建物となったそうです。
1540年ローマ・カトリック教会配下の聖バーフ教会となり、1559年教区の中心聖堂となってバーフ大聖堂(カテドラル)と呼ばれるようになったそうです。
大聖堂前も絶賛工事中でした。 -
大聖堂内部の祭壇
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「神秘の小羊」Augmented Reality ツアーを予約していたのですが、生憎この日はARシステムの故障によりARの貸し出しもツアーも中止されており、数ユーロ返金されました。
どうもガジェット類とは相性が悪いようです。
でも、ARがなくても、もう鑑賞できさえすれば私には十分です。
左手に有料エリアへの入り口があり、その奥にステンドグラスが美しい祭壇画専用の部屋が設けられていました。
第2ステージの修復が終了した祭壇画との5年ぶりの再会に期待が高まります。
因みに、私が前回訪れた2017年12月には修復のために取り外されたパネルの代わりにコピーがはめ込まれて、本物とコピーとでツギハギ状態となっていました。
その上、祭壇画は暗い小さな部屋の中にまるで牢獄のような金網とガラスケースに囲まれて置かれており、良く見えなかったので非常にガッカリしました。
まあーそんな時に来るのがいけないのですが・・・ -
1410年から1420年にかけて行われた聖ヤン教会の南側の礼拝堂建設の際に、教会の管財人を務めていた毛織物業を営む裕福なヨドクス・フィエトは、教会への寄進のため、ファン・エイク兄弟の兄フーベルト・ファン・エイクに祭壇を飾る絵を注文しました。
それが、後に「神秘の子羊」と呼ばれるようになったこの祭壇画で、途中で兄フーベルトは1426年に亡くなったため、弟のヤンが引き継ぎ、1432年に完成させたとされています。 -
Adoration of the Mystic Lamb : Hubert van Eyck , Jan van Eyck ,1432
思わず、鳥肌が立ちました。圧倒されます。
しかし、ピッカピカ、クリアーで、なんだかもう違うものに感じてしまう程です。
でも、たぶんこれが約600年前の完成当時の姿なのでしょう!か?
修復作業は2012年に開始され、調査された結果、絵画全面は埃やススなどの汚れを含んだニスで覆われていて、画面の7割は後世の加筆が加えられた状態だったそうです。
絵が完成して100年程経った頃には、すでに加筆が始まっていたらしく、600年の間に、今日とは異なる方法で修復が繰り返されてきました。
それだけでなく、時代の風潮や好みに合わせて絵自体も書きかえられていたそうです。
更にこの祭壇画がそれ程までに加筆修正されたのには、歴史的経緯がありました。
18世紀、ベルギーに侵攻したナポレオンは祭壇画をフランスに持ち帰り、ルーブル美術館に飾っていましたが、ナポレオン失脚後、返還されました。
その後20世紀に入り、第一次世界大戦時にドイツ軍に略奪されましたが、ヴェルサイユ条約によって返還されました。
そして、第二次世界大戦が勃発し、祭壇画はヒトラーによってまたもや略奪され、オーストリアの岩塩坑に隠されていましたが、大戦終結後にアメリカ軍によって救出されました。
ジョージ・クルーニーの映画「ミケランジェロ・プロジェクト」の世界です。
一説によるとこの祭壇画はこれまで13回の紛失略奪と7回の盗難に会っているとのことで、盗まれたパネルの一枚は未だ行方不明のままとなり、何とも受難の歴史を経ているものです。
度重なる災難によって祭壇画は激しく損傷し、その度に修復されてきた結果が、今回の修復前の姿だったのです。
我々が今回の修復前に眺めていたものは、ファン・エイク兄弟からすれば、甚だ不本意なものだったようですが、現在のこの状態を何とおっしゃるのか聞いてみたいものです。 -
下段中央パネル 「神秘の子羊の礼拝」
上部中央にいる神秘の子羊を天使が囲み、その子羊に向かって右手上部には聖なる処女と聖職者たちが進んでいます。
下部中央の洗礼とミサを象徴する生命の泉を挟んで、右手には一二使徒を先頭に教会の聖人たち、左手には族長たちを先頭に古代の偉人たちがいます。
キリストの生と死を象徴する教会儀式の造形化と言われており、兄フ―ベルトが描いた可能性が最も高いとされています。 -
下段中央パネル 「神秘の子羊」
顕微鏡を覗きながら外科用メスで汚れと加筆修正されたものが削り落とされ、現れたのが「人面羊」と揶揄されたこの「神秘の子羊」の顔です。
写真では良く判りませんが、修復前の弱弱しく優しい眼差しではなく、大きな強い眼差しで真っすぐにこちらを見ています。
子羊は、イエス・キリストの象徴と考えられ、血を流しながら立つその姿は、十字架での死と復活を暗示しているとされています。 -
右翼下段右「巡礼者」のパネル
旅人の守護聖人で大男の聖クリストフォロスに率いられた、サンティアゴ・デ・コンポステーラに墓があると信じられていた聖ヤコブらの巡礼者
右翼下段左「隠修士」
聖パウロ、聖アントニウス、聖ベネディクトゥスらに導かれた隠修士たちの背後には、マグダマラのマリアとエジプトのマリア -
上段中央パネル 聖母マリア、イエス・キリスト
右側の人物像がイエス・キリストかどうかは500年間議論が続いているそうです。 -
聖母マリア
写真ではわかりにくいですが、本当に美しいです。 -
左翼上段右「合唱する天使」、左「アダム」
左翼下段右「キリスト騎士」、左「正しき裁き人」 -
右翼上段右「イブ」
右翼上段左「合奏する天使」 -
閉翼時中段右「キリストの受胎を伝える大天使ガブリエル」
当時、祭壇画は平日には翼が閉じられ、日曜祭日に翼が開けられていたそうです。
これらは翼が閉じられた時に現れるもので、祭壇画の裏側に展示されていました。 -
閉翼時中段左「キリストの受胎を聞く聖母マリア」
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閉翼時下段左「寄進者ヨドクス・フィエト」
ヘントの名家出身の裕福な商人で、1398年頃に同じく名家出身のエリザベト・ボルルートと結婚しました。
子供に恵まれなかったこの夫妻は教会に多額の寄付をし、前代未聞の大規模なこの祭壇画を寄進したそうです。
当時の富裕層は、信仰心のみならず、プライドとステータスをかけて教会への寄進の多寡を競ったたそうで、派手な赤色のローブで描かれたフィエトさんの完成当時のドヤ顔が目に浮かびます。 -
閉翼時下段右「寄進者妻エリザベト・ボルルート」
奥さんもさぞ誇らしかったことでしょう。 -
閉翼時下段右「洗礼者ヨハネ」
グリザイユで描かれた彫刻図は本物の彫刻と見紛うばかりです。 -
閉翼時下段左「福音記者ヨハネ」
グリザイユで描かれた彫刻図は本物の彫刻と見紛うばかりです。
来場者は多くはありませんでした。
もっと冷静に写真を撮れば良かったのですが、なにせ舞い上がってしまい、こうして整理してみると写真がないパネルが何枚かありました。
どのみち、私の下手な写真ではこれらの素晴らしさをお伝えできないので、非常に残念です。 -
祭壇画の部屋のステンドグラス
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祭壇画の部屋のステンドグラス
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「聖バーフの修道院入堂」: ルーベンス
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レイエ川沿いのグラスライから見たコーレンレイ地区に並ぶギルドハウス
大聖堂を後にしてレイエ川沿いを歩きます。 -
聖ミハエル橋と聖ミカエル教会
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定番ワッフル
2時間近く、立ちっぱなしで祭壇画に張り付いていたので、なんだかとても疲れてしまいました。 -
歴史地区の中心部コーレンマルクト広場にある旧郵便局の建物
0階はスーパーAlbert Heijnになっています。
サンドウィッチや果物、お惣菜を買って、真っすぐホテルへ戻りました。
5年前にヘントに来た時に、3日間、街をさまよい歩きましたので、今回は祭壇画を心ゆくまで観られたので良しとします。 -
Hotel Carlton
Kon. Astridlaan 138, 9000 Gent
ヘント・シント・ピーテルス駅から歩いて2分、今晩から2泊するホテル カールトン -
Hotel Carlton
駅から近いので選びました。駅周辺のほうが歴史地区に比べて静かです。
スタッフはフレンドリーです。 -
お部屋は一人では十分の広さで清潔です。
荷物が散乱しているのは見なかったことにして下さい。 -
バスタブ付きで問題ありません。
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