◆四国の橋梁等を巡る旅◆その２

2023/02/27 - 2023/03/04

　その２は四国を反時計回りで、新居浜から松山を目指します。
　メインとなる水系がないので、色んな川を上流へ遡上しては下り、結構上流の奥地まで入り込んだりして時間を取られてしまいますが、素敵な橋にも沢山観ることができました。

その１はこちら⇒https://4travel.jp/travelogue/11824800

エリア 愛媛

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 4.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 10万円 - 15万円
• 交通手段: レンタカー 徒歩

別子鉱山鉄道 国鉄新居浜駅連絡線 【東川橋梁】（東川橋）
1942年(昭和17年)竣工、RC造アーチ橋

廃線跡に残った橋が道路橋に転用されていました。インターロッキングで線路状の模様を描いている所も。

別子鉱山鉄道 橋梁【東川工水管橋】
下路プレートガーダー橋

こちらは水管橋に転用。立入防止柵には古レールも使われています。

橋脚が傾き、

上流側に新橋架設工事中でした。

別子鉱山鉄道【星越隧道】

こちらも立入防止柵に古レールが使われていますが、刻印は見つけられませんでした。

滋賀県の横山隧道と同様、側壁も長手積み！！
施工中にアーチ部の巻厚不足が判明して設計変更により、内側に１層足してこうなったのでしょうか？或いは予算不足とかで１層薄くした結果なのでしょうか･･･

四国鉄文化館 【フリーゲージトレイン】 GCT01-201
2007年(平成19年)JR九州小倉工場製作

新幹線と在来線を直通可能な軌間可変試作車。

その肝と言えるのがこの台車。
駅の北側には第4代国鉄総裁を努め新幹線を実現した十河信二氏の記念館もあり、次回来る際は是非観たい所です。

【西条駅カーバイド庫】

油ではなくカーバイドを保管していたそうです。
もう少し東には煉瓦造りの給水塔も残っていますが、見逃してしまいました。

予讃線【加茂川橋梁】
1923年(大正12年)竣工、下路プラットトラス橋

59連が造られた150ft級トラス。
銘板は近くのは脱落していて撮れませんでした。

【千野々橋】（ちのの）
1925年(大正14年)竣工、下路プラットトラス橋

田野々越や宿野々橋等、「野々」の付くこの地域独特の可愛い地名。

リベットがボルトに更新されていたり所々改修されていて、橋台脇には補修歴も記された住友重機械工業の銘板があるそうですが、残念なことに見逃してしまいました…

【旧河口橋】（こうぐち）
1925年(大正14年)竣工、RC充腹アーチ橋

加茂川に残る旧橋。1967年に新橋が架設され廃橋に。橋台裏は流されていました。

対岸の旧道には素掘りの隧道も２つ残存していました。

【大宮橋】
1927年(昭和2年)竣工、RC開腹アーチ橋

列柱上部が四方にアーケード状の素敵なアーチ橋。
【土木学会選奨土木遺産】

この橋を渡った先に特に何かある訳でもなく、こんな山奥になぜこんな立派な橋を架けたのか不思議に思っていたら、なんと、元々は西条と高知を結ぶ四国縦断道路として計画・建設されたそうです。

2019年(令和元年)から始まった修復工事も完工して修復前より綺麗になりました。架設時より綺麗かもしれません。

【河口１号隧道】（細野隧道）
1923年(大正12年)竣工

岩盤をくり抜いた洞門・片洞門等も残っていて、西条と高知を結ぼうと尽力された先人の労苦が偲ばれます。

予讃線【中山川橋梁】
1923年(大正12年)開通、下路プラットトラス橋他

歴史的鋼橋調査台帳によれば、銘板に「U.S.S.P.CO.」と記されているとか。謎の鋼材メーカーでしたが、判明しました。
United States Steel Products Company　の略でした。同社の銘板がAmerican Bridgeの物と酷似、またCorporationではなくCompanyなので、American Bridgeの鋼材販売部門の名ではないかと思われます。

予讃線【避溢橋】
1923年(大正12年)開通、上路プレートガーダー橋

中山川橋梁の脇にある橋。

銘板は
大正十一年
株式会社 横河橋梁製作所製作
（中略）
ANGLE：????????? STEEL CO.
PLATE：　〃　　〃　　〃
RIVET： I.J.G STEEL WORKS

？の所ですが、MITSUBISHI STEEL CO.
のようにも見えます。
1942年設立の三菱製鋼㈱の前身、三菱造船(株)長崎製鋼所は1919年にはあったようですから、これを無理くり省略したのか、或いはそういう会社があったのかもしれません…

【元リスボン市電 533形】
1928年(昭和3年)Maley & Taunton社製造

リスボン市から1990年(平成2年)土佐電鉄に譲渡、2007年(平成19年)まで運転、コカ・コーラ小松工場に保存・展示。

台車に英国のメーカーの刻印が見えました。
MALEY-TAUNTON LTD
WEDNESBURY
ENGLAND

【井内峠】
石槌山の南を目指します。
途中、国道494号経由の予定だったのに、ナビに落石や雪も残る井内峠に誘導されて閉口しました…

【河合橋】
1955年(昭和30年)竣工、スパンドレルブレーストアーチ橋

無事面河川沿いに入れました。面河川は仁淀川水系になります。愛媛県の山奥のこんな所まで高知に流れる仁淀川の支流が来ているんですね。

【中ヶ市橋】
1934年(昭和9年)竣工、RC方丈ラーメン橋

RCの方丈ラーメンと聞くと古くはなさそうなイメージですが、こちらは昭和初期！

橋台も石積みです。
あれこれ調べてもこれより古い同型式の橋が見つけられません。岐阜県の松谷橋とこの中ヶ市橋が1934年(昭和9年)、それに続くのが愛知県の旧国界橋（1936年(昭和11年)竣工）。現役最古級の歴史的な古橋かもしれません。

親柱の脇には木橋によくある「架橋寄附者芳名」が刻まれた石碑も残っており、地元住民らにとって重要な交通路だった事がわかります。

【通天橋】
1955年(昭和30年)竣工、中路ランガートラス橋

中路ランガートラスという中々の珍品！しかもダブルワーレントラスです。

トラス外側には対傾構も付いていました。

【関門第一隧道】
1953年(昭和28年)竣工

吹付モルタルで仕上げた素掘り隧道、石積み土留も味わい深いです。

【平和橋】
1951年(昭和26年)竣工、補剛トラス吊橋

ケーブル定着部はリンクを介したメカニカルな構造。
擁壁にはビルトインお地蔵様が祀られていました。

【有枝橋】
1922年(T11)竣工、RC開腹アーチ橋

「わが国におけるコンクリートアーチ橋の発展」によると、我が国で初めてアーケード状のスパンドレルを導入した橋だとか。

大宮橋と違ってアーケード状なのは橋軸方向のみ。垂直材の剥落箇所にはアングル状の物が見え、鉄筋の代わりにアングル等を使ったメラン式のRCかもしれません。
設計は愛媛県の土木技師坂本一平氏。

【重信橋】
1950年(昭和25年)竣工、下路ワーレントラス橋

3径間連続トラスを三つ並べた橋。

上横構は橋脚上のみ、なので外側には対傾構も付いています。

沓座付近は補強されていました。
「国道23号線重信橋工事報告」によると、鋼材の”大部分は元海軍所有鉄材の譲渡”を受けたものだそうです。地理的に松山海軍航空基地でしょうか。製作は松尾橋梁東京工場ですが、海軍由来の部材は現地付近にて加工したものと思われます。

【宿野々橋】（しゅくのの）
1930年(昭和5年)竣工、RC開腹アーチ橋

大宮橋と同様、スパンドレル上部は４方向アーケード状。中央は閉塞しています。
アーチ上部に段差を付ける等、控え目ながら装飾も。

街灯を親柱でない橋の途中に設置しているのが面白い所。

【キユ25形】キユ251
1964年(昭和39年)新潟鐵工所製造、1986年(昭和61年)廃車

気動車としては唯一の全室郵便車。合造車ではないので、郵政省の所有だったそうです。４両全て高松運転所に配置され、四国で活躍したそうです。
四国鉄文化館で保存されていてもおかしくない位の車両ですが、トップナンバーがレストランとして利用されていました。大分改造されているようですが、屋根まで付けて残してくれるだけでありがたいですね。

でんぷん グルメ・レストラン

【立花橋】
1928年(昭和3年)竣工、下路ポニーワーレントラス橋

石手川に架かる素敵なポニートラス。
塗装工事中でよく見えませんでした。渇水期にしか施工できないのでしょうがないですけど…

ガセットプレートの曲線がエモいです。

その２は以上です。
土木遺産の大宮橋やその原型とも言える有枝橋、現存最古級の中ヶ市橋等、ＲＣ系の素晴らしい古橋が多数残っていました。坂本技師の存在も大きいと思いますが、素掘り隧道にもあちこちで遭遇したので、大きな鋼材の搬入が難しい陸路の状況も、愛媛でＲＣの橋が数多く架けられた要因の一つなのかもしれません。

小計　橋16，トンネル３，車両３，他２　を巡る旅でした。
この後旅は更に南の肱川水系へ続きます。
その３⇒https://4travel.jp/travelogue/11829190